しばりやトーマスの斜陽産業・続 -98ページ目

分断をなくそうとする映画により分断を煽る人たち『グリーンブック』

※この記事は前ブログの過去記事(2019年03月20日)の再録です



『ROMA/ローマ』『ボヘミアン・ラプソディ』『女王陛下のお気に入り』と候補作が並んだ第91回アカデミー賞作品賞は『グリーンブック』が受賞した。ジャマイカ系黒人のジャズピアニスト、ドクター・シャーリーとイタリア系用心棒のトニー・ヴァレロンガの長年に渡る友情物語だ。

 1962年のアメリカ、ニューヨークのナイトクラブ、コパカバーナ(デヴィ夫人がいたことでおなじみの同名クラブは赤坂)の“口も腕も立つ”用心棒、トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は店が改装工事のため休業になる間、ジャズ・ピアニストのドクター・シャーリーがアメリカ中西部を周るディープ・サウスツアーの運転手兼用心棒の仕事を任される。

「一つ聞くが、君は黒人に差別はないかね?」
「そんなまさか。ハハハ」

 といいながらトニーは黒人大嫌い野郎で、家の水道を修理するために来た黒人の修理屋に奥さんが水をあげたら、そのコップをゴミ箱に捨ててしまうような人だった。「黒人の運転手なんかできっか!」と仕事を断ろうとするも、休業中の収入がなくなってしまうので、金のために仕事を引き受けることに。トニーは黒人が利用できる店や宿泊所の場所を紹介したガイド“グリーンブック”を渡され旅に出る。


 シャーリーはカーネギー・ホールの二階に住んでいる(!)ような上流階級の黒人で、家には執事がおり、車に乗る時はひざ掛けを載せる。片やトニーはがさつにもほどがあるイタリア系で、ゴミを平気で車の外に放り出す。
 ケンタッキーについたトニーは「あっ!フライドチキンの店だ!」と寄り道してパーティバーレルを抱えて運転中にわしづかみで食い散らかす。「あんたも食えよ!」と後部座席のシャーリーに押し付けると「ナイフとフォークは?」「ねえよ!こんなもん手づかみで食えよ!」なんとシャーリーはフライドチキンを食べたことがなかった。「黒人なのにフライドチキン食わねえの?ソウル・フードだろ!」「偏見をどうもありがとう」

 がさつな下町育ちの白人トニーと上流暮らしの黒人シャーリーはいがみ合いながら珍道中を続ける。最初は気取った黒人だとシャーリーを見ていたトニーだが、ツアーの最中に黒人差別を目の当たりにする。自分だって黒人を蔑視していたのだが、露骨な差別に対してトニーの怒りがさく裂する。高級ピアノのスタインウェイを必ず用意する、という契約なのにツアー先ではボロボロなうえにゴミ塗れの安物ピアノが置かれていて、「黒人なんか弾けりゃなんでもいいんだろ」というスタッフを引きずり回して鉄拳制裁。仕立て屋でスーツを試着しようとすると「黒人のお客様は買い取ってもらわないと」トニーは憤慨するがシャーリーはそんな目に遭っても不満そうにはするが、トニーのように怒り狂わず、身を引く。なんとツアー先の会場でも屋内のトイレを使うことが許されず、庭にある簡易トイレを使わされる。トニーにはシャーリーがなぜ切れないのか理解できない。やがてシャーリーがディープ・サウスツアーを計画した本当の理由を知ったトニーは…


 差別の実態を知った被差別側の人間が差別されている側を救おうとする、典型的な白人の救世主モノとして本作は蔑視されている面がある。『グリーンブック』の監督、ピーター・ファレリーは弟のボビーと組んでジム・キャリーのMr.ダマーシリーズや『メリーに首ったけ』で知られるコメディ専門監督だけど、結合双生児の可能性について語った『ふたりにクギづけ』、催眠術で心のキレイな人が美人に見えるようになったジャック・ブラックが巨漢デブの女性に「なんて綺麗な人なんだ!」と恋をする『愛しのローズマリー』、アーミッシュ(科学を否定して自然のままに暮らす人たち)をテーマにした『キングピン/ストライクへの道』、健常者が友人の手術台のために知的障碍者のフリをして障碍者オリンピックに出場しようとする『リンガー!替え玉☆選手権』など、ステレオタイプな視点に異を唱える、差別的な視点と戦う映画を作り続けてきた人間だ。

