シングルンマザーだった妻と結婚式が終わったころ、


ある日、会社を辞めた元部下から、


転職の誘い話がきた。




それまでの俺は、順調に出世していて、


給料もそれなりにもらっていた。



会社の幹部として、


会社の運営に大きく関与できるほどになっていた。


ある種、地位と名誉とお金には、


それほど困っていなかった。


というよりか、


むしろ、かなり高いステータスがあった方だと思う。






それでも、新婚生活は、


なかなか充実しているとは言えなかった…。





毎晩、深夜の帰宅…。


宿泊を伴う出張の繰り返し…。




平日は、子どもとの時間を全く取れなかった……。


休日も、出張や会議があって、


たまにしか子どもと遊んでやれなかった…。


夫婦生活も、なかなか営むことができなかった…。




そんな状態だから、


俺は、仕事だけの生活に疑問を感じ始めていた。






そんなタイミングでの話だったから、


その転職話には、とても興味があった。





とりあえず話だけでも聞こうと思い、


その会社に行ってみた。





すると、給与は保障されるというより、


むしろアップするとのことだった。




家族との時間も、


休日はしっかり休んでもらいたいし、

もし休日出勤があるとしたら、


必ず代休を取ってもらうとか、


毎晩終電ってことは起こりえないし、


子どもが起きている時間には、


帰ってもらいたいってことで、


家族との意時間は、


十分に取れるってことだった。





その会社では、


俺の仕事ぶりを、


元部下などから聞いたりとか、


独自に調査していたようだった。


それを評価して、


この転職話を持ちかけてくれたって話だった。




いわゆるヘッドハンティングってやつだ。





どう考えても、確かにおいしい話だ。





そもそも、それまでの会社が


尋常じゃないだけって話のようだ…。








俺は、妻と何度も相談を重ねて、


その転職の話に乗ることにした。






俺は、希望する給与や条件などを、


先方へ提示した。





後日、先方から回答があった。






俺の提示した条件は、その全てを快諾され、


俺の転職話は決まった。

子どもの母親が来るか不安だったけど、


相手方は、ちゃんと来ていたようだ。






やっぱり調停に附されたから、


相手方とは全く顔を合わさなかった。






どうやら相手方も、弁護士を立てないで、


一人で臨んできたようだ。







裁判は、俺の話を聞くことから始まった。






俺は、用意してきた裁判書類を提出した。






審判官は、女性だった。




その審判官は、裁判書類をその場で目を通してくれた。





提出した裁判書類に記載してあるけど、


改めて、それを簡潔に口頭で伝えた。






予想どおり、



以前、養育費を貰わないことで和解したことを、


審判官が指摘してきた。





俺は、予定通りの答弁をした。




条件の変化。


環境の変化。



養育しない側の親の義務を果たすべき。



子どものためにも、


せめて、そういう母親であってほしい。





それでも、10分も掛からない程度で、


俺の番は終わった。







次は、子どもの母親の番だ。






俺は、待合室で待っていた。







相手方が、何を話していたのか分からないけど、


1時間20分も経って、ようやく終わった……。





1時間20分、裁判所の待合室という


密閉区間に居ることは、


かなりの苦痛だった……。





もちろん、その間に、


さっきの答弁を思い返して、


補足すべきことを考えていた。







もう一度、俺が話す番が来たから、


待合室で考えた補足を、


審判官に伝えた。






気のせいかもしれないけど、


始めに話した時よりも、


その審判官の印象が、


何となく良かったように感じた。





もしかしたら、


相手方に、1時間20分も話を聞かされて、


ほとほと嫌気がさしていたのかも…。







結局、養育費請求の審判期日は、


今回で終了になった。






おそらく、形式的に調停に附したけど、


全くまとまらなかったから、


審判にしたのだろう。




これは、予想どおりだ。







あとは、審判が下されることを待つだけだ。






たぶん、年度末で人事異動があるだろうから、


今年度中には、審判が出ると思う。






吉報を待ちたい。

これから養育費請求の審判があるので、


いざ、裁判所へ!






