ごまめが歯ぎしりをやめる日 -4ページ目

ごまめが歯ぎしりをやめる日

くだらない事をうだうだと書ける今日という日に、心から感謝。

苦痛だった。

登りきったと思ったら、今度は下り。


傾斜に身を任せるかのように、ひたすら下って下って、下るのみ。

今年からのコース変更で、95kmからのきつい坂(モンスター)をこの前半で逆に下るという(私には)試練。



火野正平のように「人生、下り坂最高!」とはいかない。(分かる人だけでいいです)


どうしても後傾姿勢になって、坂を攻められない。

傍らを軽快に追い抜いて行くランナーたち。多いのは、背中にリュック。トレイルランナーの皆さんに、坂を走るコツを教わりたいものだ・・・と思いながら、ひたすら下る。



まだか。ステラシアターはまだか・・・

って、知ってるとはいえ、こんな長い距離を最後登るのか・・・



40km通過が「4時間40分01秒(事前の予定と1秒違い)」という順調ぶりもさておき、ステラシアターまで下りきった頃には、だいぶ脚をやられてしまっていた。特に負荷が掛かったのは、両足の人差し指。出血してませんように。。。



なんとか、なんとか河口湖へ。



45km過ぎで、応援の嫁(おはぎ)と合流。



「去年より脚、動いてないよ」



そりゃそうだ。



「たま胡もがんばってお留守番してるんだから」



ああ、そうだった。。




この春、我が家に家族が増えた。


譲渡会でおはぎがひと目惚れし、迎え入れることとなった、もうすぐ1歳のメス猫。

「玉のような子」に、胡のまじない(検索して調べて下さい)をかけて「たま胡」。



まだ家に慣れていない中、無理を言ってお義母さんにトイレとご飯の世話をお願いしてきた。

富士五湖の100kmは、もう自分だけのことではない。しっかり完走して、メダルを持って帰ろう。たとえたま胡に無視されて「猫に小判」になったとしても、メダルは持って帰ろうと・・・



河口湖の上辺を、いつもの通り、ひたすら走る。

もうここからは「既知の道」。



西浜小の関門も17分の貯金でクリアし、西湖へ。


湖の入り口で両の太ももが痙攣したり、50kmを過ぎて急に脚が重くなったりと、身体のダメージは例年より溜りが早いのは仕方ないが、「前へ、前へ」という気持ちだけは切れることなく、野鳥の森公園、青木が原を抜け、「短いようで長い」精進湖は、偶然その場にいたランナーで自然発生的にできた集団に乗っかってクリアする。



旧精進小学校の関門で、貯金は40分ほど。

時間の厳しさもここまでくると緩和され、少し気持ちに余裕が出てくる。



「よし、やってみよう」


富士五湖に参加して、今年で5回目。

初めての経験を遂行することになった。


(つづく)


※ごまめ知識(3)※


どうしても、書いておきたかったことがある。

最近の大会でもたまに目にするが、富士五湖でも去年から横断幕で見た記憶がある、この応援フレーズ。


「死ぬこと以外かすり傷」


インパクトの大きい言葉ゆえに、その語源についてはネット上でもある事ない事、いろいろと囁かれているのだが、私としてはここで「正解」をちゃんと書いておきたいと思う。



まず、この言葉の主となる人物は、水彩画家・永山裕子さん。


彼女の座右の銘がズバリ、「死ぬこと以外かすり傷」なのである。


ではなぜ、これほどまでに世に広がることになったのか。

そのきっかけとなったのは、私が愛聴している TBSラジオ『安住伸一郎の日曜天国』 である。


一昨年の秋、千葉の館山で公開生放送があり、いろんな経緯があって永山さんは生放送の会場で、スナックという名の模擬店をやることになったのだが、その時、お店のママとなった永山さんは客に渡す名刺の裏に、この 「死ぬこと以外かすり傷」 を記したのだ。


おそらくこの名刺をもらった誰かがSNSなどにアップしたことで、世に知れ渡ったのだと思われるが、たしかに自分を開き直らせるにはこれ以上ない言葉だと思う。


なお、永山さん自らの作なのかと思いきや、実は違うみたいで、「近所のボクシングジムに貼ってあった」言葉らしい。


まだみんな寝てる時間やで!


こんな朝早うから走ってるやなんて・・・


・・・えらいっ!!





ゲストの間寛平マイスターに声で送られながら、


晴れて、明るく、前もハッキリ見える富士北麓の道を進む。



昨年は暗い雨だった。


一昨年は、さらに暗く冷たい大雨だった。



風もない。それほど冷えもない。


100kmの入り口。緊張感たっぷりの、それでも快適な早朝のジョグである。



下りでは、ほとんどのランナーが私を抜いていく。


しかしもう慣れた。行きたければ、先に行けばいい。


勾配がどうであれ、頑なに7分/kmを守りつつ、山中湖に出る。



ここも一昨年、昨年は地獄道だった。


今年は好天。富士山も見える。天国である。



ここまで約25km。まだまだ身体は重い。

しかし序盤は燃料をしっかり積んだタンクを背負って走るようなものなので、問題ない。



山中湖に別れを告げようかという辺りで出会ったのは、


今回もソックスとゲイターでお世話になっている、RxL[アールエル] 部長


私以上のローギアで、それでも一歩一歩着実な足取り。

写真も撮って頂き、ありがとうございます!


