風神 あ~る・ベルンハルトJrの「夜更けのラプソディ」 -110ページ目

手を組んだとき、右手、左手どっちの親指が上になる?<br />【投稿でドットマネーがもらえる!】 ブログネタ:手を組んだとき、右手、左手どっちの親指が上になる?【投稿でドットマネーがもらえる!】 参加中

私は左手の親指派!


左が上です。
左が上なら右脳派なの? 知らなかったなあ……
まあ、誰に言われるまでもなくきっぱりと、左脳派ではないことは確か。

うにょ~ さにょ~


試しに反対に組んでみた。寂しい……ひ……左手の小指がやけに寂しいじゃないかっ o(T^T)o
ああ、右手の小指は孤独に強い奴だったんだなあ、背中が寂しくてもひっそりと堪える奴だったんだなあ……とじっと手を見る。

で、調べてみた。
どっちの指が下になるか? が、どちらかと言えば混乱を呼ばない考え方になりそうだった。

で、腕の組み方をペアにして判断するようだった。
これって、ずいぶん昔に、うう脳とかうさ脳とか言ってたあれのことかな?

「指を組んだとき」
左親指が下にくる人は、情報のインプット(理解)は「左脳」で行っていることが多い。

右親指が下にくる人は、情報のインプット(理解)は「右脳」で行っていることが多い。

「腕を組んだとき」
左腕が下にくる人は、情報のアウトプット(表現)は「左脳」で行っていることが多い。

右腕が下にくる人は、情報のアウトプット(表現)は「右脳」で行っていることが多い。

で、逆に組んでみた。
み……右手が抜けそうになるじゃないかっ! すぽってなりそうじゃないか (゙ `-´)/  どうしてくれるっ!

しらん


僕はこれ→『右右脳タイプ』は、
超感覚派。直感とひらめきで行動し、物事を判断するときも感覚や感情を重視する。このタイプの人は、使ったあと元の場所に戻すのが苦手。

〝大当たりぃ~♪ そもそも、元の場所ってどこ? そのせいか、部屋の中でデジカメが行方不明になってるんだけど〟

モノの出し入れの際、動作が多すぎると面倒臭くなってしまう。結果、モノを片づけず、出しっぱなしにして使うことが多い。
〝大当たりぃ~♪ 片付け面倒臭いぃ〟

また、感情を重視するので思い入れが強く、モノを捨てるのも苦手だ。
〝大当たりぃ~♪ 感情なくして人にあらず! むやみにものを捨てちゃいけませんヾ(-д-;) 〟

皆さんも判断をどうぞ

こんなのもあった

こんなのも

も、ええか、面倒臭いし (´ー`)y-~~


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手を組んだとき、右手、左手どっちの親指が上になる?
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「菅原明人君の恋人の、大久保明日香さんですね」
私の念押しに、彼女は戸惑いを全身から滲(にじ)ませながらも、はいと頷いた。そして、なぜ、と唇が動く。

私はどこを示すでもなく、片手を横に上げた。
「ここが地蔵公園です」

「はい」彼女は頷いた。
「ここは、知っています。子供の頃、父や母と遊びました。でも、なぜあたしの名前を?」
「答えは後から出しましょう」私は微笑んだ。

「そうですか……あ、お店も変わらないんですね。幼い頃のままです。でも、お地蔵様があるのは知りませんでした。地蔵公園って呼んでたにもかかわらず」彼女は恥ずかしそうに少し笑った。

「海も?」
「はい、よく遊びました。遠浅できれいですから」
彼女の声に、私は小さく頷いた。



今日、二人にすべてを話そうと決めた。二人でなら、この丘の守人を引き受けやすいのではないかと考えたから。

まさにこの世のものとは思えぬ空を焦がす夕焼けと、一日の始まりを告げる朝焼けを、二人で気のすむまで眺めればいい。

木々を吹き渡る風を体で感じながら、言いそびれた言葉で悔やまぬように、些細な後悔も抱えぬように、ふたりの体温を伝えあえばいい。

そして、多くの人たちを見送った後、違う守人に見送られながら更なるあの世へ旅立てばよい。



彼女の濁りのない目を見つめながら、都合の良いことを考えたとき、視界の端に動くものを捉えた。

その影は木々に見え隠れする坂道を、汗を拭いながら俯き加減に歩いてくる。彼はあえて遠回りまでして、一番きつい坂を上がってくる。己を研ぎ、何かに詫びる行者のように。



横にずらした視線に気がつき彼女が右後方を振り返るのと、菅原君がビクッと肩を震わせて立ち止まったのは同時だった。

彼の端正な顔は、私がかつて見たこともないものへと変わってゆく。泣いているようにも笑っているようにも、困っているようにも見える顔。

彼がこちらを見る。すがるような目をした彼の口が動く。駅長さん、と。私は守人の威厳を持って強く頷く。
君の望むようにしなさいと。

意を決したように足を踏み出した彼の足取りはぎこちない。まるで歩みを覚えたての幼な子のように、ふらふらと歩いてくる。
それを見つめる彼女の細い後ろ姿。日の光を浴びた髪がゆっくりと左右に揺れている。信じられないものを見たかのように。

