CH オー・ブリオン詳解 その6 | ろくでなしチャンのブログ

CH オー・ブリオン詳解 その6

ぶどう シャトー・オー・ブリオン その6

     Chateau Haut Brion               

                                  1級 PP1級

 

 

 ハリネズミヴィンテージチャート(代替) Chateau Haut Brion     

 

1975年-£385 1989年-£1878 2000年-£693 2011年-£400

1979年-£370 1990年-£ 709 2001年-£384 2012年-£371

1982年-£783 1991年-£ 333 2002年-£326 2013年-£327

1985年-£441 1992年-£ 314 2003年-£394 2014年-£340

1986年-£411 1993年-£ 342 2004年-£347 2015年-£506

1988年-£389 1994年-£ 331 2005年-£690 2016年-£527

            1995年-£ 425 2006年-£409 2017年-£393

            1996年-£ 405 2007年-£392 2018年-£456

            1997年-£ 347 2008年-£380 2019年-£416

            1998年-£ 476 2009年-£761 2020年-£

            1999年-£ 375 2010年-£775 2021年-£

                                           WINE SEARCHER 2021.4.30記

 

ピコピコハンマー ペサック郊外の活気ある商業地区にあるオー・ブリオンは、米国人が所有する唯一の第一級シャトーである。ディロン一族がオー・ブリオンを1935年に購入したとき、このシャトーは非常にお粗末な状態にあった。一族は畑とセラーに多額の資金を投入した結果、美しいシャトーは現在、グラーヴの模範的なシャトーの1つになった。

 オー・ブリオンのワインづくりは、明敏でハンサムなジャン・デルマ(ワインの世界における最も才能のある管理者の一人)が管理している。彼は高温で短期間の醗酵によるワイン造りの熱心な信奉者だ。オー・ブリオンはまた、ボルドー・ワインにしては長期間(最長30ヶ月)、ワインを新樽で熟成させる。シャトー・マルゴーやパヴィと並んで、瓶詰めする時期が最も遅いシャトーの1つでもある。

 オー・ブリオンのワインのスタイルは年々変化を遂げてきた。1950年代から1960年代初めにかけてはとびきりリッチで、土っぽく、甘くさえあったワインは、1966年から1974年の間には、より軽く、やせた、穏やかな、いくらか単純なスタイルの赤ワインに変わり、第一級シャトーに期待されるような豊かさと深みを欠いていた。これが意図的なものなのか、あるいは単に少し低迷していただけなのか、いまだに答えは見つからない。

 

 オー・ブリオンのスタッフたちは短気であり、このような批判に対しては敏感なのである。1975年のヴィンテージからは再び、1966年~1974年よりも前には備わっていた、本来の土っぽい豊かさと凝縮感を取り戻した。今日のオー・ブリオンは紛れもなく一級シャトーの地位にふさわしいワインをつくっている。事実、1978年以降の個々のワインは、私が個人的に気に入っているだけでなく、一貫して、この地域で生産される最高のワインの1つとして認められている。

 偶然の一致なのかどうか分からないが、オー・ブリオンの質が1966年から1974年の時期を経て回復し始めたのは、ダグラス・ディオンの娘であるジョアンがこの会社の代表取締役となった1975年のことであった。最初の夫であるルクセンブルクのシャルル皇太子が亡くなった後、彼女は1978年にムシイ公爵と再婚した。これと時を同じくして、バーン・オー・ブリオンへまわされる葡萄の量が増え、それによって、オー・ブリオンの品質が改善されたのは疑問の余地がない。さらに、ジャン・デルマに対し、このシャトーを運営する全権限が与えられたようだ。ボルドーすべての人々が認めるだろうが、彼は世界でとは言えないまでも、フランスにおける最も才能のある、また知識豊かなワイン醸造家であり、管理者の一人なのである。最新技術を結集したクローン選別についての、驚異的な研究では、フランスでは彼の右に出る者はいない。1980年代に収穫が非常に豊かになると、デルマは、ポムロールの同業者、シャトー・ペトリュスのクリスティアン・ムエックスと同様に、葡萄の房を間引きすることで収穫制限したのであった。この方法によっていっそう優れた凝縮感と驚異的な品質を備えた1989年が生まれたことは間違いない。このワインは、1959年と1961年以来、最も賞賛に値するオー・ブリオンであり、現代の伝説となっている。

