非日常的日常ブログ -8ページ目

非日常的日常ブログ

日々過ごしていく中であった出来事や、なかった出来事、夢で見た出来事などを淡々と綴ったり、綴らなかったりしていきます。

神社の境内だろうか。
見慣れない小さな建物の中に数人の参列者の男女と自分がいた。
なぜここにいるのかまるで覚えていない。
一部屋しかない簡素な建物は、言われてみれば確かに小さな神社のようだった。

ふと正面の庭に目をやると、信じられない光景が広がっていた。
雅やかな装束をまとった日本の神々が、ゆっくりとこちらへ近づいてくるではないか。
天之御中主、天照大御神、須佐之男命、大国主命、見覚えのある神々が勢揃いしている。
彼らは庭の中央に立つと、厳かな面持ちで祝詞を唱え始めた。


神聖な儀式を邪魔してはならない。
そう思った僕はそっと後ろの障子に手をかけ、静かに閉め切った。
外から見えないように念のためにもう一枚重ねる。
御神事だ。
邪魔は禁物だ。
正面に目を戻すと、参列者たちが正座をして祝詞に聞き入っている。
僕は彼らの列の一番右端にそっと加わった。

その瞬間だった。
正面にいた神々のうちの一柱がこちらを見た。
目が合った、と思った次の瞬間、その神は一瞬、ほんの少しだけ驚いたように見開いた目をした。

しかしすぐにその表情は崩れ、ニヤリとどこか愉快そうな笑みに変わった。


他の神々は祝詞に集中しているようで、その変化に気づいていない。
僕は神の意図が読めず、戸惑いを覚えた。

やがて祝詞が終わり、神々は静かに、来た時と同じように庭から去っていった。建物の中には祝詞の余韻のような静けさが残った。
「さあ、お昼にしましょうか」
誰かがそう言って、立ち上がった。
どうやらこれからみんなで食堂へ食事に行くらしい。

僕も立ち上がり、皆に続いて出口へ向かおうとした時、ふと頭に何か違和感を覚えた。
なんだろう、この妙な重さは。
無意識に頭に手をやると、そこには信じられない感触があった。
硬くて、丸みを帯びていて、そして……妙な突起がある。
まさか、と思いながらそれを少しずらして見て、僕は愕然とした。
それは紛れもなくち◯ち◯の形をした被り物だった。
鮮やかなピンク色で、つぶらな瞳のような飾りが二つ、先端には小さな鈴までついている。
なぜこんなものを自分が被っているのか、全く見当もつかない。

しかしその瞬間、さっき神様が見せた一瞬の驚きと、その後のニヤニヤ顔の意味が、雷に打たれたように理解できた。
御神事の最中、なんと不謹慎な姿を晒してしまったのか。
冷や汗が背中を伝う。


食堂へ行く前に、この恥ずかしい被り物を脱ぐべきだろうか。
しかし、もし誰かに見られたら……。
いや、もうすでに神様に見られているのだ。
今更隠したところで意味がないかもしれない。

ぐるぐると頭の中で葛藤が渦巻く。
食堂の入り口が、すぐそこに見えていた。
僕はち◯ち◯の被り物を頭に乗せたまま、重い足取りで一歩を踏み出した。

皆さん、こんばんは。今日も一日、お疲れ様です。

今日はですね、ちょっと不思議な体験をしたので、備忘録も兼ねてブログに書き残しておこうと思います。

事の発端は、気まぐれで訪れた阪神パークでの話。

休日ということもあって結構な賑わいを見せていました。
園内をぶらぶらと歩いていたんですが、ショートカットのような細い道を進んだんです。
するとそれが本通路に合流していて、もうすぐ出口という場所に出ました。

…で、ここからが今日の странность (ストラノスチ:ロシア語で「奇妙さ」)。

気が付くと、なんと片足しか靴を履いてなかったったんですよ。

「え、マジで?」って声に出してしまいましたよね。
周りの人も「ん?」みたいな顔をしてた気がします。
冷静に記憶を辿ってみると、阪神パークの中でどこかのタイミングで靴を脱いだような…全く覚えてないんですけどね!