『リンガー!~』では知的障碍者のフリをすることに苦悩する主人公だが、ライバルになる障碍者のチャンピオンは世間では「障碍というハンデを背負いながらオリンピックで活躍する立派な人物」とされながら本当は傲慢で嫌なやつなのだ。「障碍者にだって嫌なやつはいる」というごく当たり前の視点で、障碍者をやたらと聖なる存在にして持ち上げようとする輩に「それは逆差別ではないか?」と突きつけるのがぴたー・ファレリーだ。
 そんな彼に安易な白人の救世主映画だとか、ノミネートされながら受賞を逃したスパイク・リーこそオスカーに相応しいだのと文句をつけるのはおかしいのでは?分断をなくそうとする作品により分断を迫るような発言をして煽ってる人たちって…それじゃ差別はなくならないよ!そういう人たち向けのガイドブックが必要だな。

 

 

 

 

 

 

ワタナベトホホ

 元欅坂46のメンバー 今泉佑唯とユーチューバーのワタナベマホトが結婚。

 

 

 

>元欅坂46の女優今泉佑唯(22)と、人気YouTuberでラッパーのワタナベマホト(28)が近く結婚することが21日、明らかになった。 

 

 

こいつがラッパーだったのは初めて知ったんだが・・・

 

> 「どんな時も優しく包み込んでくれる彼とこの先もずっと一緒にいたいと、心からそう思いました」と説明した。「現在おなかの中にいとおしい命を授かっており、出産は暖かい時期を予定しております」と伝えた。

 

 というコメントは鼻で笑っちゃうね。なぜならマホトって過去にDV騒動起こしてるやん。

 

 

 

 当時交際していると言われた元アイドルに暴力をふるったとされる一件で、これが元アイドルでユーチューバーの京佳だとされたものの、DVされたのは別人という話。しかし京佳はこの結婚報道に意味深なツイートを投下するのだった。

 

 

 

 露骨やなあw

 そしてこの京佳の意味深なツイートは現実になるのでした。

 

 

 

 過去にマホトと交際していたという未成年女性が口にするのも憚るわいせつ行為を強要されたという告発がネットでなされ、マホトはそれらを概ね認めたというもの。これを受け所属事務所はマホトとの契約を解除。今泉佑唯は結婚報道から24時間もしないうちに幸せの絶頂から地獄の底へ突き落されるのでした。

 これで思い出すのが元AKBの女優川栄李奈が舞台『刀剣乱舞』などに出ている俳優、廣瀬智紀とデキ婚した際、廣瀬と数年付き合い結婚まで考えていた女性がいたことが暴露され、川栄が「略奪愛」だとか言われた騒動だ。

 

 タチの悪さは廣瀬以上ともされるマホトだが、元AKBとか元欅坂とか、男運無さすぎでしょ。しかし川栄ですら素知らぬふりして子供産んで暮らしているので、今泉も気にしないでマホトと幸せ(?)な結婚生活を歩むのでしょう。ユーチューバーとか、ロクなのいないね!!

 

美女二人と二回!まだ弾は残ってるぜ!『運び屋』

※この記事は前ブログ(2019年03月17日)からの再録です



 80代でメキシコ最大の麻薬カルテル、シナロア・カルテルの運び屋をしていたというレオ・シャープの話を元にした映画。監督は生きている伝説クリント・イーストウッド。主演も同時に努めたのは『グラン・トリノ』(2008)以来。
 撮影時87歳だったイーストウッドの運び屋って!むしろあなたが運ばれる方じゃないの!?色んな意味で!

 90歳のアール・ストーン(イーストウッド)は特別な品種デイリリーを栽培する園芸家で彼のデイリリーは素晴らしく、数々の品評会で表彰される腕前。ある会場で妙齢のおば様方が歓談しているところに近づいて「お嬢さん方、来るところを間違えてるよ。美人コンテストは二階です」とお世辞をヌケヌケと言っちゃう紳士なのでどこに言っても大人気だ。
 しかし家庭のことは放り出している。品評会で受賞したこの日は娘アイリスの結婚式だが、当然式場に姿はない。入学式にも卒業式にも来ないアールのことをアイリスは父親だと思っていない。なにしろ妻メアリーとの結婚記念日すら忘れている人だから。仕事はできるが家庭を顧みない男なのだ。

