同和鉱業片上鉄道・和気~柵原の廃線跡(岡山県和気町~美咲町。2006年ほか訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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前回より2回に分けて1991年まで岡山県東部で営業していたローカル私鉄・
同和鉱業片上鉄道の廃線跡探訪記事をUPしていますが、

第2回目となる今回は、山陽本線の和気駅より北側(山側)の区間、和気~柵原の廃線跡です。

  

同和鉱業片上鉄道は、吉井川の上流域にある柵原鉱山で産出される硫化鉄鉱を片上港まで輸送するために建設され、1923年にまず片上~和気が、1931年には柵原までの全線が開通しました。吉井川の川舟(高瀬舟)に代わり鉱石輸送を担いましたが、一方で旅客営業も行われていました。旅客列車は気動車列車の他に機関車牽引の客車列車(混合列車も含む)も運行していました。
しかし、戦後になって円高となり、柵原鉱山の鉱石産出量が減少しました。また、鉱石の輸送手段がトラックに取って代わられ、最終的に1988年に貨物輸送が全廃となりました。旅客輸送についても元々過疎地を走っていたので当初より輸送量自体が低く、様々な施策も効果が出ず、1991年に惜しまれつつ全線廃止となりました…。

  

尚、今回の区間は自転車でサラッと辿っただけなので調査が不十分なことをお詫び申し上げます。
また、探訪時期が2006年と9年前で、それ以降に変化があるかもしれませんが、何卒ご了承願います。
さらに、25.2kmの区間を一気に紹介していきますので、写真が少な目になってしまうことをお許し下さい。

  
  

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(Yahoo!地図を使用。旧線跡のラインは実際の旧線跡を完全に辿れていません)  

  
  

路線名   区間   営業キロ  廃止日  
同和鉱業片上鉄道  片上~柵原  33.8km   1991年7月1日  
  
  
今回紹介の区間  
区間   営業キロ  備考  
和気~柵原  25.2km   全線単線・非電化。軌間1,067mm  

  

  

探訪・撮影時   2006年10月ほか  

  

  

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(1)和気駅跡にて。写真右側の地下道入口辺りがホーム跡で、一部構造物が残存しています。

  
  

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(2)和気駅跡を出発すると、廃線跡は引き続き自転車道『片鉄ロマン街道』へ転用されています。
そして築堤を上り、右へカーブしながら山陽本線をオーバークロスしますが、築堤は一部撤去の上現役時のものを利用していると思われます。
また、橋梁は橋台が補修されていること、銘板を確認しなかったことから現役当時のものとは思いますが詳細は不明です。

  
  

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(3)さらに築堤を進むと、金剛川を渡ります。
こちらは1973年に架け替えられた比較的新しい橋梁で、改修の上でサイクリングロードとして使用されています。

  
  

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(4)その後は本和気駅跡付近で住宅地の中を走り、やがてローカル風景へと変化します。
益原駅跡を過ぎると左手に吉井川を見て走り、天瀬駅跡に着きます。

  
  

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(5)天瀬駅跡にて。ホームと駅舎が残存し、駅舎は『片鉄ロマン街道』の休憩所として活用されています。

  
  

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(6)天瀬駅跡を過ぎると第1天神山隧道と第2天神山隧道を続けてくぐります。
こちらのトンネルは前回の峠トンネルと違い、ほぼ現役当時の状態です。

  
  

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(7)その後は河本駅を過ぎ、国道374号線と交差して開閉式の堤防を通過し、吉井川に沿って走りますが、住宅地へ入ると備前矢田に着きます。
備前矢田を過ぎると長閑な農村風景の中を走ります。信号機が残されています。

  
  

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(8)備前矢田~苦木にて。
その後も吉井川に沿って苦木、杖谷、備前塩田と走ります。苦木駅跡にはホームと駅舎が残存しています。

  
  

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(9)備前塩田を過ぎるとサイクリングロードは国道に併設されて左へ分かれ、路盤のみ残る廃線跡が姿を現します。
そして吉井川を渡りますが(第1吉井川橋梁)、橋梁は撤去され、橋脚の根元部分のみが残存しています。

  

