ツール・ド・フランス2022
7月2日(土)
ステージ2
ロスキレからニューボウまでの202.2km
優勝は、51. ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ25オランダ)
ステージ初優勝。
3日に1度以上は雨が降る(年間降水日数は157日)というデンマークだが、第2ステージを迎えた7月2日(土)は終始快晴の下にあった。
シェラン島北部の海岸線を反時計回りに進み、ステージ後半はデンマークの東部と西部の島を結ぶ全長18kmの「グレート・ベルト橋」を渡る。スタート後60kmを過ぎて4級山岳が3ヶ所用意されている以外はド平坦のスプリンター向けレイアウト。
全チームが横風による集団分裂を警戒していたものの、基本的に常時向かい風となったことで大きな波乱は起きることがなかった。
ロスキレのカテドラル前で行われたスタートセレモニー
マイヨジョーヌの56. イヴ・ランパールト(クイックステップ31ベルギー)
アクチュアルスタートの旗が振られると同時に飛び出したのは、事前に逃げに乗りマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)獲得狙いを公言していた
146. ○マグナス・コルトニールセン(EF29デンマーク)
コルトに続いたのは、2014年のU23世界王者で
121.アレクサンダー・クリストフ(34ノルウェー)
と共に今年アンテルマルシェ入りした
122.スヴェンエリック・ビーストルム(30ノルウェー)
と、B&Bホテルズ KTMの
212. ○シリル・バルト(26フランス)と
217. ○ピエール・ロラン(35フランス)
という3名。
スプリント勝負を目指すメイン集団はすぐイージーモードに切り替えて4名を見送り、こうして今大会最初のエスケープはあっさりと決まった。
逃げグループを形成した4名
122.スヴェンエリック・ビーストルム(ワンティ30ノルウェー)
146. ○マグナス・コルトニールセン(EF29デンマーク)
212. ○シリル・バルト(B&B26フランス)と
217. ○ピエール・ロラン(B&B35フランス)
アシストを担うバルトを除き、ビーストルムとコルト、そしてロランの狙いは共に、「丘」と呼べる低難易度の3連続4級山岳(先頭通過者に1ポイント付与)でポイントを獲り、今大会最初のマイヨアポワ着用者となること。
ロット・スーダルやクイックステップ・アルファヴィニル、バイクエクスチェンジ・ジェイコ、そしてユンボ・ヴィスマ。スプリンターチーム率いるメイン集団は2分というタイトリードを与えてレース状況をコントロールした。
マイヨアポワ争いは1つ目の登坂が始まる遥か前に、ロランのアタックによって幕開けた。
スプリント力に秀でるビーストルムとコルトを出し抜こうとしたこの動きは失敗に終わり、登坂に入ってゴール勝負さながらの牽制からバルトがアタック。
続いて加速したビーストルムに対し、母国ファンの大歓声を受けるコルトは余裕で追い抜き、狙い通り先頭通過で1ポイント確保。
数的優位を活かせなかったB&B勢は二人から遅れ、その後追走するも合流することは叶わなかった。
鈴なりの観客が詰めかけた第2山岳ではサイドバイサイドのスプリントでコルトが先着し、ポイント取り返しを狙うビーストルムを下し、この日のマイヨアポワ獲得に成功した。
「こんな経験は初めてだし、この先も多分無いだろう」とファンの声援に感激するコルトは続く第3山岳も先頭通過し、ガッツポーズで母国ファンと喜びを分かち合う。
「中間スプリントと敢闘賞狙いに切り替えた」というビーストルムは残り75km地点の中間スプリントを争うことなく先頭通過。
その30秒後に迫ったメイン集団ではスプリンター勢による争いの末、
161. ○カレブ・ユアン(ロット27オーストラリア)が
16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー)
らを下し全体の3位通過を果たしている。
翌日以降の山岳賞キープを見据えるコルトを引き離し、ビーストルムは敢闘賞獲得に繋がる独走を開始した。
しかし横風を受けて緊張感を高めるメイン集団は30km以上を残して元U23世界王者を飲み込み、そのままグレート・ベルト橋へ。
落車に引っかかりメカトラブルに見舞われた
141. ○リゴベルト・ウラン(EF35コロンビア)
はこの後長い追走を強いられることになった。
進行方向の斜め左前から7.0m/s前後の風が吹くグレート・ベルト橋。
