沖縄の名前の由来と歴史 | あなたの知らない沖繩と琉球舞踊

あなたの知らない沖繩と琉球舞踊

観光や日常生活では気づかない知っているようで知らない沖繩や琉球の歴史や文化、華やかな琉球舞踊の事を徒然と書いていきます。

 

 われわれは、われわれの歴史のなかにわれわれの未来の秘密が横たはつてゐるといふことを本能的に知る。  岡倉天心 「東洋の理想」

 

 

日本人と名前


名前は人間だからこそ持っているものです。それこそ紐解けば名前を人類が使用していた形跡は有史以前まで遡るとも言われています。

日本では「氏+名」という形式になっていますが、外国ではこの形式以外も多くあるそうです。

例えば、欧米では「個人の名」 + 「家族集団を示す名」 によって構成されます。順序も色々とあるようです。他にも、イスラム文化圏のように 「本人の個人の名」 + 「父親の個人の名」 という形式もあります。このうち 「個人の名」 は、必ずしも一語ではないそうです。欧米の名前でも、国・地域によって、色々な名前の構成パターンがあるそうです。

具体例でいくと一つ目の 「個人の名」 を英語ではファーストネーム、二つ目以降の 「個人の名」 をミドルネームと言ったりします。

いづれにしても名前により私達は存在し、また後世に脈々と続く流れがあります。
 


日本の名前の特徴


『名前と人間』(田中克彦著、岩波書店)という本には下記のような記述があります。

 


日本人の名をとってみても、多くのばあい男であるか女であるかがわかるようになっており(それは、ことば自体の要求ではなくて、そのように名づけるよう社会的に要求されているから)、時には生まれた年代すらも推定でき、専門家がその気になってせんさくすれば、その人の家系や出身地すらもが浮かびあがってくることもある。これをある面から言えば、固有名詞が帯びる特有の差別性ということになろう。つまり固有名詞をつけること自体が差別的行為と言わざるを得ないだろう。さらに固有名詞を『ことば』というふうに置きかえてみると、差別はまさにことばから生まれてくるのだということになる

 


どうやら、日本の名前も社会の中の必要性や要求の中から育まれてきたようです。

若い方は意外に思うかもしれませんが、日本は近代まで名字を自由に名乗る事が出来ませんでした。時代をさかのぼること約140年前。明治時代のはじめになりやっと普通に名乗れるようになりました。

明治政府は、明治3年に「平民名字許可令」、明治8年に「平民苗字必称義務令」という法律を作っています。

この法律により「すべての国民は名字を名乗らなければならない」という国民への義務になりました。明治になりやっと現在のように誰でも名字を名乗れるようになったわけです。

それ以前の江戸時代は庶民にも名字はあるにはあったが、名乗ることが出来るのは一部の位の高い人たちだけでした。

 


それよりもっと古い時代はと言いますと飛鳥時代から平安時代中期あたりは庶民は名字とはまた少し違う、その地名やその地の支配する一族に基づく「姓(かばね)」というものを持っていたそうです。

しかし面白いのは制度の変更や廃止等といった時代の流れとともに、その大半は忘れられていったようです。それでも8世紀前半(飛鳥時代)の文書にも数千名の名字が確認されているようです。

 



日本人に多い名前

 


いろんな経緯のある日本の名前ですが「日本人の名字ランキング」というサイトによるベスト10は以下の通りです。

 

資料引用元:「日本人の名字ランキング」

 

 

資料引用元:「日本人の名字ランキング」

 

 

 

資料引用元:「日本人の名字ランキング」

 

 

 

ちなみに、全国で栄えあるナンバー1をとった佐藤さんのルーツは下記のとおりです。

 


佐藤氏は藤原氏の一族が、藤原氏の「藤」と、「佐」をつなげて名乗ったのが始まり。
この「佐」には、職名の左衛門尉や、地名の佐渡、下野国佐野など、いくつかの由来があるが、いずれにしても、藤原氏の一族が自らの職名や地名をもとにして名乗ったものだ。
それらの中では、平安時代後期に左衛門尉となった藤原公清が、役職の左衛門尉の「左」ににんべんを付けた「佐」を使って「佐藤」と名乗った佐藤一族が本家とされている。
平安末期に佐藤本家の当主だった義清は朝廷に仕えていたが、のちに武士を捨てて出家し歌人西行となったことから、以後佐藤本家は凋落した。
現在では東日本に多く、東北に集中している。なかでも、秋田県では県人口の8%近くを占めるなど非常に多い。
  資料引用元:「日本人の名字ランキング」




沖縄での名前の歴史と由来


沖縄にはおよそ1,500種類の名字があるそうです。でも沖縄の人が名字を普通に持てるようになったのは明治維新の後からです。具体的にはうになったのは明治維新の後となる1872年の「琉球処分」からです。