突如わき起こった一陣の風が展望台に嵐を起こす。驚いたようにひときわ大きく枝葉を揺らす木々が竜のように舞い、彼女の髪を巻き上げ、一気に吹き抜けてゆく。
風が止むと共に、やがて木々も静かになった。



彼女の左手から離れたブルーの傘がいったん地面に立ち、やがてバサリと音を立てて倒れた。ショルダーバッグが肩から滑り落ち、その両手がゆっくりと横へ広げられた。まるで巣立ちを試す鳥のように。
私が背中を押すまでもなく、踏み出すレインブーツが鈍い音を立てた。

こんなこともあるんだ。
呟いた私に、木漏れ日が揺らす地蔵の顔が、少しだけ微笑んだように見えた。

彼女が菅原君の元へたどり着いた。戸惑うように見つめ合う二人。我が身に起こった状況が飲み込めず、どうしていいのか分からない二人。

行け、心のままに。私は小さく、けれど強く呟いた。

やがて、両手をだらりと下ろした彼女が、彼の胸に倒れるように顔を埋めた。その肩を、彼が壊れ物でも扱うようにそっと支えた。

光に満たされる中、いだきあい、ひとつに溶けあい、人目を忍ぶようにむせび泣く眩しい輝きに向かって、私はそっと言葉を投げた。



おふたりさん、地蔵公園へようこそ。

ここは地図にない町、
天国へ通じるもうひとつの扉、
無垢で罪無き世界、イノセント・ワールド。

─FIN─


お読みいただき、ありがとうございました。

Mr.Children innocent world



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振り返ると、錫杖(しゃくじょう)の音にでも驚いたのか地蔵の傍らにじっと佇む人影が見える。

どういう、ことだ?……私は思わず呟いた。

その後ろ姿は明らかに冬の装いなのだ。
この人は死してのちまっしぐらに、この丘を目指したというのだろうか。

私自身がそうであったように、ほとんどの人が部屋で目覚め、現実に返る。愛する人が死んでしまったという、この町が見せる方便の現実に。

それから、重い体と心を励まして着替えることになる。ここの季節に合った服装に。



私は驚かさぬようにゆっくりと足を踏み出した。

頭(こうべ)を垂れて地蔵に手を合わせる後ろ姿が、やがてこちらに向き直った。歩み寄る私を確認したその顔に、少しの怯えの色が浮かぶ。
私は帽子をかぶり直し、両足をそろえて敬礼をした。

作業ズボンにランニングシャツ。頭には鉄道の官帽子。首には汗拭き用のタオル。珍妙なスタイルに気を許したのか、小首を傾(かし)げたあと、真っ直ぐに体を向けて敬礼を返してきた。

短めの髪に卵のような輪郭。細身のジーンズに一見ゴム長靴のようにも見える茶色いレインブーツ。その左手には淡いブルーに濃い水玉を散らした閉じた傘。その傘の柄に、手作りらしきてるてる坊主が下がっている。

世を去った日の雨を是が非でも止んで欲しいと願ったのだろうか、健気に揺れるペアのてるてる坊主。



オリーブグリーンのミリタリー調のハーフコートを羽織っているからだろう、額に粒の汗を浮かべている。

再び歩き出した私がタオルで汗を拭うのを見て思い出したのか、ショルダーバッグから取り出したハンカチで額を押さえた。その姿がだんだんと近づいてくる。足を止め、間近であらためて姿を確認して、私は声をかけた。

「お地蔵さんに興味がおありですか?」
「いえ、そういうわけじゃないんですけど」口元で右手を小さく振る女性。その左あごにホクロ。

「ただ、なんとなく」そう言いながら左を振り返り、傍らの地蔵に目をやり、やがて右手を立て札に向ける。

「そこに書いてあるのは、どういう意味なんですか」
「ああ……おん かかか びさんまえい そわか ですね」
「はい」

「この丘の守人だった塩田さんという方が書いたお地蔵様の真言です。簡単に言えば、類い希なる尊いお地蔵さまという意味です。説明を始めると少し長くなりますけど、いいですか」
彼女はこっくりと頷いた。



