今回の【駅】コーナーは、
京都府南西部、八幡市にそびえる男山(鳩ヶ峰)の山上に鎮座する石清水八幡宮への参詣路線である京阪鋼索線【案内上は「石清水八幡宮参道ケーブル」】の山麓駅に相当する駅で、京阪本線の石清水八幡宮が至近距離にあり、かつては八幡市駅として京阪本線の駅と同一駅扱いだったものの、2019年に京阪本線と鋼索線で駅が分離されて現在の駅名になった、
ケーブル八幡宮口駅 (けーぶるはちまんぐうぐちえき。Cable-hachimangu-guchi Station) です。
尚、写真は男山ケーブル・八幡市駅時代の2016年訪問時のもので古く、現在は駅名や駅舎など、状況がもの凄く変化しています。ご了承下さい。
駅名
ケーブル八幡宮口駅 (KH 80)
所在地
京都府八幡市
乗車可能路線
京阪電気鉄道：鋼索線 【通称：石清水八幡宮参道ケーブル】
隣の駅
山上方……ケーブル八幡宮山上駅
乗換可能駅
京阪電気鉄道：京阪本線……石清水八幡宮駅まで徒歩4分
訪問・撮影時
2016年12月
ケーブル八幡宮口駅は京阪本線・石清水八幡宮駅の約80m西、男山の山麓にあります。
距離は近く、つい最近まで同一駅扱いだったのも頷けます。今は距離が近くても別の駅ですが、同一駅時代から京阪線と鋼索線を乗り継いでも運賃は合算だったため、駅が別々になっても乗客にとって負担は増えていないです。
上写真が石清水八幡宮駅舎で、駅前から西へ一直線に歩くとすぐにケーブル八幡宮口駅に到達します。段差なく移動できます(車いすでケーブルにご乗車の際は介助が必要です。係員にお問い合わせ下さい)。
男山ケーブル時代の2016年は駅舎が古びていましたが、2019年の駅名改称に伴いリニューアルされました。しかし改築されていないので、古いままですが…。
駅舎の左側にはトイレがあります。その手前には初詣時などに使用するケーブル待ちの乗客待機スペースがあり、私が訪問したのは年末だったため、京阪8000系のカラーリングを模したケーブルの臨時きっぷうりばも設置されていました(常時設置されていないようです)。
尚、ケーブル八幡宮口駅単独の駅前広場は存在せず、石清水八幡宮駅前の駅前広場を共用する形になります。
写真は2枚とも西を望む。
駅前です。上写真は南東を、下写真は東を望む。
駅舎手前には多客時の乗客待機スペースがあります。
駅の先約80mには京阪本線の石清水八幡宮駅があります(下写真左手の建物が駅舎です)。
道路右側には飲食店などの店舗があります。
また、石清水八幡宮駅前を通り抜けると駅前広場に到達します。
石清水八幡宮駅周辺は住宅街ですが、商店はさほど多くありません。
また、駅前広場を通り抜けて右へ曲がると男山山麓に鎮座する石清水八幡宮頓宮に到達します。
頓宮から参道を登っても山上の石清水八幡宮に到達できますが、やはり上り坂が続くため、体力に自信が無い場合はケーブルカーをご利用下さい。
改札口です。西を望む。
以下は2016年のデータをベースに、現在の状況を追記いたします。
駅員配置………あり。
自動改札機……あり(『PiTaPa』などのICカード非対応→2020年に利用可能に)。
幅広通路………なし(当時は右側の通用口を使用。現在は設置されているかもしれません)。
有人通路………なし(自動改札通路を代用)。
自動券売機……あり(現在はICチャージ可と思われます)。
自動精算機……あり(現在はICチャージ可と思われます)。
出札窓口………あり。
トイレ…………改札外(多機能トイレの有無は不明)。
売店……………なし。
コンビニ………なし(石清水八幡宮駅前にコンビニ「アンスリー」あり)。
ケーブルカーの駅に自動精算機があるのは珍しいです。
改札口の先、左側がホームです。
ホームは階段状のため、車いすの場合は介助が必要です。
降車ホームに設置されている吊下式駅名標です。電照式です。
京阪の新デザインがケーブルカーの駅にも適用されていて、京阪の力の入れよう(？)が伝わってきます。
2016年に撮影したので、駅名は「八幡市駅」です。
隣駅はケーブル八幡宮山上駅ではなく「男山山上駅」になっています。
現在は駅名が改称されているため、現在の駅名のものに取り替えられています。
また、現在は駅ナンバリング「KH 80」も導入されています。
ケーブル八幡宮口駅はケーブルカーの駅としては標準構造の頭端式ホーム2面1線です。地平構造ですが、山上寄りは高架構造で、ホームの下を道路がくぐっています。傾斜部にホームがあり、ホームは階段状になっています。そのため、車いすの場合は介助が必要になります。概ね南北方向にホームが延びています。
のりばですが、閑散期は左側(東)のホームのみを使用し、乗降とも同じホームで行われます。
繁忙期は左のホームを乗車専用、右(西)のホームを降車専用として、乗降分離を図っています。
