我ながら、素晴らしい結婚式だったと思う。




日本庭園のある中庭を見ながらの披露宴。



ガーデン形式も取り入れて、


披露宴の途中で中庭に出て、


みんなで記念写真も撮った。




そのホテルは、皇族が利用するところで、


かなり上等なところだった。


披露宴をすると、


新郎新婦だけじゃなく、


両家の親族が1組ずつ、


宿泊できるサービスがあった。



しかも、披露宴から1年以内なら、


いつでも1泊の利用ができる。





両家の両親とも、その日に宿泊しないで、


「そのうち楽しませてもらうよ。」


と言っていた。





俺と妻も、披露宴のときだと、


2次会とかがあるから、


どうせ寝るだけで終わっちゃうから、


「ゆっくり満喫できないともったいない」



って考えてたので、


結婚記念日に宿泊することにしていた。




だから、結婚式の当日は、


他のホテルを手配しておいた。




結婚式の翌日、


俺と妻は、酒が残りつつ、


少し遅めに、ホテルをチェックアウトした。





その後、俺の実家に寄って、


両親にあいさつをして、


それから帰宅の途についた。





本来なら、そのままハネムーンなんだろうけど、


まとまった休みが取れなかったから、

新婚旅行は、改めて行くことにしていた。





帰宅して、妻の実家へ子どもを迎えに行って、


そのまま、いつもの生活が始まった。



こんなところが、シングルマザーとの結婚らしい…。






翌日から、俺は、また仕事がフル回転になった…。




毎晩、深夜の帰宅…。



朝は、子どもが起きる前に出勤…。




休日出勤は当たり前…。




結婚する前の俺は、


そんな生活が当たり前だったけど、


結婚してからは、

正確に言うと、結婚式を挙げてからは、


そんな生活に疑問を感じるようになっていた…。






そんな俺に、大きな転機が訪れようとしていた…。

披露宴が無事に済んで、


控室にいって衣装から着替えた。





予想どおり、全く食事ができなかったから、


取り分けてもらっていた料理を控室で食べた。



でも、すぐに2次会があるので、

俺と妻は、味わいながら食べられなかったけど…。






2次会の手配は、

すべて会社の後輩や部下がやってくれた。





俺と妻は、家族や親戚にお礼を言って、

2次会の会場へ向かった。



子どもは、妻の家族に預けたから、

夫婦二人だけで、普通の新婚のようになった。




シングルマザーとの結婚といっても、

2次会とかは、家族に子どもを預けることで、

普通の夫婦と同じようになるもんだ。





2次会の会場は、バーを借りきってやった。




友人のスピーチには、冷や冷やしてたけど、

かろうじて暴露話が出なかったので、

まあ、良しとしよう。



他にも、

披露宴で話し足りなかった連中による

危険な話があったけど、

それなりに配慮されたものだったので、

これも良しとしよう。





定番のビンゴゲームがあって、

新郎新婦がなかなか当たらず、

結局、直接、景品をくれてしまって、

ビンゴの意味がなかったような気が…。



当時では、割と高価なDVDプレーヤーを

もらってしまった。



ワインやカクテルがたくさん出されて、

ガバガバ飲まされていた…。



不思議なもので、酔っているのに、

割としっかりしていた気がする。





2次会も無事に終わり、

3次会も用意してくれていた。




3次会は、新郎側と新婦側が、

それぞれ独自でやることになっていた。





新婦側の3次会は、カラオケのようだった。


新郎側の3次会は、カラオケもあるけど、

それがメインでない店だった。


そう、女の子のいる店だ。



つまり、キャバクラだ。





披露宴の3次会にも関わらず、キャバクラかい…。



全て任せていたから文句も言えず、


「妻にばれないだろうか?」


少々、不安を感じつつ、レッツゴー!





出張のたびに行きつけていた店。


指名していた女の子。



しかも、一般席と違うVIP席のゾーンを貸切で。





後輩、部下。


なかなかやるじゃないか!




もはや、妻への後ろめたさは、

完全に忘れ去られていた…。





「最後のキャバクラ遊びになるだろうなぁ」

と思いつつ…。

男だけの3次会は、盛大に盛り上がった。





お気に入りの女の子は、

結婚式の3次会ってことを知らなかったらしく、


「今日、なんかあったの?」


「俺の結婚式でね。その3次会だよ。」


「アハハハッ。」


信じてなかったみたい…。


そりゃそうか。





散々、飲みまくって、みんな酔っ払って、

3次会が終了。






みんなにお礼を言って、お開き。






ホテルの部屋に戻ると、

妻は化粧も落とさず、爆睡していた。



とっくにカラオケから帰ってきていたようだ。




俺は、シャワーを浴びて、すぐに爆睡。





いわゆる新婚初夜というのだろうか、

その初夜は、

お互い爆睡で、そのまま朝を迎えた…。

両家の代表の挨拶では、


親父が、最後に親父が嬉しいことを言ってくれた。



「式場の手配から何から何まで、


 親の力を全く借りないで、

 

 全て自分たちだけでやりました。」



少しは、力を借りれば良かったんだろうか?



