クローバー(ノンフィクション小説) -75ページ目

軌跡‐10‐


クリスマス

わたしは
サンタクロースを信じていた。

そして毎年毎年、サンタさんにお願い事をした。


『魔法の鍵と魔法の杖を下さい』


周りがゲームやおもちゃなどを
お願いしていたのは知っていた。

だけどわたしは
毎年魔法の鍵と魔法の杖。

でも……
毎年うちにはサンタクロースが来ない。

友達に聞いたら
「サンタさんはいい子にしてる子供にだけプレゼントをあげるんだよ!」

そうなんだ……
わたしはいい子じゃないから
サンタさん来ないんだ……



だから
更にいい子を目指した。

軌跡‐9‐


祖父母は母に
いつも辛く当たっていた。

家事も子育ても仕事も……
全て一生懸命に頑張る母なのに
それを認めてくれない。

怒声を浴びせ母を泣かせた……

実家に帰りたくても帰れない母が
凄く不憫でならなかった。

その反対に私は凄く可愛がられた。

特に祖父は
頭がいい子をひいきしていたから……

昔堅気な人で
よく戦争の話しもしてくれた。

兄や弟は無頓着だったが
私はよくその話しを聞いていて

教育勅語を全て暗記した時には
凄く褒められた。


でも……

私は祖父母に褒められたいわけじゃないんだ。


両親に褒められたくて
勉強を頑張っても……

逆にそれをネタに母が馬鹿にされた。

両親を困らせたくないから
いい子を演じて

いい子を演じる事で
親が罵倒される……




深く心が傷んだ。

軌跡‐8‐


幼い頃から
自分の欲求を抑え生きてきた。

そしていつの間にか自分の感情ではなく、
親が望むような子供を演じてきた。

楽しい子供時代と言うより
自分の感情を押し殺して生きてきた……

別に虐待されていたわけではない
貧乏なわけでもない

端から見たら……
普通の家庭。


だからこそ気付かなかった。


だからこそ
気付いてもらえなかった……




心の叫びに。