「オンは、帰命(きみょう)とか供養を表します。仏の救いを信じ、身命を投げ出して従うこと。いわゆる帰依(きえ)です。南無妙法蓮華経の南無は〝オン〟の音写です。元々は合掌することを指したのですが……」

「オン」は「帰命・供養」などの意味があり、神聖な語として、インドでは宗教的な言葉の初めにおかれる。
「カカ」というのは、「呵々大笑」の「呵呵」で笑い声を表し、仏さまにそれぞれ種子あるいは種字といって、その仏さまを表わす文字がきめられていて、「カ」はお地蔵さまの種子である。

したがって「カカカ」というのは、「お地蔵さん、お地蔵さん、お地蔵さん」との呼びかけになる。

「ビサンマエイ」とは「希有」という意味で、「類いまれな尊いお方」
「ソワカ」は、神聖なことばの最後につけてその言葉の完成成就を願う気持を表す。

「そうなんですね」
「お若い方が知らないのは無理もないことです。年配の人さえ知らなかったりしますから」

鳴きやまぬ蝉の声を縫うように、私は地蔵を見る彼女の肩口に問いかけた。



「大久保……明日香さん、ですね」
ショートボブが揺れ、驚いたようにこちらを見つめた目がひときわ大きく開かれた。しばしの沈黙を、短命な蝉の声が隙間なく埋めてゆく。

その表情と言葉に詰まる様子から、私が正解を言い当てたことは明らかだった。


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耳元を風が吹き過ぎ、展望台を夏の光が照らし出す。
木々が奏でる葉擦れの音は、放課後の教室に漂うざわめきにも似て、時に高く、時に低く、サワサワと行き過ぎた。



秋山さんの発した最後の言葉は、あの親子が車同士の衝突事故の類に巻き込まれたのであろうことを教えてくれた。

母親は何らかの都合で同乗していなかったか、事故に巻き込まれながらも運良く一命を取り留めたものとみえる。
しかし、助かったことを単純に幸運と喜びがたいのは、そこに愛する人たちとの別離を生じさせてしまうからだろう。

授けられた寿命をまっとうするのが人間の喜びであり義務なのだと、塩田さんは語った。ひとつの卒業とも呼ぶべき死は悲しむことではないと。

彼が展望台から消えた日も、今日のような青空だった。最後に驚愕するような短い声を発したから、やはり突発的な事故で命を落としたのだろう。

人の死は運命なんだよ。原因はどうあれ、その寿命通りに死んでゆくのが定めだ。
摂生に努めようが不摂生に生きようが寿命に変わりはない。

それと同じく、誠実に生きようとも不誠実に振る舞おうとも定まった日にこの世を去るのさ。
変わるのは安藤さん、人生の質だ。そしてそれこそが、何を置いても一番大切なんだよ。

塩田さんが教えてくれた言葉を私も多くの人に伝えてきた。しかし私も老いた。そして、いささか長くなりすぎた。
誰か代わりになる人を欲したとて、おいそれとは見つからないだろう。
しかし、自分に訪れた死がどのような形であれ、もう受け止めさせて欲しいと願う。

彼は……菅原君は、すべてを理解して、この仕事を引き受けてくれるだろうか。それとも先を急ぐだろうか。断られるのなら、もう少し頑張るしかない。

私は作業ズボンの尻ポケットから数珠を取り出し、展望台に向かい手を合わせた。

故知般若波羅蜜多(こち はんにゃ はらみった)=このゆえに偉大なる智慧を意味する般若波羅蜜多は

是大神呪 是大明呪(ぜだいじんしゅ ぜだいみょうしゅ)=神秘的呪文であり 無知の闇を照らす呪文であり

是無上呪 是無等等呪(ぜむじょうしゅ ぜむとうどうしゅ)=最高の呪文であり 他に比類なき呪文である



能除一切苦 真実不虚(のうじょいっさいく しんじつふこ)=この呪文が一切の苦厄を取り除くことは真実であって偽りではない

故説般若波羅蜜多呪 即説呪日(こせつはんにゃはらみった しゅそくせつしゅわっ)=そこで偉大なる智慧の呪文を示そう さあ呪文を唱えよう

羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦(ぎゃてい ぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃ てい)=往ける者よ 往ける者よ 悟りの境地に往ける者よ

