REBORN / DIAURA | 安眠妨害水族館

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REBORN/DIAURA
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1. 胎動
2. REBORN
3. anti people
4. 禁断領域
5. Garden of Eden
6. VIRGIN MARY(再録ver)

DIAURAの2ndミニアルバム。
通常盤には、「SHOXX」誌上限定のオムニバスアルバムに収録されていた「VIRGIN MARY」が、再録verとして追加されています。

本作以前に発表されていた「Evils」、「Whiteness」という2枚のシングルは、それぞれ、難解だったり、バラードだったりと、若干飛び道具的な要素が強かった。
これはこれで、大事なチャレンジなのだけれど、王道も聴きたい・・・
そんなフラストレーションを吹き飛ばしたのが、この「REBORN」。
王道なV系チューンが揃えられており、改めて、初期衝動に立ち返ったような作品に仕上がっています。

3分に満たない「胎動」からのスタート。
荘厳な雰囲気で始まったと思いきや、サビになると、ツタツタ&メロディアスに切り替わる。
こんな二面性のある楽曲を、短い尺でコンパクトにまとめたとは。
少し、食い足りなさが残るも、アルバムの1曲目としては、余韻を持たせる効果があって良いかもしれないですね。

続く「REBORN」は、タイトルにもなっていることからもわかる、気合の入ったキラーチューン。
ハードな演奏に絡まる、切なく流れるような歌メロが気持ち良い。
ダークで、ハードで、メロディアス。
この王道っぷりには、「胎動」から蓄積された期待感とも相まって、一気にテンションが上がります。
序盤の2曲で、方向性が明確に示されたことにより、そこからの楽曲が、やきもきせずに純粋に楽しむことができるようになったという意味でも、この選曲は大当たりと言えるでしょう。

「anti people」は、本作中、もっとも激しさに振れた曲。
古めかしさのあるシャウトスタイルも相変わらずで、90年代のダークバンドを彷彿とさせますが、メロディアスなサビが用意されているあたりは、現代バンドのファンのツボも押さえている。
この辺のバランス感覚は、さすがDIAURAといったところ。
一転して、ミディアムテンポで、ダークな世界観を重視したのは、「禁断領域」。
王道の範囲内で、アクセントが入ったので、作品が引き締まりました。

本編ラストは、「Garden of Eden」。
テンポは相応に速いが、壮大さをも感じさせるメジャー感が強いナンバー。
ポップさとダークさ、どちらも含んだ歪んだフレーズの使い方に、どことなくPIERROTっぽさを感じますな。
非常にラストっぽいのだけれど、個人的には、ボーナストラックである「VIRGIN MARY」で締められる通常盤のほうが、彼ららしいと思ってしまう。
激しく、タイトで、だけどメロディにはこだわった楽曲。
初期の楽曲ということもあり、勢いや衝動性に溢れていて、臨場感もビシビシと伝わる。
聴いたあとに充実感が残るだけでなく、ライブ後の余韻に浸るかのように、1曲目から聴き返してみたくなるのです。

価格設定なんかを考えれば、先行シングルの2曲を入れても、十分にまとまったのではないかとは思うものの、期待通りの作品ではある。
聴き込み要素がもっとあったら、更に深みを目指せたかもしれませんが、インパクトに特化してこだわるのも、ひとつの策。

チャレンジによる新機軸の模索は継続しながら、どこに帰ってくるべきかが、はっきりしていますよね。
これが、彼らの強みであり、人気が右肩上がりとなっている要因なんだろうな、と。
フルアルバムまでは調子が良くても、その後のハードルが越えられなくて尻すぼみになってしまうことは、割とよくある話なのですけれど、このバンドについては、その懸念がなさそうでほっとした一枚。

<過去のDIAURAに関するレビュー>
Evils
GENESIS
メビウスリング
Beautiful Creature
失翼の聖域