ちなみに琉球処分とは

 

明治政府のもとでなされた沖縄に対する強行的な廃藩置県の事です。日本政府は,明治5 (1872) 年に琉球国を廃して琉球藩とし,中央政府の管轄としました。 1875年には内務官僚松田道之を処分官として琉球に派遣し,中国との関係を廃絶することを要求するなど,政府の処分の方針を伝えました。政府のこの措置に対しては,地元の士族層を中心とする反対運動もありましたが,政府は軍隊と警官を差向けてそれを押え,79年3月,琉球藩を廃し,沖縄県を設置する旨通告しました。旧国王は東京移住を命じられ,ここに琉球王国は約 500年にわたる歴史を閉じて,日本の一県として措定されたのです。これが琉球処分です。 (資料引用:ブリタニカ国際大百科事典 )

 

写真引用元:©OCVB

 


沖縄の名字の特徴その1:城という字が入る事が多い


これは城(ぐすく)という城や城跡が昔からたくさんあった事に関係していると言われています。沖縄ではメジャーな「大城」「金城」「玉城」「新城」「山城」「城間」などの名字には「城」という文字が含まれています。

沖縄には古くから地域を治める按司(あんじ・あじ)という役職があり、小さいながらも城(ぐすく)を築いてました。ですから城は多くあったのです。
城を中心に住民がコミュニティを築きますので例えば名字を名乗る時に○城の地域に住んでいるので、○城の太郎さんとする・・・こんな塩梅です。

似た考え方で「城間」という沖縄の名字も城と城の間にある地域なので「城間」というのです。城は身近なシンボリックリンクなものなので名字の元になったのです。

 

 


写真引用元:©OCVB

 

 

 

沖縄の名字の特徴その2:三文字の名字

 

 


沖縄独特の名字とは別に日本本土にある名字に音が同じなのに字が違うというパターンも沖縄ではよくみられます。

一例として

「前田」→「真栄田」
「中曽根」→「仲宗根」
「福原」→「普久原」
「横田」→「与古田」
「船越」→「富名腰」


があります。
これは、1609年、薩摩藩島津氏が琉球を侵攻した歴史が関係しています。島津氏は沖縄を征服しました。そして、琉球を外国のように見せるために日本風の名字は変えるか当て字などで三文字に変えさせられたのです。中央幕府には“外国を支配した”と薩摩藩の影響力を誇示する目的もあったのです。
 

 

沖縄の名字の特徴その3:地名から来る名字


沖縄はご存知のとおり本土とは違う地名も多いです。その地名がそのまま名字になるケースも多いです。

たくさんあるのですが一例として

仲村渠(なかんだかり)
我那覇(がなは)
喜屋武(きゃん)
東江 (あがりえ)
渡嘉敷(とかしき)
安慶名(あげな)
浦添 (うらそえ)
宜野座(ぎのざ)


これらの地名から派生した名字が沖縄の独特さを際立たせているように思います。
 

 

沖縄の名字と琉球舞踊


知り合いに「鳩間」さんという方がいました。この名字は沖縄でも、けっして多い名字ではありません。それだけに記憶に残っています。

ルーツは八重山の鳩間島にあると思います。面積は0.96kmという小さな島なのですが旧暦6月に3日間に渡っての豊年祭や毎年5月3日に行われる「鳩間島音楽祭」の時には、たくさんの人が訪れるそうです。

そして鳩間島には「鳩間節」という琉球舞踊の名作があります。この作品は伊良波尹吉氏により、元曲「鳩間中森」のテンポを早くし、日本舞踊などの手を入れて創られた踊り。鳩間島の美しさと、五穀豊穣を予祝した歌詞で、村人の喜びを軽快に表現した作品。です。


  
■鳩間節■

鳩間中岡 走り登り
ササユイサ
クバの下に 走り登る
ハイヤヨーティバカイダーキ
ティトゥーユルデンヨ
マサティーミグトゥ

美しゃ盛りたる 岡のクバ
ササユイサ
美らさ連りたる頂のクバ
ハイヤヨーティバカイダーキ
ティトゥーユルデンヨ
マサティーミグトゥ

いーなふイオつイんつきうむしろや
ササユイサ
あわんつイーんつきうむしろや
ハイヤヨーティバカイダーキ
ティトゥーユルデンヨ
マサティーミグトゥ

前ぬ渡ぬ 見渡しば
ササユイサ
でふねりりーふねさでいみぐと
ハイヤヨーティバカイダーキ
ティトゥーユルデンヨ
マサティーミグトゥ





沖縄の名前も琉球舞踊も綿々と流れる沖縄の歴史の中に存在しています。沖縄なくしては存在しえなかったのです。慈しみ、大切にして次世代にバトンタッチしていく事が私たちの責務かもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

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