ツール・ド・フランス2021

 

7月6日(水)

 

ステージ5

リール・メトロポールからアランベール(ポルト・デュ・エノー)まで石畳区間157km。

 

 

 

 

優勝は、193. サイモン・クラーク(イスラエル35オーストリア)

ツールでの区間初勝利

 

 

2022年ツール・ド・フランスにおける最初のハイライトであり、難関ステージが北フランスを駆け抜ける第5ステージ。

リール・メトロポールからアランベール・ポルト・デュ・ハイナを目指しす157kmコースには、合計11ヶ所、距離にして19.4km石畳(パヴェ)セクターが詰め込まれている。

パリ〜ルーベに登場する難易度5つ星セクターこそ登場しないが、ここまで比較的平穏に過ごしてきたプロトンに与えるインパクトはあまりにも大きい。気温20〜24°C、天気は晴れ時々曇り。土埃舞うドライコンディションのパヴェセクターを舞台に、終始落車やメカトラブルがプロトンを襲い続けた。

 

未だ開幕から一人のリタイア者もいない176名が、パヴェ対策を施したバイクに乗ってリールを出発し、隣町ルーベでアクチュアルスタートを切る。

 

ファーストアタックを繰り出したのはクラシックの名手

182. ○エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(トタル35ノルウェー)

で、ここに(この日山岳ポイントが無いにも関わらず)山岳賞ランキング首位の

146. ○マグナス・コルトニールセン(EF29デンマーク)

127. タコ・ファンデルホールン(ワンティ28オランダ)が合流。

 

少々時間を置いて

147. ○ニールソン・ポーレス(EF25アメリカ)

193. サイモン・クラーク(イスラエル35オーストリア)

213. アレクシー・グジャール(B&B29フランス)

3名が合流し、激しいアタック合戦を経ることなく6名の逃げが決まった。

 

パヴェに向けて緊張感を高めるメイン集団が逃げる6名に許したリードは3分程度

 

37.2km地点中間スプリントポイントでは全体の7位通過(9ポイント)を狙ってスプリンター勢が戦い、繰り下がりでマイヨヴェールを着る

51. ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ25オランダ)

マイヨジョーヌでポイント賞首位

16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー)

を下す。

その後ファンアールト

13. ○ステフェン・クライスヴァイク(ユンボ35オランダ)

と接触する形で落車し、復帰を目指す中でスリップストリームを使っていたDSMのチームカーが急ブレーキをかけた際にあわや追突。何とかことなきを得て、最初のパヴェ「セクター11(フィニッシュに向けてカウントダウン形式)」が始まる前に集団復帰に成功している。

 

いよいよ始まった石畳

 

 

 

 

すると早々に2018年のパリ〜ルーベ覇者

181. ペテル・サガン(トタル32スロバキア)

が落車して脱落してしまう。

 

セクター10に入ると「北」の名手クイックステップ・アルファヴィニルが、昨年ロンド・ファン・フラーンデレン覇者

52. ○カスパー・アスグリーン(クイックステップ27デンマーク)

を使って猛チャージ。

ステージ優勝を目指すウルフパックのアタックは成功には繋がらなかったものの、このスピードには昨年大会総合4位

31. ○ベン・オコーナー(AG2R26オーストラリア)

が脱落。

さらに活躍が期待されていた

101. ○マチュー・ファンデルプール(アルペシン27オランダ)

も遅れていった。

前日ステージで大成功を収め、このパヴェステージでも有力チーム筆頭に数えられていたユンボ・ヴィスマの被害は、序盤のファンアールト落車だけに留まらなかった。レース後半に入ると

18. ○ヨナス・ヴィンゲゴー(25デンマーク)がメカトラブルで脱落。バイクを乗り換え、ファンアールトらのアシストを得て集団復帰を目指したが、今度は40名程度まで絞られたメイン集団に残っていた

 

11. ○プリモシュ・ログリッチ(32スロベニア)

が舗装路区間の小さなランドアバウトで起きた落車に巻き込まれた。

 

 

干草を入れた路肩のクッションに引っかかる形で、

161. ○カレブ・ユアン(ロット27オーストラリア)

81. ○ジャック・ヘイグ(バーレーン28オーストラリア)

と共に路面に叩きつけられたログリッチは肩を脱臼。自ら肩を元の位置に戻したというログリッチはその後、前から降りてきたアシスト陣と共に復帰を試みたもののの、この時点でメイン集団から2分遅れ。昨年大会に続く落車によって、ログリッチ悲願のマイヨジョーヌは実質的に遠のいてしまった。

そんなユンボ勢の混乱を尻目に、3連覇を目指す

1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア)

は目覚ましい走りを披露した。

春のクラシックシーズンで予行演習を済ませていたポガチャルは、アシスト不在の中自力でメイン集団前方をキープし、さらに難易度の高いセクター3では

178. ○ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック30ベルギー)

のアタックに追従してメイン集団を飛び立った。

 

