"楽音楽"の日々

"楽音楽"の日々

音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

このところ京都橘高校吹奏楽部についての記事をコツコツと書き進めていたのですが・・・。

 

台湾からの、怒涛の動画ラッシュに溺れてしまいました。その結果、筆は進まず今年中の記事のアップは断念せざるを得ない事態になりました。

 

今回の台湾遠征は、体調不良者が続出という緊急事態の中で、「なんとかする橘」の底力をまざまざと見せつけられた気がします。改めて、驚きと共に感心させられる遠征でした。

台湾遠征についてもいずれ詳しく記事にするつもりですが、とりあえず今日書いておかなきゃいけないことを。

 

 

 

今日は、クリスマス・イヴ。

台湾遠征はクリスマス・シーズンだったこともあって、彼らはクリスマス・ソングを2曲準備していました。

松任谷由実の「恋人がサンタクロース」と、Mariah Careyの「恋人たちのクリスマス(All I Want for Christmas Is You)」です。

どちらもまだまだ完成されていないパフォーマンスでしたが、こなれてきたらとても映える振り付けと演奏でした。多分、季節柄これ以降は演奏されないと思われますが、とても勿体無いプログラムだと思います。

特に、「恋人たちのクリスマス」は吹奏楽編曲がとてもお洒落で、魅力的な曲でした。

 

私はリアルタイムでMariah Careyをデビュー当時から聴いていました。

この「恋人たちのクリスマス」は、1994年にリリースされてMariah最大のヒットとなり、毎年クリスマス・シーズンにはヒット・チャートを賑わす定番曲になりました。ノスタルジックなモータウン・サウンド風の曲調に、凝りに凝ったコード進行が見事で、今聴いても古臭さを感じません。Mariahにとっても、共作したWalter Afanasieffにとっても最高傑作のひとつだと言えます。

 

1996年の東京ドーム公演のアンコールで歌われた時の動画がありました。ご覧ください。

 

 

[YouTube]Mariah Carey - All I Want for Christmas Is You (Live at Tokyo Dome)

 

 

当時のテレビ放映でしっかり観たはずですが、すっかり忘れていました。彼女の最初のピークの頃で、実に魅力的な歌声ですね。定番ですが、クリスマスを楽しく過ごすには最高の曲だと思います。「クリスチャンでもないお前が言うな。」というクレームは、受け付けません。

 

 

 

ということで、今年最後の投稿になります。

来年は、もうちょっと積極的に記事を書きたいと思っています。当然、その中心は京都橘高校関連になると思います。

皆さま、素敵なクリスマスと年末年始をお過ごしください。2026年が素晴らしい年になりますように。

セッション・ベーシストの巨人Anthony Jacksonが、10月19日に亡くなりました。73歳という、亡くなるには早すぎる年齢でした。2017年に脳卒中とパーキンソン病を発症して、闘病中だということは知っていましたが、やはり残念です。

私の音楽生活には欠かせない重要人物で、このブログでも彼のプレイに言及した記事は軽く20を超えています。

 

 

一般的に「縁の下の力持ち」と言われるベースですが、「飛び道具」であるスラップをほとんど使わず(私が知ってる限り、2曲でほんの僅か)に、その音色と独創的なパターンで主役を引き立てる個性は、唯一無二のものでした。時には、主役を完全に喰ってしまったケースもあります。

思い返してみると、私がポピュラー音楽においてエレクトリック・ベースがカッコ良いと認識した初めてのベーシストだった気がします。

 

彼の魅力については三日三晩かけても語り尽くせない自信がありますが、ここでは大まかな軌跡を辿っていきたいと思います。

 

Anthonyのプロとしてのスタートは、フィラデルフィア・ソウルのセッションだったようです。Billy Paulの名曲「Me And Mrs.Jones」のベースも彼だったことは、今回調べていて初めて知りました。1972年の作品ですね。この頃の作品にはバック・ミュージシャンのクレジットは基本的にありませんので、知らずに聞いている曲が無数にあるに違いありません。

彼のプレイが注目されたのは、The O'Jaysの1974年のヒット曲「For The Love Of Money」でした。

 

 

 

[YouTube]The O'Jays - For The Love Of Money : Joejobas

 