とりあえず、このままではまずいので、最寄りの駅まで歩くことにしました。
アスファルトの感触が、なんとも言えない気持ちにさせてくれます。
しばらく歩いていると、ふと「さっきの場所から反対方向に行けば、一つ前の駅の方が近かったんじゃないか?」という考えが頭をよぎりました。
しかしもう結構な距離を歩いてしまったので、今更引き返すのも遠回りだろうと思いそのまま進むことに。

その時、ふとズボンのポケットに何やら小さな機械が入っていることに気が付きました。

取り出してみると、どうやら阪神パーク内で使っていた機械のようです。

返却するのをすっかり忘れていました。
一瞬、「阪神パークに電話して落とし物がないか聞いてみようか」とも思ったんですが、どうせこの機械は返しに行かないといけない。

だったら直接行った方が早いだろう、と結論付けました。



高架の広い道路の右側歩道を歩いていると、少し先に下へ降りる階段のようなものが見えました。
「あれを下りれば、駅の近くだな」と考え、迷わず階段へ。

しかしその階段がまた今どき珍しい。
なんと、プラスチック板でできているんです。
しかもかなり脆そう。
体重をかけすぎないように慎重に一段一段降りていきました。

階段を下りるとそこはちょっとしたコーナーになっていて、なんだかお店のような雰囲気でした。
失礼ながらあまり売れなさそうな物を売っていて、お店のオーナーらしき外国人のおじいさんが、若い女の子と楽しそうに話していました。

ふと反対側に目をやると、そこはもう駅の改札口だったんです。
前の人に続いて改札口を通った瞬間、「あっ!」と声が出そうになりました。
お金を払ってない!
改札口は開きっぱなしでそのまま入れてしまいそうでしたが、到着駅で困るのは目に見えています。
ここは潔く、もう一度改札口を出ることにしました。

改札口の機械は、直接お金を入れるタイプでした。
横の窓口から、駅員の男の人がこちらをじっと見ています。なんだか気まずい…。
目的地までの料金は720円。ポケットを探ると、220円はすぐに見つかったので投入しました。
さらにポケットをまさぐると、五百円玉の感触が。
これだ!と思って取り出して投入したんですが…。
その五百円玉がなんだか粉のようなものが付着しているのか、真っ白なんです!
「ん?なんだこれ?」と思ったのも束の間、もう機械に吸い込まれていきました。
後の祭りです。

すると、後ろに並んでいた大阪のおばちゃんが、「そら、あかんわ」と一言。
やっぱり受け付けないようです。
機械はエラー音を発しています。
慌ててポケットの中に綺麗な五百円玉がないか探しましたが、見つかりません。その間にも親切なおばちゃんが代わりに料金を投入してくれようとしています。
が、返却口からお金がジャラジャラと出てきました。
なんと、おばちゃんは五百円玉ではなく、小銭をいっぱい入れてくれたようです。
ありがたいけど、ちょっと予想外の展開。

その小銭の中からまず自分の出した220円を取り出し、それからおばちゃんが入れてくれた小銭の中から五百円分を抜き出して、無事に料金を支払うことができましだ。

おばちゃん、本当にありがとうございました!

なんとかホームに辿り着き電車を待っていると、乗る予定の電車がホームに入ってきました。
電車はピッタリ乗車位置の前に停車し私の目の前のドアが開きました。
知らなかったのですが、電車の入口が想像していたよりも少し高い位置にあるんですね。
一段、よじ登るような感じでした。
私はひと思いにジャンプして乗り込みました。
乗り込んだ勢いで反対向きになろうとしたら、よろけて転びそうになりました。
恥ずかしい……

…と、まあ、今日はこんな感じで、靴が片足だったり、白い五百円玉に遭遇したり、ちょっとした冒険のような一日でした。


この歳にもなると、なかなかこんな珍しい体験はしないものです。
これもまた、人生のスパイスってやつでしょうか。
それでは、今日はこの辺で。
皆さんも、くれぐれも靴を脱ぎっぱなしにはご注意ください(笑)。
おやすみなさい。
青空が広がる夏の日、私は仲のよい友人5人と共にハイキングに出かけた。
目的地は山の中腹にある古い展望施設。

