GOLD SUN AND SILVER MOON / SHAZNA | 安眠妨害水族館

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GOLD SUN AND SILVER MOON/SHAZNA

¥3,394
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SIDE-Ⅰ
1. White Fairytale
2. Lily of the Valley
3. Sweet Angel
4. Aurora
5. Sweet Heart Memory
6. Secret Love

SIDE-Ⅱ
1. Magenta Story
2. Melty Love
3. Romance
4. すみれ September Love
5. Refrain of Dreams

シャズナのオルゴールのおと
1. C'est La Vie
2. White Silent Night
3, Melty Love
4. Shelly

SHAZNAのメジャー1stフルアルバム。
1998年にリリースされ、ミリオンセラーとなりました。

ジャケットは、加藤和彦さんの「パパ・ヘミングウェイ」のオマージュでしょうか。
初回盤は二枚組となっていて、アルバムのタイトル通り、"太陽"をイメージしたSIDE-Ⅰと、"月"をイメージしたSIDE-Ⅱに分かれています。
更には、写真集付きのブックレットや、オルゴールのインストが収録された8cmCDが付属されるなど、ヴィジュアルバブルを象徴する豪華な仕様ですね。

通常盤は、ジャケットのアートワークが色違いとなっており、CD1枚に集約。
ボーナストラックとして、「Das Spiel」が収録されたうえ、シークレットトラックとして「Melty Love」のシングルバージョンも聴くことができます。
また、ロサンゼルスでマスタリングを行っている初回盤に対して、通常盤は東京でリマスタリング作業を行っており、音質面にも少し変化が。
中古ではどちらも安価で手に入りますので、聴き比べてもいいかもしれません。

さて、内容ですが、SHAZNAの象徴、甘いラブソングが中心。
J-POPとして受け入れられた彼らですから、メジャーシーンで戦うにあたり、そうなっていくのも必然ではあるのですが、一方で、音楽的にも進化しようとチャレンジしていたのも確かなのですよ。
シングル4曲のアルバムバージョンにおける変化が示す通り、明確にサイバーな方向に進化を求めていたのかと。

「Melty Love」にしても、「Sweet Heart Memory」にしても、バンドサウンドで疾走感を出していたオリジナルバージョンのイメージが強かったので当初は違和感もあったのだけれど、慣れてくると、このデジタルサウンドにより情報量を増やした再録バージョンも味わい深く思えてくる。
「White Silent Night」については、オールシーズン通用するアルバムにするために、タイトルまで「White Fairytale」にしてしまうくらい、統一感にもこだわっていました。

その結果、実はそこまでキャッチーに特化したという印象はなく、幻想的な雰囲気モノが多くなっている。
「Lily of the Valley」、「Secret Love」のアンニュイなサイケ感や、「Aurora」や「Romance」などのフワフワしたファンタジー要素…
"ステレオタイプなポップチューン"なんて、インディーズ時代からの楽曲である「Sweet Angel」だけではなかろうか。

残念なのは、完全にイメージ先行で語られてしまう作品であること。
セールスが伸びすぎたため、シングルレベルのインパクトを求めるライトユーザーが多くなり、世間的な評価としてアルバム曲が地味という意見が多数派になってしまったのは不運でした。
現代のV系リスナーの心に響くかは別として、もっと再評価があっても良い作品ではあるはず。

「Romance」ではVo.IZAMさんとGt.A・O・Iさんのツインボーカルに挑戦していたり、「すみれ September Love」では土屋昌巳さんがゲストでギターソロを担当していたりと、その他にも聴きどころはあり。
リードトラックである「Magenta Story」には、インディーズ時代の残り香もあるし、90年代を語るうえでは外せない作品であるのは間違いないでしょう。

<過去のSHAZNAに関するレビュー>
PURE HEARTS
White Silent Night
Promise Eve