果たして、子どもの母親は来るんだろうか?






相手方は、弁護士を立てるんだろうか?








裁判書類は、全部持った。



補足の資料も揃えて入れた。



三文判も持った。







さあ、裁判だ!

結婚する前のことだけど、


妻の行動で気になっていたことがあった。





彼女の部屋に、男物の整髪料が置いてあった…。



「なにこれ?」


「私が使ってるの」




どう考えても、


どう思い返しても、


スーパーハードのジェルを使った


彼女のヘヤースタイルを、

俺は一度も見たことがない…。




「アウトー!」

でしょ。





あたりまえだけど、


俺は、彼女に何度かプレゼントをあげていた。


誕生日

クリスマス


ホワイトデー


などのたびに、プレゼントしていた。



指輪

ネックレス


ブレスレット


などなど…。



何度か身につけているところを見たけども、


いつの間にか、つけていない…。




「あれ?この前の指輪、どうしたの?」


「無くしちゃった。」




結局、俺があげたプレゼント、


貴金属はすべて無くしていた……。






彼女は、ゲームが好きだった。


ゲーマーというほどじゃないけど、好きだった。



「カラーのゲームボーイがほしい」

「ワンダースワンがほしい」


「プレステ2がほしい」




彼女の子どもが欲しがってるんじゃなくって、


彼女自身が欲しがっていた…。


彼女の子どもも遊ぶだろうと思って、


俺は、プレゼントしてあげていた。



でも、彼女は、


子どもが楽しめるようなソフトを買ってなかった…。





彼女と結婚して、


子どもと同じ名前の主人公のソフトがあったから、

俺は、初めてゲームのソフトを買ってみた。




難しい……。


でも、慣れると、


なるほど、確かに面白いかもしれない。




それ以後、


俺は、たまにゲームをやることもあったけど、


どう考えても、


やっぱり、子どもと一緒に外で遊ぶ方が楽しい。





そうそう、妻は、婚約指輪も無くしたようだ……。



ズボラにも程があるでしょ。


もしかして、ぜんぶ売ってたとか?



でも、ゲームは売ってなかったようだ。






やっぱり、疑惑だらけのシングルマザーだな……。

養育費の審判に向けて、


裁判書類の作成が終わった。






養育費を請求するに至った理由




和解したときからの環境の変化




現在の収入状況




これまでの経緯







裁判書類の作成は、


これまでの経験があるから、


それほど苦にならなかった。






弁護士をたてないから、


陳述書というのではなく、


準備書面というものを作成した。







こんなものを作り慣れてしまった俺って…。






それでも、勝つためには必要なことだ。






養育費請求を実現するには、


まだまだ乗り越えなくちゃならない壁がある。







少なくとも、本来であれば、


相手方の住所地にある裁判所で裁判をするはずで、


しかも、調停から始めるはずだったところが、


俺の住所地にある裁判所での裁判であって、


なおかつ審判から始められたことは大きいと思う。







やっぱり、知っていると知らないじゃ、大きな違いがある。




インターネットで調べるだけじゃ、限界もある。






たぶん、審判手続とは言いながらも、


形式的には、調停に附されることになると思う。






でも、そんなことは大したことじゃない。




俺の地元で裁判をすることが重要なんだから。




俺が、相手方の住所地の裁判所まで、


わざわざ行かないで済むわけだから。






一方で、子どもの母親は、


わざわざ俺の地元まで来なくちゃならない。






調停に附されても、


おそらく話し合いでは解決しないだろうから、


そのまま審判手続に移行されるだろう。






もしかしたら、1回きりのチャンスかもしれない。







だから、裁判書類の作成には、


十分に時間をかけたんだ。







準備書面……OK。



書証……OK。



証拠説明書……OK。






あとは、この裁判書類を当日に提出するだけだ。





事前に提出することができなかったけど、


それほど量が多くないから、


たぶん大丈夫だろう。






さあ、いよいよ明後日だ。