愛と平和の弾薬庫 -46ページ目

愛と平和の弾薬庫

心に弾丸を。腹の底に地雷原を。
目には笑みを。
刺激より愛を。
平穏より平和を。
音源⇨ https://eggs.mu/artist/roughblue

「金のエンゼル」なら1枚で!

「銀のエンゼル」なら5枚で!

おもちゃの缶詰プレゼント!


そんな言葉を初めて聞いたのは、はてさて何十年前だったのでしょう。

近所のお菓子屋さんに行くたびに、スーパーに行くたびに、コンビニに行くたびに、

この言葉はどこからかやってきて頭の中にこだまするのでした。

呪縛。

そしてその姿が目に飛び込んでくるや否や、手を伸ばさずにはいられなかったのです。

チョコボ-ル。

世の中にはピーナッツ派が多いようですが、俺は断固としてキャラメル派でした。

伴侶に何度、「またぁ……」と呆れられたことでしょう。

しかし買い続けたチョコボール。

なのに決して姿を現さなかった「金のエンゼル」。

それでも買い続けたチョコボール。

そしてついに現れた5枚目の「銀のエンゼル」!

       銀のエンゼル×5

届いたのはこんな箱でした。

       おもちゃCanBox


その中からジャジャーンと出てきたのはまさにまさに!


       kyoro


キョロちゃん!

中味は!?中味は!?とはやる気持ちをぐっと抑え、

厳かな面持ちでゆっくりと、俺は開きました。


       kyoros


上列・左から、


わくわくキョロちゃんシール!……お気に入りの持ちものにはってね!……


キョロちゃんのかたちのオカリナ!……お気に入りの歌を吹いて遊んでね!……


キョロちゃんのキーカバー!……おうちの鍵をはめて使おう!……


下列・左から


キョロちゃんのワープボール!……ボールが消えたり現れたりする不思議なマジック!……


おでかけチョコボールケース!……チョコボールを入れてくびからさげてね!……


キョロちゃんがぐるぐる回るヨーヨー!……上手に回して何回つづくかちょうせんしてね!……


キョロちゃんのワープボール(マジックのやり方は省略)をばらして、ちょっと並びを変えてみました。


kyoros2  kyoros3  kyoros4

40数年間の呪縛から、やっと俺は解き放たれました。


長い、長い夢から覚めた……そんな気分です。

いつものウォーキングコース、川沿いのアスファルト舗装された土手道を行くと、やがて

はやしさんちの柴犬ポチが二階建ての新し目の家の庭でいろいろやっている姿を見おろすことができる。


いつだったかは、姿が見えないなあ……と思いつつ少々さびしげに通り過ぎようとしたら、

陰のほうからいきなり、ダダダダダッ!とこっち方向に向かって駆け出てきて、

おーおー俺がやってきたのを察知したのか!と自分勝手に喜んだら、

そこが定位置なのか、庭の角でピタッと止まって中途半端にしゃがみこんだ。

……ウンコ。

やられた、と思った。

まったくやってくれる。

さすがポチ!


ついこないだは、こっちが「あれ?」と思うほど姿勢正しく鎮座ましましていた。

背筋をまっすぐ伸ばし、前足をきっちり揃えて座り、こっち方向を見上げている。

どうしたんだ、ポチ!お迎えしてくれたのか!と、俺はまた自分勝手に思い込んだ。

すると次の瞬間である。

ウォォォォォォォ~~~~~ン!

遠吠えである。

何なんだ、お前はいったい!?