 

イントロからフランジャーをかけた個性的なフレーズとピック弾き。このパターンが、曲全体を最後まで支配しています。そのおかげで、彼の名前は作曲者の一人としてクレジットされています。この時すでに彼の個性は確立されていたんですね。

時は流れて、1978年の映画「The Wiz」のサウンドトラックでは、この曲のパターンをそのまま流用した「Poppy Girls」を披露しています。その場面をどうぞ。

 

 

 

[YouTube]Poppy Girls The WIZ : HedbeH

 

 

実に、印象的です。Michael Breckerのエレクトリック・サックスと共に、唯一無二のAnthonyの個性が主役の曲です。

 

 

 

我が国で彼の名前が知られるようになったのは、Al Di Meolaのバンド・メンバーとしての録音や、Lee Ritenourのバンドでの来日公演あたりからだったように思います。日本人の録音に参加するようになったのは、Lee Ritenour & The Gentle Thoughtsとして渡辺香津美の「Mermaid Boulevard」の全曲に参加したのが最初ではないでしょうか?1977年の録音です。このアルバムも大好きなので、いずれレヴューしたいと思います。

 

私にとって衝撃だったのは、翌年にリリースされた深町純の名盤「On The Move」への参加でした。Steve Gaddのドラムスと共に作り上げる強烈なリズムに、私は夢中になったのでした。代表曲「Departure In The Dark」をどうぞ。

 

 

 

[YouTube]深町純 Departure In The Dark : domon@guitar

 

 

カラフルなアレンジと各プレイヤーの個性を満喫できる名曲ですが、Anthonyのベースだけを追っかけても満腹になります。一曲の中に、当時のAnthonyのテクニックと個性を詰め込んだ稀有な作品だと言えます。

 

更に、翌1980年には日野皓正のアルバム「Daydream」がリリースされます。これも以前に記事にしていますが、絶好調のヒノテルのプレイはもちろん、AnthonyとドラムスのSteve Gadd、ギターのJohn Tropeaがいなければ成立しなかったJapanese Fusionの奇跡的名盤です。全曲聴いていただきたいのですが、ここではアルバムの最後を飾る「Goin' For The Gold」をお聴きください。

 

 

 

[YouTube]Goin' For The Gold : 日野皓正-Topic

 

 

超ポップなのに、それぞれの個性が強く出ている素晴らしい演奏ですね。

 

 

 

 

Anthonyのことを語る時に必ず出てくるのが、Fodera社と共に開発した「Contrabass Guitar」という名前の6弦ベースです。

ベースの可能性を広げようと考えていたAnthonyは、低音と高音それぞれに一本ずつ弦をプラスした6弦を作り上げたのでした。現在では当たり前になっている「多弦ベース」ブームの礎になったのが、まさにこのContrabass Guitarだったのです。「多弦ベースと言えば、Fodera社」と言われるのも、Anthonyの才能と情熱があったからこそです。

ここからは、そのContrabass Guitarを使用した演奏の動画を見てみましょう。

 

しばしの闘病期間を経て、復帰したAnthony。私の「Anthony熱」に再び火を点けたのが、1997年にリリースされたMichel Petruccianiのアルバム「both worlds」でした。

 
 

このトリオによる二度目の来日公演が、ブルーノート福岡でも開催されることがアナウンスされて、当然のように私も参戦することにしていました。ところが、突然のMichelの死去で叶わぬ夢に終わったのでした。

ということで、今では残されたライヴ映像で楽しむしかありません。

 

 

[YouTube]Michel Petrucciani "Take the a Train" & "On Top of the Roof" - LIVE 1998 : Zycopolis TV

 

 

私の大好きな3人に、管楽器3人を加えた編成。こんなに楽しいジャズには、そう滅多にお目にかかれません。Anthonyのソロは、6弦を駆使した広いダイナミック・レンジが印象的で、圧倒されます。

 

 

Anthonyは世界中の音楽関係者からリスペクトされていますが、一般的なファンの数で言えば日本が圧倒的に多いように感じます。それは、来日公演の多さからも証明されています。多分、Anthony自身も日本のことが好きだったのかもしれません。晩年まで日本のミュージシャンとの共演が多かったことも、とても嬉しいことです。

