しばりやトーマスの斜陽産業・続 -110ページ目

ゴキ帝法人化

※この記事は前ブログの過去記事(2018年9月14日)の再録です

 


 世間の理不尽と戦う、今一押しのセルフアイドルグループ、劇場版ゴキゲン帝国が法人化したぞー!


株式会社GOKIGEN JAPAN設立、白幡いちほの取締役会長就任のお知らせ
https://gokigenteikoku.jp/news/108527

 風呂なし3万円のアパートに住んだところから芸人生活がスタートした白幡さんがその後30万円の自宅兼事務所を構え、紆余曲折ありながらも取締役会長職ですか。島耕作もビックリの出世ロード。そのうちビッグトゥモロウあたりで「風呂なし3万円のアパートからでも成功できるアイドル運営」論をぶつ白幡いちほ会長が見られるかも?2021年の武道館ライブも夢ではないのでしょう。
 唯一の懸念材料はセルフアイドルとして大手事務所の管理の元ではできないようなアナーキーかつフリーダムな活動ができなく(やらなく)なるのでは?ってことなんですが、この前後にパンツ見せてゲームとかやってるから、大丈夫でしょ。

 あと期待するのは株式会社化するので、白幡会長の方針に納得のいかないメンバーが株主総会を荒らしてクーデターを起こし、ぺろ会長誕生などの下克上が起きたりすると面白いのでぜひやってほしい。

 

 

 

 

 

犬がトニカクカワイイ『ドーベルマン・ギャング』

※この記事は前ブログの過去記事(2018年12月3日)の再録です

 

 銀行強盗映画…口にするだけで血沸き肉躍るではないか(?)。バスジャック映画、カーチェイス映画なんかにも同様の効果がありますね。アメリカでは未だに銀行強盗映画-こういうのは通ぶっていうと、ヘイスト(強盗)映画っていうらしいですよ-はたまに作られてますが、日本ではとんと見かけられなくなった。『暴走パニック 大激突』とか『月光仮面』とか昔はあったのに。銀行強盗自体が日本ではほとんど起きないからなあ。たまに包丁一本で「金を出せ!」とかいう間抜けな奴がすぐ逮捕されたりするぐらいですか。やはり日本では銃が手に入れにくいので、銀行強盗もやりにくいからだろうか。

 今回ご紹介するのは銀行強盗の本場、アメリカが1973年に公開した『ドーベルマン・ギャング』だ。 

 

なんと恐ろしいタイトル!平松伸二も真っ青な狂犬のごときギャングたちが銀行を次々襲う様が目に浮かぶ…のだが、これはタイトル通り、犬のドーベルマンが銀行を襲う映画なのだった…

 エディ、サミー、ジョジョの3人組は「完璧な銀行強盗計画」を立て、実行に移すが逃げる際、銀行前に止めた自分たちの車とそっくりな他人の車のトランクに金を放り込んでしまって大失敗!(どこが完璧な計画なんだ)
 これに懲りないエディは計画を見直す。なんとしても一山当てて遊んで暮らすんだ!そもそも人間のやることに完全などありえない、優秀なロボットにでもやらせればいいのだ…と一山当てることしか考えてないボンクラならではの発想に至るがロボットがどこで手に入れられるかわからない。途方に暮れるエディだが、中古車販売店に忍び込んだチンピラたちがドーベルマンに追い返されて捕まる様子を目にして、これだ!と。

「ドーベルマンを調教して、銀行強盗をやらせればいいんだ!」

 なるほど、大抵の人間はドーベルマンに吠えられたら恐れおののくし、仮にしくじっても銀行に自分たちはいないのだから逮捕されることもない。ドーベルマンは自供もしない!か…完璧だ!!
 画してエディたちは前代未聞のドーベルマンによる完全犯罪を目論み軍用犬の調教をしているトレーナーのバーニーを騙して雇い入れる。「ジャーマン・シェパードしかやったことない、ドーベルマンの調教なんかしたことないよ」と渋るバーニーだが、何とか言いくるめて山中に小屋をつくって6頭の犬を連れてくる。
 6頭の犬にデリンジャー、ボニー、クライド、ベビーフェイス・ネルソン、プリティ・ボーイ・フロイド、マ・バーカーとアメリカ史上に名を遺す伝説のギャングたちの名前をつけてるところがちょっと洒落てる。「まとめて買ったからおまけがついてきた」とブルドッグが一匹。そいつにはジョン・エドガー・フーヴァーと初代FBI長官の名前をつけた。いかにも何かありそうなネーミングだが、深い意味はないので気にしなくてもよい。

