ウルトラマラソンは「中毒性のあるスポーツ」という人がいる。
しんどい、痛い、辛いという思いしかない時間を過ごしているのに、しばらくもすると喉元過ぎれば何とやらのごとく、また同じことを経験しに行ってしまう。
中毒性、ではなく、忘れっぽい。
いや、単にバカなのかもしれない。無論、良い意味で。
100kmも走ればトラウマになってもいいような疲労感なのに、どうしてだろうか。
「もう来ない」 一年経って 「また来たよ」
今年も来てしまった。
「第26回 チャレンジ富士五湖」 FUJI 4LAKESの部。その距離100km。
「日本一景色のいい野球場」といわれる富士北麓球場、
の隣にある富士北麓公園陸上競技場に、今年も来てしまった。
年明けからのロング走は、フルマラソン1本に30kmが4本。
いつもより少し足りない上に、3月末の「板橋cityマラソン」の後に風邪を引いてしまい、難聴かと思うような耳鳴りまで続いて直前はほとんど走れなかった。
それでも天候が良ければ何とかなるものだが、今年はスッキリしない曇りベース。山の天気は変わりやすい。標高がバラバラの富士五湖では、なかなか予報もあてにならない。
前日の夕方。
河口湖畔にあるホテルの大浴場から、眼下の雲を自ら振り払うように、富士山のてっぺんが姿を現した。
おそらく明日は、厚い雲に覆われることだろう。
よそ見などせず、目の前の道に集中するのみ。
前厄、本厄とクリアしてきた100kmを、後厄の今年も踏破して、
目指すは霊峰富士の麓を舞台とした、この上ない「厄落とし」である。