矢野顕子との共演も、当時大きな話題になりました。1999年のライヴから、「Water Ways Flow Backward Again」をご覧ください。

 

 

 

[YouTube]矢野顕子Water Ways Flow Backward Again : ebonite555

 

 

渡辺香津美の名盤「KYLYN」の中でも一際印象に残るナンバーですが、Anthonyのソロはこの曲調を更に発展させたとても美しいものです。ソロの終盤に矢野顕子のピアノが寄り添ってくるところでは、その美しさに鳥肌が立ちます。

 

彼が闘病に入る直前まで共演していたのが、上原ひろみでした。共演したアルバムも多く、そのいずれもがクオリティ高いです。動画サイトにも無数のライヴがアップされています。お時間のある方は、是非ご覧になってください。時間を忘れます。

ここでは、一回のライヴでAnthonyが目立つところだけをピックアップした動画を紹介します。変幻自在の彼のプレイを堪能してください。

 

 

[YouTube]Anthony Jackson.All his solos with Hiromi The Trio Project.Live at Marciac : Blue Glimpser

 

 

私は、テクニック至上主義ではありません。プロであっても、自分を表現できるテクニックを持っていればそれで十分だと思っています。けれども、Anthonyは圧倒的なテクニックと尽きることのない想像力とアイデアで彼の音楽を表現してきました。だからこそ、訃報の直後には著名なベーシストや音楽家たちからの追悼コメントがSNS上に溢れました。誰からもリスペクトされる存在でした。

私にとっては、ジャズやポップスにおける「ベースは、カッコ良い」ということを初めて認識させてくれた恩人でした。

その人生の最期まで進化を止めなかったAnthonyですが、私の好みはやはり1980年前後の、超ポップで自己主張の強いプレイです。記事の最後は、前述のアルバム「On The Move」の最後を締めくくるナンバーを、最大のリスペクトと感謝を込めて送りたいと思います。

 

Mr. Anthony Jackson、たくさんの名プレイをありがとうございました。

 

R.I.P.

 

 

 

[YouTube]深町純 Departure In The Dark Again : domon@guitar

私の音楽生活に多大な影響を与えてくれた音楽家Lalo Schifrinが、6月26日に亡くなりました。93歳でした。

 

私は、これまでも折に触れて彼の作品について記事にしてきました。映画「燃えよドラゴン(Enter The Dragon)」や、CTIレーベルからのリーダー・アルバム「Black Widow」に出会わなければ、私がジャズやフュージョンの世界に興味を持つのは数年遅れていたかもしれません。

彼のリーダー・アルバムはもちろん、作曲・プロデュースした作品や映画のサウンドトラックなど、集めているうちに膨大な数になってしまいました。この写真は、その一部です。

 

 

これらから漠然と彼の音楽を捉えていましたが、訃報を受けて調べてみると彼の音楽活動は実に多岐に亘っていて、そのいずれもが作品として残っていることに驚かされました。

 

 

アルゼンチン出身のLaloは、国内の音楽学校でクラシック音楽を学んだ後、フランスへ渡ってパリ国立高等音楽院でも磨きをかけます。この頃は、ストラヴィンスキーの作品に多大な影響を受けたそうです。特に個性的なリズムに衝撃を受けて、それは後の彼の作品群に反映されています。効果的なシンコペーションを使ったたくさんの作品を聴くと、ストラヴィンスキーの影響に納得してしまいます。彼の基本は、クラシック音楽だったということです。

フランス滞在中にLaloはジャズ・ピアニストとしてレコード・デビューします。南米出身であることから、ラテン・ジャズのテイストだったようです。

 

アルゼンチンに戻ってプロとして活動をしていた彼を見出したのは、ツアーでアルゼンチンに来ていたトランペッターDizzy Gillespieでした。1958年のことです。自身の楽団にピアニスト兼アレンジャーとして誘い、Laloのアメリカ移住のキッカケになったのでした。

渡米後のLaloはverve recordsと契約して、様々なジャズ・ミュージシャンのアレンジャーとして活躍します。特に、恩師であるDizzyやジャズ・オルガンのレジェンドJimmy Smithには、彼らの代表作とも言える作品を提供しています。昨年亡くなったQuincy Jonesの初期のヒット作「Soul Bossa Nova」におけるコロコロ転がるようなピアノも、Laloです。日本でもCMに使われて広く知られている曲ですよね。