とっても楽しいはやしさんちのポチ。



p.s. mixiの名前、まどろっこしーことやめて本名にしちゃいました。もう変えません。

三連休のなか日で、クリスマスイヴイヴで、

光のページェントではクリスマスイルミネーションだか何だかで、仙台市は異常渋滞。

どの大通りも動かねえ動かねえ。

みんなほんとに渋滞が好きなんだねえ。

ぐったりです。

2000年あたりから「Rough Blue」というタイトルで小説を書き始め、

それは“Rough Blue”という名前の喫茶店を舞台にしたいくつかのお話だったのだけれど、

十篇近く書いたお話はあとから読むと、こりゃあ少女マンガの原作にもならんぞ、ってな稚拙なしろものだった。

しかしその話に出てくる人間たちに対する愛着は捨てがたく、

2004年にノートパソコンを買って即座に作り始めたHPに同じ名前をつけてしまい、

いろんな部分で自らも「roughblue」などと名乗ってきた。

そこには他の登録名が思いつかなくてついつい、という理由があったんだけど、

やっぱりこれは名前として使うべきもんじゃねえなあ、と今頃になってやっと思い至り、

mixiではこの名前を使わないことにしよう!と決定したんだけど、

こんなご大層に報告するようなことじゃなかったなあニコニコ

 朝食の膳を眺めて伴侶は言う。「朝はこの前と同じだね」

 前回来た時とすっかり同じ内容らしい。俺にはまったく確信はない。が、彼女がそう言うのならそうなのだ。伴侶はとても記憶力に優れているのである。一度見た映画ならたいがい細部まで覚えていて、何事につけても忘れっぽいを驚かせる。

 しっかり膳となって出てくる朝食は嬉しい。旅館やホテルの朝食ではいわゆるバイキング形式というのが多いが、あれは困る。どうせ大したものは並んでないんだからほどほど食ってそれでよしとすればいいんだが、母親が煙草吸いで生まれながらにして食い意地の張っている(統計的にそういうことに決まったらしいのだ)俺としては、大したことないものをほんの少しだけ食って帰ってくるというのが癪に障るのだ。で、あれもこれもとプラスティックの盆に載せてしまい、ついには腹だけ膨れ、結局、満足感のない食事になってしまうのである。あれは一見豪勢なように見えて旅館・ホテル側の怠慢以外の何ものでもないし、その上自己嫌悪を増長するのでたまらない。

 ともあれ、☆☆ホテルの朝食はバイキングではなく、膳に一人分きちんと用意されている。夕食と精神を共にするしっかりした朝食である。伴侶がここを気に入っているのはこの朝食のせいもある。彼女もバイキングには辟易するタイプなのだ。

 はてさて朝食の会場は夕べの食事と同じ場所で、同じ人が隣りに座っている。我々のお隣さんは若いお嬢さん二人組だった。夕べはずっと片方の振られ話を片方が強気な言葉で慰めるという非常にうっとうしい状態だった。そんな流れで一晩一緒にいたらひょんな言葉から一泊旅がとんでもないものになってしまいそうなもんだが、どこか先生と生徒といった風情で今朝も妙に堅苦しげな穏便さで食事をしていた。余計なお世話だが。

 朝めしを食ってまた今度は1階の大理石風呂に浸かり、よ~しこんなもんだろう、とようやく満足するにいたり、宿を出た。予約外ではビールと冷酒と生酒(これがまったりして呑みやすかった。前に頼んだ安い冷酒は余計だった)が加算されて27,800円。2人で27,800円です。ラップのかかった肉や冷えた朴葉焼きが出てくるA温泉郷のホテル××の一人分より安い。

 旅館を出るともう市内に帰るだけの俺たちはなんとなく寂しい感じ。以前に看板を頼りにどれどれと見に降りていったがどうにもその正体を見極められなかった「鳳鳴四十八滝」の看板に再び反応する。どれどれ今度こそは、と車を降りた。すると何やら以前と様子が違う。新しげな柵が張り巡らされているのだ。道にも小砂利などが敷きつめられている。

 やがて敵は正体を現した。怖い。落ちたくない。怒涛に流れ落ちる、それはしっかりした滝だった。ホテル××に続きA温泉郷よりもS温泉郷のほうが滝においても優れていることが判明した。自然の景色に優劣をつけるのもどうかと思うが、怖いほうが勝ちなのだ。近寄りがたいほうが。