私たちは笑い声を交わしながら進んでいくが、突然目の前に現れたのは砂の崖のような急な登り坂だった。


みんなはその坂を一気に駆け上がっていくが、私はといえば、スマホでルートを確認していたため、みんなに出遅れてしまった。

調べ終わって顔を上げると、他の人たちはもうかなり上の方にいた。

私は友人たちに追いつこうと、やや急ぎ足で坂を登り始めた。


砂が靴にまとわりつく。
一歩進むごとに半分滑り落ちる。
やっとの思いで顔を上げると、サキが少し遅れている。右肩を押さえ、顔をしかめながら登っているのが見えた。

その時、どこからか「もうだめ〜!」という間の抜けた声が。

見れば、坂の上の方から年配の女性が、頭を下にしてゆっくりと仰向けになって滑り落ちてきた。

後ろから小さな男の子が「ばあちゃん、待って〜」と追いかけてくる。
思わず笑いそうになったが、サキの様子が気になった。

「大丈夫?」
私は追いついて声をかけた。
サキは苦笑いしながら、「うん、よくあるの」と答えた。
右肩を軽くさすっている。
どうやらまた痛めたらしい。
彼女は昔から肩を脱臼しやすい体質だと、前に話していたっけ。

彼女と共に何とか坂を登りきると、みんなが待っている広場にたどり着いた。
しばらく休憩した後、私たちは広場に隣接する古い施設を見学することに。

興味深い展示物よりも彼女のことが気にかかる。


砂の感触と彼女の痛みが、今日の記憶として心に刻まれた。

肩を痛めながらも笑顔を絶やさない彼女の強さが、砂のようにザラザラと、でも確かに残った。

まるでこの坂を登りきった証のように。


施設の見学は思いのほか穏やかな時間だった。
ユキとミホはパンフレットを手に熱心に読み、アヤはチカと何か冗談を言い合って笑い声を響かせていた。
施設の中はひんやりとして、外の熱気を忘れさせてくれた。
古びた展示ケースの中には、この土地の歴史を物語る品々が並んでいる。

しかし、私の目はどうしてもサキを追ってしまう。


彼女は展示物を熱心に見ている。
時折、顔をしかめながら右肩をさする。
それでも隣にいる友人と楽しそうに話している姿は、痛みを微塵も感じさせない。

昼食時、広場に戻ってレジャーシートを広げ、それぞれが持ち寄ったお弁当を食べることにした。

彼女はおにぎりをつかむのも辛そうだったが、誰にも気づかれないようにゆっくりと手を動かしていた。


食事が終わり休憩していると、彼女が突然立ち上がった。
「ちょっと、あっちまで行ってくるね」
彼女が指したのは、広場の端にある小さな展望台だった。
少し離れた場所にあるため、他のメンバーは特に気に留めずに談笑を続けている。

私は彼女のことが気になり、少し遅れて展望台へと向かった。
展望台からは先ほど登った砂の坂と、その先に広がる景色が一望できた。
彼女は柵に寄りかかり、目を閉じて深呼吸をしている。
「きれいだね」
そう言って、彼女はゆっくりと目を開けた。
その目はどこか遠くを見つめているようだった。

「ねえ、知ってる? この場所には昔、海賊が隠した財宝が眠ってるって言い伝えがあるんだって」
彼女は、少しいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「財宝、か…」
「うん。でも本当の財宝はきっとこの景色の中に隠されているんだと思うんだ」
彼女はそう言って、再び目を閉じた。

その時、私はふと思った。
彼女の肩の痛みは過去の傷跡なのかもしれない。
それでも、彼女は前を向いて今を生きている。
そしてその強さこそが、彼女にとっての財宝なのだろう。

夕暮れ時、私たちはそれぞれの家路についた。
帰りの車の中で私は今日の出来事を振り返る。

砂の坂、滑り落ちてきた女性、そしてサキのあの言葉。



あの日のハイキングはただのレクリエーションではなかった。

砂の感触とサキの痛みが私の心に深く刻まれた。


肩を痛めながらも笑顔を絶やさない彼女の強さが、砂のようにザラザラと、でも確かに残った。

そして私は気づいた。
真の宝物は遠い場所に眠っているのではなく、日常の中に、そして人の心の中にこそ隠されているのだと。
まるであの坂を登りきった証のように。
彼女の肩の痛みはいつか癒えるだろう。
そしてその時、彼女はきっと今よりももっと輝いているだろう。
初夏の陽射しがビルのガラスに反射し、眩い輝きを放っていた。
僕たち四人はそのビルのエレベーターに乗り込んでいた。
目的地は7階にあるはずのプール。
だがその位置は曖昧で、検査が行われているかどうかも不確かだった。