ホーム有効長はケーブルカー1両分で短いです。ホームドアはありませんが、左側のホームには落下防止柵が設置されていて、扉部分はオープンになっています。また、各ホームの車両が停車する部分の線路際には点字ブロックが設置されています。ちなみに石清水八幡宮参道ケーブルの車両は最近全廃されたばかりの京阪線5000系を彷彿とさせる片側5扉で、多客期(初詣時)にどれだけの客が集中するのか想像できます。ホーム幅は意外と狭く、多客期はホームでの乗車待ち人数が限定されてしまうので、駅舎外に乗車待ちスペースが設けられている次第です。
また、ホームと線路全体が大屋根に覆われていますが、これもケーブルカーの駅としては標準構造です。
尚、ホームが狭いため、ホーム上にベンチなどの付帯設備は一切ありません。ベンチは終端部(手前側)の平坦部分に設置されています。
そしてホーム終端部(手前側)の左手には駅舎と改札口があります。
写真は山上方(ケーブル八幡宮山上方)を望む。
こちらは走行中の車両より山麓方(終端方)を望む。
上から見下ろすとケーブル八幡宮口駅は意外と小さく、結構傾斜がきついです。
線路の下を見ると、一部に空洞がありますが、これは車両の床下を検査するための設備と思われます。
終端部の右側には駅舎と改札口があります。
また、ケーブル八幡宮口駅の先には京阪本線の石清水八幡宮駅ホームが左右方向に延びています。
停車中の車内より山上方(ケーブル八幡宮山上方)を望む。
ケーブルカーは原則として単線で、中間地点に交換設備を有しています。
この先、左へカーブして男山の斜面をゆっくり登り、短いトンネルに入る直前に2線になります。トンネルは2線分の幅です。トンネル出口付近が中間点で、山上方面からの車両とここで必ずすれ違います。トンネルを出るとケーブルカーでは珍しい鉄橋で大聖不動明王(杉山谷不動堂)への参道と沢を乗り越えて単線に戻りますが、圧巻なのはこの鉄橋から左後方を見ると石清水八幡宮駅前の町並み、京阪本線の木津川橋梁、淀にある京都競馬場などを、それぞれ俯瞰できます。単線になっても鉄橋区間が続きますが、やがて鉄橋が終わると2本目のトンネルに入り、そのトンネルを出るとすぐに山上駅に相当するケーブル八幡宮山上駅へと至ります。
停車中の車内より山麓方(終端方)を望む。
鉄道路線のような車止めはありません。
線路が途切れた先には改札口(右)と降車ホーム(左)を結ぶ通路があり、そこにベンチが置かれています。
通路の右側(東)には駅舎と改札口があります。
また、通路の前方にはフェンスがあり、その先には京阪本線の石清水八幡宮駅ホームが左右方向に延びています。
尚、ケーブル八幡宮山上駅の位置は石清水八幡宮駅舎と離れており、用地の都合などでどちらかの駅または両方の駅を寄せて駅を名実ともに統合するのは現状難しいかと思います。また、京阪線とケーブルカーでは運賃体系が異なるため、営業施策上は今のように分離されていた方がいいかもしれませんが、駅名を分けることで両駅間に心理的距離感が生まれてしまい、京阪としては乗客獲得機会を結構逃しているかもしれません。駅名が同じであれば、なおかつ改札が分離されていても駅舎を出ずに乗換ができれば京阪本線と石清水八幡宮参道ケーブルの心理的距離が縮まり、閑散期の乗客を増やすことはできると思いますが…。
あとがき
私が現在のケーブル八幡宮口駅で下車(乗車)したのは1999年、2008年、2016年の計3度です。1999年は石清水八幡宮参道ケーブルの乗りつぶしのため、2008年は単純に石清水八幡宮参道ケーブルを乗り鉄した際、そして2016年は石清水八幡宮参道ケーブルの車窓風景撮影のため、いずれも起点駅ゆえに必然的に改札を通っています。私の訪問時はいずれも八幡市駅時代でした。当時は古びたケーブルカーの駅でしたが、今はいくらかリニューアルされているようです。駅前は京阪本線の石清水八幡宮駅と一帯になっていますが、あまり賑わっていないです。かつては駅前に石清水八幡宮参拝客向けの店舗が多かったと思われますが、今は少ない印象です。尚、八幡市において決定的な中心市街地は存在しないと思われます。
東京からですと東海道新幹線で京都駅まで行き、奈良線に乗り換えて東福寺駅で下車。さらに京阪本線の淀屋橋方面準急or普通に乗り継いで石清水八幡宮駅下車すぐです。京阪本線へは京都駅から近鉄京都線経由近鉄丹波橋～丹波橋乗換でもOKですが、石清水八幡宮駅には各駅停車種別の準急以下しか停車しませんので注意が必要です。じゅうぶん日帰り訪問可能です。
一方、大阪からですと淀屋橋駅～京橋駅の京阪本線各駅から特急または快速急行で樟葉駅または枚方市駅まで行き、後続の準急or普通に乗り換えて石清水八幡宮駅下車すぐです。余裕で日帰り訪問可能です。
食料・飲料について、コンビニは石清水八幡宮駅東側に京阪系の「アンスリー」があります。一方、飲食店は駅前に参詣客向けの食堂があるものの、気軽に入れる店舗はありません。心配な場合は事前に用意しておきましょう。
東京からの到達難易度もさほど高くありません。
京阪鋼索線【石清水八幡宮参道ケーブル】を乗り鉄の際は、ケーブル八幡宮口駅をスルーせずに、ぜひ一度は駅も観察されてみて下さい！
そして石清水八幡宮へご参拝の際はぜひ京阪鋼索線をご利用になり、ケーブル八幡宮口駅も観察されてみて下さい！
(参考：京阪電気鉄道のHP、地理院地図、Google地図、Wikipedia)