私は習わぬ経を無心で唱えた。

菩提薩婆訶 般若心経(ぼじそわか はんにゃしんぎょう)=悟りよ 幸あれ! これぞ悟りへ導く智慧の要の教えなり

深く頭を垂れたそのとき、石で造られて鳴るはずもない地蔵の錫杖(しゃくじょう)が、しゃりんと乾いた音を立てた。




ゆっくりと目を開け、誰もいない展望台を眺めた。
ついさっきまで、なに疑うことなく会話を交わした亜弥ちゃん。そう、失った我が子と同じ年頃だった亜弥ちゃん。

しかし、もう二度と聞くことのかなわぬ声。この目にすることのできない愛くるしい姿。
その声に渇きを覚えて空を見上げた。

駅長さん! そう呼ぶ声と、くしゅりとした笑顔を、空と雲の間になぞってみた。


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「凶器は奪ってあります。手袋をしてたから犯人の指紋は残っていないかもしれませんが……」手を伸ばして、運転席の足下を探ろうとする。
「その話は後でいい。救急病院へ向かう。運転はできるな?!」

無理だと答えが返ってきたら、自分がエッセを運転するしかない。動揺する青年がハンドル操作を誤ったら最後、彼女は助かるまい。ワゴンは妻に運転させてそのまま家に帰そう。

「はいできます。ありますか病院! お願いします! 後ろを追いかけます。僕が気づくのが遅れたばっかりに」声も体も震え続けている。

「泣いてる暇はないぞ! 彼女のシートベルトを締めて、しっかりついてくるんだ!」
車に戻り、ジャケットを脱ぎ捨て、雨に濡れためがねを予備のものと交換して、スズキのワゴンRを発進させた。



「○○病院は救急だったよな」シートベルトを締めながら妻に問いかけた。
「確かそうだけど、どうなってるの?」
「話は後だ、人の命がかかってる」

雨に滲むリアウィンドウから、黄色いエッセを視界に捉えつつハンドルを握りしめた。

「助手席に乗っている彼女が刺されたらしい」
「何てこと……」妻の悲痛な声がする。
「犯人はどうやら顔見知りのようだ。病院に着いたら警察には連絡してもらおう。俺がしたっていいし」
顔見知り? とつぶやき、息をのむ気配があった。

僕が気づくのが遅れたばかりに、青年はそう言っていた。そして彼女はシートベルトを締めてはいなかった。刺された彼女を車に乗せたか、乗り込んだ刹那男に襲われたのだろう。

彼女は知ってるかもと言った。質の悪いストーカーか、知人か。縁起でもない話だが、万が一を考えて、犯人の名前は聞いておいた方がよかっただろうか。



妻はスピードを上げる車に怯えるように手すりを掴んだ。制限速度などとうに超えていた。フロントガラスを打つ雨はますます勢いを増し、視界を悪くしていった。

交差点が見えてきた。間に合う。黄色に変わった信号を見てさらに速度を上げた。エッセは付いてこられるだろうか。しかしここはさほど交通量の多い道路ではない。

ミラーで後方を確認して交差点に目をやった時、黒っぽい乗用車が左から右へと猛スピードで突っ込んできた。明らかに向こうの信号は赤。

「なんだこの車!」
ブレーキに踏み換えた右足を思い切り押し込む。動きが緩慢なものに変わり、周りの音が瞬時に消える。乗用車のボディがゆっくりと前方に迫る。さらにブレーキを踏み込む。前輪がロックされる。むろん、ハンドル操作は利かない。

ヘッドライトは、古びた乗用車の後部座席で両目を見開く、若い女性を映し出した。かばうように男の手がその体を引っ張り、窓から姿が消えた。



ぶつかる。早く行け、早く!
雨を後方にはじき飛ばす乗用車の後輪が見えた。早く行ってくれ。唸るように声を上げるが、その声は音にはならない。

テールランプが目前に見えた。自由を失った車が雨のせいか斜めに滑り、ゆっくりと道が開けた。雨の路面を滑るよう尻を振り、交差点を過ぎた。ヘッドライトがゆるりと前方の電柱を捉えた。

前方を見た。対向車はない。バックミラーを見た。黄色いエッセがゆっくりと後方に迫っていた。

「亜弥を」
助手席の妻に向けて発した声は、光りと闇に吸い取られてゆく。ブレーキを緩めハンドルを切る。ワイパーの動きをあざ笑うかのように、雨の粒がプロントガラスに打ちつける。



ヘッドライトに照らされた電柱が、手を伸ばせば届く距離に白く輝いて迫った。視界が大きく左に傾く。

妻がシートベルトを外し後部座席に向かおうとしたとき、タイサイキア現象が起こすスローモーションの世界は終わり、衝撃がすべてを消し去った。


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「まさか、エンストして引っ張ってくれって話かな」秋山は困惑しながらもブレーキを踏み込んだ。

「でも、故障で困ってるなら見過ごせないわよねぇ……何しろこの雨だし。あーあ、ずぶ濡れになっちゃうわあの人」
後ろを振り返る妻の声に、ギアをバックに入れた。あ、と妻は口を開いた。