エレベーターのドアが7階で開くと、一緒に乗っていたつよぴーが「プールは端の方にあった」と、自信満々に言いながら先頭を切ってスタスタと歩いていった。
彼の言葉を信じてついて行くと、小さなプールがある場所に着いた。
でも検査をするにはどう見てもスペースが足りないようだ。

途方に暮れてエレベーターに戻る。

エレベーターが1階に止まると、つよぴーがなぜか一人でさっさと降りてしまった。

彼が外に出るとドアは無情にも閉まったが、僕は慌てず”開”と書かれたボタンを押した。
彼は待ちかまえていたかのようにするりと乗り込んできた。
その瞬間、つよぴーの服装がどこかジョン・トラボルタのように見えたのは気のせいだろうか。

エレベーターの案内板には6階や8階にも小さなプールがあると書かれていたが、僕たちの探しているものとは違うようだった。
再び7階で降りてみると、さっきとは反対側に長い列ができていた。
プールの利用を待つ人々だ。

つよぴーが「チケット持ってる人はこっちや」と言って列を飛ばした前方に歩いていく。
前方に機械があって何人かの人が機械で認証してる。
順番が来て、つよぴーが手際よくカードを機械で認証する。

次は僕の番でまずカードを認証させて、その後お金(お札)をビニール製の吸引袋に差し込む。

が、うまくいかずにお札が詰まる。
まわりの人が助けてくれて一枚ずつ入れるとうまくいった。

流れるプールに入ると、つよぴーはもう先に行っていた。
すぐ目の前にミホさんともう一人の女性がいたので、軽く挨拶を交わす。
少し先に進むとつよぴーが待っていてくれた。
さっきミホさんに会ったと言うと「ああ、あの冷たい…」と返ってきた。
どうやら別の人を思い浮かべているようだった。

流れるプールを終え、建物の中へ。

大勢の人で賑わう場所を抜けると、そこは日が暮れ始めた野外空間だった。

所々にシャワーが設置されているが、尋常ではない勢いで水が噴き出している。
若者たちが「バチバチ祭りや!」と叫びながら駆けていく。

恐る恐るシャワーを浴びてみる。
確かに、これはバチバチだ。
そこかしこで、「バチバチ、バチバチ」と叫ぶ声が響き渡る。
奇妙な熱気に包まれながら、俺はただ水圧に耐えるのだった。
今日の検査は一体何だったのだろうか。


バチバチ祭りの狂騒が収まるのを待って、俺は震える体でシャワーから逃げ出した。
タオルで体を拭きながら、ふと、今回の検査の目的を思い出す。
確か健康診断の一環で、体組成の検査を受けるはずだった。
しかしここまでで、体組成どころか健康とは真逆の体験をしている気がする。

つよぴーはどこに行ったのか。

あたりを見回すと、野外スペースの隅でジョン・トラボルタ風の衣装を身につけたまま、子供たちと一緒になってシャワーの水しぶきを浴びている。

つよぴーは相変わらずの調子で、子供たちから派手な格好について突っ込まれると、「今日は特別さ」と得意気に笑い飛ばしていた。

「つよぴー、そろそろ行かないと。」
声をかけると、つよぴーは満面の笑みでこちらを振り返った。
「最高やん!このバチバチ!」

どうやら、今日の健康診断はこのバチバチ祭りで終わりらしい。
諦めた俺はつよぴーに連れられ、もう一度シャワーの前に立った。
水圧に耐えながらふと思った。
これが現代社会の健康診断なのかもしれない。
ストレス社会で疲弊した心身を容赦ない水圧で叩き起こし、アドレナリンを分泌させることで一時的に活力を与える。
そしてバチバチと叫ぶことで日頃の鬱憤を晴らす。
そう考えるとこのバチバチ祭りもあながち的外れではないのかもしれない。
俺もつられて「バチバチ!」と叫んでみた。
心なしか体が軽くなった気がする。

結局、体組成の検査は受けられなかった。
しかしなぜか清々しい気持ちで、俺とつよぴーはバチバチ祭りの会場を後にした。
エレベーターで1階へ向かう途中、つよぴーが言った。

「なあ、また来ようぜ、バチバチ祭りに」

俺は、笑って頷いた。

そして、心の中で呟いた。


次こそは、体組成を測ってやる。

そして、バチバチ祭りにも参加してやる。

去年の夏の話。

夏の終わり、テリーと近所の誰もいない浜辺に行った。
二人で砂の上に寝そべって海からの風にあたる。
じっとりした空気が少しだけマシになる感じだ。

何気なく持ってた花火が急に燃え出した。
左前の方に白い光が走る。
テリーと二人で青い空に咲いたほんの小さな火花を見てた。
そしたら海の中にいた人たちが慌てて浜辺に上がってくる。