 

 

[YouTube]Soul Bossa Nova : Quincy Jones Productions

 

 

この後、LaloはMGMスタジオの専属音楽家として、テレビ・ドラマや映画の音楽を作ることにシフト・チェンジして行きます。けれども、verve recordsとの契約も継続していたようで、自身のアルバムもリリースしています。ただ、それらは実験的過ぎて私にとっては理解できない部分が多いです。

 

彼の名前を一躍世に広めたのは、1966年から放送が始まった「スパイ大作戦(Mission:Impossible)」でした。

 

 

[YouTube]Mission:Impossible : Lalo Schifrin - Topic

 

 

私もこの曲は耳に馴染んでいましたが、当然この頃はLaloの名前など知る由もありませんでした。

この曲の特徴は、何と言っても4分の5拍子という不安定なリズムです。ジャズの世界では「Take Five」という名曲が誕生していましたので、新しいリズムではありませんでした。けれども、サスペンス・アクションのドラマにぴったりの不安を煽るリズムに印象的なメロディは、多くの人の心を掴むことに成功したのでした。

このテーマ曲を含むサウンドトラックはいずれもサスペンスフルで、この手のドラマの定番のテイストとして広く受け入れられることになりました。その流れをそのまま映画に持ち込んだのが、1968年公開の「ブリット(Bullitt)」でした。カー・アクションを中心にしたサスペンスにぴったりのジャズ・サウンドでした。

 

 

[YouTube]Bullitt Soundtrack - "Shifting Gears"HD : hunkatiel

 

 

画面の緊迫感と同期するサウンドは見事です。この作品以降、「サスペンスにはジャズ・サウンド」というのが定番になった時期が随分長かったような記憶があります。同時期に映画音楽界に重用されていたQuincy Jonesと共に、Laloがサスペンス映画の音楽を牽引していた時期です。

その後の代表作は、「ダーティハリー(Dirty Harry)」シリーズですね。

 

そして、私がLalo Schifrinという名前を初めて認識したのが、1973年公開の「燃えよドラゴン(Enter The Dragon)」です。当初発売されたサウンドトラック盤は、主演のBruce Leeの声やアクション・シーンの声などが入っているものでした。そこに、音楽のみを収録した完全版CDがリリースされた時には、歓喜して記事にしました。

その後、CDのみの発売もされたようですが、現在では廃盤になっています。そのテーマ曲をお聴きください。

 

 

[YouTube]Enter The Dragon - Main Title : Lalo Schifrin - Topic

 

 

Crusadersのファンなら必ずチェックしておくべき、彼らの代表的なセッション・ワークのひとつですね。

 

Laloは60年代から80年代前半までは、驚くべき本数の映画のサウンドトラックを作曲しています。専属作曲家だったことが大きい理由だとは思いますが、ジャンルを問わずドキュメンタリーからアクション、コメディ、オカルトと、どれも卒なくこなしています。そんな中で私が気になったのは、ヒット作の続編の音楽を複数担当していることです。例をあげると、「四銃士(The Four Musketeers)」「エアポート’80(The Concorde...Airport'79)」「スティング2(The Sting 2)」「F/X2 イリュージョンの逆転(F/X2 The Deadly Art Of Illusion)」などですね。「困った時の、Lalo」という感じで、作品を選ばず仕事をしていた彼の様子が目に浮かびます。

 

がむしゃらに仕事をしていたことは、彼が本当にしたかったことを実現するのに必要なことだったんではないかと私は思っています。彼は、クラシック音楽を基本にしていますが、交響曲や協奏曲を複数作曲しています。絶対に利益は生みませんが、きちんと録音を残しています。オーケストラの指揮者として、一世を風靡した「三大テノール」のツアーにも帯同しています。また、自身の作品以外の有名作品を指揮した映画音楽名曲集も録音しています。それらも、全て自分がやりたいことを実現するための仕事だったように思えます。

