穴川駅【三重県】(近鉄志摩線。2020年訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回の【駅】コーナーは、
三重県南東部、志摩市の中央部北寄り、リアス式海岸の入り江である的矢湾・伊雑ノ浦(いぞうのうら)に面した小さな集落近くに位置する近鉄志摩線の駅で、複線化による線路付け替えの結果、志摩線唯一の高架駅になった、
穴川駅 (あながわえき。Anagawa Station) です。
 
  
駅名  
穴川駅 (M 89)  
  
所在地  
三重県志摩市 (旧・志摩郡磯部町)    
  
乗車可能路線  
近畿日本鉄道:志摩線  
  
隣の駅  
鳥羽方……志摩磯部駅  
賢島方……志摩横山駅  
 
訪問・撮影時  
2020年12月  
 
 

穴川駅は高架駅で、無人駅です。1993年、志摩磯部~鵜方の複線化に伴い、線路と駅ともども西側へ移設され、高架駅になりました。
高架下に改札口、駅事務室の小屋、トイレ(使用停止中)の小屋がありますが、駅舎と断定できる建物はありません。
改札口は駅前を東西方向に延びる県道61号線が近鉄志摩線の高架橋をくぐる部分の南側に設置されています。したがって東側、西側ともスムーズに駅へ出入り可能です。
道路と改札口の間に段差がありますが、階段とスロープ(右側)により解消されています。東側(左前方)は駅外と改札口との高低差がなく、段差がありません。しかし、改札口までは段差なく移動できますが、改札と高架ホームの間は階段しかありませんので、穴川駅はバリアフリー非対応です。車いすで穴川駅をご利用の場合は事前に近鉄へお問い合わせ下さい。
写真は南を望む。
 
 

 

こちらは東側より穴川駅を望む。上写真は西を、下写真は南を向いて撮影。上写真左に改札口があります。
東側から駅へ入るには奥に延びる県道61号線の歩道からアクセスするか、東側の送迎スペースからアクセスするかの2択になります。点字ブロックは東側の出入口のみに設置されています。
下写真には改札と下り線ホームを結ぶ階段が丸見えになっています。
また、線路のすぐ東側には自動車が転回可能な広いアスファルト敷のスペースがありますが、これが公共の設備なのか私有地なのかは不明です。
尚、穴川駅に駅前広場と断定できるスペースはありません。路線バスは駅前に乗り入れておらず、タクシー乗り場もありません。
最寄りのバス停は約250m西、旧国道167号線上に設けられています。
 
 

駅前です。東を望む。右後方に穴川駅があります。
奥に延びる道路は県道61号線で、左側に迫る伊雑ノ浦と右側に迫る丘陵地の間を通ります。沿道には民家が点在しています。商店は非常に少ないです。
ちなみに、県道を400m少々進むと、単線時代の旧線跡と交差します。その右側の山中には旧・穴川駅の跡地があります。2006年訪問時点ではホームが残っていましたが、今はどうでしょうか?
⇒穴川付近の旧線跡探訪の記事はこちら。
約1km南東の丘陵上には「公共の宿 伊勢志摩ユースホステル」が、約700m北の伊雑ノ浦沿いにはキャンプ施設である「伊勢志摩エバーグレイズ」があります。
また、約4km東には近鉄系のテーマパーク「志摩スペイン村」があり、旧線跡との交差地点より先では左手の伊雑ノ浦越しに遊具が見えますが、穴川駅からですと徒歩では遠く、バスでも行けません。バスは鵜方駅前から出ています。
そして、直線距離で約5km東の的矢湾内には渡鹿野島(わたかのじま)があり、昔は穴川と航路で結ばれていましたが、今はこの航路が廃止されており、島近くの対岸3ヶ所から航路でアクセスする事になります。ちなみに渡鹿野島と言えば、今や知る人ぞ知る、性産業で有名だった島ですが近年になって衰退し、今はそのイメージが相当払拭されて旅館には女性や家族連れの宿泊客が多いとの事です。
 
 

 

こちらは西側より穴川駅を望む。上写真は東を、下写真は南東を向いて撮影。上写真右に改札口があります。
西側は線路際まで丘陵地が迫っているため、駅へ入るには奥に延びる県道61号線の歩道からアクセスするしかありません。
駅西側には駅前広場かどうか……というスペースすらありません。
 
 

駅前です。西を望む。左後方に穴川駅があります。
奥に延びる道路は県道61号線で、沿道には商店や民家が点在しています。左側~奥には丘陵地が広がっており、その大半が山林で占められています。
約220m先には旧・国道167号線との坂崎入口交差点があり、その旧道沿いに三重交通のバス停があります。
 
 

 

高架下にある改札口です。上写真は南東を、下写真は南方向を望む。
後方が西側にも通じる出入口、左手が東側出入口です。
穴川駅は無人駅ですが、高架化の際に志摩スペイン村へのサブターミナル駅としての機能を持たせたのか、左側に駅事務室が設けられ、シャッターの中には窓口があると思われます。駅東側の広いスペースはバス転回用に準備されたスペースかもしれませんが、日の目を見ずに終わっています。
改札ラッチも用意されていましたが無用の長物となり、そこには交通系ICカード『PiTaPa』などに対応の簡易改札機が置かれています。
改札を通って右手にはトイレがありますが、出入口が板で塞がれ、閉鎖されています。その出入口前には乗車駅証明書発行機ときっぷ回収箱が設置されています。
ちなみに、穴川駅に自動券売機やICチャージ機はありませんので、きっぷをお持ちでない場合やICカードの残額不足の際は、かならず乗車駅証明書を受け取ってから電車にお乗りになって下さい。
使えるトイレは駅構内にはなく、約500m東の旧駅跡近くに公衆トイレがあるようですが、はっきりした場所は分かりませんでした…。
そして2階にある各ホームとの間は階段のみで結ばれていて、バリアフリー非対応です。
尚、穴川駅およびその周辺に売店・コンビニ・商店はありません。飲料自動販売機すら駅前にはありませんので注意が必要です。
 