 こうしてドーベルマンたちの調教が始まるのだが、これがなんとも牧歌的というか…カントリー音楽に合わせてドーベルマンが走ったり、柵を飛び越えたり、柵の下をくぐったり、相手に噛みついたり、待てと言われたりする様子がモンタージュで延々と続く。見ているうちに「ドーベルマン、カワイイな~」と感じてくる。「ペットフードはドギーマン」のCMを思い出した。

 連中の目的が銀行強盗だと気づいたバーニーとひと悶着ありながらも、最終的に計画に乗ることに。ただし作戦には重要な問題があった。ドーベルマンに複雑な命令はさせられない。当初の計画では入り口をふさぐ役、銀行の警備員を威嚇する役、行員に「金をバッグに詰めろ」と書いた手紙を渡す役などが細かく指定されていたが、近くに居て犬たちに指示を出さなきゃ無理だ。とはいえ銀行に自分たちが入ったら何の意味もない。完璧な計画はおじゃんか?だがバーニーが一頭ごとに指定した犬笛を聞かせて命令を聞かせる、というアイデアでこれを乗り切ることに。犬にバッグを背負わせて、金を詰めたらアジトまでの帰り道に土を巻いておき、その匂いを辿らせて猛ダッシュで帰らせればいい。か…完璧だ!!

 あとは実行あるのみだが、エディの愛人ジューンが「あんたたちのメシをつくって、犬の世話までしてる私になんの分け前もくれないってわけ?」と不満を漏らしだす。「娼婦にやる金なんかねえ!」と平手打ちしてその場を収めたが(収まるわけない)、バーニーが彼女を気遣いだす。意味深な場面なので、「二人がデキて、最後にはエディたちを裏切るんだな」といった伏線のように思えるが、そんなことはまったくなかった

 決行日。直前になってバーニーが「犬たちに悪いことはさせられない」と逃亡。仕方なくバーニーのそばで調教を見守っていたジューンが代わりに犬笛を吹いて命令を出す。無事強盗は成功し、アジトで大金を待つエディたち。金を取ろうとしたエディたちに犬たちが吠え、噛みつく!遠くでジューンが犬笛を吹いてエディたちを襲わせたのだ。あっという間にかみ殺されるエディたち。銀行で行員や客を威嚇している最中でもどことなくカワイイな~という描写が続くので、クライマックスで突然凶悪なシーンになって心底驚いた
 観客を痛快に裏切ってくれる展開に膝を打とうとしたのだが、犬たちはジューンすらも裏切っていずこへと走り去るのであった…

 最後にカントリーが爽やかに流れて「これで映画はおしまいだよ~」とあんまりな歌詞で苦笑い。音楽担当が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などのロバート・ゼメキス作品や近年では『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』や『レディ・プレーヤー1』などで知られるアラン・シルヴェストリの映画デビュー作というのもすごいが、主題歌を本人が歌ってるというのも!

 

 

狙って作られたのか、意図せずそうなってしまったのかがわからない映画で見ているこっちは最後まで困惑しっぱなし。一部好事家の間では評価されていたようで、シリーズ化してパート3まで作られてる。監督のバイロン・ロス・チャドナウは本作と続編の『ドーベルマン・ギャング2』以外はまったく知られておらず、後にウィル・スミス主演で映画化された『0088/ワイルド・ウエスト』や『俺がハマーだ!』などテレビドラマの世界で活躍したのだから、きっと狙って作られたと思われる。
 『フレンチ・コネクション』『ダーティーハリー』『エクソシスト』といった殺伐とした作品が多かった70年代だったとしても異質な作風で、タイトルの凶悪さに比べてもほのぼのとして、とにかくドーベルマンが可愛くて憎めない。忘れがたい魅力のある映画だ。犬に優しくしよう。

