長い長い1日が、暮れようとしています。
長い長い100kmの道を行くランナーを見下ろすのは、
4年ぶりにその姿を現した世界遺産・霊峰富士。
晴れてよかった。本当によかった。
年に1度の荒行も、いよいよクライマックスを迎えます。
・・・とまぁ、
長い距離を走っていると、考えることもなくなるので、
自分自身を思いっきり美化した「脳内実況」をやるランナーも、あれこれブログを読んでいると意外に多いらしい。
(こだわりのある人は、実況のアナウンサーも指定してイメージするみたいで。私の場合は・・・読者にご登録頂いている縁もあるので「癒し系実況」こと 野村達也さん
にお願いしようか(`∀´))
河口湖に背を向け、いよいよ夕映えの富士山と対峙します。
残り7.5km。もう踏破すべき湖はありません。
あとは富士北麓のゴールを目指すのみ。
しかし最後に待っているのは、残り5kmからはじまるのぼり坂。
完走という「勝利」の目前に立ちふさがる、このレース最大の「苦難」に挑みます。
脚がほとんど上がらなくなり、
緩やかな上りが続く県道707号では、途中の赤信号ストップを「やった、ラッキー…」と思えるほど、疲れきっていた。
(あくまで信号という不可抗力。自分の意思で止まるのではない、という意味で)
嫁も反対側の歩道から応援してくれていたが、
今年もこのあたりから、徐々に視野が狭くなっていく。。
河口湖ステラシアターの手前、
精も根も尽き果てようとしていた時、
傍らを、1台のバスが通りすぎて行った。
乗っているのは、いろんな理由があってリタイヤを余儀なくされたランナー達。
ぼんやり外を眺めている人もいれば、
ただうなだれている人もいて、
まだ戦いの途中である私に、目線を向けている人もいた。
冷たい雨に打たれた一昨年、
車内で「もう2度と乗りたくない」と思った収容バス。
乗りたくないんだったら、自分の脚でゴールするしかない。
ふとしたきっかけで、目が覚めるものである。
凹みかけた気持ちを立て直し、残り5km。
95km地点。河口湖ステラシアターのエイドに着く。
長居はせず、すぐコースへ。
ゴールへと続いていくその先を、見上げる。
いよいよ今年も、あの坂を残すだけとなった。
(つづく)
※ごまめ知識(5)※
「河口湖ステラシアター」といえば、
イルカさんが毎年夏にコンサートを行うことで有名ですね。
歌もさることながら、
世界一オーバーオールの似合う女性だと思います。