吉井川を渡ると備前福田駅跡の手前から廃線跡は一般道路に転用され、田園風景の中を北へ進みます。
尚、滝山川を渡る橋梁は撤去されており、迂回しなければなりません。

  
  

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(10)そして住宅地へ入ると、主要駅だった周匝(すさい)に着きます。
駅舎やホームは撤去されていますが、貨物ホームと貨物上屋は材木店が使用していて残存しています。

  

周匝駅跡を過ぎると再び吉井川を渡りますが(第2吉井川橋梁)、こちらは歩行者自転車用の「ゆうかはし」に架け替えられています。

  
  

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(11)吉井川を渡り終えると左へカーブしながら走っていましたが、美作飯岡駅跡にはホームが残存しています。

  
  

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(12)美作飯岡駅を過ぎると、廃線跡は私有地に転用されていたりして、自転車では辿れなくなります。
そのまま山麓を走り、墓地のある場所は陸橋で走っていたと思われます。橋台が残っています。

  

その後は吉井川に沿って走りますが、廃線跡は2車線道路に転用されています。
そして吉井川から離れると農村部を走り、吉ヶ原駅跡に到着します。

  
  

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(13)吉ヶ原駅跡は「柵原ふれあい鉱山公園」として整備され、駅舎が残されています。

  
  

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(13)また、線路や車両も残されていて、現役当時を彷彿とさせてくれます。

  

吉ヶ原駅跡を過ぎると、しばらくレールが残されている区間があります。この区間では毎月第1日曜日に展示運転が行われています。

  
  

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(14)その先では、廃線跡は道路転用されずに築堤などが残存していますが、一部撤去されています。
写真の場所ではバラストが残っています。

  
  

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(15)そして山間部を進むと、道路をオーバーパスして柵原(やなはら)駅跡に着きます。
道路を跨ぐ地点には橋台が残っています。

  
  

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(16)柵原駅跡にて(敷地外より撮影)。
2007年の時点で、駅跡にはホームが残存していました。駅舎は2004年に撤去されました。
柵原鉱山の老朽化などに伴い現在も保全工事が続けられているようで、現役当時の面影が現在も残っているかどうかは定かではありません。

  

  
廃線跡探訪の注意点  

今回の廃線跡は距離が25.8kmと徒歩では長過ぎ、自転車でも長距離の部類に入ります。自転車でも往復で6時間、半日は見ておいた方がよく、レンタサイクルの営業時間を考慮した行程を組み立てる必要があります。鉄道でのアクセスは山陽本線の和気駅のみです。また、2007年現在では和気駅北口東方の駐車場でレンタサイクル貸出(有料)をしていましたが、今は分かりません(要確認)。また、和気~周匝では代替バス「備前片上バス」が運転されていて、出発地へ戻る時や目的地からスタートする場合、途中リタイア時に使えます。但し、本数が少なく(平日5往復、土曜2往復)、日祝や年末年始は全便運休なので、事前に確認を。和気駅に乗り入れるバスも1本のみで、他の便は少し離れた場所に発着するので要注意です。さらに周匝~柵原では「柵原病院~周匝連絡バス」が運転されていますが、こちらも平日3往復、土曜2往復、休日運休なので注意が必要です。

  

廃線跡は一部を除いて『片鉄ロマン街道』の愛称が付けられたサイクリングロード(岡山県道703号備前柵原自転車道線)として道路転用されていて、ほぼ迷うことなく廃線跡を辿れます。但し、遺構はそのまま残されているのですが数が少ないので、廃墟マニアの方々にはつまらないかもしれませんが…。

  

食料・飲料についてですが、和気駅付近と福田駅跡付近にコンビニが、和気駅付近と周匝駅跡付近にはスーパーがありますが、その他の場所には何もないので事前に和気駅付近で購入することを強くお勧めいたします。

  

皆様もサイクリングがてら廃線跡探訪されてみてはいかがでしょうか?

   

   

接続路線   

接続駅   接続路線  
和気駅   同和鉱業片上鉄道の廃線跡(片上~和気。1991年廃止)  
和気駅   JR西日本:山陽本線 (和気駅)       
  
(参考:Wikipedia)