クローバー(ノンフィクション小説) -4ページ目

絶望の果てに-10-

これまでのはなし 

 



そして次の朝……

先輩から電話が。



[幸也が警察に捕まった]


やっぱり
幸也は寮に来たんだ……




電話に出ない事に激高した幸也が寮に侵入、窓ガラスを割りわたしの部屋はめちゃくちゃにされていた。



そして、わたしが寮に戻ってきても車で逃げられないように




タイヤが……

パンクさせられていた。








幸也の憎しみが

伝わる。




そして
幸也の哀しみが……

絶望の果てに-9-

これまでのはなし 




懇親会の後、別の先輩の家に泊めてもらう事になった。


寮は病院の人達が見張りをする事に……

車は寮の駐車場へ。


それと、幸也から電話があったら留守電に切り替え残しておく事。


もし警察沙汰になった時の
証拠として……



案の定幸也からは何度も電話がかかってきた。



留守電に切り替わる度に聞こえてくる幸也の声がたまらなく怖かった。




「こんなに恐ろしい目に遭って……よくそれで仕事も休まずに来てたなんて……」


先輩が呟いた。




心配でたまらなかった。


きっと幸也は
寮へ行くだろう……




そう考えると
一睡もできなかった。

絶望の果てに-8-



幸也が寮に入った次の日

病棟の懇親会。


先輩に呼び出された。



「大体の話しは他の子から聞いとるわ」


先輩がそう切り出した。


「…………」



「あんたもあんた。もっとしっかりしぃや!……でも辛かったな」


厳しく、
そして優しく叱ってくれた。


「すいません。迷惑かけて…… もうあたしだけではどうしようもないんです」


「そうやって自分1人で背負って…… あんた優しすぎたんや。あんたも悪い。けど今のあの男は異常だよ」



「もう寮には帰るな。それと電話にも出るな。あたしから他の人には話すから」


「でも!また何するか……」


「そうやって周りの事ばっか考えた結果がこれだよ?」




確かにそうだった……


だけど幸也が黙ってそれを見過ごすわけがない。



絶対に。