混沌を極めるレベルでこそなかったものの、集団右側では10名程度が絡む落車が起き、その中にはマイヨジョーヌを着る
56. イヴ・ランパールト(クイックステップ31ベルギー)
の姿も。
幸い怪我はなくすぐに復帰し、橋中間地点のスプロウエ島を過ぎてウランや
98. マイケル・ストーラー(FDJ25オーストラリア)
も合流。
どのチームも仕掛けることなく橋を渡り切ってフュン島に入り、各チームがスプリントに向かう中、残り2.4km地点ではメイン集団を2分する大落車が発生した。
転倒した
58. フロリアン・セネシャル(クイックステップ28フランス)や
22. ダニエル・マルティネス(イネオス26コロンビア)
たちが道を塞ぎ、100名近い選手が足止めを喰らってしまう(ラスト3km以内でのアクシデントのため、救済措置によってタイム差なし扱いに)。
この影響を受けなかった30名〜40名が、クイックステップトレインの主導のままスプリント合戦へとなだれ込んだ。
元デンマーク王者
52. ○カスパー・アスグリーン(クイックステップ27デンマーク)
や復帰したランパールトたちが
51. ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ25オランダ)
のリードアウトトレインを組み上げた。
緩く右に曲がる下り基調の最終局面ではトレック・セガフレードの最終リードアウト役を務める
178. ○ヤスパー・ストゥイヴェン(30ベルギー)が
171. ○マッズ・ピーダスン(26デンマーク)
を発進させたものの、繰り下がりマイヨヴェールを着る
16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー)
が並びかける。
勝負は横並びでもがく2人に絞られたかと思われたが、フィニッシュ直前で急加速したヤコブセンが追い上げ、そしてパス。
リードアウトを崩されながらも自力で活路を見出したヤコブセンが今大会最初のスプリンターバトルを制した。
ステージ2 結果
① 51. ファビオ・ヤコブセン(クイックステップ25オランダ) 4:34:34
② 16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー)
③ 171. ○マッズ・ピーダスン(トレック26デンマーク)
④ 48. ダニー・ファンポッペル(ボーラ28オランダ)
⑤ 105. ○ヤスパー・フィリプセン(アルペシン24ベルギー)
⑥ 181. ペテル・サガン(トタル32スロバキア)
⑦ 214. ジェレミー・ルクロック(B&B27フランス)
⑧ 204. ディラン・フルーネウェーヘン(バイク・エクスチェンジ29オランダ)
⑨ 216. ルーカ・モッツァート(B&B24イタリア)
⑩ 155 ユーゴ・オフステテール(アルケア28フランス)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
① 16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー) 4:49:50
② 56. イヴ・ランパールト(クイックステップ31ベルギー) +0:01
③ 1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア) +0:08
④ 24. フィリッポ・ガンナ(イネオス25イタリア) +0:11
⑤ 171. ○マッズ・ピーダスン(トレック26デンマーク) +0:12
⑥ 101. ○マチュー・ファンデルプール(アルペシン27オランダ) +0:14
⑦ 18. ○ヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ25デンマーク) +0:16
⑧ 11 プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ、スロベニア) +0:17
⑨ 175. ○バウケ・モレマ(トレック35オランダ) +0:18
⑩ 86. ○ディラン・トゥーンス(バーレーン30ベルギー) +0:21
マイヨヴェール(ポイント賞)
① 16. ○ワウト・ファンアールト(ユンボ27ベルギー)
マイヨアポワ(山岳賞)
① 146. ○マグナス・コルトニールセン(EF29デンマーク)
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
① 1. ○タデイ・ポガチャル(UAE23スロベニア)
敢闘賞
122.スヴェンエリック・ビーストルム(ワンティ30ノルウェー)