 

残り10km地点で逃げグループからポガチャル&ストゥイヴェンまで50秒で、元々のメイングループは1分半遅れワウト&ヴィンゲゴーグループ1分45秒遅れ、そしてログリッチ3分弱遅れ

 

 

 

唯一トラブルに巻き込まれず走ったポーレスたちが逃げ切りを確定させた一方、ワウトヴィンゲゴーは元々のメイン集団に合流し、さらに加速してポガチャル&ストゥイヴェンとの距離を縮めたものの、引き戻すまでには至らなかった。

先頭グループが残り1.2kmで仕掛けたポーレス残り400mで捉え、即座にロングスパートしたボアッソンハーゲンも伸び悩む。勢いよくスプリントしたファンデルホールンの背後で、タイミングを待ち続けたクラークがフィニッシュ直前でわずかに追い抜き勝利した。

 

 

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「正直言って勝つとは思ってなかった。タコから大きく遅れていて、残り数mからフィニッシュライン目掛けて思いっきりハンドルを投げたんだ。写真判定を見るまで全く信じられなかった。なんて日だ。4年にたった1度の石畳ステージで勝つだなんて考えてもいなかった。僕は逃げに乗ってチャンスを掴むためにこのツールにやってきた。そして今日はチームが"さあ行こう"と話した最初の日だったんだ」と、土埃で汚れたジャージ姿でインタビューに答えたクラークにとって、今回が嬉しいキャリア初のツール・ド・フランスステージ優勝に。


 


クベカ・ネクストハッシュのチーム解散によって行き場を失くすも、イスラエルに拾われる形で移籍を決めた35歳が、未だ衰えぬポテンシャルを発揮。2009年にイタリアチームでプロ入りして14年。7回目のツール参戦で初めてステージ優勝を掴み取った。

 

「あらゆることを恐れていたけれど、最終的に自分には何も起こらなかった」と振り返るポガチャルストゥイヴェンと共に51秒遅れの7位でフィニッシュ。ワウト&ヴィンゲゴーが追いついた第3グループは1分04秒遅れでヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)を先頭にフィニッシュ。

ヴィンゲゴーは元いたグループへの復帰には成功したものの、ポガチャルから13秒ビハインドを背負う形に。ファンアールトポガチャルに詰め寄られつつも翌日のマイヨジョーヌ着用権利を守り抜いている。

落車したサガンユアンは大きく遅れつつも無事フィニッシュ。

103. ミヒャエル・ゴグル(アルペシン28オーストリア)

81. ○ジャック・ヘイグ(バーレーン28オーストラリア)

が今大会最初のリタイア者となった。

 

 

 

ステージ5 結果

① 193. サイモン・クラーク(イスラエル35オーストリア) 3:13:35

 

② 127. タコ・ファンデルホールン(ワンティ28オランダ)

③ 182. ○エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(トタル35ノルウェー)+0:02 

④ 147. ○ニールソン・ポーレス(EF25アメリカ) +0:04 

⑤ 146. ○マグナス・コルトニールセン(EF29デンマーク) +0:30

⑥ 178. ○ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック30ベルギー) +0:51

⑦ 1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア)

⑧ 105. ○ヤスパー・フィリプセン(アルペシン24ベルギー)+1:04

⑨ 51. ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ25オランダ)

⑩ 216. ルーカ・モッツァート(B&B24イタリア)

61 11 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア) +2:59

 

 

 

 

マイヨジョーヌ(個人総合成績)

① 16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー) 16:17:22

 

② 147. ○ニールソン・ポーレス(EF25アメリカ) +0:13

③ 182. ○エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(トタル35ノルウェー)+0:14

④ 1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア)    +0:19

⑤ 56. イヴ・ランパールト(クイックステップ31ベルギー)  +0:25

⑥ 171. ○マッズ・ピーダスン(トレック26デンマーク)   +0:36 

⑦ 18. ○ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ25デンマーク) +0:40

⑧ 28. アダム・イェーツ(イネオス29イギリス) +0:48

⑨ 25. トーマス・ピドコック(イネオス22イギリス) +0:49 

⑩ 21. ○ゲラント・トーマス(36イギリス) +0:50 

 

 

 

マイヨヴェール(ポイント賞)

① 16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー) 178pts

② 51. ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ25オランダ) 126pts

③ 181. ペテル・サガン(トタル32スロバキア)      86pts

 

 

マイヨアポワ(山岳賞)

① 146. ○マグナス・コルトニールセン(EF29デンマーク) 11pts

 

② 16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー)   1pts

 

 

マイヨブラン(ヤングライダー賞)

① 1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア) 16:17:41

② 25. トーマス・ピドコック(イネオス22イギリス)  +0:30

③ 105. ○ヤスパー・フィリプセン(アルペシン24ベルギー)+1:22dddddddd

 

 

敢闘賞

76. ○アントニー・ぺレス(コフィディス31フランス)