堺市の交通まちづくりを考える会 -110ページ目

阪堺線存続を考えるワークショップ参加 その7

阪堺線存続を考えるワークショップ参加から少し話を発展させます。阪堺線の存続はどうなるのでしょう?

現在の阪堺線堺区間の乗車数は約1500人/日、つまり約750人/日の人が往復利用しています。大阪市にお住まいで堺市に通勤されている方など、市外在住者も含んで約750人のために年間5億円の公金支出を市民に強いる支援策です。補助を利用者のためにおこなうと考えれば、年間利用する人には一人66万6666円の補助とも言えます。年間5億円ほどの存続支援策を市議会で議決するとすれば、支援に付加価値を付けなければ市民に同意が得られません。

一方、阪堺線がなくなれば、堺市全体で約5億円の損失と計算する専門家がいます。また図書館と一緒で、利益を生まない事業だからこそ行政が支援すべきという考えもあります。民主党を中心に国策としての「交通権」策定が検討されて、公共交通の拡充が進むと考えられています。市議会が存続支援策を否決するなら、これから堺市の総合交通計画が策定される際に阪堺線の廃線と総合交通計画にツジツマ合わせが必要です。

どちらにしても非常に難しい舵取りが、堺市議会で要求されます。キチンと勉強している市議がいるのか?納税者目線の市民の代わりに、これらの指導や監視をするのが議会の役割です。賛否に関わらず、「悪者」になりたくないとする安易な理由で議決することのないよう、しっかりと本質を議論することを市議会に期待します。安易に議決するようなら、来年の統一地方選挙で堺市の市議会議員改選の争点になるかもしれません。



阪堺線存続イベントは、乗車数を増やすことにはほとんど寄与しません。存続イベントの本質は、堺市の誇れる観光文化といった「宝物」を再発見し、阪堺線をアイテムとした街育の方向性を考えるきっかけ、つまり市民同士のつながりによる街育活動のきっかけづくりだと思います。こういったイベントはどんどんと行なうべきだと思います。私も一つ思いつきましたので、早速取り組みたいと思います。

逆に、前時代的ピラミッド型の組織を利用して市議などをかき集め、権威とともに存続イベントを派手にやり過ぎると、阪堺線を利用しない地域の市民が関心を高めてしまい、税金を局地的に利用することに反感を抱く結果になりかねません。これまで通り、クローズドにてこっそりやる方が得策です。



ワークショップ当日、会場にいらっしゃった阪堺線に詳しい元技術者に言わせれば、「要するに、ワークショップと称する市民のガス抜き」だそうです。また、 「今頃になってようやく、山口家・仁徳天皇陵等の観光・公共性・エコロジー環境という金科玉条をかざし、市民の税金で不要不急の乗客を無賃乗車ともいえる 安価な200円で輸送する。今更阪堺線での客集めは不可能。堺市が債権指定都市にならないことを祈る。これまで堺市は、歴史と文化資源(環濠の埋立・公園 の縮 小・灯台の移転・千利休・与謝野晶子・小西家)を工業優先のため、徹底的に廃棄・抹消した「ツケ」が今回のワークショップとやらで表面化した。」ともおっしゃっていました。


つづく

阪堺線存続を考えるワークショップ参加 その6

ここからは真面目にワークショップを振りかえってみたいと思います。

各班の結果は堺市のホームページ をご参考下さい。各班ごとに分かれてダウンロードできます。

各班の結果より、第6班の発想数が少ないことがわかります。専門用語もなく、 普通に市民を集めてブレーンストーミングすればこの程度に終わります。ただし核心を突いた意見もあります。電車目線や街育目線ではない、純朴な市民目線で す。何事も勉強になると感じました。時間をもっと掛けて、また司会者も方向性を小分けにして刺激するなどの補助があれば、もっとすてきな発想が生まれたに 違いありません。

他の班では専門家を交えた発想かと思われるほど濃い発想、深い発想が目立ちます。「表定速度」といった専門用語も見受けられます。これらより、私も含め素 人なりに予習をしてきた方が数多くご参加されたことが見て取れます。もしくは鉄道マニアが大挙して参加傍聴したのかもしれません。総合司会の波床先生の感 想でも、「専門家と遜色のない発想が多数見受けられた」とありました。

