就業規則を作成又は変更した場合、次のいずれかの方法で労働者さんに周知しなければなりません(労働基準法106条)。


①常に各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること


②書面で交付すること


③磁気ディスク等に記録し、かつ、各作業場に、労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること


私に就業規則の作成を依頼していただいた経営者さんには①をおすすめしています。


就業規則は労働契約の内容をなすものであり、外部に公開すべきものではないからです。


就業規則を作成又は変更したときは、代表労働者の意見書を添えて、事業所の住所地を管轄する労働基準監督署に届出なければなりません(労働基準法89条、90条)。


このとき就業規則等は2部用意します。


1部は労働基準監督署が受け取り、もう1部は届出済印を押して会社用に返してくれます。


就業規則等を提出したとき、当然内容がチェックされますが、どの程度チェックされるかというと、私の経験からすれば担当する職員の方によってかなり差があります。


本当に入念にチェックされる方もおられますが、形式的にチェックされる方のほうがかなり多いような印象を私は持っています。


特に私の作る就業規則は膨大な量になるので、いちいちチェックしていたらかなり時間がかかるからかもしれませんが(笑)。



労働基準法90条1項は「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」と定めています。


しかし、これは代表労働者の意見を聴く義務があるということであって、その意見に拘束されるというものではありません。


あくまでも、就業規則の内容は、使用者の判断によって決定されます。


ただ、労働者の意見で採用できるものは採用するという対応が好ましいことは言うまでもありません。



任意的記載事項とは、法律に反しない限り、使用者が自由に規定できる事項です。


「会社を守る」立場からすれば、この部分をいかに充実させるかが、最も重要です。


就業規則の価値はこの任意的記載事項で決まるといっても過言ではありません。


例えば、「服務規程」です。


よくあるパターンは

「従業員は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、会社の指示命令に従い、職場秩序の維持に努めなければならない」

という抽象的な規定をおいて、具体的な遵守事項を10~20くらい並べたものです。


でも、実際に労働トラブルになった場合に、これくらいの規定で会社が守れるでしょうか?


大切なことなので、もう一度かきます。

「任意的記載事項とは、法律に反しない限り、使用者が自由に規定できる事項です。」


経営者が従業員に求めることは全て具体的に記載すべきだと思います。


例えば、

「業務の指示を受けたときは、報告、連絡、相談及び確認を確実に行うこと」


「顧客、取引先及び他の従業員に対して元気で明るい挨拶を行うこと」


「業務に関わる記録、書類、備品等又はそれらの複写物を会社の許可なく秘匿、会社内からの持ち出し又は他人への開示又は貸与をしないこと」


「管理職は、部下の業務状況、勤務態度及び技能等に常に意識を傾け、部下を正しく評価できるようにし、適宜取締役に報告すること」


等々いくらでもあります。


私が依頼を受けて就業規則を作る場合、もちろん経営者さんの思いを最大限に尊重して作りますが、服務規程だけで100項目以上になります。


任意的記載事項は「服務規程」だけでなく、「人事制度」や「休職制度」、「コストリスク規定」や「競業避止」「機密保持」「損害賠償」などにも及ぼすことができます。


会社を守るためには、任意的記載事項の充実が不可欠です。






例えば、退職金制度はなくてもいいのですが、もし退職金制度を設けるならば必ず就業規則に記載しなければなりません。


このように制度がなければないでかまいませんが、制度があれば必ず就業規則に記載しなければならない事項です。


①退職手当に関する事項


②臨時の賃金・賞与・最低賃金額に関する事項


③労働者への食費・作業用品等の負担に関する事項


④安全・衛生に関する事項


⑤職業訓練に関する事項


⑥災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項


⑦表彰・制裁に関する事項