日記「今日見た映画 2014」49『エレニの帰郷』 | やりすぎ限界映画入門

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ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

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■『エレニの帰郷』
☆☆☆☆[80]

2008年/ギリシャ=ドイツ=カナダ=ロシア映画/127分
監督:テオ・アンゲロプロス
出演:ウィレム・デフォー/ブルーノ・ガンツ/イレーヌ・ジャコブ/ミシェル・ピッコリ/クリスティアーネ・パウル/レニ・ピタキ/コスタス・アポストリーディス/アレクサンドロス・ミロナス/ヴァレンティーナ・カルネルッティ/ティツィアーナ・フィフネル

■2014年 劇場公開作品 49本目

■第2稿 2020年 6月21日 版

日記「今日見た映画 2005」2『エレニの旅』のつづき

「第1部」『エレニの旅』は、戦争孤児だった「エレニ」が「スピロス」に拾って育てられるとこから始まる。「ギリシャ」への帰郷から始まる映画に、これは「ギリシャの歴史」を知らないと何も理解できないと感じた。

所詮「鶏」程度しか調べられなかったが、何で街に常に軍隊がいるのか、「平和」ではないのかが、「王室」「将軍」が手を結び「民主主義」が消えた話で、「首相デメルジス」が死去したと調べた。また「1941年」「ギリシャの戦い」に敗戦し、王室と政府がイギリスに亡命したこと、ギリシャが「ドイツ」「イタリア」「ブルガリア」に分割占領されてたことを調べた。

そんな激動の時代、妻の死後、拾って育てた「エレニ」と無理矢理「再婚」、「妻」にしようとした「スピロス」を見て、日本の明治時代の頃までの「家督制度」のことを思い出した。同じではないが、今の時代では考えられない「理不尽」が昔は平気で横行してた。

だが「エレニ」は「アレクシス」と駈け落ち、「スピロス」から逃げてバンドマンの生活を始めるが、「どこまでも」「執念深く」「スピロス」が追ってくる。「今」なら「ストーカー法」で「有罪」だが、この時代「スピロス」を止められなかった。

「共産主義左派ギリシャ共産党」「ギリシャ人民解放軍」「パルチザンギリシャ民族共和同盟」の内乱が、最期の「エレニ」の息子二人が「敵」となって殺し合う背景だと知った。「ギリシャ」の近代史だと「少し」解かったが、あまりの極限のくそリアリズム、「実話」に見える話に、途中「もしかしてテオ・アンゲロプロス監督のお母さんの話」かとも思ったが、最期息子が死ぬのと、調べてもそんなことは一切書いてなかったので完全「勘違い」、完全「創作」だった。

「第2部」『エレニの帰郷』の方が「難解」だった。「エレニ」「スピロス」「ヤコブ」が「いきなり」出てくるので、『エレニの旅』の「続編映画」かと「勘違い」。見てると「全然関係ない」ことが解かってくる。

「第1部」「第2部」とも「ギリシャ」の近代史だった。数年前「スターリンの死」を見て自分とは「全く関係ない」「遠い世界」に見えたが、歴史が「変わる」「瞬間」、「大事件」の視点で、日本の敗戦の「天皇」の「玉音放送」を聞くのに近い感覚だろうと想像した。

『エレニの帰郷』では「第二次世界大戦」から「戦後」「現代」まで「ギリシャ」近代史が繋がる。「現代」のシーンを見ると僕にも共感できる「PC」や「スマホ」も映るので「見やすいかもしれない」と思うが「とんでもない」。「時間軸」があまりに「支離滅裂」過ぎて、「エレニ」「スピロス」「ヤコブ」が、本当はどんな感情をそれぞれに抱いてるかが、僕にはあまりに「遠い世界」だった。

「第1部」「第2部」とも「音楽」が同じなのは解かった。「20世紀三部作」なのだろう。だがピアノを弾く「妻がいる男」を「エレニ」が見つけるシーンとか、「話を砂粒ほども理解できない」「映ってるものが全く何か解からない」。「脅威の映画」を見て「あんたに殺されたくねえ」と、改めて「死を覚悟」した。

「第1部」『エレニの旅』の方が理解できた。「叙情的」と言われる「テオ・アンゲロプロス監督」の作風を「初めて」感じることができたかもしれない。「第2部」『エレニの帰郷』は、「スターリンの死」「ウォーターゲート事件」「ベトナム戦争」「ベルリンの壁の崩壊」「ギリシャ難民」「ロシア革命記念日」を通して見た「ギリシャの歴史」から、「ドイツ」で暮らせるほど「今」どれだけ平和になったか、娘「エレニ」が「自殺」するほどの「辛さ」「苦しみ」など、「戯言」でしかないことを見せたのかもしれない。

だが「ヤコブ」「ブルーノ・ガンツ」は「自殺」しなくてもいいだろうと思った。「一番脅威の存在」の「トラウマ」、追い込まれた「不安」「恐怖」「苦悶」を超えるため、「一気」に「2本同時」、「テオ・アンゲロプロス監督」「約300分」、「自分の中の無茶」、「滝に撃たれる」「荒行」に挑んだ。「話を砂粒ほども理解できない」「映ってるものが全く何か解からない」「脅威の映画」を、僕は「ちょっと」は「理解」できたのだろうか? 「今」も「恐怖」「不安」は消えてない。

あと、「第1部」『エレニの旅』「アレクサンドラ・アイディニ」、「第2部」『エレニの帰郷』「イレーヌ・ジャコブ」、「2人」の恐るべき “極限ダイナマイト・ボンバー・ギャル” の「極限の美」に「時間が止まった」。


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画像 2017年 6月