”ツール・ド・フランス2022 ステージ11”
ツール・ド・フランス20217月13日(水)ステージ11アルベールヴィルからカテゴリー超級のコル・デュ・グラノン頂上までのアルプス山岳区間152km優勝は、18. ○ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ25デンマーク)区間初勝利。第109回ツール・ド・フランス最初の超級山岳ステージに、ツールを代表する超級山岳ガリビエ峠が登場。しかも頂上フィニッシュではなく、主催者A.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)はガリビエ峠後に超級山岳グラノン峠をもってきた。151.7kmコースの半分以上は過酷な山岳コース。まずは1級山岳テレグラフ(距離11.9km/平均7.1%)を越え、「アンリ・デグランジュ賞」が用意された今大会最高標高地点(2,642m)の超級山岳ガリビエ(距離17.7km/平均6.9%)を越え、さらに例年ガリビエ峠の定番フィニッシュとなっている下りの先に36年ぶり登場の超級山岳コル・デュ・グラノン(距離11.3km/平均9.2%)にのぼり詰める。1986年大会でベルナール・イノーがマイヨジョーヌを失い、チームメイトのグレッグ・レモンがアメリカ人選手として初めて着用した名峰を目指し、プロトンはアルベールビルから一路南下する。ベルナール・イノーが同乗したディレクターカーからリアルスタートの旗が振り下ろされると共にポイント賞リーダーの証、マイヨヴェールが飛び出した。16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー)のアタックに飛びついたのは101. ○マチュー・ファンデルプール(アルペシン27オランダ)だった。シクロクロスのジュニア世代からライバル関係を築き、ロードレースに場を移してもなお超トップレベルでライバル関係を築く2人の逃げ。この2人が50km/hオーバーでリードを広げたものの、集団内にはまだ逃げたい選手が多数残っていたため「2対メイン集団」の追走劇が長く続くこととなる。ファンアールトは16.5km地点の中間スプリントポイントで狙い通り最大20ポイントを加算する。必死の追走によって54. ○マティア・カッタネオ(クイックステップ31イタリア)が先頭2人に追いつき、やがて17名の大きな追走グループが合流。約30kmに渡って平均54km/hオーバーという高速アタック合戦の末、20名という大きなグループが先行を開始した。逃げグループを形成した20名15. クリストフ・ラポルト(ユンボ29フランス)16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー)33. ミカエル・シェレル(AG2R36フランス)46. ○ニルス・ポリッツ(ボーラ28ドイツ)47.マキシミリアン・シャフマン(ボーラ28ドイツ)53.アンドレア・バジオーリ(クイックステップ23イタリア)54. ○マティア・カッタネオ(クイックステップ31イタリア)73. ○シモン・ゲシュケ(コフィディス36ドイツ)74. ヨン・イサギレ(コフィディス33スペイン)83. カミル・グラデク(バーレーン31ポーランド)86. ○ディラン・トゥーンス(バーレーン30ベルギー)101. ○マチュー・ファンデルプール(アルペシン27オランダ)108.ギヨーム・ファンケイルスブルク(アルペシン31ベルギー)149. ○ヨナス・ルッチ(EF24ドイツ)152 ○ワレン・バルギル(アルケア30フランス)171. ○マッズ・ピーダスン(トレック26デンマーク)173.トニー・ガロパン(トレック34フランス)183. マチェイ・ボドナル(トタル37ポーランド)185. ○ピエール・ラトゥール(トタル28フランス)197. クリスツ・ニーランズ(イスラエル27ラトビア)マイヨアポワのゲシュケやイサギレ、シャフマンといった豪華なメンバーを含む逃げ。すぐ訪れたつづら折れの2級山岳頂上ではゲシュケに先んじてラトゥールが先頭通過し、最初の難所である1級山岳テレグラフへ。2級山岳で遅れていたファンデルプールはリタイアを選択し、バルギルがペースメイクする序盤区間では続々とメンバーが振り落とされ、最大10ポイントが懸けられた頂上へ。ラトゥール、バルギル、そしてゲシュケの順でKOMポイントを通過している。7分半後ろのメイン集団では早々にユンボ・ヴィスマが動いた。既にアシストが6. ○ブランドン・マクナルティ(24アメリカ)と5. ○ラファウ・マイカ(32ポーランド)だけになっていたUAEチームエミレーツに対し、12. ティシュ・ベノート (ユンボ28ベルギー)と11. ○プリモシュ・ログリッチ(ユンボ32スロベニア)を使ってペースを上げ、テレグラフ峠頂上でログリッチがアタックすると共に、前待ちしていた15. クリストフ・ラポルト(ユンボ29フランス)が合流。猛烈なペースアップによってメイン集団はタデイ・ポガチャル、ログリッチ、ラポルト、ヨナス・ヴィンゲゴー、そして21. ○ゲラント・トーマス(イネオス36イギリス)だけに絞り込まれた。ラポルトが離れ、4名となってもなおユンボは波状攻撃を止めなかった。過酷なグラノン峠を待たずしてヴィンゲゴーとログリッチが代わる代わるアタックを繰り返し、その度にポガチャルは食らいつき、トーマスはマイペース走法で遅れを回避。このグループは一時ペースを落としたことで後続勢が追いついたものの、暫くしてメンバー増強を果たしたユンボ勢が再び攻勢に出た。先頭グループでゲシュケたちを千切ったバルギルが独走に持ち込み、5分半後ろのメイングループではポガチャル自らの加速でログリッチを、クスを、そしてクライスヴァイクを振り落とした。トーマスや一時追いついた111. ロマン・バルデ(DSM31フランス) も遅れ、ポガチャルとヴィンゲゴーの2人だけに絞られたが、ガリビエ頂上が近づくとバルデとトーマスが再復活。