「きっこさんも私も怒っている」
私が住んでいる地域は、多摩川の河川敷に近く、
都心からは離れていて、少し不便なところです。
建物は、低層に限られている地域が多く、
とても見晴らしが良く、東京とは思えないところです。
きっこさんも近くに住んでいるらしいですが、
あることが起こって、日記で、怒っていました。
今度、東急不動産が
という高層マンションを二子玉川に建設することになり、
地元住民から、大ヒンシュクをかっているのです。
私も正直唖然としました。
都心だと分かるのですが、
この地域の価値というのは、高層ビルのない、
圧迫感がない広々とした開放感なのに、
その価値を否定するような建物を建てるとは
どういう神経をしているのでしょうか?
近くにセントメリーというインターナショナルスクールがあって、
その回りの住宅や建物が、とても良い雰囲気を作っています。
それに、共鳴するような形で、
低層のオシャレな住宅、マンションが点在しているのです。
まだまだ農地も多く、私のマンションの裏は畑です。
私は15年前に都心から、この地域に引っ越してきましたが、
その理由というのが、この田舎的開放感だったのです。
しかし、この高層マンションを計画した時期が悪かったと思います。
土地が最高値のときに買収して、
これから建設が始まろうというのに、
鉄をはじめ、建築資材は天井知らずで高騰しています。
ガソリンもそうです。
このコストをどう、反映していくのでしょうか?
今にもリセッションに入りそうだと言うのに?
悪材料のオンパレードです。
不動産の広告としては、異例のお金のかけかたに、
東急不動産のあせりを見てしまいます。
ばちが当たったのです。
神様は悪事を見逃しません。
「東急不動産は直ちに建設を中止しなさい!」
と天の声が響き渡っているのです。
「BMWとマーフィーの法則」
1980年頃に、世話になっていたオートバイ屋の親父から
おれのBMWを買わねーか?と言われました。
BMWのR100RSという、例えようも無いほど美しい、芸術品のような、
モーターサイクル(オートバイ)でした。
購入してすぐで、新品同様だったので、即購入しました。
価格も友達価格で、破格でした。
で、
ある日、青山通りを走っていたら、
うしろからすごいクラクションの音がしました。
振り向くと、ドイツ(当時は西ドイツ)の旗をたなびかせた
ドイツ大使館のメルセデスベンツから、ドイツ人が2人、窓から身を乗り出して
ピースサインを出しています。
こちらも、とりあえず、わけもわからないまま、ピースサインを返しました。
おそらく、オートバイ王国の日本でBMWのオートバイが走っている事に感動したのでしょう。
まだBMWジャパンもなかったころです。
当時はハーレーもBMWも、品川のバルコムトレーディングという個人業者が輸入していました。
メルセデスベンツはヤナセが細々と、しかし着実に販売を伸ばしていた頃です。
このオートバイは、ドイツ製でしたが、半分ラテン系でした。
どうしても、堅物のドイツ人が作った製品だとは思えませんでした。
「いったいどういう奴が作っているのだろう?」
私の好奇心は募るばかりでした。
マーフィーの法則ではありませんが、「想念は具現化する」ものです。
BMWジャパンの仕事で、
発売前のロードスター(四輪)の撮影で、
アメリカ合衆国、サウスカロライナのBMWの工場に行くことになりました。
死ぬほど飛行機を乗り継いで、夜遅く、ホテルに到着すると
そこには、ミュンヘン本社から来たBMWの重役連中と、
先に到着した他国の取材チームが待ち構えていました。
こちらは眠くて死にそうなのに、派手なパーティーが始まりました。
新車の取材撮影前夜だというのに、
車の話題は一切なし、
重役連中は、皆、「仕事でアメリカに来れてラッキー!」
という感じで、バカンスとか趣味の話ばかり。
私がBMWのモーターサイクルに乗っていると分かると、
ある重役は感激のあまり
「君は兄弟だ」と叫んで、私にキスしました。
女性の重役の指輪を褒めたら、
「これは、わたしのご先祖の貴族が身に付けていたものよ!あなた見る目があるわ!チュッ!」
と、
また、キスをされました。
そして、
そのドンちゃん騒ぎは未明まで続いたのです。
次の日の試乗は、皆酔っ払い運転でした。
生きて帰ったのが不思議です。
私は思いました。
「こいつらはゲルマンではない!半分ラティーノだ!」
企業文化というのは不思議なものだと思います。
いくらマーケティングや戦略でイメージを一新しようとしても、素性は隠せません。
素性は、隠そうとしても製品に反映されます。
楽しくハッピーな人々が作る製品は、ハッピーさを発散しています。
BMWが、いくらクールさを装って、すましてみても、
わくわくする楽しさや感動を発散している理由、
そして、マニアから愛される理由、
それが、とてもよく分かった旅でした。
謎は解明されたのでした。
同じドイツのメーカーでも
BMWはメルセデスとはベクトルの違う、対極にあるメーカーです。
「ビジネスの手腕」
日本人は、「商売」が、世界的に見て、びりに近いほど
下手だと言われています。いや、そういう評価を受けています。
島国で、民族の移動にさらされなかったので、それは仕方ないところもあります。
アラブも中央アジアも中国も、ヨーロッパも、いろんな価値観、考え方の人種が入り混じって、
騙し騙されの修羅場をくぐって来ているので、
鍛えられ方が違うのでしょう。
ユダヤ人(ユダヤ教徒)の世界では、
「旧約聖書から、生きていくうえで必要な知恵を抜粋した教科書」とも言える
「タルムート」を、子供の頃に無理やり暗記させるそうです。
そうすると、
人生で、商売を含めいろんな危機に遭遇したときに、
その一節がふと頭をよぎって、
それによって危機を脱したり成功への糸口を見つけることが多いそうです。
これは、ニューヨークでラビ(ユダヤ教の坊さん)に聞いた話です。
ユダヤ人の実業家で、「タルムート」を読んだことがない人は
皆無でしょう。
具体的な、ビジネス手腕というのは、もっと現実的なものでしょうが、
そのバックボーンに、
4000年にわたる旧約聖書の知恵があることに驚きます。
それをしたたかにデータベース化して、子供の頭にインプットしてしまう知恵に
感心してしまいます。
イスラムの世界も同じです。
最近イスラム金融が話題を集めていますが、
何の商売にしろ、彼らの行動様式の根本は、コーランです。
日本はどうでしょうか。
以前はそれがあったと思います。
儒教的な宗教観です。
儒教的な考えで世の中に尽くすという考え方の
企業家が大勢いたように思います。
著名な企業家では松下幸之助がそうでしょう。
私はビジネスの根底にあってもっとも強力なもの、
それは信じきれるパワーだと思います。
具体的に言うと宗教、もしくは宗教的な考え方でしょう。
世界に通用するような新しいビジネスモデルが
ほとんど登場しないような現在の日本の状況は
当然と言えば当然の帰結かもしれません。
旧約聖書の箴言集(Proverb)に
「7つの知恵の柱」(Seven Pillars of Wisdom)
という一節がありますが、
その件は、おどろくほど儒教的な世界観と共通しています。
具体例として示されている人間の行動は、
昨日、書かれたのではないのか?と思うほどリアルです。
人間のやっている事は4000年前も今も変わっていないと思います。
だから、宗教や儒教に示される教えは
民族宗教を超えて我々に同じことを訴えかけていると思います。
そこから学ぶことが
ビジネスでの本当の成功の秘訣なのかもしれません。