テリーは俺の横顔を見ながら話しかけてるから騒ぎには気付いてない。


「帰ろうか」
そう言ったら、テリーは黙って頷いた

浜辺を出て、土の道を歩き出す。
ブラジル人っぽい少年が何か探してるみたいに地面を見てる。
俺はテリーを置いて先に歩く。
後ろから聞こえる足音はあの少年とコロンボみたいな刑事の二人分だ



古びたアパートの一室。
テリーと見知らぬ二人と俺。

喉が渇いたから蛇口をひねると薄いピンク色の水が出てきた。



誰かが確認するために部屋を出て行った。
数分待つ。
水は徐々に透明になっていく。
まるでさっきまでの不可思議な出来事が少しずつ薄れていくみたいに。

水が透明になった頃、さっきの男が帰ってきた。
少し安心した顔をしてる。
「上の階の配管から染料が漏れてたみたいです」
説明を聞いて俺たちは納得した。
でもテリーの目が何か言いたげに揺れてる。
「あのさ」
テリーが言った。
「さっきの花火のこと、謝らなきゃいけないと思って」

その時、ドアをノックする音がした。
開けてみるとさっきの刑事と少年が立ってる。
刑事は皺だらけのコートの襟を正して、ゆっくりと口を開いた。
「すみません、ちょっと確認したいことが」
テリーの肩が小さく震えた。
「実は、海岸で不審な光が目撃されて。
この少年が証言してくれたんですが…」
「あの、それは」
俺が口を挟もうとした瞬間、テリーが一歩前に出た。
「私です。私が誤って花火を」
刑事は意外そうな顔をしたけど、すぐに穏やかな微笑みを浮かべた。
「正直に話してくれてありがとうございます。
実はその花火が原因で、上階の染料工房に小さな火災があったんです。
幸い大事には至りませんでしたが」
俺たちは唖然とした。
ピンク色の水の謎がこんな形で解けるなんて。

「損害については、私が責任を」
テリーが申し出ると、刑事は首を振った。
「工房の主人が事故を機に長年の配管の不備に気付けたと。
むしろ感謝したいそうです」

帰り際に少年は満面の笑みを浮かべながら手を振ってくれた。





夜も更けた頃、テリーと俺は再び浜辺に立っていた。
「ね」
テリーが呟いた。
「人生ってピンク色の水みたいだよね。
最初は訳が分からないけど、時間が経てば自然と透明になっていく」

俺は黙って頷いた。
潮風が俺たちの髪を優しく撫でていった。
春の陽光が降り注ぎ、いつものんびりとした空気が流れる公園。
しかし今日、その平和は奇妙な形で打ち破られていた。広々とした芝生の上を二頭の堂々たるライオンが悠然と歩いている。
その間をけたたましい音を立てながら、一台の事務机が走り抜けていく。

机の上にはカーリー・ミヤーン(仮名)と、もう一人の女性が必死にしがみついていた。

振り落とされたら最後、あの黄金色の瞳を持つ獣たちの餌食になるだろう。
恐怖で喉は張り付き、額には汗が滲む。

もう一人の女性はカーリーの肩を強く握りしめ、震える手を必死に抑えていた。



されどライオンたちはそんな滑稽な光景にもさしたる興味はないようだ。

まるでそこに何もないかのように、静かに、そして堂々と、公園の主として君臨している。

彼らにとって机の上で震える人間など取るに足りない存在なのだろう。

その圧倒的な存在感だけが、カーリーの絶望を深くしていた。


どれだけ逃げてもライオンたちは、一定の距離を保って追いかけてくる。

彼らの目はまるで、カーリーの狼狽ぶりを楽しんでいるかのように遊び心に満ちている。


春の陽光が降り注ぐ公園は異様に静かだった。
桜の花びらが舞い散る中、ブランコや滑り台は古びて色あせている。
公園全体に時間が止まってしまったかのような、不自然な静けさが漂っている。
そしてライオンたちの動きにも、どこかぎこちない、作り物のような感じがする。
彼らの咆哮は聞こえず、ただ地面を擦るような低い音が聞こえるだけだ。