 写真とっては見たけど、落ちたら怖いような所にある滝なんて素人にちゃんと撮れるわけなどないのだった。

     

     houmei48taki_1    houmei48taki_2

     段々に流れてきて、                    どどーーっと落ちる。


 仕事先にお土産と土産話を持っていった伴侶は同僚たちに、「おとめ座さん、入りすぎ!(風呂に)」と言われたらしい。本人もこのあとしっかり一週間、湯疲れだなあ、これは、と言ってぐったりしていた。

 終わり。

 一泊二日の一日目は午後3時15分前ぐらいに宿に着いてから結局4回風呂に浸かった。これには最初に入ったあと、ながいあいだ部屋に戻らなかったせいですっかり体が冷えてしまい、浸かりなおしに行ったのも含まれる。

 二日目はちょうど7時ごろに目が覚めた。

 「いびき、うるさかったよぉ」と伴侶は主張する。

 俺にはそんな記憶はないがしかし少々呑みすぎた感は否めず、そんな夜は決まっていびきをかく習性があるので、たぶん言う通りなのだろう。う~ん、とひと唸りして謝罪に変えさせてもらった。

 朝食は8時である。宿としてセッティングできる一番遅い時間である。朝めし前にひとっ風呂浴びられるようにその時間にしてもらった。

 「さ、行きますか」と夫は言う。

 「どっち行く?」と妻。

 「上」

 4階の露天が目当てだ。

 夜と違って、朝の風呂は混雑している。やはり11月25日の朝の☆☆ホテルもそうで、直径2.5mほどの円形露天風呂にはすでに3人ほど浸かっており、仕方なく室内の展望風呂にまずは浸かるが、その3人が出てくるや否やさてとと腰を上げる。が、一瞬先を行った者たちがいた。お父さんと小さな女の子の二人だった。狭い風呂なので独り占めしないと足を伸ばせないのだが、まあしょうがない。あとに続く。

 空は前日以上の上天気である。真っ青。雲ひとつない。目の前には2才ぐらいかと思える女の子にちまちま話しかけるお父さんと、父の膝に乗っかってぴよぴよお父さんに答える女の子。

 お父さんは小さな頭である。小顔。その髪の毛が坊主狩りで、目がくりっとしていて、体は骨と皮という風情、まるで修行に入ったばかりの若い小坊主さんである。その膝の上で女の子が何やら口ずさみ始めた。とっても印象的な歌詞だった。

 「ち~んぽこち~んぽこ……」

 延々これの繰り返し。

 シッと言うお父さんの声が小さく聞こえた。がしかし……

 「ち~んぽこち~んぽこ……」

 娘はとてもこの歌が気に入っているのだ。

 娘はお父さんの膝の上にいる。視線がお湯の中に向かっている。

 とても印象的な情景だ。

 やがてお父さんは誰に対してか知らないが開き直ったようだった。「そのお歌、○○ちゃんが作ったの?」

 うつむいたまま○○ちゃんが答える。「うん」 そして続ける。「ち~んぽこち~んぽこ……」

 かわいいお父さんとかわいい女の子とかわいいお歌。

 もうちょっとつづく。

 三番バッターあたりたるべきお造りの登場を九回裏の代打まで待たねばならなかったのは至極残念ではあったが、とりあえずは期待通りの料理に満足し、夫婦は1号機エレベーターを使い、部屋へ戻った。やがて腹が落ち着くと、さてと、である。風呂風呂風呂風呂!温泉温泉温泉温泉!夜空を見上げての露天風呂!

 食事後の風呂場、これが意外とすいてたりするので、我ら風呂にがっつく夫婦は必ずこのタイミングで夜の風呂をシメる(〆る、占める)。

 よ~しよし、これで一日目のノルマはこなした、と風呂から出てマッサージ器のほうへ。そこで所在無げに体を揺らしている青年。昼間、「タダでできますから」と寝そべり型マッサージ器を俺に勧めてくれたマッサージ器営業のおにいちゃんである。俺の顔を見て再びすかさず薦めてくる。「やりますかぁ?」 やるやる。俺はやる。堕落の道を転げ落ちるのだ。