そう、存続に反対意見を持つ方は、数人ではなくお一人で、第4班にいらっしゃいました。「阪堺線の役割はわからない」、「阪堺線支援をほかに施して欲し い」と、ごもっともな反対意見が記録に残っています。もしも年間5億円あれば、年間一人当たり3590円程の国民健康保険の繰り入れができます。エコポイ ント4000円を目当てに液晶テレビがよく売れたことからして、3500円は決して少ない金額ではありません。

賛成だけれど、支援の方法や順序、支援の金額やスキームに条件を付ける方が多くいらっしゃいました。市民負担が無ければ誰でも存続に賛成しますが、市民負 担がある限り、その負担額によりけりと考えるのがごく普通の市民感情です。それを「反対意見」として片付けることは、いかがなものかと存じます。私と数人を別にして、「堺市の交通まちづくりを考える会」のメンバーはほとんどこの意見です。

延伸による阪堺線の存在価値向上については、第5班の「延伸」など特定の意図を持った延伸は見られませんでした。残念ながら事業者変更という発想とセット になった意見でもなかった気がします。ワークショップ後に記入するアンケートには、昭和19~24年まで留保していた宿院駅から龍神駅までの大浜線復活と いう発想が追加で上げられていました。ワークショップで様々な発想に触れたからでしょう。延伸とは無関係に「事業者変更」は第3班と第4班から上がっていました。

天才でない限り、自己完結できる人はいません。こういう他人の発想を聞いて新たな発想が生まれることがワークショップの良いところです。私はワークショッ プ参加の経験から、天王寺から上本町まで延伸した近鉄経営の阪堺線を思いつきました。ずいぶん以前には、浜寺駅前からJR羽衣と結節したアイデアをこのブログに記したことがあります。もちろんJR狭軌を阪堺普通軌に変更する必要があります。高架駅となる南海本線浜寺駅と結節するよりは便利だと思います。

行政の施策には、得する人と損する人が必ず生まれます。いつも特定の人が得をしたり、いつも特定の人が損をしないように配慮することが行政のお仕事です。 それをチェックするのが議会です。

また当日はこれらの結果を各班5分ずつで代表者が概要発表しました。たった5分の発表では細かい点やニュアンスがなかなか伝わらないものです。インターネット から各班の結果を見ることのできない方は、当日の各班代表の発表しか知りません。できれば、参加者の方には各班の結果を郵送してあげて欲しいと思いまし た。

KJ法?によるワークショップを終えての反省点は、行政と事業者に対する意見が大半で、市民のすべきことについては少数しか発想できなかったことです。どの班にもこの傾向が見られました。これは当日の発表でも、私見として付け加えさせて頂いた事項です。阪堺線が存続の危機に陥っている原因は、「市民が乗らない、行きたい目的地が阪堺線沿線になくなった」ことに尽きます。大道筋をはじめとした沿線を、大きな商店街に見立てた街育がこれまでになされず、臨海に夢中になっていたからでしょう。堺臨海部工業地化は当時、ある一定の恩恵はありました。しかし工業化に賛成していた市民が今になって阪堺線まちづくりが重要だと主張するのも皮肉な話です。浜寺の埋め立てに反対していた市民の言い分が、今になって蘇ります。

一方で、第1班の結果にもあるとおり、「市民は行政や事業者と立場が異なる」わけですから、市民が阪堺線に乗らなくなった原因を、行政や事業者が真摯に反省することが存続の近道です。

それと、経営者の責任について意見を述べる方が多かったように思います。阪堺線が堺市に提出した資料によると、阪堺線堺区間の乗車人数の推移を表したグラフなど、細かな資料があります。詳細は堺市のホームページにあります。1965年(昭和40年)以降の推移しかありませんが、ずっと右肩下がりです。やっとこさ1980年(昭和55年)になって施策をしたと思えば、分社化して阪堺電気軌道を設立したんです。要するに、見込みが無くなったことを理由に、南海電鉄は体よく阪堺線を切り捨てたわけです。ちょうど同じ頃に、頻繁に運賃値上げがあり、その都度、乗車人数が急激に下がります。経営が危なくなることを見越しておきながら、役員を十分な数揃えたまま、その削減なども行なわずに阪堺電気軌道は経営を続けています。富山LRTでは社長自ら現場のお仕事をこなしておられたことを昨年の視察で確認しました。この間も社員は営業努力に精を出しますが、親会社があることを安心材料にした経営が続けられました。いよいよ平成に入って社員の賃金カットが始まります。それに遅れて役員数も大幅にカットし始めました。時はすでに遅く、2001年(平成13年)に木原市長が誕生し、同年、阪堺電気軌道は堺市に抜本支援要望を提出しています。このときに堺市、阪堺電気軌道ともに、すべきことをやっておくべきだったのかもしれません。これらは元社員の方が語る貴重な情報で、南海電鉄、阪堺電気軌道に経営責任がなかったとは言えません。

