本中毒、映画中毒、仕事中毒、そして...恋愛中毒 -14ページ目

■書評 劉 慈欣『三体Ⅲ 死神永生』早川書房 2021/5/25

 

 


中国発のSF長編の第3部、完結編
前作の第2部では、圧倒的な科学力を持つ三体文明に対し、地球文明の独立と生存をかけた壮大なストーリーが繰り広げられ、黒暗森林という概念を逆用し、二つの文明の関係に一定の安定をもたらし完結した。

黒暗森林と言うのは、宇宙規模の生存競争。

進んだ文明が他恒星系の文明の存在と位置を検知した場合、宇宙規模でのリソースの独占と無用な競争回避を目的として、相手の文明を恒星系ごと破壊してしまう。という概念。
地球よりも圧倒的に科学技術が進んだ三体文明も、恒星系を一瞬で破壊してしまう超文明には太刀打ち出来ず、大宇宙の中では息を殺して文明を育んでいる。

そのため、相手の恒星位置を宇宙に向かって発信する手段を持てば、 相互確証破壊により武力による侵略が不可能になる。
欧米の楽観主義的なSFとは違い、いろいろな意味で如何にも中国的世界観に基づくお話でSFとしてもミステリとしてもとても面白かった。

続編として、この続編として面白い話を書けるのだろうか?と訝しんでいたのだが…

 

なるほど。

作者は後半の為の伏線の仕込みをした後、第2部を卓袱台返しの様にひっくり返してみせる。
黒暗森林による相互確証破壊保障体制を三体文明側が覆すのである。
「あ、やられた。さぁ地球文明はどうするんだ?

でもこれで、第2部が、全部なかったのと同じになって、振り出しに戻っちゃったなぁ…」
という危機的状況。

「第3部はこの状況を地球文明がまた克服する話かぁ。」
と予測したら、作者はそれもひっくり返してみせる。
読者はもっと遠くまで、宇宙の始まりと終わりにまで連れて行かれる…

 

HGウェルズ『宇宙戦争』を読んでいるつもりだったのがけど、いつの間にかクラークの『都市と星』を読み終わっていた様な感覚。

それが不快なワケではない。
一歩下がって冷静に考えると、黒暗森林という概念を出した時点で、話はそこまで行く事は既定路線だったわけだ。
だが、読んでいる間はそう予測させない巧さが、この作者にはある。

■アニメ『有頂天家族』日本2013

 

 

この4月からBS12の木曜深夜枠で森見登美彦原作の『有頂天家族』が再放送されている。
ちょっと力を抜けた感じが好きで、僕は毎週楽しみに視聴している。
家人は、
またタヌキのアニメを観ているの?
と呆れて少し小馬鹿にした様に言うのだが、いやいやどうして、何度観ても面白いのだから仕方ない。
7/2よりはそのままの時間帯で続編の『有頂天家族2』まで再放送予定になっている。

あぁ、ありがたい事だ。

 

 

と、このアニメを観ていて気が付いた事がある。

主人公達のライバル夷川家に金閣・銀閣という双子が出てくるのだが、これがどうも既視感がある。

その既視感が何なのかわからなかったのだが…

たまたま同じBS12で放送していた『装甲騎兵ボトムス クエント』を視聴している時に、出てきた双子の科学者アロン&グラン見て、家人が一言…

これ、タヌキの双子と一緒ね。

 

あ、なるほど。

金閣・銀閣のモデルはアロン&グランだったのか…

そんな事をブログに書いたって、どれだけの人が分かってくれるのか…

それでも、書かずにいられないのもアニメ好きの性。

■アニメ『装甲騎兵ボトムズ』1983日本

 

 

この3月から、YouTubeのサンライズ公式チャンネルにて、『重戦機エルガイム』とか『無敵超人ザンボット3』とかの往年のTVアニメが公開されている。
いずれもアラ還のオヤジが中学~大学時代くらいにTVで放送されていた作品。
僕はその中でも、『装甲騎兵ボトムズ』を楽しみに毎週観ている。

 

この『装甲騎兵ボトムス』は、かなり異質の作品。

類似するモノがない。

 

まず、このアニメには主人公機と言うものが存在しない。

 

主人公のキリコは、アマードトルーパーと言われるロボット兵器を次々と乗り捨てる。

作品名に出てくる「ボトムズ」というのはロボットの名称ではなく、アーマードトルーパーのパイロット達を指す俗語だ。

画像を観ればわかる様に、アーマードトルーパーには顔がない。
顔の部分にはカメラの武骨なカメラのレンズターレットが付いている。
ロボットアニメに在りがちな視聴者の疑似拡張人格としてのロボットへの思い入れを排除し、キリコとその周辺人物達へのドラマそのものに集中させたい作り手側の意気込みが見て取れる。

 

以下のようにドラマは始まる。

一つの銀河系全体を巻き込んで100年間続いた大規模な星間戦争の終戦直前に、ドサクサに紛れ実施された犯罪的な軍事作戦に巻き込まれた主人公キリコ・キュービィが、重要な軍事機密を見てしまう事から、話は始まる。
重要な軍事機密というのが、カプセルに入った裸で丸坊主のナイスバディの女性なのだが、これがどういう風に軍事機密なのかも最初は判らない。


この作品では、話全体の枠組みをずっと伏せられたままで、視聴者は最低限の情報だけで謎解きをしながらハードボイルドな作品世界を追体験する事になる。

 

本編は1クール分13話毎に4部に別れ、それぞれの舞台の名前を取って、1部がウド編、2部がクメン編、3部がサンサ編、4部がクエント編と言われているのだが…

 

5/21まではウド編が毎週配信されていたのだが、クメン編に入るはずの5/28からは代わりに『太陽の牙 ダグラム』が始まってしまい、『ボトムズ』はお休みになってしまった。

なんてこった!!

それはあまりに殺生と言うものだぜ、サンライズさんよ。

 

しかし…

「捨てる神あれば拾う神あり」

実は、BS12で5/21金曜深夜26時から毎週、各部を1時間の総集編にしたOVAの放送が始まった。

今は総集編で我慢しておくか…

 

<追伸>

おっ!

水曜日に同じ高橋良輔監督の『蒼き流星 レイズナー』の配信も始まっているじゃないか。

これも観ないといかんなぁ。