次の【事例】を読み、下記の【設問】に答えなさい。解答用紙は、表面(30行)のみを使用すること。
【事例】
午後4時30分ころ、NYのワッペンの付いた紺色の野球帽を被った中年の男Xが、駅前の通りを帰宅中の女子高生Yにナイフを突きつけて「そのスマホをよこせ。さもないと痛い目にあうぞ。」〔X供述〕と脅迫し、同女のパンダのぬいぐるみの飾りが付いたスマートフォンを交付させ、これを奪って逃走した。その犯行を目撃したAが携帯電話で「ヤンキースの野球帽の男が強盗をして逃げている。」と110番通報した。Yの後方を歩いていた男子高校生Zは、Yから「ムカつく。犯人捕まえて。パンダのスマホは、超大事。」と依頼を受けて逃走中のXを上記の犯行現場より800m追跡したが、Xが駅前の商店街の雑踏に入り込み、一瞬その姿を見失った。午後4時50分ころ、丁度その場所にAの通報で駅前交番から駆け付けた警察官B及びCは、通行人の中に、ニューヨーク・ヤンキースの野球帽を被り年齢50歳前後と思われる男を発見したところ、そこに駆けつけたZが「この男が犯人に間違いない。」と確認したので、Xの手からナイフを奪い取ったうえで同人を現行犯として〔逮捕〕した。
Xは、駅前交番に連行され、同署において携帯していたリュックサックの捜索を受け、その中から発見されたスマートフォンについて、同女交番に呼ばれたYが「パンダが付いている。私のスマホだわ。」と述べた。これらの逮捕手続について、〔現行犯人逮捕手続書〕がBによって作成され、そこには〔X供述〕の内容もYから録取され、記載された。同手続書には、Bの署名押印があるが、Yの署名押印は欠けている。
【設問】
問1.誰が逮捕者であるかを明示したうえで、〔逮捕〕の適否について論じなさい。
問2.Xの弁護士は、後半において〔現行犯人逮捕手続書〕に記載されている〔X供述〕を本件恐喝罪の証拠として用いることが方的に許されるか。
次の【事例】を読み、下記の【設問】に答えなさい。解答用紙は、表面(30行)のみを使用すること。
【事例】
ある時、甲は乗用車を運転中よそ見をしていて乙をはね、幾分出血させたほか、右脚を骨折させてしまった。はねた直後、何人もの人たちが集まって来て、「早く病院に運ばないと・・・」などと話したが、甲は、「もちろん私がすぐ運びます。」と言って、乙を自動車に乗せ、病院を目指して運転し始めた。しかし、甲は、その直後、民事・刑事の責任を問われるのを恐れて、ひと気のないところに至るや、「あっ、少しガソリンが漏れている。火災になりそうで危ないから、一時降りて下さい。すみません。」などと嘘を言って、乙を抱えて道端に下ろして、車を運転して一目散に逃走した。ただ、その後10分ほどしてから、甲は、乙のことが多少気になったので、責任は問われないように用心し目撃者を装って119番通報だけはしておいた。そこで、間もなく救急車が駆け付け、乙は病院に搬送され、手術・治療を受けた。なお、甲が途中で搬送を放棄したため乙の病院到着が10分余り遅れたが、そのことによる乙の心身状態への悪影響の有無ははっきりしなかった。
後日、乙は買い物の途中、見覚えのある甲を発見し、はねた責任や損害賠償責任を追及して口論となり、甲が責任を一切否定するので、強い口調で抗議した。これに対して、甲は、乙を振り切って逃げようと考え、乙の顔面を強く殴りつけたところ、乙も、甲が更に殴りつける気配を示したので、こうの顔面を殴り返したが、甲は更に乙の顔面を蹴り飛ばした(甲は全治1週間程度の顔面打撲、乙は全治2週間程度の口唇裂創の各怪我を負った。)。
また、現場を通りかかった甲の友人丙は、軽率にも、甲が乙から一方的に因縁を付けられ攻撃されているものと思い込み、甲を守ってやるつもりで乙の足を蹴飛ばしたところ、
乙はよろめいた拍子に転倒し、運悪く頭をアスファルト舗装道路上に強くぶつけ、これにより全治2か月程度の頭蓋骨亀裂骨折の怪我をしてしまった。
【設問】
甲、乙及び丙の罪責を論じなさい(特別法違反の関係は除く)。
次の【事例】を読み、下記の【設問】に答えなさい。なお、必要に応じて【資料】に掲載されている条文を参照しなさい。解答用紙は、表面(30行)のみを使用すること。
【事例】
