クローバー(ノンフィクション小説) -76ページ目

軌跡‐7‐


そして父は
3人兄弟の長男

生まれる前から跡取りの宿命を背負っていた。

祖父は農業に頭はいらないと言って
父を高校には進学させなかった。


父は笑って
「俺、中卒」といつも言っていた……

でも中卒で千葉の叔父の所に出稼ぎに行き
弟や妹を大学まで行かせたんだ。

英語が好きだったお父さん

高校にも行きたかっただろうに
やりたい事もあっただろうに……

いつも笑って遊んでくれた
優しいお父さん。



わたしはそんな父だったからこそ……
我が儘を言えなかった。

軌跡‐6‐


母は結婚するまでも
凄く苦労してきた人だ。

6人兄弟の長女として生まれ、
父親は出稼ぎで家にはいなかった。

母親を助ける為に家事や小さい兄弟達の世話を引き受け、
自分の時間などなかったと母は言う。

高校を出てからは働きながら料理学校に通い
調理師の免許を取った。

将来の夢は栄養士……

そんな母の夢は
親同士が決めた結婚によって散った。


お母さんは……
自分のやりたい事を諦め
自由な時間も恋愛する時間もなかったんだ……


凄く頑張りやさんで
陰日なたなくいつも一生懸命なお母さん。


わたしはそんな母だったからこそ……
色んな事を我慢した。

軌跡‐5‐


私は記憶力が
ずば抜けて良かった。

母のお腹の中にいる頃の記憶がある。

掛け算の九九や小学レベルの漢字は
小学校に上がる前に習得した。

あと、人の生年月日や電話番号などが
電話帳のように頭の中にできていた。


そうすると
お母さんが褒めてくれるんだ。

凄く内向的で友達と遊ぶよりは
1人で本を読んだり、絵を書いたり……

そんな子供。



お母さんを困らせるような事は
したくなかった……