一緒に机にしがみついていたもう一人の女性が震える声で呟いた。
「これって…夢、なんじゃないかな?」

その言葉を聞いた瞬間、カーリーはハッ!とした。

そうだ、あまりにも現実離れしている。
ライオンが放し飼いにされている公園なんてありえない。
キャスター付きの事務机で逃げるなんて、まるで漫画の世界だ。
そう思った瞬間、周囲の景色が歪み始めた。
色あせた遊具はさらに色褪せ、春の柔らかな日差しがまぶしく感じられる。
けたたましい事務机の音も、ライオンの気配も、全てがぼやけていく。



まぶたを開けると見慣れた天井がそこにあった。
窓の外からは明るい光と、心地よい鳥のさえずりが聞こえてくる。
昨夜、けたたましい音を立てる事務机の上で、ライオンから必死に逃げていたあの恐怖はまるで幻だったかのようだ。
しかし、胸の奥には奇妙なざわめきが残っている。
あの古びた遊具が並ぶ公園の異様な静けさ、獲物を定めるライオンたちの冷たい眼差し、そして、必死にしがみついた事務机のひんやりとした感触が、まだ手のひらに残っているような気がする。
あれは本当にただの夢だったのだろうか?

ゆっくりと体を起こし、窓の外を見る。
見慣れた朝の風景が広がっていた。
隣の家の赤い屋根、電線にとまる数羽の雀、そして、かすかに聞こえる子供たちの声。
ああ、やはり夢だったのだ。

カーリーは安堵の息をついた。


急いでベッドから出て、朝の支度を始めた。
朝食の準備をし、顔を洗い、着替える。
日常のルーティンが夢の残滓を少しずつ洗い流していくようだった。
「さあ、今日も一日頑張ろう」

そう心の中で呟き、カーリーは玄関のドアを開けた。


「!」


目の前に広がった光景に、カーリーの足は完全に凍り付いた。

昨夜の夢で追いかけてきた二頭のライオンが、そこに悠然と座っていたのだ。
朝日を浴びて輝く毛並み、大きな前足。夢と寸分変わらぬ姿。

静かに立ち上がり、ゆっくりとカーリーに向かって歩いてこようとしたその時、信じられないことが起こった。

地面が激しく揺れ始め、まるで巨大な生き物が地中を蠢いているかのようだ。
二頭のライオンはその異変に気づき、周囲を警戒し始めた。

揺れがますます激しくなると、目の前の地面が裂け始め、姿を現したのは巨大なミミズだった。
太さはおとなの胴体ほどもあり、ぬめぬめとした体表が月明かりに不気味に光っている。

巨大ミミズはカーリーとライオンを一瞥し、耳をつんざくような音を発した。

二頭のライオンは巨大ミミズに気を取られ、カーリーのことなど眼中にない。

その隙に逃走を試みるが、地面はミミズの出現によって傾いていた。

すると、さらに信じられないことが起こった。
巨大ミミズが空中に持ち上がり、そこには巨大な鳥が空を舞っていた。
鳥はミミズを掴み、あっという間に飲み込んでしまう。

そして満足げにカーリーの方を向いてきた。


再び絶望的な状況に陥ったカーリーの前に、さらに巨大な影が現れた。

それは空を覆い尽くすほどの大きさを持つ巨大な空飛ぶクジラだった。
クジラは優雅に泳ぎながら巨大鳥に向かって潮吹きを放ち、鳥を吹き飛ばした。

そしてクジラはゆっくり、カーリーの方へと近づいてくる。

その銀色に輝く姿はまるで空を泳ぐ宝石のようだった。

彼女がその壮大な光景に見惚れていると、クジラは優しい声で語りかけた。

「もう、お帰りなさい。」その声が聞こえた瞬間、カーリーの意識は途絶えた。




気がつくと、カーリーは再び疾走する事務机の上にいた。

必死にしがみつくもう一人の女性とともに。

すぐ脇にはあの二頭のライオンも当たり前のようにいる。


いったいどうなっているのか?
今いるこの世界は現実なのか?それとも、ただの悪夢なのか?

