埼玉県とその周辺の従業者の分布

 

埼玉県の鉄道網の「スキマ」を把握するための第2弾として、ここでは「働きに来ている人=従業者」の分布をみてみます。

下の地図は、2014年経済センサスによる、事業所の従業者の密度(ヘクタール当たり従業者数)の分布を示しています。なお、経済センサスのメッシュのデータは、「5次メッシュ(250mメッシュ)」単位のデータが公表されていないので、「4次メッシュ(500mメッシュ)」単位のデータを用いている分、若干地図も粗くなります。

 

埼玉県の従業者分布(2014年)

従業者数は、「政府統計の総合窓口(e-Stat)_統計GIS」が提供する、「2014年経済センサス」(経済産業省)の4次メッシュ(500mメッシュ)の統計データによる。

地図は、「政府統計の総合窓口(e-Stat)_統計GIS」の「5次メッシュ(250mメッシュ)」の境界データ、および国土数値情報(国土交通省)の行政区域データ、鉄道データより作成。

面積は、各メッシュの緯度に応じた東西方向・南北方向の距離の近似値から算出。

 

 

居住人口と同様に、

  • 東京に近い県南東部
  • 鉄道の沿線

に、従業者数が分布する傾向はみられますが、密度が高い地域の広がりは、大きくなさそうです。

そこで、色塗りを従業者密度30人/ha=3000人/km2以上のメッシュに限定してみます。

 

  • 大宮~浦和、川越、熊谷、春日部、所沢などの主要な鉄道駅の周辺

に密度が高い地域が点在するとともに、東京都足立区から連なる形で、

  • I:川口市の南部から戸田市にかけて

にも、密度が高い市域が広がっています。

 

なお、浦和駅~大宮駅にかけては、密度が高い地域が連なっています。「浦和、大宮、与野、岩槻の旧4市の寄せ集め」的な言われ方をされることの多いさいたま市ですが、実際には(岩槻を除き)市街は一体化しているといえるでしょう。

 

また、県外に目を向ければ、「密度が高い地域」の規模が、東京23区において圧倒的に大きいことも分かります。

 

おそらく前者は、オフィスや商店の多さによるものでしょう。一方後者は、(川口駅周辺などを除き)工業や物流拠点の多さが寄与しているものと思われます。

 

次に、「鉄道駅から離れた従業者密度の高い場所」を抽出するため、駅から近い地域をマスキングした地図を作ってみます。

 

 

  駅から1.5km圏内をマスキングしたとき

 

下の地図は、鉄道駅(※1)から1.5km圏内を薄黄色でマスキングしたときのものです。

 

※1…「路面電車的な路線」および「ケーブルカー、ロープウェイ等の路線」の駅を除外しています。

 

  • D:草加市東部・八潮市北部~西部
  • G:新座市東部
  • I:川口市南平地区、青木・芝地区、戸田市西部
  • J:入間市の武蔵工業団地

といったあたりが、比較的、「鉄道駅から離れた従業者密度の高い場所」といえそうです。

このうちD、I、Gは、人口密度が高い地域も多く、「住む人も働きに来る人も多い」地区といえるでしょう。