 

1番線に設置されている建植式駅名標です。電照式ではありません。
駅ナンバリング導入時に一斉に置き換えられた新デザインです。
また、駅ナンバリング「M 89」が大きく書かれています。
尚、インフレナンバーになっているのは近鉄独自の付番方法によるもので、ターミナル駅から「01」「02」と付番していくのですが、各幹線の合流駅(大和西大寺駅、大和八木駅、伊勢中川駅)から先は番号の大きい方(起点駅までの駅数が多い方の路線の番号)を引き継いで先(伊勢志摩方面)へ進んでいきます。その結果、志摩線には京都駅由来の番号が付番されており、すなわち穴川駅は京都駅から88駅目の「89番」になっています。
ちなみに先頭の「M」は、山田線・鳥羽線・志摩線共通の路線記号です。
 
 

穴川駅は相対式ホーム2面2線の高架構造で(手前の賢島方の一部は盛土高架構造)、北北西~南南東方向にホームが延びています。ホームはカーブを描いています。
右(東)が1番線で下り賢島方面、左(西)が上り鳥羽・伊勢中川・大阪・京都・名古屋方面です。
主要路線の駅でありながら、短編成の普通列車しか停車しないため、ホーム有効長はわずか2両分です(実際は3両弱)。ホーム幅は狭く、特急が通過の際は注意が必要です。これでは志摩スペイン村方面へのサブターミナルにはなり得ないです。
上屋は各番線ともホーム中ほどの、改札とを結ぶ階段に面した1両弱分にしか設置されていません。雨天時に下車される際は編成の中央部分(1両目後方、2両目前方)が雨に濡れる確率が低いです。
各ホームの上屋下にはベンチが設置されています。
写真は1番線より鳥羽方を望む。
 
 

こちらは1番線より賢島方を望む。左が下り1番線、右が上り2番線です。
 
 

1番線より鳥羽方を望む。
こちらはスペース的にホームの延伸が可能ですが、県道との交差部分の問題や架線柱の処理など、実現へのハードルは高そうです。まぁ、延伸の可能性は限りなく小さいと思われますが…。
この先、県道61号線を乗り越すと左へカーブしながら地平へと戻り、林などの中を走ります。やがて右手から旧線跡が合流すると右へカーブして池田川を渡ります。その後は左手に住宅地を、右手に水田を見て左へ右へカーブしながら北西へ走ると、志摩スペイン村風のデザインをした橋上駅舎を有する志摩磯部駅へと至ります。かつては志摩スペイン村への玄関口でしたが今は鵜方駅に取って代わられ、志摩磯部駅は衰退してしまっています…。
 
 

1番線より賢島方を望む。
こちらは1両分ほど延伸可能な感じがしますが、普通しか停車しないのであれば延伸はしないでしょう。
この先、すぐにトンネルに入ります。トンネルを出ると地平区間に成、丘陵地に囲まれた原野のような民家すらない風景の中を南下し、左から旧線跡が合流します。その後はカーブしながら南下を続け、やがて周囲が開けてくると国道167号が右を並走するようになります。そして山間部を越えて住宅地に入ると左へカーブして、志摩横山駅へと至ります。
 
 
あとがき  
私が穴川駅で下車(乗車)したのは2020年の1度きりです。近鉄志摩線を乗り鉄した際に下車しました。それ以外にも2006年に穴川付近の旧線跡を訪ねた際、穴川駅にも立ち寄っています。志摩線唯一の高架駅ですが、有効長が2両分と短く、しかも無人駅でトイレが閉鎖されていました。改札口には乗車駅証明書発行機とICカード簡易改札機がありました。駅前は伊雑ノ浦にほど近いローカル風景で、集落、農地、丘陵地の山林が混在しています。
 
東京からですと東海道新幹線で名古屋駅まで行き、隣接する近鉄名古屋駅から名伊特急の賢島行きに乗車して、鳥羽駅・志摩磯部駅のいずれかで賢島行き普通に乗り継いで当駅下車です。鳥羽行き特急の場合は終点の鳥羽駅で普通にお乗り換え下さい。じゅうぶん日帰り訪問可能です(最大滞在時間:約9時間)。
一方、大阪からですと大阪難波・大阪上本町・鶴橋のいずれかの駅から近鉄大阪線の阪伊特急・賢島行きに乗車して、鳥羽駅・志摩磯部駅のいずれかで賢島行き普通に乗り継いで当駅下車です。鳥羽行き特急の場合は終点の鳥羽駅で普通にお乗り換え下さい。余裕で日帰り訪問可能です(最大滞在時間:約11時間)。
 
食料・飲料について、駅前にコンビニ、気軽に入れる商店・飲食店はありません。最寄りのコンビニは約1.3km南南西、国道167号沿いにある「ファミリーマート」、最寄りの飲食チェーン店は約2km南にある「はま寿司」「なか卯」「ココス」(全てゼンショー系)になります。必ず事前に用意して下さい。
 
東京、大阪とも到達難易度がやや高いですが、近鉄志摩線を乗り鉄の際は、ぜひ一度は穴川駅でも途中下車されてみて下さい!
 
(参考:Google地図、Wikipedia)