死ぬはずだった夜‐19‐ | クローバー(ノンフィクション小説)

死ぬはずだった夜‐19‐


PM10時


卒論を書き始める。

さぁ何書こう……
実習で担当した患者さん達の事を思い返していた。

実習では癌の患者さんを受け持つ事が多かった……

延命ではなく身体的、精神的苦痛を軽減し自分らしい最期を迎える
ターミナルケア。

その中でも1番長い期間実習で受け持った
大腸癌の患者さんの事を書く事にした。

72歳男性S状結腸癌―末期
余命半年。

いつも背中に将棋の『王将』と描かれている甚平を着て
にこにこしている爺ちゃんだった。

人工肛門適応

爺ちゃんは人工肛門を作ってでも
生きたいと言った。

本人への告知
爺ちゃんは必ず治ると信じていた……
自分が癌で余命いくばくも無いとは
思っていなかっただろう。

私はその告知するかしないかのタイミングで
担当になったのだ

告知するべきか
否か……

家族と何度も話しをした結果
告知はしないという事になった。

本人の意思を無視して決めてしまった事に
心が痛んだ。



これで
良かったんだろうか……