 インターネット時代の到来とともにアールの園芸は廃業する。百合の種子をネットで買えるようになり、収入が激減したのだ。住むところを失ったアールは実家に戻るが、その日は孫娘ジニーの誕生日でパーティーが行われていた(当然孫の誕生日など知る由もない)。妻、娘と鉢合わせになり、アイリスと激しい口論になったアールはバツが悪そうにその場を去る。
 娘アイリス役は実の娘アリソン・イーストウッドが演じており、父親との「家庭をほっぽり出して、外面ばっかりいいくせに!あんたなんか父親じゃない」とケンカになる様子は本気にしか見えない。イーストウッドは俳優、映画監督としては神格化されているけど、私生活は無茶苦茶で二度の結婚をし、5人の女性との間に7人の子供がいる(計算が合わない)が、アリソンが3歳の時にイーストウッドは家を出て行っている。その割には何度も親子で共演しているのだが。

 パーティーの出席者だったジニーの友人というメキシコ人から「やることがないのならある仕事を引きうけてほしい」と誘われる。仕事もなく金も欲しいアールは翌日、指定された場所に向かう。そこで紹介された仕事はトラックに乗ってある場所に行き、そこで荷物を載せてある場所に運ぶ。車を置いたらそばにある店で休憩、時間が経ったら車に戻れ、キーボックスに報酬を入れておく、それだけの仕事だった。アールは言われるがままに仕事をし、大金を手にする。絶対に荷物の中身を見るな、と言われたが誘惑に負けて中身を見てしまう。それは大量のコカインだった。
 それはメキシコ最大の麻薬カルテルの品物だった。アールは報酬と危険なことをしているというスリルの誘惑に負けて運び屋の仕事を続けてしまう。その報酬でアールはジニーの誕生日を祝い、退役軍人の会を再生させる。それは仕事にかまけて家庭をないがしろにしてきたアールの罪滅ぼしだった。そんな彼を見て妻や娘は見直すようになってゆく。

 これって実在の運び屋の話だと言ってるけど、ほとんどイーストウッドのことじゃねえか!

 

「伝説の役者、監督扱いされてたけど家庭のことは放り出してあっちこっちで女と遊んで、子供作ってました。でも今は反省してるので許してね♡」

 

 と言いつつも現役ぶりを見せつけるのが休憩のため泊まったモーテルでコールガール二人としけこむところ。90歳の老人だよ!?朝チュンで二人が部屋から出てくるの、朝までかい!しかも二人と!さらに同じシーンがもう一回ある!二人と二回!!さすが元ダーティハリー、弾はまだ残っていた!!

 重い予告編とは違ってお茶目な老人の現役ぶりを見る映画だったとは。ちなみにトラックを運転する場面も自分で演じていたという。免許返納問題とかイーストウッドには関係ない。これが伝説の男だ!

 

 

 

 

 

 

浜村淳、『ありがとう』を初の欠席

 1970年代、関西平日朝のラジオ番組は鎬を削る戦いが繰り広げられていた。朝日放送(ABC)が71年に 『おはようパーソナリティ 中村鋭一です』をスタートさせ、人気を博した。翌72年に毎日放送(MBS)は裏番組として『おはようリスナー 阪本時彦です』をぶつける。熱烈な阪神タイガースのファンでタイガースが勝った翌日は球団歌『阪神タイガースの歌』を歌いあげるというスタイルの中村鋭一に対抗し、「東京出身の巨人ファン」という触れ込みで阪本をぶつけたMBSはこの直接対決にあっさり負けてしまい、番組は2年で終了。後継番組として始まったのが『ありがとう浜村淳です』だ。

 

 立て板に水のような話術の浜村節は女性聴取者層を中心に話題となり、平日朝の中村VS浜村の時代が始まる。中村が選挙に出馬するため道場洋三にバトンタッチした『おはようパーソナリティ 道場洋三です』以降も現在に至るまで熾烈な聴取率トップの争いを続けている。

 

 その浜村淳さんがなんと本日の『ありがとう』の放送を欠席したのだ。46年に渡る番組で初のケースとなった。

 

 

 先日の定期健診で「脳の血管に小さな詰まり」が見つかり、本人に合う薬を見つけるための検査入院をするためという説明で14、15日の出演を取りやめることに。この日は木曜アシスタントの鳥居睦子さんが代役の司会を務めた。

 以降の予定は未定だそうだが、鳥居さんと佐々木りつ子さんとでも交代しながらやっていくと思われる。報道を聞く限りは深刻そうでもないので月曜日にはひょっこり戻ってきそうな感じですね。浜村のいない放送を聞いてもベテランの鳥居さんがソツなくこなしており、浜村さんが絶対理解してなさそうな映画『モンスターハンター』や、鬼滅の刃の連続トップの記録を破った『銀魂 THE FINAL』の話題をありがとう娘たちと極めてスムーズにこなしていく展開は浜村淳では絶対にできないやつなのでこれはこれでアリだと思う!いや、むしろ(以下略)

 

 50周年は達成できるのか?