いつ終わるとも知れぬ逃走劇の中、カーリーは無性に空腹を感じていた。

今夜がふたご座流星群のピーク。

というわけで少し夜更かしして外に出てみた。


星があまり見えないな、と思ったら
夜空には月が煌々と輝いてる。
そのうえ自分は視力が弱いことにも気がついた。

10分ほど空を眺めて
何度か星が流れたような気もするけど
はっきりと見えないのでよくわからない。


これは無理かな、と思い帰ろうとした午後11時45分頃、
ひときわ明るい火球がおおぐま座の側を流れて消えた。

あれだけの火球を見たのは10年前の獅子座流星群以来だ。
さて、満足したので寝るとしようzzz


          〔イメージ画像〕




気付いたとき、スジャータ(仮名)はUFOの中にいました。

そこはまるで巨大なドームの中のようでした。

いえ、ドームというより、一つの街そのものと言っていいかもしれません。
外から見ている人がいれば、小さな円盤にしか見えないUFOの中にこんな広大な空間が広がっているとは到底信じられないでしょう。
物理法則を超えた何かがここにはあるに違いありません。


スジャータはその不思議な空間を探索し始めました。

清潔感のある白い通路を歩いていくと、次々と驚きの光景が目に飛び込んできます。

広い通路や幾何学的なデザインが施された壁、そしてところどころに点在する柔らかな照明の中をスジャータはゆっくりと進みました。

道すがら、彼女の目に映ったのは巨大なショッピングモールと呼ぶにふさわしい広場で、そこには煌びやかな看板やガラス張りの店舗が軒を連ね、見知らぬ言語がちらほらと飛び交っていました。
ファーストフード店からは焼きたてのパンやフライドポテト、香ばしいコーヒーの香りが漂い、まるで日常からかけ離れた異世界のカフェのような雰囲気を演出していました。

さらに奥へ進むと、仮眠用に用意されたベッドやゆったりと休めるリクライニングチェアが整った休憩スペースも現れ、ここでは多種多様な国籍の人々が笑顔で談笑しながら互いに交流していました。

見知らぬ空間でありながらどこか温かく迎え入れられるような空気が流れ、スジャータは思わず心を解放してしまいました。


この広大なUFO内部はまるで地上の大都市を凝縮したような完璧な生活環境を備えており、訪問者であるスジャータにとって心躍る冒険であると同時に、人間の営む温かな日常を彷彿とさせる場所でした。

各所で目にする先進的なテクノロジーと至る所に感じられる非日常感。
その絶妙なバランスはまるで夢の中の一幕のように彼女の記憶に深く刻まれていきました。

数日が過ぎた頃でしょうか。

時間の感覚が曖昧になるほど、スジャータはその非日常的な生活に馴染んでいました。

朝は目覚まし時計の音ではなく、鳥のさえずりのような優しい音色で目が覚め、夜は満天の星空を模した天井の下で眠りにつく毎日。
しかし、ふと、胸の中に故郷を想う気持ちが、静かに、そして強く湧き上がってきました。
家族や友人たちの顔、馴染み深い街並み、愛する家…帰らなければ。
たとえここがどれほど快適であっても自分の居場所はそこにあるのだ、と心が叫んでいました。

「戻らなきゃ!」


その瞬間、まるで巨大な掃除機に吸い込まれるような、あるいは強力な磁石に引き寄せられるような感覚が彼女を包み込みました。
視界が歪み、万華鏡のように色が飛び散る。

轟音が鳴り響き、平衡感覚を失う。



そして次に彼女が意識を取り戻した時、そこは見慣れた自分の寝室のベッドの中でした。
薄暗い部屋の中、いつもの天井がそこにありました。

いつもの柔らかな布団と心地よい暗闇が現実を優しく迎え入れるとは自身の体験が夢か幻だったのかと疑問を抱きながらも、その不思議な記憶に胸を熱くさせました。


ベッドに横たわりながら、スジャータはUFO内部での鮮やかな光景、異国風の人々との何気ない交流、そしてあの圧倒的な広大空間で感じた自由な感覚を思い返しました。

瞬間の中で感じたあの奇妙な引力と急激な転移はまるで宇宙からの訪問の証のように彼女の心に残り、現実の生活へ戻ってもその記憶は消えることなく静かに輝き続けるのでした。

彼女にとってそれは未知の世界への扉がいつでも開かれていること、そしてその扉の向こう側にはこれまでとは違う現実があるかもしれないという、ささやかで心温まる希望のようなものだったのです。

そしてスジャータはあの不可思議なUFOでの体験が彼女にとって大切な何かを導いてくれたような気がして、これからの日常に新たな視点と温かい余韻を抱きながら再び眠りにつくのでした。