「酒臭かったら無視して戻ってきてよ。飲酒運転に関わり合うのは御免だわ」
「分かった」と答えて、半身で後ろを確認しながらエッセの前に車を止めた。雨が気になったが、サイドウィンドウを開けた。

「どうしました?!」手庇(てびさし)をかざして窓から半分顔を出した。

「助けてください!」濡れた前髪を振り乱しながら叫ぶ若い男の顔は、ただならぬものがあった。
「どうしたんですか?!」私は大きめの声を返した。



「刺されました!」
「なに! 刺されたぁ?!」
「なに、それ!」助手席の妻が、悲鳴に似た声を上げた。

これが嘘なら、明らかな悪意が潜んでいる。悪ふざけの冗談なら、頭のおかしな質の悪い人間だ。関わり合ってはならない。
秋山は、雨を避けるように目を細め、じっと男を見つめた。

街灯に照らされた男の顔は、人を騙して喜ぶふうはみじんもなかった。あれほどまでに驚愕と苦悶に歪む人間の顔を、かつて見たことがない。シートベルトを外した刹那、妻が助手席から身を乗り出した。

「行くの?!」なにをとんでもないことを、そう言いたげに眉をゆがめている。
「行くよ」
「犯人がいたらどうするのよ!」妻がジャケットの二の腕をつかんだ。

「声を上げているのが犯人がいない証拠さ。彼が自分で刺していない限りね」
「自殺未遂?」
「行ってみなければ分からないよ」

ほんのしばらく、見つめ合った。妻の目は、行くのね、と念を押している。それに対して、行く、と応じた。
諦めたように少し俯き、妻はつかんだ手を緩めた。
「気をつけてよ」囁くような声だった。

妻との間に生じた齟齬(そご)は、どちらかが正しく、どちらかが間違っているという類のものではないのだろう。己を守ろうとする心と、他者に対する同情心、助けようとする行動、惻隠(そくいん)の情は、おそらくはどちらも、故あって人に備わった、本能。

窓を閉め、すぐさま車を降りて駆け寄った。頭を肩を、11月の冷たい雨が叩く。



「動けるか? 今救急車を呼んであげるから」
「僕じゃないんです。明日香が……」震える青年の髪から雨のしぶきが飛んだ。

「知らない男に刺されたんです! 近くに病院はありませんか! 救急車を呼ぼうとしたら携帯がバッテリー切れなんです! 充電器もなくて」

腰を落としてのぞき込んだ助手席には、シートに頽(くずお)れる女性の姿があった。
「大丈夫か?!」私はエッセに顔を突っ込んだ。ドアにもたせかけたショートヘアーが少しだけ揺れた。まだ息はある。素人がむやみに動かさない方がいいだろう。

「あっくん……ご、めんね」女性の消え入りそうな声が、微かに車内の空気を震わす。
「しゃべるなって、明日香!」懇願するような男の声が被さる。
「あたし……犯人……知ってる……かも……」

「そんなものは後でいいって! じっとしてなきゃ死んじゃうぞ!」たれる鼻水もかまわぬ男の顔は、泣き崩れる寸前の般若の面を思わせた。



痛いとも言わず、時折ひくっと体を震わすショートボブの女性。出血がひどいのかもしれない。確か行動半径の中に救急病院があった。
……確かこの近くだ。救急車を呼ぶより早いはずだ。混乱する頭の中で最短距離を探した。


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──まるでアレグロだな。いや、待てよ……もっと早いヴィヴァーチェか……。

ふと我に返り、益体(やくたい)もないことを真剣に考えている自分が可笑しくて、秋山慎太郎はふっと鼻息で笑った。

雨がフロントガラスを叩き、メトロノームのように忙しなく動くワイパーが、それを掻き飛ばしてゆく。



夕刻から降り始めた雨は間断なく降り続いていた。
しぶきを上げながら、倦むこともなく路面を叩く雨は、街灯の光と対向車のヘッドライトに照らされたアスファルトを、白く塗り替える。

静かな車内には、タイヤが水を咬む音と、ワイパーが動く音だけが響いた。



「寝ちゃったみたいね」
妻の声に角度を変えたルームミラーには、後部座席で横になる亜弥の姿が映った。どっちに似たのか、一度眠ってしまうと頑として目を覚まさない子だった。

「思った以上に美味しかったわ、あのお店。開店割引もあったし、上出来だったわね」

誰の誕生日でも記念日でもなかったが、新規開店で気になっていた店に、家族三人で食事に出かけた帰りだった。

「食事の後片付けやら、洗い物もしなくていいしな」
「そうそう、それが一番のご褒美」と、笑いながら手を叩いた。夕食の家事から解放されたことを、妻はことのほか喜んでいた。