ペースアップと合流を経て、4名がガードレールの無いテクニカルダウンヒルに突入した。登坂距離11.3km、平均勾配9.2%、最大勾配18%、標高2,413mという超級山岳グラノン峠。UCIルールギリギリの際どいダウンヒルポジションで下りを攻めたバルギルが2分20秒リードで登坂を開始した。下りで人数を増やしたメイン集団からは本格的な勝負を前に151 ○ナイロ・キンタナ(アルケア32コロンビア )が、時間を置いてバルデも飛び出した。ポガチャルのために引き続きマイカが牽引する総合グループからは、中腹区間でヴィンゲゴーがアタックを繰り出した。「僕がアタックしてからライバル勢が苦しんでいるのを見ていた」と言うヴィンゲゴーに対し、ここまで絶対的な強さを発揮していたポガチャルが付いていけない。ガクッとペースを落としたポガチャルはトーマスにも振り切られ、その後もペースを回復するどころか失速の一途を辿ってしまった。マイヨジョーヌ失速の報を受けたヴィンゲゴーは一気に攻勢。まずはステージ優勝の目標を(チームメイトの)キンタナに譲ったバルギルを、バルデを、そしてフィニッシュまで4km地点でキンタナをも吸収してしまう。ほぼ同時にポガチャルとの総合タイム差39秒を埋め、バーチャルリーダーとなったヴィンゲゴーがさらにペースを上げてグラノン峠山頂を目指した。森林限界を超え、無数の観客に埋め尽くされた最終区間をヴィンゲゴーが駆け上がる。チームメイトとの総力戦で絶対的と思われたポガチャルを崩し、総合タイムのためにフィニッシュラインを越えてからガッツポーズ。自身初のツール・ド・フランスステージ優勝を飾ると共に、大きく遅れたポガチャルに代わって総合首位に躍進。マイヨジョーヌを掴み取った。ヴィンゲゴーの圧倒的登坂力の前にステージ優勝の夢敗れたキンタナが59秒遅れの2位。総合ジャンプアップを狙ったバルデは1分10秒遅れの3位。ポガチャルを突き放したトーマスが1分38秒遅れのステージ4位に入り、続く5位はダヴィド・ゴデュ。力なくフィニッシュしたポガチャルはヴィンゲゴーから2分51秒遅れの7位に終わった。ログリッチとクスが笑顔でフィニッシュステージ11 結果① 18. ○ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ25デンマーク) 4:18:02② 111. ロマン・バルデ(DSM31フランス) +0:59 ③ 151 ○ナイロ・キンタナ(アルケア32コロンビア ) +1:10④ 21. ○ゲラント・トーマス(イネオス36イギリス) +1:38⑤ 91. ○ダヴィド・ゴデュ(FDJ25フランス) +2:04⑥ 28.アダム・イェーツ(イネオス29イギリス) +2:10 ⑦ 1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア) +2:51⑧ 131. ○アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ29カザフスタン) +3:38 ⑨ 13. ○ステフェン・クライスヴァイク(35オランダ) +3:59 ⑩ 152 ○ワレン・バルギル(アルケア30フランス) +4:16⑱ 25.トーマス・ピドコック(イネオス22イギリス) +9:55⑳ 11. ○プリモシュ・ログリッチ(ユンボ32スロベニア) +11:31 マイヨジョーヌ(個人総合成績)① 18. ○ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ25デンマーク) 41:29:59 ② 111. ロマン・バルデ(DSM31フランス) +2:16③ 1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア) +2:22 ④ 21. ○ゲラント・トーマス(イネオス36イギリス) +2:26⑤ 151 ○ナイロ・キンタナ(アルケア32コロンビア ) +2:37⑥ 28.アダム・イェーツ(イネオス29イギリス) +3:06⑦ 91. ○ダヴィド・ゴデュ(FDJ25フランス) +3:13⑧ 41. アレクサンドル・ウラソフ(ボーラ26ロシア) +7:23⑨ 131. ○アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ29カザフスタン) +8:07⑩ 61. ○エンリク・マス(モビスター27スペイン) +9:29⑪ 25.トーマス・ピドコック(イネオス22イギリス) +11:12⑭ 11. ○プリモシュ・ログリッチ(ユンボ32スロベニア) +13:54 マイヨヴェール(ポイント賞)① 16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー) 304pts② 51.ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ25オランダ) 155pts③ 1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア) 148ptsマイヨアポワ(山岳賞)① 73. ○シモン・ゲシュケ(コフィディス36ドイツ) 43pts② 185. ○ピエール・ラトゥール(トタル28フランス) 35pts③ 18. ○ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ25デンマーク) 30ptsマイヨブラン(ヤングライダー賞)① 1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア) 41:32:21② 25.トーマス・ピドコック(イネオス22イギリス) +8:50③ 6. ○ブランドン・マクナルティ(UAE24アメリカ) +29:30敢闘賞152 ○ワレン・バルギル(アルケア30フランス)