A県の県立高校2年のXは、時事問題をめぐり、社会科の教師に暴言を吐き、これを諌めた校長に対しては暴力行為に及び、加えて、無免許運転でバイク事故を起こしたことが発覚したため、退学処分を受けた。退学処分を受けたのは平成22年3月31日である。Xは平成22年7月1日に、この退学処分を争うべく訴訟を提起した。当該訴訟の係属中に、同じ年に入学した同級生は卒業した。その後、X自身も高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)に合格した後、名門私立大学の法学部に合格し、平成24年8月現在同大学に在学中である。Xとしては、高校に復学したいとは全く思わないが、履歴書に「退学処分」とのるのは絶対にいやだと思っている。なお、現在も当該訴訟は係属中である。
【設問】
問1.Xが提起した訴訟としては、いかなる訴訟か。最も適切と考えられる訴訟形式の名称を答えなさい(行政事件訴訟法に明文で定められている抗告訴訟に限る。)。なお、本問において根拠条文を示す必要はない。
問2.上記設問1の訴訟は訴訟要件をみたしているか。現時点で最も問題となることが予測される訴訟要件を指摘した上で、根拠条文を示しつつ、検討しなさい。
問3.仮に退学処分を受けた1か月後にXが抗告訴訟を提起するとした場合、Xが仮の救済を求めるとすればいかなる手段によるべきか。根拠条文を条項まで示しなさい。
【資料】
行政事件訴訟法(抜粋)
3条・7条・9条・14条1項・25条・36条・37条・37条の5
次の【事例】を読み、下記の【設問】に答えなさい。
【事例】
製薬会社Yは、ある水溶液を生活習慣病の予防薬品として販売することに決め、商品表示、店の入口の宣伝、新聞広告および有償出版物を通じて、「食事制限や運動を一切しなくても飲むだけで高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病にならない魔法の水」であるとさかんに宣伝した。後に、消費者Xは、この製品をボトルに記載された用法どおり飲んでいたのに糖尿病から合併症を発症し健康を害されたとして、損害賠償とともに、当該製品に関する一切の宣伝の差止めを求めて裁判を起こした。
【設問】
この【事例】に含まれる憲法上の問題点を検討しなさい。
【参考】
日本国憲法(抜粋)
13条・19条・21条・22条1項・25条1項
<答案作成上の注意>
参考としてあげたすべての条文に言及することが求められているわけではない。
次の【事例】を読み、下記の【設問】に答えなさい。
【事例】
X社は、譲渡制限株式のみを発行している株式会社である。x社の株主はA・B・C・D・Eの5名で、発行済株式10,000株のうち2,000株ずつを保有していた。
X社では、A・B・Cが取締役に就任して取締役会を構成しており、そのうちAが代表取締役社長に、Bが代表権のない副社長に就任していた。
平成19年に操業して以来、
X社の業績は順調に伸びてきたが、次第に経営方針をめぐってAとBとの間で対立が生ずるようになった。そこで、Aは、自らが100%出資しているY株式会社(以下、「Y社」という。)にX社の株式を大量に発行することで、Bの勢力を削ぎ、X社に対する事実上の支配権を獲得しようと考え、この計画をC・D・Eに打ち明けた。
C・D・Eの賛同が得られたが、株主総会を開催した方が良いというCの提案を受けて、Aは、株主総会を開催することとした。その際、Bに反論の機会を与えたくないという思いから、Aは、取締役会の承認を得ないまま、平成24年6月18日に、株主に対して同月22日に株主総会を開催する旨を書面で通知した。しかも、この通知には、議題として「取締役選任の件」とだけ記載された。
平成24年6月22日に、株主全員が出席して会議の開催に同意し、予定通り株主総会が開かれた。Aが議題を説明した後、取締役全員を再選する旨の議案が全員一致で可決されたので、Bが帰ろうとしていると、突然Aが、Y社に対する第三者割当増資について承認を求めたいと言い出した。Bは、招集通知には増資に関する議題が記載されていないことを理由にこれを拒もうとしたが、Aは、それを聞き入れずに、3名の公認会計士に鑑定を求めた結果、いずれもX社の株価は10,000円とするのが妥当との回答を得たので、それを発行価額として合計10,000株をY社に発行する旨の説明を行った。
BはAの提案に強く反対したが、採決が強行され、株主であるA・C・D・Eの賛成により、Y社に対する第三者割当増資は可決された。これを受けて、翌6月23日に、Y社による払込みが行われ、7月1日に増資の登記が完了した。そこで、平成24年7月10日、Bは弁護士を訪ね、本件新株発行の効力を争う方法を相談した。
【設問】
あなたがBから相談を受けた弁護士だったとして、
本件新株発行の効力を争う方法及びその効力について検討しなさい。