「いつも申しわけないね、食べっぱなしで」
「改まってなに言ってるのよ」ふんっ、と鼻息を吐いた割には、嬉しそうな横顔は変わらなかった。

「でも、やっぱり残しちゃったわ」
「なにを」
「ピーマンよ」細長い輪っかにした両手は、ピーマンを表しているらしい。



「にんじんもそうだけどさ。亜弥の好き嫌いがねぇ……だってさぁピーマンを抜いたら絶対に青椒牛肉絲じゃないわよ」ため息混じりに頭をゆらゆらと動かした。

「お前の作るピーマンの肉詰めもだね」
「そうそうそう、あれじゃ変な形のハンバーグだし」
「ピーマンだけ食べて中身残されるよりいいじゃないか」
「もう! お肉とピーマンが剥がれないように小麦粉を茶こしで振りかけたりしてるんだから。あれで一つの料理なのよ」

「それはそれはご苦労様。でもさ、にんじんやピーマンを食べなくて死んじゃった人って、俺、知らないなあ……無理して食べさせようとしなくたっていいじゃないか」
「あーあ、甘い父親だなぁ」



「絵美子……あの車、なんか変だな」顎をしゃくった前方には、黄色い軽乗用車が足下の定まらない走り方をしている。

「ちょっとよろけてるわね。あれ、エッセよね。黄色いエッセなんて女性の初心者かしら」妻がのぞき込むように身を乗り出した。
「追い抜いた方がいいな。それとも先に行かすか……事故ったらたまったもんじゃない」

車間距離を取りながら様子を見た。やがてテールランプを赤くして止まったエッセを、ヘッドライトが照らした。後方を確認して横を通り過ぎた。路面に溜まった雨をタイヤが切り裂く音がした。

そのときだった。
「ださい!」と、叫びにも似た声が、篠突く雨を縫って車内に届いた。
「なんか言ってるわよ。それに男の人だわ。不気味だわよ、あの声」
ルームミラーを見ると、遠ざかるエッセの窓から男が身を乗り出し、さかんに手を振っているのが見えた。


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ふぅっと、秋山さんの肩が大きく動いた。来たか、私は呟き二人の背中を見つめた。

「亜弥、お父さんにつかまりなさい」その声は、己を落ち着かせようとするかのように穏やかだった。
台に乗った亜弥ちゃんが、父親の背中に左手を回し、小さな手でぎゅっと掴んだ。

塩田さんにも聞いたことがないケースだが、やはり秋山さんは自分の死の瞬間を思い出している。ちらりと腕時計に目をやり、再び二人の後ろ姿を見つめた。

この丘にやってくる人たちが、どのような死に方をしたのか、私には分からない。それは本人たちも同様だ。直前までの記憶を持った人もいれば、数ヶ月単位の記憶を失っている人もいる。

己の死にまつわる出来事が展開された期間の記憶を、きれいに失っているのだ。これを塩田さんは、ここでなぞることが必要だからだと言った。



だから私も自分の死に様は知らない。ただ、愛する人がいないことを、相手が死んだと一様に思い込むらしい。その死の状況さえ知らないというのに。

死の形がどうであれ、救済されるのだと塩田さんは語っていた。懺悔に値するようなことを自分がしてきたのなら、この丘から去ったのち、人様に与えたものと同じ痛み、同じ苦しみを味わうのだ。それを地獄と言うんだよ。だが、必ず赦されるのだと。

自殺という人生設計はあり得ないから、それは時間がかかるがな、と付け加えて。

二十年前、フラッシュバックのように見えた炎。私の死は火に関係があることだけは想像がつく。火といえば、すぐに火事が思い浮かぶが、妻は神経質なくらいに火の元や戸締まりを確認する人だった。



だとするなら、放火か他家からの延焼か。燃えてなくなってしまった我が家に、私は住み続けているのだろうか。今考えても詮(せん)無いことだ。

ただ、幸せに暮らしていた家族三人が、突然の不幸に巻き込まれたことは事実だろう。
無事に生き延びていればよいがと気にかかる。私はいつも、妻子の年齢を数えながら暮らしてきたのだから。

「終わっちゃったよ」亜弥ちゃんが双眼鏡から目を離した。
いや終わってはいない。時間は延ばした。それを証明するように秋山さんは双眼鏡を見つめ続けている。この時点で、亜弥ちゃんは眠ってしまったのではなかろうか。