 ブラインド・テイスティングすると、オー・ブリオンは、一級シャトーの中では最も香り高いと同時に、最も外交的で軽いワインとされる事実は興味深い。 

 実際には、このワインは軽いのではなく、単に、オークの個性があって肉付きがよく、タニックなメドックのワインや、よりやわらかくてメルローが支配的な、右岸のワインとは異なっているというだけなのだ。最高のヴィンテージにおいては、早熟であるにもかかわらず、このワインは重みとともに舌触りも増し、30年かそれ以上熟成を続ける能力を持っており、ほかの一級シャトーのどのワインよりも飲み頃の期間が長い。香りの面では、オーブリオンの偉大なヴィンテージの右に出る者はいない。

 1975年以来、オー・ブリオンの品質レベルが向上するに伴って、セカンド・ラベルであるバアン・オー・ブリオンの質も向上した。これはいまやボルドーで最高のセカンド・ワインの1つであり、いくつかのヴィンテージでこれを凌いだことのあるセカンド・ワインといえば、名高いシャトー・ラトゥールのレ・フォール・ドゥ・ラトゥールくらいのものである。

 オー・ブリオンでつくられる白ワインは依然として、グラーヴ地方で最高のワインであると評価されている。しかし、生産量が非常にわずかなため、所有者の要請で格付けされたことがない。とはいえ、驚異的なモンラッシェのようにふくよかな舌触りのある白のグラーヴづくりを追求するジャン・デルマの指導のもと、この白ワインはまったく力強いものとなっている。1985年、1989年、1994年、1998年及び2001年といった最近のヴィンテージなどは、まったく驚くほどの出来栄えを示している。

 私の個人的な感想を付け加えておくと、30年以上にわたって集中的にできるだけ多くのボルドー・ワインを試飲した結果、そこで生じた唯一の全般的な変化は、私がオー・ブリオンに対して、ますます深い愛情を抱くようになったということである。このワインに備わった、スモーキーな、ミネラルを感じさせる、葉巻入れのような、甘いブラックカラントのような特性は、私が年齢を重ねるにつれ、またジャン・デルマならきっとそう言うであろうが、私がより賢くなるにつれ、いっそう魅力的に感じられる。


             



キャミソール 一般的な評価

 この偉大な一級シャトーは世界で最もエレガントで、アロマの複雑なワインを造っている。この点に関しては、さまざまな反論があり得るだろう。1980年代初め以降、オー・ブリオンほどの一貫性と、輝かしい品質を示すシャトーはほかにない。


 

ぶどう  頭の整理、オー・ブリオン

 

  

 

(ライバル)

        

 Le Clarence de Haut Brion       Ch La Mission Haut Brion   

 ル・クラレンス・オー・ブリオン        Ch ラ・ミッション・オー・ブリオン

 

(シャトー消滅)

     右矢印    

Ch La Tour Haut Brion                   La Chapelle de La Mission Haut Brion 

Ch ラ・トゥール・オー・ブリオン      ラ・シャペル・ド・ラ・ミッション・オー・ブリオン                 

 

(シャトー名変更)

     右矢印     

Ch ラヴィル・オーブリオン         Ch ラ・ミッション・オー・ブリオン・ブラン

Ch Laville Haut Brion          Ch La Mission Haut Brion Blanc                    

 

 

シャトー・オー・ブリオン詳解 その1                            詳解はこちら

シャトー・オー・ブリオン詳解 その2 1975年~1999年 詳解はこちら

シャトー・オー・ブリオン詳解 その3 2000年~2004年 詳解はこちら

シャトー・オー・ブリオン詳解 その4 2005年~2012年  詳解はこちら

シャトー・オー・ブリオン詳解 その5 2009年~        詳解はこちら

シャトー・オー・ブリオン詳解 その6                         こちらへ

シャトー・オー・ブリオン詳解 その7

     Le Clarence de Haut Brion 1998年~2019年 こちらへ 

シャトー・オー・ブリオン詳解 その8                         

     Le Clarence de Haut Brion 2020年~      こちらへ

 

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