クローバー(ノンフィクション小説) -20ページ目

エスカレート-8-






「何で……
こんなになるまで黙ってたの……」

「……すいません。
迷惑かけたくなかったんで…」


「辛かったね……
 今、早瀬君はどこにいるの?」

「あたしの部屋にいます……」


「やっぱり。 
部屋に男がいるのは気付いてたよ」

「……すいません」


「夜勤終わったら一緒に部屋行くよ。
あたしが間に入るから」

「すいません……
あたしがダメなばっかりに」


そして
「先輩 1つだけあたしの頼みを
聞いてくれませんか?」


そう言って私は1つだけ
先輩にお願いをした。

エスカレート-7-






だが
ばれるのも時間の問題。

案の定……
寮の隣の部屋の先輩にはばれていた。

ちょうどその日は夜勤が一緒で……
休憩室でボーッと俯く私に話しかけてきた。


「ねぇ 何かあったでしょ?」

「いいえ……」


「じゃあその痣や傷は何?」

いつの間にか痣が増えていた。
後は左腕の×印……

もうダメだと思う度に
注射針で×をつけていた。


頑張れ……

頑張れ……

死にたくても許されない
狂いそうになる自分を

自分を……保つ為に自ら傷つけた。

話したら解放されるのか?

もしかしたら……
助かるかもしれない。


藁にもすがる思いで
先輩に全てを話した。

エスカレート-6-


度々幸也は
寮にくるようになっていた。

寮はオートロック……
暗証番号を入力しないと開かないようになっている。


幸也は言った
「暗証番号?そんなの意味ねぇよ。俺は暗証番号を解除する方法を知っている」


本気か?

冗談か?……

ここは男子禁制の女子寮。
明らかに寮則違反だ。

でも中に入れずに暗証番号を解除されたら……
正門でなく裏口から幸也を入れた。

裏口なら中から鍵を開けない限り
入る事はできない。


ただ正門の暗証番号だけは
絶対教える事はしなかった。