 落ち始めると伴侶が風呂から上がってきた。「先に行ってるね」 うむ、それでよい。

 昼間は俺がゴリゴリされているあいだ、この手のマッサージ器や医療用道具などについて伴侶と話していたおにいちゃんであった。なんとなく、その素直さ、純朴さが垣間見えていた。だからこうして気楽に再び横になれたのであり、そして何気に話しかけることもできた。

 「何時までここにいるの」

 俺はマッサージされている。が、おにいちゃんはマッサージ師ではない。マッサージ器の営業マンである。であるからして、ただ半端にしゃがみこんで俺のほうを見ている。

 「10時までですねぇ」

 昼間の伴侶との会話で青年は若林区から来ているということがわかっている。S温泉郷からは平均ほぼ1時間。

 「じゃあ家について11時だぁ。で、朝は何時に来るの」

 「10時には着いてますねぇ」

 「じゃあ、なんだかんだ14時間は仕事だ。ひぇ~」

 世の中のサラリーマンで一日14時間、毎日これをやっているなんてそれほど珍しいことじゃないだろうが、おれにとってはとりあえず、ひぇ~、だ。なんつっても一日おきに休んでるようなもんだから。

 「自分の時間なんてねえなあ」

 「ないっすねえ、寝るだけっすねえ」

 「はぁーーーっ……」

 何が、はぁーなのか自分でもよくわからなかったが、まあ温泉場ではありがちな感嘆詞であるということで納得する。

 「いくつよ、歳」

 「21っす」

 「21!」

 別に驚くようなことではないが、これもまた温泉場だからこそだ。

 しかし「温泉場だからこそ」は客が浸ってもいい立場であって、労働中の人間はそのぬかったわだちにはまってはいけない。しかしこの労働中青年は人が敷いたわだちにしっかりはまってきた。

 「もう辞めようと思ってるんすけどね」

 う~む21だ、と堕落オヤジは腰にくるゴリゴリに顔を歪めながら思う。ありがちなセリフだ。俺なんかは口にしないうちに実行してしまうクチだったが。

 「やめてどうすんの」

 「動物訓練の資格持ってるんすよ。親に金出してもらって専門学校行って、一応ペットショップ就職したんすけど、辞めちゃってこれやってるんすけど、でもやっぱり違うなあとか思って……」

 違うと思うんなら違うんだろう。

 「そりゃ違うわなあ」

 しかし専門学校を出たからと言って何ができるのか。

 「その動物訓練の資格って、どんなことできんの」

 「ペットの教育とか、盲導犬の訓練とか、あと、試験受けたら警察犬の訓練とかっすけど、2・3ヶ月かかってもそっち(動物方面)に戻ったほうがいいかなあって」

 「そりゃその方がいいに決まってんなあ、そんなちゃんとした資格ならなあ。親もそのために金出したんだろうしなあ」

 「そうっすよねえ」

 「そりゃそうだぁ。ドーブツくんれんしたほうがいい!」

 背中ゴリゴリされ喘ぎながら言い切っている俺。しかしそんな喘ぎ声に青年はまともに反応する。

 「よかったっす、お父さんに話してみて。背中押してもらったっす」

 お父さん?まあ確かに21の青年からしたらしっかり父親にあたる年齢ではある。が、なんかこうして初対面の若造クンに「お父さん」なんて言われてしまうと自分に娘がいるような妙な気分に陥ってしまう。

 しかし、適当に温泉場的生返事をしていただけとは言え、いつの間にか青年を正しい道へ導いたのは確かなようで、なんかいい気分。

 部屋へ戻ってこのことを伴侶に話したら、「あらあ、いいこと言ってやったんださあ」ときた。

 うむうむ、さらにいい気分。

 うまいもん食って、ゴリゴリでほにゃほにゃになって、なんだかいいことした気分になって、おんつぁんはとってもいい気分なのだ。

 つづく。

 4階の展望風呂に浸かって寝そべり型マッサージ器にしっかりゴリゴリされた一時間後、1階の「大理石風呂」にも浸かり、さてついにメインイベント!お夕食である。☆☆ホテルの素晴らしい所は「1万円ちょっと」でもしっかり「う~む納得!」という料理がいただける所だ。きちんと季節に応じたささやかながらもそれぞれに工夫の見える逸品が並ぶ。量が多すぎない所もいい。

