Anthonyのプロとしてのスタートは、フィラデルフィア・ソウルのセッションだったようです。Billy Paulの名曲「Me And Mrs.Jones」のベースも彼だったことは、今回調べていて初めて知りました。1972年の作品ですね。この頃の作品にはバック・ミュージシャンのクレジットは基本的にありませんので、知らずに聞いている曲が無数にあるに違いありません。
彼のプレイが注目されたのは、The O'Jaysの1974年のヒット曲「For The Love Of Money」でした。
我が国で彼の名前が知られるようになったのは、Al Di Meolaのバンド・メンバーとしての録音や、Lee Ritenourのバンドでの来日公演あたりからだったように思います。日本人の録音に参加するようになったのは、Lee Ritenour & The Gentle Thoughtsとして渡辺香津美の「Mermaid Boulevard」の全曲に参加したのが最初ではないでしょうか?1977年の録音です。このアルバムも大好きなので、いずれレヴューしたいと思います。
私にとって衝撃だったのは、翌年にリリースされた深町純の名盤「On The Move」への参加でした。Steve Gaddのドラムスと共に作り上げる強烈なリズムに、私は夢中になったのでした。代表曲「Departure In The Dark」をどうぞ。
更に、翌1980年には日野皓正のアルバム「Daydream」がリリースされます。これも以前に記事にしていますが、絶好調のヒノテルのプレイはもちろん、AnthonyとドラムスのSteve Gadd、ギターのJohn Tropeaがいなければ成立しなかったJapanese Fusionの奇跡的名盤です。全曲聴いていただきたいのですが、ここではアルバムの最後を飾る「Goin' For The Gold」をお聴きください。
そして、私がLalo Schifrinという名前を初めて認識したのが、1973年公開の「燃えよドラゴン(Enter The Dragon)」です。当初発売されたサウンドトラック盤は、主演のBruce Leeの声やアクション・シーンの声などが入っているものでした。そこに、音楽のみを収録した完全版CDがリリースされた時には、歓喜して記事にしました。
Laloは60年代から80年代前半までは、驚くべき本数の映画のサウンドトラックを作曲しています。専属作曲家だったことが大きい理由だとは思いますが、ジャンルを問わずドキュメンタリーからアクション、コメディ、オカルトと、どれも卒なくこなしています。そんな中で私が気になったのは、ヒット作の続編の音楽を複数担当していることです。例をあげると、「四銃士(The Four Musketeers)」「エアポート’80(The Concorde...Airport'79)」「スティング2(The Sting 2)」「F/X2 イリュージョンの逆転(F/X2 The Deadly Art Of Illusion)」などですね。「困った時の、Lalo」という感じで、作品を選ばず仕事をしていた彼の様子が目に浮かびます。
それは、彼の名前を冠したリーダー・アルバムです。ジャズを基本にしたフュージョン系の諸作が最も知られていますが、クラシックのオーケストラとジャズ・ミュージシャンを融合させた「Jazz Meets The Symphony」シリーズが意欲的で、私のお気に入りです。そのフォーマットでのライヴも各地で開催して、予想を遥かに超えて大好評だった様子が複数の動画からわかります。珍しい成功例だと思います。その中から、1994年の動画をご覧ください。
前回出場の2018年は、他の団体は絶対やらない(やれない?)「スーパー・マリオ・ブラザース」の可愛い演出が伝説になりました。「マリオ・ターン」と名付けられて、ファンの間では今回もその再演を期待する声があるのをしばしば見かけました。再演すれば話題になったのは間違いありませんが、全く違う切り口で挑戦したのでした。「可愛い」「楽しい」に対抗できるのは、その対極とも言えるソリッドでカッコ良い演出でした。選んだナンバーは、「Show Me How You Burlesque」です。これには私も驚きました。全くの予想外でした。
コーチがターンのスタート地点まで走り、コーチの指示でドラムメジャーが笛で「Show Me How You Burlesque」の始まりを告げます。イントロと同時に隊列がギュッと密集します。期待を煽るフォーメーションです。メロディが始まるのと同時に最初のグループがダッシュを始めます。列ごとではなく、2列目や3列目からもスタートします。規則性がわからないのでスリル満点で、思わず見入ってしまいます。実に効果的な構成ですね。
始まってすぐに驚かされたのは、オープニング・アクトでした。毎年ローズパレードでは有名なアーティストがパフォーマンスを披露するのですが、今年はなんとAloe Blaccだったのです。もちろん歌った曲は「Wake Me Up」です。「Aviciiの声」として知られている彼ですが、歌っている姿を見るのは初めてでした。生配信では最も優れているKTLA 5の動画をご覧ください。
Aloe Blaccがパフォーマンスをするという情報は、いつ頃公開されたのでしょうか?京都橘がその情報を1年ほど前に入手していたのなら、「Wake Me Up」の選曲は計画的なものだったと言えるでしょう。けれども、121期のパレードのプログラムは3月頃には出来上がっているはずなので、その頃に情報を得ていたという可能性は低いと思います。ということは、単なる偶然。これ、奇跡でしょう。Aloeへの声援も凄かったけれど、京都橘がこの曲を演奏している時は観客が一緒に歌っている様子が複数の動画に捉えられています。日本では考えられない観客の反応は、痛快ですね。この選曲は、大正解でした。Aloeと天国のAviciiが知ったら、喜んでくれたでしょう。