「止まれ! 止まれ! ここで曲がってしまえ!」秋山さんが突然声を張り上げた。その右足は明らかに車のブレーキを踏み、左手はハンドルを切っている。



「曲がらない! 止まらない! 亜弥、しっかりつかまれ!」
「お父さん……」亜弥ちゃんが不安そうに秋山さんを見上げる。
いよいよ来たんだな。私は唇を引き締めた。

死の瞬間を完全に思い出した秋山さんは、そこにたどり着く前に、それを回避しようとしている。きっと違う道に入ろうとしたのだ。

何と悲劇的なことだろう。それは実際の死よりも苦しいことに違いない。かわいい我が子を道連れにしたのだから。しかし、それをなぞらぬことには先へは進めないのだ。

私は痛ましさのあまり、ズボンの膝を掴んだ。
地蔵菩薩よ、どうか彼らを救い給え。



「駅長さん、ありがとうございました!」望遠鏡をのぞき込んだまま秋山さんが叫んだ。
「秋山さん、亜弥ちゃん、また、どこかで会いましょう!」私は拳を握りしめて立ち上がり、声をかけた。

「亜弥ちゃん、望遠鏡は見なくていいからお父さんにつかまっていなさい」私は呼びかけた。
亜弥ちゃんが振り返った。バイバイなの? 口がそう動いている。私は大きく頷いた。何事か思い詰めたように亜弥ちゃんが足元に視線を落とす。私はたまらず、二人に向かって走った。

「この車やっぱり来た!」秋山さんの右足がまた動く。
「亜弥、亜弥、行くぞ!」右足を思い切り踏みこむ姿勢を取る秋山さんと、父親につかまる亜弥ちゃんの姿は、たどり着く前に展望台から消えた。

死の恐怖と闘う秋山さんの肩を、せめてこの手で抱いていてあげればよかった。心細そうだった亜弥ちゃんの背中も、撫でてあげればよかった。せめて最後に……。

涙で景色がぼやけたとき、地蔵公園の蝉時雨が耳に蘇った。




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私は子供派!


子供の頃って新しい発見ばかりだから興味津々で楽しくてしょうがない。
大人になると、あ……この場合の大人は、若者ではなく、酸いも甘いも噛み分けた、そう、これを読んでいる、あなたみたいな! お・と・な……ですけど、それぐらいになると発見するものも減ってきて、何となく日々が過ぎていったりする。

幼い頃、僕は庭でアリの行列を眺めていた。そして気づいた。彼らは決して交わらないことに。これって、ひょっとして、違うグループ? って思った僕は、一匹をひょいとつまんで違う行列に混ぜてみた。



するとどうだろう、違う行列のアリたちが大騒ぎ!
推測が当たっているかも。そう考えた僕は、日を変えて同じことを飽きもせずくり返した。

やっぱりだ。これは、仲良しのアリたちが別々のグループを作っているんだ。

ということは……僕はまたまた違う行列のアリを、違う穴に入れてみた。またまた大パニック!
アリはアリだと思っていた僕の大発見だった。幼い頃の僕の推測が正しいかどうかは、未だに知らない……。

話は変わっていいかなあ……大人、というキーワードで、今、突然思い出したんだけど。
25日は叩き売りって知ってる?
そうそう、クリスマスケーキ♪
それが女性の年齢に喩えられた時代があったって、知ってる?
知ってるよねぇ……僕のブログを読んでる人なら(しつこい)。



僕は30歳で結婚したんだけど、20台の前半から公言してはばからなかった。「男の結婚は30歳で充分!」
で、気がついたらそれを実行していたんだけど、口にしたときはいつも不思議がられてた。30もいい加減に過ぎてると、ホモの疑惑がかかった時代だった。

〝かぐや姫〟の伊勢正三が結成した〝風〟の「22歳の別れ」
谷村新司の「22歳」
今の若い人には、タイトルも詩の内容も理解不能だろうし、何で22歳って感じるだろうけど、出会って結婚まで至るには、先の見えない恋愛も22歳がギリギリ、こんな理由があったんだね。まさに時代だね。

あなたはいくつでお嫁に行きましたか?
ぶ……ブログネタか……。

で、大方の予想を裏切って、伊勢正三作詞・作曲「雨の物語」


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大人と子供どっちが楽しい?
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気になる投票結果は!?