 だがここに現れる。ギシギシおばばである。名物と言ってもいい。

 前に来た時はコースが違ったせいか、落ち着いた風情のおばさんがほとんどの部分を担当してくれ、あとになってちょこっと登場しただけだったが、その「ちょこっと」だけでふんだんにその個性を我々夫婦に刻みつけてくれたギシギシおばばが今回はしっかり全編に渡って我々の料理運びを仕切ってくれたのである。

 広い食事会場(大宴会場)をギシギシおばばが元気な猫のように動き回る。若い女の子も同じように動き回ってはいるのだが、こちらはどうやら新人さんのようで、「お酒を」などと頼んだだけで「少々お待ちください」と言うとそのたびにギシギシおばばが「あ、あ……」と息せき切りつつ注文を取り直しにやってくる。

 このホテル、と言うかしっかり「旅館」以外の何ものでもないんだが、お品書きというのをきちんとプリントして料理のそばに添えてあり、そこには「季節のお造り盛合せ」と書いてあるが、これが一向に姿を現さない。

 「お刺身って最初のほうに出てくるもんだよねえ」と伴侶は言う。

 俺も何となくそんな気がする。

 伴侶はこの次点ですでに確信している。

 ギシギシおばばの失策を、である。

 「あのチャカチャカおばば(伴侶にとっては「チャカチャカおばば」らしいのだ)、やったね」

 「え?」

 「お刺身、忘れてんだよ」

 はたして、汁代わりなのでそろそろご飯をとなったら火をつけてください、と言われていた小さな鍋に我々が火をつけたのを見て、なぜかギシギシおばば参上、小さく、「あ……」と人知れず発声し、何のためにやって来たのかその根拠も見せずにそそくさと奥へ。2・3分後、再び参上のおばばの両手には、いい感じにとろっとしなだれた刺身の皿が。

 おばばさま、見てるだけでギシギシ音が聞こえてきそうなあなたがチャカチャカ動き回っているのを見ながらの食事ははっきり言って中々落ち着かないのではありますが、くれぐれもお体をお大事に、ご自愛のほどを。

 まだ続く。

 噂の1号機エレベーターでまず2階に降り、10mほど廊下を歩き新しいほうのエレベーター(2号機という表記はなかった)で4階まで昇ると展望大浴場にありつける。普通風呂に入るのに「ありつける」なんて言葉は使わないが、「風呂風呂風呂!温泉温泉温泉!」と貪欲にがっついている我々には「ありつける」という表現が妥当なのだ。気分はすっかりムフムフおじさん。

 大浴場のほうは俺にはちょっとぬるかったが、ドアを2つほど開けて外に出た所の露天風呂はう~んなかなか!世は満足じゃ!思わず唸る、うえ~~~~!なぜだろう。

 温泉に来て湯に浸り、次のお約束的楽しみと言ったらそれはもうマッサージ器だ。これがない所のリピーターには我ら夫婦はならない。そのための100円玉もちゃんと用意して風呂へと向かう。風呂から上がってこれまたムフムフ笑みを浮かべおんつぁんは機械へ向かう。まずは背中をやってくれる普通タイプを試す。がしかし伴侶がまだ湯からあがってこない。う~んとか唸っているふりをしつつ視線はムフムフと他の機械へと向かう。足を締めつけ足裏のつぼを適度に刺激するタイプ。これはちょっとピンとこなかった。まだ伴侶はあがってこない。今度こそ本気でう~んという気分になってきた。と、そこに現れたのは若いおにいちゃん。見たこともないベッドタイプのマッサージ器を指さし、どうですか?とのたまう。「200円15分」と書いてあるのだが、タダでできますので、と言う。新しいモノには警戒心の強い俺である。のだが、モノはマッサージ器である。しかも全身くまなくゴリゴリ刺激しほにゃほにゃにしてくれそうな雰囲気をぷんぷん漂わせている。と、その時やっとあがってきた伴侶。やらせてもらったら?とおっしゃる。う~ん、君がそう言うのならね、まあ急いでいるわけでもないのでね。とかなんとか表面をとりつくろいたい所だが、顔がもうふにゃけている。いそいそと、寝そべる。