いつもながらの美しいイントロダクションです。そして、大人気の110度ターンを終えたところから始まります。その部分については、次回に検証したいと思います。既に「バーレスク・ターン」と呼ばれていて、後世に語り継がれることが確定しているようですね。それにしても、最大の見せ場に「Show Me How You Burlesque」を持ってくるなんて全く予想していませんでした。この「裏切られる快感」は、京都橘のファンとしては最大の魅力のひとつだと思っています。
Christina Aguileraが歌うオリジナルは以前にご紹介したかと思います。京都橘が演奏している楽譜は、Jay Dawsonという吹奏楽編曲の重鎮の作品です。ガイダンスの動画をどうぞ。
さて、この曲は2020年のローズパレードで、Japan Honor Green Bandが披露しています。京都橘の114期からも10名ほどが参加して話題になった合同バンドでしたね。振り付けは毎年恒例の京都橘のOG達によるものだと思いますが、予想以上に「京都橘色」が強いもので「これは京都橘のパレードに取り入れたら楽しいのに!」と強く思ったのでした。その部分をGBA公式の動画でご覧ください。
「High School Musical」は、映画館で公開されたものではなくディズニー・チャンネル制作のテレビ用の映画なので、一般的にはあまり知られていないようでした。曲が始まっても観客の反応が薄かったですもんね。ただ、今回のプログラムの中で最も京都橘らしい楽しさが詰まったナンバーなので、観客が最高に盛り上がっていくのが手に取るようにわかってとても嬉しかったです。
「Fantasmic!」は、ポップス系ばかりの今回のプログラムの中で唯一「行進曲」調の曲です。マーチングバンドとしての基本的な精緻な演奏に華麗さも加わって、他の参加バンドを凌駕する実力を見せてくれました。ひょっとしたら、今回除外せざるを得なかった「Down By The Riverside」に変わる立ち位置としてプログラムに入れたのかもしれません。
「Down By The Riverside」が終わると、いきなり「Sing,Sing,Sing」です。参加メンバー全員が、パレードでこの曲を演奏するのは初めてですね。しっかり練習したことが成果として出ていて、聴いていてもとても気持ちが良いです。ただし、例の「Swing,Swing,Swing」のトロンボーンのフレーズはとても速いパッセージで、練度が足りないところが散見されます。普段から重点的に練習していた前回と比べると、とても危なっかしいところは、手に汗握る部分です。練習量に比例してその結果が出ていることを実感できるのも、今回のアメリカ遠征全体を通しての印象です。ただ、それを上回る笑顔と喜びの爆発をいたるところで見ることができて、感無量です。
次の曲は、今期のパレード・プログラムの中で最も異色だった「Wake Me Up」です。ブルーメの丘の記事でも、この曲の完成を危惧していました。今回の演奏を聴くと、よくぞここまで仕上げて来たなぁ、と感心してしまいます。実に素晴らしいです。観客の歓声は、いかに現地でこの曲が愛されているのかを痛感させられます。日本での反応とは、全く違っていますね。
さて、ディズニーランドでのパレードは、以上の4曲を2回繰り返した後、冒頭の「Down By The Riverside」に戻って終了しました。
さて、このディズニーランドのパフォーマンスで特筆すべきは、「Down By The Riverside」です。
ローズパレードの本番では、「Sing,Sing,Sing」以外は全て前回と違った曲目になることが明言されていました。そこで注目していたのが、京都橘のパレードのテーマ曲である「Down By The Riverside」の去就でした。本番で演奏されることはないと思っていましたが、ここで出してくるとは嬉しい驚きでした。ほとんど諦めていましたので・・・。
ただ、演奏を聴いていると、バラツキを感じます。それぞれのメンバーのこの曲に対するテンポ感が違っているのでしょう。それぞれの期によって、微妙にテンポが違っていますもんね。そこから私が感じたのは、アメリカに到着してから急遽この曲を演奏することになったのではないか、ということでした。日本での全体練習は10回程度だったことが明かされていますが、チャリティ・コンサートからバンドフェスト、ディズニー・パレードを経てローズパレード本番まで、膨大な数の曲を練習していたはずです。そんな中で、この「Down By The Riverside」は完全に外されていたのではないでしょうか?
「Fantastic!」が終わると、テンポ・アップして「High School Musical」に突入します。パレードでは初ですが、2022年の定期演奏会でステージ・マーチングの形で披露していました。ドラムメジャーもダンスに加わって、実に楽しそうだったのが鮮烈に記憶に残っています。きっと部員達からのリクエストで、今回のプログラムに入ったんだと思います。Pass & Reviewでの2曲は、いずれもディズニーの曲でした。この「High School Musical」は、ディズニー・チャンネルで放送されたテレビ・ムーヴィーのシリーズ「High School Musical 3」のテーマ曲です。テレビ・ムーヴィーにしては勿体無いほど佳曲が満載のシリーズで、放映当時から私のお気に入りです。不鮮明ですが、オリジナルをご覧ください。
Michael Jacksonの「I'll Be There」は、アルト・サックスのソロでしっとりと聴かせます。スローな曲でアンサンブルの美しさを見せつけるのも、粋な演出です。サックス・ソロの途中で、MCが本部とやり取りをしてマイクがオフになっていることに気付くところも、今となっては懐かしいエピソードです。