クローバー(ノンフィクション小説) -101ページ目

死ぬはずだった夜‐21‐



なのに


わたしはまた……



進む事をやめてしまう



なんで



わたしが進もうとすると……









神は
邪魔するんだろう。

死ぬはずだった夜‐20‐


爺ちゃんはいつも明るかった。

人工肛門
ストーマケア

ストーマは皮膚トラブルが多い。
試行錯誤しながら爺ちゃんと頑張った日々が懐かしい……

ほんとに死んじゃうの?
そう思うくらい……
元気だった。

でも癌の進行は早く、あっという間に全身転移。

激しい痛み
それでも爺ちゃんは弱音を吐かなかった。

代われるものなら……
代わってあげたい。

何の目的もない自分が生きるより
生きたいと願う爺ちゃんの方がこの世に相応しい。

爺ちゃんは語らずして
色んな事を教えてくれた。

そして最期まで生きる事を諦めず
爺ちゃんは逝った。

告知しなかった事を悔やんだ……

告知して自分の余命が分かっていれば
もっとやりたい事は違ったかもしれない。

その後
爺ちゃんの奥さんにばったり逢った。

爺ちゃんは自分に死期が近い事を
知っていたそうだ……

そして私に凄く感謝していた事も



爺ちゃんとの日々を論文に書く事で

『生かされている』事を
受け止めようとした……




前向きに

死ぬはずだった夜‐19‐


PM10時


卒論を書き始める。

さぁ何書こう……
実習で担当した患者さん達の事を思い返していた。

実習では癌の患者さんを受け持つ事が多かった……

延命ではなく身体的、精神的苦痛を軽減し自分らしい最期を迎える
ターミナルケア。

その中でも1番長い期間実習で受け持った
大腸癌の患者さんの事を書く事にした。

72歳男性S状結腸癌―末期
余命半年。

いつも背中に将棋の『王将』と描かれている甚平を着て
にこにこしている爺ちゃんだった。

人工肛門適応

爺ちゃんは人工肛門を作ってでも
生きたいと言った。

本人への告知
爺ちゃんは必ず治ると信じていた……
自分が癌で余命いくばくも無いとは
思っていなかっただろう。

私はその告知するかしないかのタイミングで
担当になったのだ

告知するべきか
否か……

家族と何度も話しをした結果
告知はしないという事になった。

本人の意思を無視して決めてしまった事に
心が痛んだ。



これで
良かったんだろうか……