 中国の格言に「悪しきこと」として「按摩」と挙げられているのを何かで読んだことがある。人品の堕落を誘うというのである。人生を楽なほうへ楽なほうへと導く悪しきもの、というわけだ。堕落どっぷりの俺ってこと。

 ああ、それでもまだ珍道中は続く。まだたいして「珍」になってないし。

 仙台にちらっと初雪が降った直後の11月15日、いろいろタイヤ交換方面が混雑する以前にスタッドレスタイヤに履き替えていたもんね、とはいうものの数日前にはしっかり街が白く覆われる日などもあり、しかも行き先は山形とのほぼ中間、奥羽山脈の山裾に位置するS温泉郷、気温しだいではツルツルかもなあ、と少々ビビりつつその日を迎えたら、どこまでも青空の素晴しき日和、気温も朝から10℃越え。よかったよかった、といざ発進。向かうはこれで二度目となる☆☆ホテル。伴侶がなぜかすっかり気に入ってしまった、一人一泊1万ちょっとという宿。

 最近旅館に行くと、古い建物に建て増し建て増しで二重三重構造になっている宿が多くある。極めつけは岩手の志戸平温泉で、迷路のような大きな建物の中をどこをどういったら風呂に辿り着けるのやらといった調子で参ってしまった記憶があるが、小さな小さなこの☆☆ホテルもご他聞にもれず新館と旧館とに分かれていて、新と旧ではその部屋の様子に歴然とした差が生じていて、旧館のほうはトイレのない部屋さえある。もちろんそんな部屋は破格に宿泊料が安い。でもやっぱりトイレがねえとなあ、さんざん呑んでしまうクチにはつらい。たまらない。しかし部屋風呂なんぞはジャブジャブゴーゴーと温泉三昧を目指してきた身にはいらないいらない、というわけで、旧館の風呂なしトイレつき、1万ちょっとの部屋と相成ったのだった。

 俺なんぞは半端に貧乏人根性がしみついてるもんで、せっかくの「温泉の喜び」をしみったれた部屋でしょぼくしたくない、なんて思っちまうんだが、伴侶はそのへんが割り切れてる。「寝るだけなんだから部屋なんてどーでもいいの」と来たもんだ。「どーせ酔っぱけちまう(酔っ払っちまう)くせして!」 まさにまさに。

 しかし問題はしょぼいだの、しみったれただの、そんな範疇では収まらなかった。エレベーターにも新と旧があり、新館に泊まる分には新しいほうのエレベーターだけで事足りるからよいのだが、旧のほうに部屋を取ってしまった人間はどうしても旧のほうのエレベーター(いわく「1号機」!)も使わねばならず、なぜそれが問題なのかというと、この1号機、調整中で……ズレるのだ……エレベーターが、ちょっと、15cmぐらい、つまりはハガキ一枚立てたぐらい、時々。

 もちろん「ただいま調整中で段差が生じる時があります」なんて貼紙がしてあったりなんかして、「でも大丈夫だから!」というメッセージは伝わってはくるんだけど、やっぱりけっこうビビる。一応、片足でちょんちょん、なんて突っついてみてから乗る。が、がくんがくんと鳴ってやっと止まると、開いた時、やっぱ20cmぐらいズレてる。時々。

 今にしてちょっと、しまった!と思うのはこのズレた状態を写真にとってこればよかった!ということなんだが、でもカメラなど構えた時に限ってこういうヤツはピッタリ止まったりするんだよね、何度カメラを用意しても、きっと。

 はてさて、一泊二日のお話はまだつづく……。