※残念ながら部長は富士北麓の第2関門でTOとなったそうですが、せっかくの100kmを山中湖だけでは満足してほしくないので、河口湖、西湖、精進湖と、その先を目指してぜひまた挑んで頂きたいです。



雲の帽子をかぶったような富士山を望みながら、忍野八海へ。


途中エイドの三角おにぎりで、ひと息つく。

やっと胃腸も目が覚めた感じがする。



昨年まではこのまま富士吉田市内、富士急ハイランドの傍を横切って河口湖へ入っていくところだったが、今年からはいったん坂を登って富士北麓まで戻り、すぐさま今度は坂を下って河口湖へ、というコースに替わった。


例年なら8分/kmでも問題なかった第2関門の閉鎖時刻もシビアに短縮されている。予想通り、前に見える半分以上のランナーが富士北麓への登り坂に白旗を上げていた。



勾配も距離感も、この先の道も頭に入っている。

よって、どれくらいの力でここを抜けていけばいいかも、自ずと計算できる。


正直、初コースで何も分からないままに、まだ前半でこの厳しい坂を登っていくのはなかなか怖いと思う。

ここもまた、これまでの経験が生きた場面だった。



「俺の時間」だといわんばかりに、不安なく、貯めてきた足を使ってグイグイと登っていく。

登りきった先、第2関門は17分の貯金でクリア。



ここまでは順調にこれた。

しかし、下りは苦手な私であった。



(つづく)




※ごまめ知識(2)※


長ければ半日以上の時間を走るウルトラマラソンなので、各々いろんな物を携帯してレースに臨むものだ。


エイドで提供されるものには限りがある上に、自分に合う内容ではない場合も多い。物足りないと不満を言う前に、サプリメントやエネルギー系のフードなど「自分が食べたい、自分に合う」補給食を備えておくことも、不安なく走るための対策といえる。


ドリンクも同じなのだが、トレイルのようにリュックを背負って走るのにも得手不得手がある(私は嫌だよ)ので、スポーツドリンクが欲しいのにまた水か・・・となったりすると、こちらのほうが難しかったりする。


富士五湖については、自衛手段がないわけではない。

携帯品に「小銭」をプラスすればいいのだ。


コース上、特に河口湖と西湖には自動販売機が結構多くある。

季節柄、ホットとアイスが混在して売ってある場合も多い。


お金は掛かるのは仕方ないが、飲みたいものを飲めばいいのだ。

「ハッピードリンクショップ(分かる人だけ分かればいい)」のような安い自販機もある。

走路の脇にあれば何よりだが、道路を横切るなどの際には車に気をつけて頂きたい。


ちなみに、お札よりは小銭で持っておくのがベターだ。

つり銭切れでガッカリしないように、そして雨や汗などでお札が濡れた時に使えなくなる。


私は2年前、千円札1枚を持ってスタートし、雨でグチャグチャになって使えなかった苦い経験がある。



決して、ウルトラマラソンがこの上なく好きというわけではなく、


ましてや「ウルトラにハマりました」なんていう、自分の感覚として「寒いわ」というレベルの理由でもなく。



あくまで、この種目が自分に合っている。つまり「適性」だと思っている。



何より、精神力の戦い。それも「弱い自分」との戦い。

終始遅いペース。途中何度か止まりながら。たくさん飲んで、たくさん食べて。

完走で得られる達成感の大きさよ。他のレースでは絶対に経験できない、ゴールテープも切れる。



正直、めっちゃしんどい。

でも、自分に合っているんだから、これを選ぶ。

それでも、年1回。年1回の荒行。



100kmでは4回目の富士五湖。


本厄の年に迎える100km。思い切りしんどい目に遭って、厄落とし。



いつも通り、3月にフルマラソンを2本走って実を入れる。

花粉症もギリギリ治まった。


コースと関門時刻が変わったとはいえ、

そのほとんどは勝手知ったる100kmの道。



5時間ほどでもしっかり深く眠って、午前2時20分起床。

5時のスタートまで時間があるので、食事は会場に着いてからでいい。



昨年の経験から、早々に決めていた最終ウェーブからのスタート。

空は明るかった。4年ぶりに、富士山がくっきり見えた。



風はない。それほど寒くない。

いいコンディションになりそうだ。



・・・手を合わせ、今日1日の無事を祈る。



号砲。

2015年4月19日午前5時。

4回目の100kmチャレンジが始まった。






100km、しんどいでぇ~!