でも、お金は一銭も出させなかったし、


全て自分たちでやったことは良かったと思う。




嬉しかったのは、次の言葉だった。




「自慢の息子です。」




生まれて初めて言われた。


マジで涙が出そうになった。



こんなセリフは、これが最初で最後だと思うけど…。





最後に、俺からの挨拶。





「俺と妻と、そして、子どもの三人で…。」



と言ってから、俺は、




「おいで。」



と、壇上に子どもを呼んだ。




そして、子どもを肩まで抱えあげ、


妻を引きよせてから、



「これから、三人で新しい家族になります。」



と、宣言した。





シングルマザーとの結婚ってことは、


全員が知っていることだった。


なのに、子どもが全く関わらないままってのは、


やっぱり不自然に感じていた。




だから、俺は、どうしても披露宴の最後では、

俺と妻と子どもの三人が一緒の姿を


みんなに披露したかった。






会場からは、その日、一番大きい拍手をもらった。






子どもは、小学一年だったし、


小さいほうじゃなかったから、


実は、少し重かったんだけどね…。





その後、新郎新婦と両家の両親が退場した。



そのまま、俺と妻、両家の両親が出口に並んだ。




帰って行くひとりひとりに、


プチギフトのクッキーを手渡しながら見送った。






こうして、俺たちの披露宴、結婚式は、


無事に済んだんだ。

お色直しの再入場のときは、


初めの入場と違って、


スポットライトにも慣れたのか、

みんなの顔をちゃんと見て、


ひとりひとりに挨拶しながら、


各テーブルを回って、

キャンドルサービスをしていった。







予想どおり、なかなか着火しないように、



小細工をしてくれたヤツもいた。






そして、ケーキ入刀。






ケーキの種類は、



まっ白いデコレーションケーキじゃなくて、



黒いガトーショコラにした。





理由は、




もちろん妻がシングルマザーで再婚だから…。






じゃなくって、


俺がガトーショコラを好きだから



っていう単純なものだった。





あと、俺の地元じゃ、



ウェディングケーキにガトーショコラを使った例は、



まだ無いって話で、

俺たちが初めてってことだったから。





つまり、初めてってのに惹かれたわけだ。






余興は、本当にやかましく、とても楽しかった。



男の先輩が、


「あの鐘を鳴らすのはあなた」を歌ってくれて、


笑えたけど上手かった。




後輩や部下の演劇は、


くだらなかったけど、大爆笑だった。



新婦側の友人も定番の歌を合唱してた。







あっという間に、花束贈呈と新婦の手紙。



正直言って、あんまり覚えていない………。




本来、披露宴の一番盛り上がるところだけど、


ほとんど覚えていない…。





妻には悪いけど、覚えていない……。




そのときの俺は、


披露宴の最後に控えている挨拶のことで、


頭がいっぱいだった…。




人前でのプレゼンは、仕事で慣れてるんだけど、


さすがにかなり緊張していたのかも…。



もしかしたら、ろくに食べないで、


やたらと飲まされてたから、


少し酔っぱらっていたのかも…。





いや、やっぱり挨拶のことで、


頭がいっぱいだったんだ。

父親から母親に対し、


養育費を請求した判例や事例を調べたけど、


なかなか見つからなかった…。







俺が養育費を請求する理由は、


子どものために、母親に責任を負わせたいからだけど、


実は、それ以外にもあるんだ。







俺の知る限り、


父親が母親から養育費を貰っているケースは、


ほとんど無い。






だから、俺が、数少ない一つのケースになって、


それが当たり前にしたかったんだ。







男だろうが、女だろうが、性別なんか関係ない。







子どもを養育していない親は、


経済的な負担をすることが、当たり前にしたい。







そして、父親も母親に対し、


養育費を請求することが、当たり前にしたい。






今は経済的に困窮していないけど、


このご時勢だから、いつ困窮するか分からない。






だから、俺は、子どもの母親に


養育費を請求するって決めたんだ。







でも、なかなか判例が見つからない…。






もしかして、俺は、難しい戦いをしているんだろうか?






しかも、一度は、「養育費なんかいらない」ってことで、


和解しているから、より一層、難しい戦いなのかもしれない…。






それでも、俺は、この戦いに勝たなきゃならない。






いよいよ、審判が始まる。