特許翻訳 A to Z

特許翻訳歴25年、業界改善を目指した情報発信歴22年。
自らの試行錯誤に加え、参加者数のべ1000名を超えるセミナーや講座、年間50名前後の個別相談などを通して得たスキルアップのヒントをお届けします。


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語学学習や翻訳の際に、特定の語が何を示すのか確認する目的で、Google画像検索を使う人は多いと思います。
私自身も、時々利用しています。
ところが・・・

ここ1~2年ほどで、精度が極端に落ちてきているのを痛感するようになりました。

精度が落ちているというのは、語弊があるかもしれませんね。
語学学習者や翻訳者にとっては、工夫が必要になっているというほうが、正しいかもしれません。


具体的には、次のような現象が頻発しています。
画像検索してヒットした画像を含む(もとの)ウェブページに、

 ・検索対象の語が1つも含まれていない

 

 ・検索対象の語に1:1で対応すると思われる、中国語や韓国語など外国語の単語のみ含まれる

 

 ・検索対象の語は含まれていないが、意味的に近いと思われる別の語が多く含まれる

 ・検索対象の語がスペルミスで、正しいスペルだと自動予測されたと思われる語が含まれる


などの現象が発生します。
ときには、画像検索した結果を順に確認しても、検索語を含むページに全く出会えないことも。

以前、Googleの検索結果には、実在しないコンテンツや機械翻訳による用語が相当数で混じっていることを、実例とともに示しました。

【参考】

 ・Googleの検索結果と「実在しない」コンテンツ

 

 ・続・Googleの検索結果と「実在しない」コンテンツ

 

 ・Google検索結果に混入する、膨大な「自動英訳」データ

 

加えて、最近はGoogle翻訳も、原文のスペルミスがあった場合に正しい語を「予測して」翻訳結果が出力されます。
おそらく画像検索の問題は、こうした機能が充実していったことの裏返しでしょう。

とにかく、検索したキーワード「そのものだけを」ヒットさせることが、難しくなってきています。

通常のウェブ検索でも、検索語ではなく類語だけを含むコンテンツがヒットすることが増えましたが、それでもこちらは文章を読めば気づくでしょう。

ところが画像検索は、もとのページを確認しないことのほうが多く、実は「違うもの」が混在していても気づきにくい。

画像検索を使う場合、「おおざっぱに」イメージをつかめれば良いときは別にして、何かの細かい違いを知りたいときなどは、検索結果を眺めて終わり・・・というわけにはいかなくなりそうです。

キーワードのほうを工夫するか、あるいは個々にコンテンツを確認するか、何らかの対処が必要な時代になってきたのかもしれませんね。

 

 


 

 


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つい数日前、9月5日にロッテが「記憶力を維持するガム」という商品をリリースしました。

新聞に大きく広告が載っていましたから、ご覧になった方も多いでしょう。

 

 

これは、イチョウ葉フラボノイド配糖体とイチョウ葉テルペンラクトンを含む製品

なかなか思い切った商品を出してきたものだと思って広告を読みました。

 

すると・・・
本日の健康産業新聞には、まったく別会社、別食品で

  【健康産業新聞】プラズマローゲンで「学習記憶能力増強剤」特許取得、丸大食品

というヘッドラインが。

 

こちらは、特開2016-210696(発明の名称:学習記憶能力増強剤)に対応するもので、九州大学と丸大食品の共願です。
成分は、プラズマローゲン。

土曜日で審査経過を取得できていないので、請求項をどの程度補正しているのかいないのかは、現時点では未確認です。

ただ、2015年の4月に出願され、わずか2年半で特許査定になっていますから、特許庁とそれほど多くのやり取りはなされていないと思います。
おまけに、出願時の請求項1は、わずか1行。
 

  プラズマローゲンを含む、学習記憶能力増強剤。

これだけです。

請求項2で「生体組織から抽出されたプラズマローゲン」に限定し、請求項3では、生体組織が「鳥組織」であるとしています。

私はよく、こういった報道記事をきっかけに自分の英訳を考えます。

「鳥」をいかに英訳するか、「学習記憶能力」をいかに英訳するか、といった感じです。


鳥だからbirdでしょ、なんていう単純な話でよいかどうかは、わかりませんし。
たとえ問題ないとしても、他に「鳥」を表す周辺語は何があるかと考えてみたり。
すぐに思いつくのはavianですね。

あるいは、birdと一緒に使われる動詞を考えてみるとか。
「鳥」といえば、「飛ぶ」「羽ばたく」「(枝などに)止まる」「鳴く」「(エサを)つつく」などがありますね。
これを英語にしたら?

a bird flies、a bird flaps its wings、a bird perches・・・・・

いくらでも遊べますね(笑)。
 


余談ですが、プラズマローゲンについては、食品化学新聞社の『Food Stype 21』という雑誌の本年6月号で機能性食品の特集が組まれたときに、3記事まとめて出ています。
そのうち1本は、丸大食品の「鶏由来プラズマローゲンの機能性について」。

残りは、三生医薬の「ホヤ由来プラズマローゲンの開発」と、ピーアンドエスの「高純度ホタテ由来プラズマローゲンの開発と機能性 」です。
丸大食品の記事では、アルツハイマーとの関連性が示されています。

 


調べてみたところ、他にも昨年秋に『食品と開発』という学術誌に、「認知・ストレス・睡眠改善機能をもつ食品開発  食品素材としてのプラズマローゲンの開発」という記事が出ていました。

著者は、上記の特許出願の発明者のうちの一人です。
これはこれで、読めば英語を考える題材はいくらでも転がっているだろうと思います。

現代は本当に便利な時代になりましたね。
ひとつの記事をきっかけに、好きなだけ資料を増やしていくくことができるのですから。


 


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遺伝の法則の「優性」「劣性」は使いません――。誤解や偏見につながりかねなかったり、分かりにくかったりする用語を、日本遺伝学会が改訂した。用語集としてまとめ、今月中旬、一般向けに発売する。

 

上記は、本日9月7日付け朝日新聞(東京版)朝刊34面に掲載された記事の冒頭です。

デジタル版でも、全文を読むことができます。
(→「優性」「劣性」遺伝、使いません 学会が用語改訂:朝日新聞デジタル)

 

記事には、「優性」「劣性」が「顕性」「潜性」と言い換えられる理由が説明されています。

「変異」が「多様性」、「色覚異常」「色盲」が「色覚多様性」になるなど、他にも変更があるようです。

 

 


何年か前にも、日本遺伝学会が頻出用語を大きく変更して、結果的に市販の辞書に訳語のばらつきが生じたことがありました。

 

今回は、教科書の用語も変更するよう、学会が文科省に要望を出すとのこと。

 

こうなると、専門辞書も紙版は改訂を強いられることになる可能性がありますが、インターネット上には、古い(?)表現が山のように残っています。

学会が用語を変更し、教科書にも反映させたからといって、そう簡単に世の中が塗り替えられるとは思えません。


検索エンジン、論文データベース、書籍・雑誌の記事検索、新聞検索・・・・・

変更の事実すら知らないまま、デジタル手段での検索によって翻訳文に古い表現を使う人も絶対に出てくるでしょう。
それ以前の問題として、学会と教科書で使う言葉が変更になるとして、翻訳文にそれをどこまでどう反映させる必要があるのかないのか・・・・。

「翻訳者として」考えなければならないことは、山積みです。

この用語変更が今後どうなっていくのか、目を離せませんね。

 

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