 

 

 

 

全編PCの画面で展開する、追っかけが女優を救う…のか?『ブラック・ハッカー』

※この記事は前ブログの過去記事(2018年10月28日)の再録です

 

全編PCの画面で制作された映画『サーチ』(2018)が話題になってますが、意外なアイデアのように見えて2015年には『アンフレンデッド』という全編Skypeの画面で構成されている映画があって先駆者というのは必ずいるものだなと(ちなみ両作品とも制作は同じティムール・ベクマンべトフ)。

 ところがさらに先駆者がいた!それが2014年のスペイン映画『ブラック・ハッカー』だ!監督は『シンクロナイズドモンスター』(2016)が話題になったナチョ・ビガロンド。主演はイライジャ・ウッド(ウッドは制作も兼任)。 

 

 

 人気女優ジル・ゴダード(サーシャ・グレイ)のファンサイトを運営している追っかけ青年ニック(ウッド)はジルの新作映画『ダークスカイ 第3の波』の宣伝キャンペーンとして行われた「ジルと会食ができる豪華プレゼントが一名様に当たる!」企画に参加する。やめときなよ、そういうの・・・実際に当選するのは若い女性に決まってるんだから!キモヲタは当選枠から除外されてんの!ミスタードーナツの高橋由美子、SPEEDとお茶会できるつぶやきコンテストを思い出せ!

・・・と思ったらイライジャ・ウッドがまさかの当選!期待に胸を膨らませてLAのホテルに泊まり、会食のはじまる夜までホテルの部屋で新作映画のキャンペーンをしているジルの動画配信を見ていたニックのPCに電話がかかってくる。電話の相手はコードと名乗り「会食は中止になった。ジルがわがままをいって中止にさせた」と告げる。そのころジルは記者会見でネットに流出した卑猥な動画について質問をされ、「映画会社が宣伝のために流した」と不満を言って会見場を飛び出していた。

 コードはジルの携帯や会場、ホテルの監視カメラに不正アクセスをしてあやつることができ、ニックのPCでそれが見られるようにする。コードはジルが自身のエージェントとデキていると暴露。まさにジルはタクシーでエージェントの泊っているホテルに行くところであった。コードの指示でエージェントの部屋を自分の宿泊している部屋から盗撮させられる羽目になるニック。
 コードとの連絡が一旦切れたころ、ニックのPCには観たことのないアイコンが表示され、それをクリックするとゴーグルをつけた3人組が現れニックのことをネバダと呼ぶのだがニックには何のことかわからない。
 エージェントの部屋にやってきたジルは口論になって部屋を飛び出してしまう。エージェントは盗撮に気付きニックの部屋までやってくる。コードの指示でエージェントをスタンガンで気絶させるニックだが、エージェントを拘束しろという指示には「もういやだ」と拒否。しかしコードはスタンガンを使うニックの映像を警察に見せるといって脅し言うことを聞かせる。コードはニックを助けてやるといってオンラインにしたままのノートPCを持たせ、駐車場の車で脱出させる。
 コードはノートPCのウェブカメラでニック自身を写したままにするよう命じ、車に置かれたカメラ付き端末をダッシュボードに載せるようにいい、ある場所まで車を走らせる。ニックのPCにはコードがジルの自宅に潜入するライブ映像が配信され、いつでも危害を加えられると脅してくる。ジルの身を守るためニックはコードの言われるままにジルのPCにファイルを送信する。それはエージェントが拷問される映像だった。ニックはコードが連絡を絶った隙にアイコンをクリックしてゴーグル姿の3人組に連絡する。彼らはフランスにるハッカー「トリオップス」で彼らの世界では伝説のハッカー・ネバダを信奉していて、ニックをなぜかネバダと勘違いしている。ニックは彼らと連携を図ってジルを助け出し正体不明の男・コードを捕まえようとする。