めっちゃ しんどいでぇ~!


がんばってやーーっ!


・・・うんばらばー!





ゲストの間寛平「師匠」から、マイスターらしい激励に送られる。


スパルタスロンに出るための練習コースとして作られた富士五湖の道。

それが今、我々市民ランナーの戦いの場となっている。




長くて、しんどい、100kmの旅である。



(つづく)




※ごまめ知識(1)※


混雑緩和目的で、参加者の多い市民マラソンでも採用されているウェーブスタート。

今回の100kmは「4時30分」「4時45分」「5時」の3ブロックにスタートが分かれていた。


昨年の完走記にも書いたとおり、私のような最初抑えて走るタイプの場合、早い時間のスタートでは同じブロックはおろか、後ろのブロックから来たランナーにも抜かれ続ける道中となってしまい、精神的につらい序盤戦となってしまう。


だったら最初から後方で出発すれば、抜かれる状況も減り、混雑もそれほどなく走れる。

4時30分のスタートと比べれば、外の明るさや気温の上昇がある程度見込めるのもいい点だろう。

それに今回の場合は71kmのスタートが1時間繰り上がって7時になったため、途中での合流がほとんどなかった。全体の位置づけでも118kmのランナーと並び後方での走行だったので、特に精進湖から帰っていく復路に至ってはランナー間の交差もなく、とても快適に走れた。



あと、トイレは・・・初参加のランナーには気の毒な環境だったと思う。

観光地ゆえに公衆トイレはたくさんあるのだから、トイレマップを作ればいいのにとも・・・地元の理解も必要だが。


たとえば「山中湖畔まで出てしまえば、トイレには困らない」ということが分かっていれば、序盤のタイムロスは確実に防げる。

「次のトイレがどこにあるのか分からない、という不安」が、トイレ待ちの行列を作ってしまう。数自体はあるのだから、仮設トイレを増やす必要まではないと思うが、関門を厳しくしたのなら、トイレに関する情報をちゃんと伝える配慮も欲しかった。

これは1回でも走らないと分からないことなので、経験の差が思った以上にタイムに出てしまう具体例の1つかもしれない。



土曜日は「東京30k」でみっちり30km走って、

日曜日は新宿シティハーフの応援。


昨年に続いて今年もこの週末パターンにて、

若干筋肉痛の残る足をなんとか動かして神宮外苑へ。


朝から草野球、フットサル、テニスなどで賑わっていながらも、

車がほとんど通らないからか、心地よい喧騒なのがいい。


昨年と同じ場所で、

同じようにスケッチブックを持ってランナーを待つ。



速いランナーはこんなもん読んでる余裕などないだろうから、

私のような中ほど~後方で必死にもがいているランナーに向けて・・・



1周目 「おはようございます」

2周目 「トンネルへ続く。」

3周目 「あと少しのご辛抱です」


 ↓予備(今年も使わなかった)

に


今年の発着点は神宮球場。

スタートして5分ほどで先頭のランナーが来て、

徐々に集団のボリュームが大きくなっていく。


まだ1kmも走っていないから皆、余裕があるようで。


今年も「おはようございます」と挨拶してくれたランナー多数。ありがとう。

中には昨年もここにいたことを覚えてくれていた人もいた。本当にありがとう。

私にハイタッチを求めてきた人もいた。この上なくありがとう。

(本来逆なのに。俺から出さないかんのに)



いつもいろんなレースで、いろんな人から応援してもらっている。

だから年に1度くらい、自分も沿道で、ランナーの応援に専念したいのだ。



今年は最後のランナーが前を通り過ぎるまで、

声援(途中、テンションが上がっての叱咤激励を含む)を送った。


タイムや順位だけが市民マラソンではない。

足を引きずりながら苦悶の表情を浮かべて走る人もいれば、

笑顔で楽しそうに、本当に楽しそうに笑顔で走っている人もいた。

それぞれのスタート、道のり、ゴールがあっていいのがランニングである。


応援しながら、私にとってもいい刺激になる。

皆さん本当にナイスランでした。



トラブルが起きた現場の空気が分からない場所にいたので

何とも言えないが、コース誘導の不備など運営ミスがあったのは

残念だった。お金払ってこの日のために準備してきたランナーも

多かっただろうから・・・



はぁ?「エントリーだん」って何ですか?



という人間なので、ひっそりしたためておく。



来年は25回記念大会だそうで。

コースが随分と変わり、100kmとて富士北麓を2回駆け上る

厳しい条件になった。


ましてや112km→118kmとなって、100kmと同じ富士北麓アップヒル×2で、制限時間が30分しか延びないとなると、躊躇わずにはいられない。



118kmはいつでも挑める。

今年と条件が違う100kmで、もう一度自分を試そう。



というわけで、第25回チャレンジ富士五湖は


100kmの部に、エントリーだん!



・・・寒いわ、スベってるわ。。