Love story -2000020220161101- / Raphael | 安眠妨害水族館

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Love story -2000020220161101-/Raphael

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1. lost graduation
2. Teenage~卒業~
3. Evergreen
4. Gebet~祈り~
5. 秋風の狂詩曲
6. 不滅花
7. Dear
8. 拝啓ナーバス
9. エルフの憂鬱
10. Ending~華弦の月~
11. Love story~悠久の四重奏~
12. 夢より素敵な

楽しみにしていたのは事実で"待っていた"という気持ちと、これを聴いたら終わってしまうのだなという気持ちが交錯する。
Raphaelの再録アルバム三部作の完結編が、遂に届けられました。

ここに収録された楽曲は、オリジナルアルバムに未収録のまま終わってしまった楽曲が大半。
こうしてパッケージされて、ようやく本当の意味で完成されたのだなと思うと、感慨深くもなるものです。
本作にも豪華なゲストギタリスト陣が参加していますが、彼らが紡ぐフレーズからは華月さんへのリスペクトが伝わってきますし、華月さん本人のギターテイクもたくさん使われていて、あたかも華月さんがレコーディングに参加していたかのよう。
聴く前は不安もあったけれど、これは紛うことなきRaphaelのニューアルバムですね。

相対的な比較として、過去の2作よりも更にオリジナルの雰囲気を残しているか。
コンセプト的に鍵となる「Teenage~卒業~」こそ、ゴスペル調のアレンジに大きく変貌しているのですが、それ以外は、純粋に現代の技術で正当進化させたといったところ。
活動休止となる直前の楽曲たちということで、そもそも完成度が高く、大幅に変える必要がなかったとも受け取れますが、ここは、意図的に"当時のRaphael"を再現する狙いがあったと断言したい。

何故なら、本作の目玉は、「Ending~華弦の月~」と「Love story~悠久の四重奏~」。
実際に耳にするまで信じることができなかった、Raphaelの2016年の新曲である。
クラシカルなメタルナンバー「Ending~華弦の月~」は、良い意味で新曲という感覚がないくらいに彼ららしい。
楽曲構成も、メロディの乗せ方も、ギターのリフにしたって、これ、華月さんが作った楽曲でしょ、と思わせるレベルの再現度なものだから、余計に切なさを駆り立てます。
メンバーの中には、本当に華月さんが生きているのだな、と。

「Love story~悠久の四重奏~」は、壮大なバラード。
メッセージ性の強い歌詞を高らかに歌い上げるYUKIさんの前向きな歌声は、これまで綴られてきたRaphaelという物語を終わらせるためのエンドロールとなって、耳から心に染み渡ります。
悲しくしんみり、ではなく、多幸感に包まれたハッピーエンド調なのは、癒しの天使である彼らの最後の楽曲としてはぴったり。
複雑な想いはあったけれど、この曲が聴けて良かった、と素直に思いますよ。

この2曲について、正真正銘のRaphaelの音楽であることを証明するため、ガラっと印象を変えるアプローチは最小限に留めたのではなかろうか。
実際、馴染む馴染む。
最後は、アンコール的に「夢より素敵な」が送り込まれるのだけれど、17年前の楽曲と並べても違和感がありません。
止まったままの時間軸が、ここでようやく現代と溶け合った。
こじらせていた感情が、すっと解けていくような作品に仕上がりましたな。

ちなみに、三部作のタイトルであり、「夢より素敵な」の一説から切り取った曲名。
「Never」がないのは何故?と思っていたら、riceで発表されたシングル「Never」がそれに該当するとのこと。
確かに、両A面として発表されていた「Asterisk」とともに、歌詞のシンクロがありました。
華弦の月…
1年以上前から、この構想があったということですよね。
とにかく感心してしまいました。

「Never -1997040719990429-」に収録された「夢より素敵な」のアレンジが、この大団円のためのブラフだったことがわかって、興奮が高まったリスナーも多いのでは。
Raphaelの音楽が好きだった。
これからもずっと好きでいられる。
そんな確信を与えてくれる1枚でしょう。

<過去のRaphael(-Starring 華月-)に関するレビュー>
Ending -1999072319991201-
Never -1997040719990429-
天使の檜舞台
eternal wish~届かぬ君へ~
秋風の狂詩曲
Evergreen
mind soap
タッチ
夢より素敵な
Sick~XXX患者のカルテ~