『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでは世界を破滅から救う主人公を演じて一躍有名になったイライジャ・ウッドだがそれ以外ではしょぼくれた少年や気持ち悪い変人の役が多く、『アイス・ストーム』(1997)では隣の家の少女(まだおっぱいを小さくしていない頃のクリスティーナ・リッチ)とデキちゃって自分の弟と本当の穴兄弟になったりとか、『シン・シティ』(2005)では連続幼女殺人鬼だったり。『パラサイト』(1998)はいじめられっこだけど寄生生物に立ち向かうヒーローの役だったけど…

 本作でもごく平凡な(イライジャ・ウッドだからその説明で許されているのであって、世間一般的にはキモヲタといわれておしまい)女優のおっかけを演じるウッドの見た目は如何にも、なので彼がヒイヒイいいながら憧れの女優を救おうとする展開にはつい感情移入しちゃうな。オタクを演じられる役者ってすごいわあ。
 全編PCの画面で展開しながら、外に出て行ってカーチェイスやったりするアウトドアさがまた売りで部屋の中だけで進行しがちな映画のテーマを気持ちよく裏切ってくれてよいですね。終盤の展開もひねりを効かせていて途中でなんとなく読めるとはいえ、あっと驚くクライマックスにしているところは面白い。
 ただしホテルの監視カメラから他人のスマホのカメラまでコントロールするってできるの?と思うし。ハッキングすればなんでもできる!と思われがちなパソコンに対する知識が少なかった昔のSF映画モドキ風の話はちょっと無理があるのでは。
 しかしこれが後の『アンフレンデッド』や『サーチ』につながると思うとバカにはできない。挑戦的な実験作といえよう。

 

 

 

 

 

セガール化するワシントン『イコライザー2』

※この記事は前ブログの過去記事(2018年11月17日)の再録です

 

 

 ヤツが帰ってきた!前作から4年、ターゲットを19秒で始末する元CIA、闇の仕置人ロバート・マッコールが!!

 デンゼル・ワシントン初の続編モノとなった『イコライザー2』はアントワーン・フークア監督も続投。前作の戦いを経て今はマサチューセッツでタクシー運転手として暮らしているマッコール。拾った客の世話を焼いたりして「気のいい運転手さん」として知られているが、男たちに乱暴された女性客を見て怒りに火が点いた!男たちを19秒で半殺し。今だその腕は錆びついていなかった…

 そんな折、かつての上司であったスーザン(メリッサ・レオ)が殺人事件の捜査中に殺されたと知る。スーザンと捜査を担当していたCIAのヨーク(『キングスマン:ゴールデン・サークル』のペドロ・パスカル)から情報を得るマッコール。だがタクシーの客を装って現れた殺し屋に命を狙われるハメに。が、当然のごとくあっさりと返り討ちにしてしまうのだった。


 前作以上にパワーアップしたデンゼル・ワシントンの強さはもはや無敵。前回すでにロシアン・マフィアの組織を壊滅させてたぐらいだから、今回はもっと巨大で強大な敵が相手に出てこないといけないのに、敵の規模は明らかにスケールダウン。クライマックスをハリケーンの迫る街にして舞台装置を派手にする仕掛けで誤魔化したが、ワシントンはケガひとつせずに悪党どもを赤子の手をひねるかのように始末してしまう。ワシントンはほとんどスティーブン・セガールではないか。

 内容的な評価は下がったが興行的には成功したそうなのでシリーズ化は避けられまい。このまま沈黙シリーズやチャールズ・ブロンソンのデス・ウィッシュシリーズのようにアメリカ中を移動しながら一人自警団と化すのかワシントン。今更セガールに期待できないし、ブルース・ウィリスのデス・ウィッシュがコケたから、無敵の男はワシントンしかいない!任せたぞ!