それは、彼の名前を冠したリーダー・アルバムです。ジャズを基本にしたフュージョン系の諸作が最も知られていますが、クラシックのオーケストラとジャズ・ミュージシャンを融合させた「Jazz Meets The Symphony」シリーズが意欲的で、私のお気に入りです。そのフォーマットでのライヴも各地で開催して、予想を遥かに超えて大好評だった様子が複数の動画からわかります。珍しい成功例だと思います。その中から、1994年の動画をご覧ください。

 

 

[YouTube]Jazz Meets the Symphony (1994) : LOFTmusic

 

 

ドラムスにGrady Tate、ベースにRay Brownという安定のリズム・セクション。トランペットにJames Morrisonという豪華なメンバーです。古い動画なので、終盤へ向かうにつれて音ズレが大きくなるのが残念ですが、Laloのピアノ・プレイを含めてとても貴重なものです。

 

 

映画音楽家としてのLaloは、グラミー賞は複数受賞していますが、肝心のアカデミー賞はノミネート止まりでした。けれども、長年に渡る功績に対して2018年にアカデミー名誉賞が授けられました。その時の様子をご覧ください。「ダーティハリー」シリーズの盟友であるClint Eastwoodとの、爺さん漫才のようです。実に楽しいですね。

 

 

[YouTube]Clint Eastwood honors Lalo Schifrin at the 2018 Governors Awards : Oscars

 

 

映画音楽を集めていらっしゃる方ならご存知だと思いますが、同一の作曲家の作品であってもそのサウンドトラックは権利の関係でそれぞれ違うレーベルから出版されています。晩年のLaloは、自身のレーベルを立ち上げて散逸している作品を収集してリリースしました。そのおかげで、私も知らなかった彼の作品をたくさん聴くことができました。彼の情熱に、感謝しかありません。

 

 

そして、Laloの音楽は決して「過去」のものではなく「現在進行形」で生き続けているのです。その立役者は、Tom Cruiseです。Tom自身がプロデューサーとして「スパイ大作戦(Mission:Impossible)」を現代に蘇らせた「M:I」シリーズですね。Laloの直接参加はありませんが、Laloが生み出したテーマ曲を様々な音楽家がアレンジして作品を彩っています。Laloの名前を知らなくても、全世界にこの曲は浸透しています。まさに「詠み人知らず」の名曲と言えるでしょう。シリーズの名場面とそれぞれのテーマ曲をメドレーにした動画をご覧ください。燃えますっ!

 

 

[YouTube]"Mission:Impossible"Opening Titles Medley : Genadi3781

 

 

 

ということで、Laloの足跡を辿ってみました。

私が好きな彼の作品は、まだまだあります。それぞれ不定期にレヴューしていこうと思っています。

 

 

Mr. Lalo Schifrin、私の音楽生活を豊かにしてくれた御恩は忘れません。

心から感謝します。今は、静かにお休みください。

2025年のローズパレードのテーマは、「Best Day Ever!」でした。「最高の一日!」という意味ですね。

京都橘高校吹奏楽部は、綿密なリサーチと緻密な構成で文字通りの「最高の1日!」にしたのでした。

 

過去に出場した2回のローズパレードはファンの間で非常に評価が高く、今回のパフォーマンスに対してのハードルの高さは我々の想像を遥かに超えるものだったはずです。そんなプレッシャーを乗り越えるために必要なことは、過去の動画を分析して改善点を洗い出すことだったんだと私は考えました。無数にある動画はもちろん、彼らにしか見ることができない練習の様子を記録した動画もじっくり見て研究したはずです。その成果としてグレードアップしたパフォーマンスについて、じっくりと検証していきましょう。

 

 

 

パレードのスタート地点の様子は、複数の動画で見ることができます。

そんな中で是非ご紹介したいのが、オランダ在住の生粋の橘ファンであるステファン・ホーゲンドールンさんの動画です。

 

 

 

[YouTube]Kyoto Tachibana SHS Band Rose Parade Start

 

 