堺市はこの間、市民病院をはじめとする様々な「乗車目的」となる施設を、阪堺線沿線から引っぺがしました。目的地がなければ電車には乗りません。阪堺線の資料によると、堺区間だけ乗車する人数が、同時期に激減している推移がグラフから読み取れます。要は、堺市と南海電鉄、阪堺電気軌道は、阪堺線を見捨てたと言ってもよいのではないでしょうか?

もう一つ、ワークショップの総合司会を務められた大阪産業大学の波床先生の件です。なぜ波床先生を総合司会者に選んだのかという疑問を、堺市交通部に問い 合せました。波床先生はこれまでに異分野でのファシリテーターのご経験を買われて選出されたそうです。残念ながら当日はそのご経験を生かすことなく、議事運行のみを任された様子でした。なんなら総合司会自体を設定することなく総評のみを波床先生にお願いするか、議事運行をコンサルタント会社に任せ、総評もせずに終われば良かったのではないでしょうか?変な疑念も抱かれることなく、経費も削減できたはずです。

当日のKJ法?を運営したコンサルタント会社は、阪堺線支援策の作成と込みで、入札により決まったそうです。


つづく

阪堺線存続を考えるワークショップ参加 その5

これまでの4回で、主にゴシップネタを中心とする、堺市の「想定」について記してきた種明かしをします。

阪堺線存続を考えるワークショップ参加 その3 」で、「市の担当者は、以前から「反対の意見でもいい」と言っていました。現に当日も、担当課長が、支援策(案)について、「最後まで、これで行こうとは思っていない。(案)に関係なく、意見交換して欲しい。」という市の発言に対してあることに気づいたと記しました。

実は、今年の春から堺市主催で行なわれた「阪堺線存続に関する市民参加イベント」は、全て「存続を前提としたイベント」と私は思い込んでいたのです。だから今回の「市民ワークショップ」も存続前提のワークショップだと、つい最近まで勘違いしていました。

一方、堺市は今回の市民ワークショップが存続ありきではなく、賛成反対の意見を踏まえる、まさに「存続を考える」市民ワークショップ開催を目的にしています。したがって存続に反対の市民が大挙してワークショップに参加することを、まさに「想定」、「思い込み」していたんでしょう。しかも私が阪堺線存続に反対していると勘違いしていた節が多分に想像できます。そう考えると、ワークショップでの堺市の態度をはじめ、職員の「こんなことしているから堺市はアカンねん」という感想が納得できるのです。

事実、イベント開催市民や数人の市議に、「反対してるんでしょ?!」と何度か言われた記憶があります。また、「阪堺線存続を希望している」旨を、このブログで表明すべきだと依頼する方が現われるなど、いったい何事が起こっているのか想像もつきませんでした。「思い込み」による疑心暗鬼だったのかもしれません。

改めて記しますが、「堺市のLRT計画」を2年前に初めて知った頃は、半年にわたって勉強しました。知れば知るほど、LRTによる街育に共感しました。これから迎えるであろう公共交通と街育のあり方に夢を持って、今日まで様々な人と議論しながら自分自身進化し、その夢はふくらむ一方です。そういった意味で、当時の堺市のLRT計画には街育が無いことを問題提起し、阪堺線存続にも街育を含めた存続を期待しているのです。ただし局地的な公金投入に、他地域の市民が納得できるやり方が不可欠でもあります。2年前も今も、全く変わらない考え方です。

多くの人が、「賛成ありき」、「反対ありき」で主義主張を誇示し、自分と反対の意見を持つ人を排他的に扱っています。あるいは、これまでの貸し借りによるシガラミにがんじがらめとなって自分を見失っていたりします。自分の居場所を失いたくない、自分の居場所を確固たるものにしたいなどと考える人も沢山いることでしょう。幸いなことに、私にはそういった考えが一切ありません。これまで賛成反対に関わらず、いろんな意見の方と議論することで前に進めた気がします。


つづく