 

 

 

 

 

 

ボンクラ中年が陰謀論にハマって秘密を解く『アンダー・ザ・シルバーレイク』

※この記事は前ブログの過去記事(2018年11月12日)の再録です

 

 

『イット・フォローズ』をヒットさせた新鋭(といっても74年生まれだから僕と同い年だけど)デヴィット・ロバート・ミッチェル監督の最新作。「“それ”が追いかけてくるから逃げろ!ただそれはゆっくり歩いてくるから走れば逃げられる。だが“それ”を誰かに移さない限りどこまでいっても必ず追ってきて捕まえるぞ」という奇怪なホラー映画だったが今回はさらに奇怪で謎にまみれていた。

 映画の都ロサンゼルス、シルバーレイクに住む中年男サム(『アメイジング・スパイダーマン』『沈黙-サイレンス‐』のアンドリュー・ガーフィールド)は成功を夢見ながら何もしていないボンクラ。自宅アパートにはギターとか映画のポスターが貼ってあってそういう仕事がしたいのかな?と思われるが日がな一日ぼんやり過ごすだけ。しかもポスターは『大アマゾンの半魚人』だから相当なボンクラだ…

 シルバーレイクは高級住宅街だがその間に取り残されたようなアパートに住んでいて、家賃を滞納して立ち退きを迫られている。この街で女優を目指す彼女からも愛想を尽かされそう。
人生の失敗編を生きている気がする
 とぼやきながら、何をどうするわけでもなく、隣のセレブ住宅地を双眼鏡で覗いている。すると目を見張るような美女サラ(『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で砂漠の支配者イモータン・ジョーの妻たちのひとりだったライリー・キーオ)を見つけ偶然出会い、恋に落ちる。自宅に招かれたサムは夢のような一晩を過ごし「また明日」と別れる。しかし翌日訪れると彼女は姿を消し、家には誰もいなかった。サムは素人探偵と化して彼女の家を見張る。すると何者かが彼女の私物を運び出し、怪しげな男に手渡していた。シルバーレイクの都市伝説を綴った同人誌『アンダー・ザ・シルバーレイク』を手に入れ「犬を殺す男」の話を読む。
 サムは尾行され、スカンクに分泌液をひっかけられる。彼女の痕跡を追ってあちこちで謎の記号や暗号、サブリミナルメッセージを目にする。

「この街には何かが隠されている。それを見つけ出したものだけが成功することができるんだ!」

 と叫ぶサムをついに彼女は見放す。サムは自説に確信をもってシルバーレイクに隠された秘密を暴こうとする。

 負け犬人生まっしぐらのボンクラが陰謀論に取り憑かれて破滅しそうになるという、悪夢のような話だが自分もボンクラ人生まっしぐらなのでこの映画は痛すぎるほどよくわかる。他人事ではないのだ
 サムは記号や電光掲示板に謎のメッセージが示されたり、都市伝説について書かれた同人誌を読むたびに「疑惑は深まった!」「すこしずつ真相にたどり着いている!」というがごく普通の観客には何がどうなってるのかまったくわからない。ボンクラの世迷い事だろう、としか思えないがサム(と彼に取り憑かれた僕みたいな観客たち)には彼がダンジョンの奥に隠された宝箱を見つけ出すRPGの主人公に見える。そういえばサムの部屋には『12モンキーズ』のポスターもあった。世界の破滅を救うためにブルース・ウィリスはタイムマシンで過去にやってくる。「自分は未来から来た」といっても周囲からはただのイカれたやつとしか思われない。サムはニンテンドーパワー(ゲーム雑誌。アメリカのファミ通みたいなもん)に載った『ゼルダの伝説』のマップにシルバーレイクの地図を重ね合わせる。浮かび上がってきたのは…!


 デヴィット・ロバート・ミッチェル監督自身もシルバーレイクの住民だったことがあり、長年芽が出ない日々を送って、サムのように「この街には成功するために秘密が隠されているに違いない」と思っていたという。彼は今は成功しているから秘密のカギを見つけ出したのだろうか。けれどこの映画の結末を見る限り「自分は成功したかも知れないけど、セレブじゃないんだ」と言いたいみたい。

 サムは秘密のカギを見つけ出す過程で自分が愛してきたカルチャーの知りたくもなかった秘密や正体を知ってしまう。知ったところでどうにもならない。サムが部屋でぼんやりと眺めているテレビで『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』をやっているというのはあまりに象徴的。