百夜絵 / CROW | 安眠妨害水族館

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百夜絵/CROW
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1.百鬼夜行

2.淡き炎に包まれて・・・

3.刹なる言葉

4.最終転生


3月3日に解散を迎えたkagrra,。

インディーズベストが発売される彼らですが、彼らの軌跡を振り返るには、忘れてはいけないのが本作。

KEY PARTYに所属していた時代のデモテープです。


当時はバンド名がCROWでした。

あまり和風バンドっぽくない名前ですが、音楽性は、この頃から一貫していたkagrra,節。

妖しく、雅やかなジャパネスクサウンドは、いつまで経っても色褪せません。


「百鬼夜行」と、「刹なる言葉」は、kagrra,と改名した後に再録されておりますので、聴いたことがある人も多いでしょうか。

どちらも、再録バージョンは、こざっぱりとまとまっている印象ですが、こちらは、演奏レベルや音質が粗いこともあって、ザワザワした怪談話のような世界観がかえってよく表れている。

特に、「百鬼夜行」では、お馴染みのファルセットシャウトが、狂気じみていて良し。

ツタツタだったり、テンポが落ちて三拍子になったり、忙しい構成にインパクト大です。


「淡き炎に包まれて・・・」は、一志さんには珍しく、ハスキーな荒っぽい歌い方をしていて、ある意味貴重。

和風テイストは、やや薄めのナンバーですが、コテコテのV系チューンも、案外似合っていますね。

編拍子と、チャカチャカ刻むギターの音が印象的。

サビになると、急に流れるような流麗なメロディになり、しっかり彼ららしさも出しているのはさすがといったところ。


「刹なる言葉」や、「最終転生」も、ダーク系の王道をベースに、和風の味付けをほんのり加えたといった疾走感のある楽曲で、全体的に、スピードを意識したような曲でまとまっていますね。

後期のkagrra,は、むしろゆったりとしたオリエンタルなナンバーに強みを持っていましたが、この頃は、当時の流行だったコテコテの要素が残っていて、それはそれで歴史のはじまりを感じることができる。

未熟な部分は当然にしてありますけれど、オリジナルに消化しきれていない中にも、個性的なバンドになるべくしてなったのだな、と思わせるセンスはしっかり見つけられるかと。


ちなみに、代表曲である「桜舞散るあの丘で」も、最初に音源化されたのはCROW時代。

当時から、名曲として好評だったのを記憶しています。

解散は本当に残念ですが、願わくば、メンバーの今後の活動に幸多きことを。


<過去のCROW(kagrra,)に関するレビュー>

桜花爛漫