 

 

 

 

 

 

ここは世界一優しいただいまが待ってる場所『劇場版のんのんびより ばけーしょん』

※この記事は前ブログの過去記事(2019年03月14日)の再録です



 2013年と2015年に放送されたテレビアニメの劇場版。『のんのんびより』はバスは2時間に一本、牛が通行するので気をつけよという道路標識があるぐらいの田舎を舞台に、生徒が5人しかいない分校の生徒とその家族、知人たちの大した事件は何も起こらない日常を描いた作品だ。なので劇場版と言われても旭丘分校の生徒たちが世界の支配をたくらむ巨大な敵と戦うことはない。テレビアニメの延長で何も起こらない日常をただゆるく描くだけだった。『ゆるゆり なちゅやちゅみ!』と同じ。

 夏休みに入ったれんげ(小岩井ことり)ら旭丘分校の生徒たちはショッピングモールの福引で三泊四日の沖縄旅行を引き当てる。保護者替わりのかず姉(名塚佳織)、駄菓子屋(佐藤利奈)に、分校の卒業生ひかげ(福圓美里)、このみ(新谷良子)を加えた一行は沖縄へ。旅館の看板娘、新里あおい(下地紫野)と仲良くなったり、海でマンタを見たり、カヤックで川を下ったり、街中に牛がいるのを見て「ここも田舎なのん?」と思ったりもしたけれど、特に大した事件は起きない沖縄のバケーションを過ごすのだった。


 もちろん何も起きないのではお話にならないので、テレビ版にはない劇場版ならではの物語が存在する。分校の教師でありながらいつも居眠りしているれんげとひかげの姉、かず姉は木に引っかかった小鞠(阿澄佳奈)と蛍(村川梨衣)のカヤックを助けてあげたり、水分補給のペットボトルを忘れた二人の水を事前に用意していたりする。普段の様子からはありえない保護者然とした態度に驚かされるが、直後、バテて一歩も動けなくなる(やっぱり)。上京して都会暮らしをしているひかげは劇場版では完全にオチキャラになって毎度床に寝かされて笑いを取る。

 そして劇場版のメインを貼るのは、越谷姉妹の妹、夏海(佐倉綾音)であった。旅館の看板娘、あおいは同い年なんだが、真夜中にこっそりとバドミントンの壁打ちをやってる彼女を見る。「壁打ちをすると母親に怒られる」というあおいに自分も怖い母親に説教されることが多い夏海は感情移入。あおいの学校に案内してもらおうと、あおいの代わりにみんなで寝所の掃除をして自由時間をつくってあげたりする。自分の部屋の掃除すら強制されてもしない夏海が!
 夜の海での夜光虫の思い出などを経て、最後には「帰りたくない」と泣き出す。夏海は喜怒哀楽の激しいキャラなのでこのクライマックスには合っていて、観客の涙をしっかり誘う。同様に喜怒哀楽の激しいひかげも泣いていた(彼女は露骨に涙を見せるようなキャラではないので畳にうつぶせてる。劇中ずっと床に寝かされて文句言ってたひかげが床に突っ伏すって最高の演出ですね※)。
 こういうシーンで落とすのなら、喜怒哀楽があまり顔に出ないれんちょんをメインにはしづらかったんだな。理解した。

※よく見たら突っ伏してたのはベッドでした


 監督、脚本とテレビシリーズと同じ川面真也、吉田玲子のコンビ。このコンビはさりげないキャラの仕草で印象付けて、じんわりと泣かせにくる。かず姉が珍しく頼りがいのあるところを見せた後でセピア色の画像でこの後のヘバリ具合を想像させたり、最後の別れの場面も顔を拭って泣くところを見せたあと、車の中では鼻をすするぐらいで涙を抑えていたりと、日本映画特有の「泣いてまーす!悲しいでーす!」とわかりやすい表現はしない。なんてことのない日常の光景にこそ感動や涙する場面がある。
「にゃんぱすー」とれんげが手を挙げた物語は「ただいまー」で幕を閉じる。ここは世界一優しいただいまが待ってる場所。