菅原君と入れ違うように、お昼ちょうどに秋山さん親子がやってきた。
「秋山さん、そろそろかもしれませんね」声をかけると、秋山さんが顎を引くように頷いた。
「実は昨夜、亜弥には話したんです」
「そうですか。で……どうでした」

亜弥ちゃんは離れたベンチに座り、足をプラプラさせながら海を眺めている。その後ろ姿は、われわれが大人同士の話をしているということに、気づいている背中だった。



「亜弥なりに納得してくれたようです」秋山さんは眩しそうに眼を細め、空を眺めた。今日も晴れ渡り、まばゆい日差しが展望台に降り注いでいた。

「そうですか」私は小さく頷きながら、無理なものを背負ってしまった亜弥ちゃんの細い背中を見た。
「お母さんが生きていればそれでいいって、そう言いましてね」
風に乗って鼻歌が聞こえてくる。けっして楽しくて口ずさんでいるわけではないだろうに。

「自動車事故のような気がしてならないんです」秋山さんはちょっと眉根を寄せた。ここで促す言葉を掛けてはならない。
「最後はしっかりお見送りさせていただきますよ」
「はい、よろしくお願いします」

「秋山さん、この町にはいろんな人たちがやってきます。もう長く、かつて住んでいた家と同じ造りのところに一人で暮らしている方も多い。
そんな中でも、この丘に気づき惹かれるように登ってくる人たちは恵まれています。ここにおいでと声を掛けることは、私にはできないのです」
ゆっくりと地蔵公園の展望台を見渡した。秋山さんは静かに頷く。

「私たち親子が死んだのは、冬だったのかもしれません」
ベンチに腰を下ろした私は、手のひらで隣を指した。



「ハンガーに掛かっていたのが冬物だったからです。そして、目覚めた朝すぐにここに来たんですよね」思い出すように口元を引き結んだ。

「なるほど、そうなんですね。でも、必ずしも季節が連動しているとは限らないのかもしれません。私も、この展望台で秋も冬も過ごしたような気がするんですが、いつも初夏から夏のような気もします。季節なんて、この町を訪れる人たちには関係ないのでしょう」

なるほど、とつぶやきが聞こえる。
「でも、駅長さんがいてくれて助かりました」
「いやなに、これが私の仕事です」

この展望台から今まで何人送り出してきただろう。不慮の事故でなくなった人、事件に巻き込まれた人、病死した人、自殺者、極刑を受けた犯罪者。

「秋山さん、南に向かって歩いたことはありますか?」私は町並みの右手を指さした。
「いえ、ないんですよ」
「この町の南側にJRの駅なんて、きっとないんですよ。岬に灯台が見えますよね」指さした右手の先を秋山さんの視線が追う。
「あれにたどり着くこともできないんです」



「そうなんですか?」
「ええ、この小さな町で完結してるんです。世界中探したってどこにもない、地図にない町なんです。だから南に向かって歩いていくとやがて北側の道路に出るんです」
「試したことがあるんですか」
「はい」

塩田さんからそう聞いて歩いてみたことがあった。
「ずっと歩いていくとカーブがあるんです。それを曲がるとまたこの丘と灯台が見えるんですよ」
「そうなんですね」秋山さんは再び、灯台の方を見た。

「信号もない。車が走っていないからです。誰も働かない。仕事場なんてないからです。それを皆、不思議に思わないんです」
「ああ、確かにそうです」秋山さんは今気づいたように、小さく頷いている。

「ただ、うちの店の若い子らと、小さな店のおばあちゃんと、コンビニの旦那さん。あの人たちは働いています。
旦那さんなんて、何て言うんでしょうか、発注をする機械を肩にかけて一生懸命打ち込んでいます。けれど、配送の車なんて来ないんです。でも、商品は売れてもなくならないんですよ。お金もです」
「これが生きているうちだったら、パラダイスなんでしょうか、地獄なんでしょうか」秋山さんが苦笑した。



私はポケットを探り小銭を取り出した。
「亜弥ちゃん」
私の呼びかけに振り返った亜弥ちゃんは、ちょっとだけ大人になった微笑みを浮かべた。
「喉は渇いてないかい? 何か買っておいで」亜弥ちゃんは、うん、とベンチから飛び降り、走ってきた。

「駅長さんは?」
「ああ、おじさんは大丈夫だよ。秋山さんもよかったらどうぞ」秋山さんは、いえ私はと手を振り、ありがとうございます、と頭を下げた。
「お兄ちゃんにさよならを言ってくる」小銭を握った亜弥ちゃんは、ピンクのワンピースと長い髪を風になびかせながら駆けていった。

「お母さんが生きていればそれでいいって、健気(けなげ)な言葉ですね。いいお子さんにお育てになった」私は万感の思いを込めて秋山さんに右手を差し出した。



ベンチに腰をおろし午後の12時50分を指した腕時計を確認した。今日で終わるなら時間は延ばさなくてはならないだろう。

「お母さん」双眼鏡を覗く亜弥ちゃんが声を掛ける。これがあの子の最後の呼びかけになるのだろうか。吐いた息が少し震えた。


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