ほとんどの動画とほぼ同じ場所からの撮影ですが、メンバー達との距離が近くて彼らの表情がよくわかります。笑顔も見えますが、緊張のせいか表情が固いこともわかります。

ところで、彼は以前からSNSで橘愛を発信していました。で、今回のローズパレード参戦を公言して、撮影機材も新たに購入する過程も随時発信していたのでした。

無事に遠路カリフォルニアに到着した彼は、短い動画を次々にアップしていました。バンド・フェストでは、コーチに声をかけてハイタッチしてもらう様子も喜びと共にアップされて、ほっこりした気持ちにさせてくれました。

ところが、最近のSNSを見ると闘病されているようです。遠くの地にいる橘ファンの無事の回復を祈りましょう。

 

 

スタート地点から有名な「110度ターン」までの間は、動画はほぼ皆無です。GBA公式の動画がアップされるのを待つしかなさそうです。

前回出場の2018年は、他の団体は絶対やらない(やれない?)「スーパー・マリオ・ブラザース」の可愛い演出が伝説になりました。「マリオ・ターン」と名付けられて、ファンの間では今回もその再演を期待する声があるのをしばしば見かけました。再演すれば話題になったのは間違いありませんが、全く違う切り口で挑戦したのでした。「可愛い」「楽しい」に対抗できるのは、その対極とも言えるソリッドでカッコ良い演出でした。選んだナンバーは、「Show Me How You Burlesque」です。これには私も驚きました。全くの予想外でした。

ローズパレードにおけるハイライトとも言えるこの地点での演出は、緻密な計画とそれを実現するための想像を絶する練習があったんだと思います。曲の終わりで最後尾のカラーガードが本隊に合流できるように、きちんと計画されていたことに驚かされます。

この「バーレスク・ターン」の全体を捉えた動画を、私はまだ発見していません。もしご存知の方がいらっしゃったら、教えて下さい。

決定版は公式動画を待つしかないと思いますが、全体像を想像するために、ここでは4本の動画をご紹介したいと思います。

まずは「Marching.com」さんの動画です。

 

 

 

[YouTube]Kyoto Tachibana High School Band (Japan)

 

 

「Sing,Sing,Sing」でコーナーへ向かう様子から始まります。この高さからの撮影だと、隊列とステップの美しさを楽しめます。

コーチがターンのスタート地点まで走り、コーチの指示でドラムメジャーが笛で「Show Me How You Burlesque」の始まりを告げます。イントロと同時に隊列がギュッと密集します。期待を煽るフォーメーションです。メロディが始まるのと同時に最初のグループがダッシュを始めます。列ごとではなく、2列目や3列目からもスタートします。規則性がわからないのでスリル満点で、思わず見入ってしまいます。実に効果的な構成ですね。

最後尾のカラーガードによる「突撃」を思わせる旗の角度がカッコ良いです。

 

続いては、アメリカの吹奏楽動画の重鎮「Music213」さんの動画です。

 

 

[YouTube]Kyoto Tachibana(720p)-Pasadena Rose Parade

 

 

720pという解像度が残念ではありますが、撮影が角という絶好のポジションです。

この場所での最大の話題になったドラムメジャー3人の動きもちゃんと捉えています。

「おっと、危ないっ!」

 

facebookのリールにも面白い動画があります。

まずは「Sabrina Bruce」さん。

 

 

[facebook]のリール

 

 

先ほどとは反対側の客席からの撮影で、向かい側の客席の巨大さにも圧倒されます。

「I love it」や「So good」といった観客の声が楽しいです。

 

もうひとつは、「Akuang TW」さん。

 

 

[facebook]のリール

 

ドラムメジャー3人の動きが、最もよくわかる動画ですね。この撮影場所の後方にも高い位置の席があったので、そこから撮った動画が出て来ると楽しいんですけどねー。

ここから、「Rose Parade 2025のプログラム」というタイトルの記事でピックアップした「うかのみたまのみこと」さんの動画の冒頭に繋がるのです。曲の終わりで全員が揃う様子が良くわかります。隊列が中心に集まってからバラバラに広がるフォーメーションは121期のパレードでも試みていましたが、今回の大人数になると実に効果的です。このRose Parade本番を見据えての構成だったことがわかります。

 

そして、ごく最近見つけた動画です。それほど視聴数が上がっていませんので、あまり知られていないのかもしれません。Kio Vernaliuさんの動画です。

 

 

[YouTube]Turned the corner at Rose Parade 2025

 

 

ここで驚かされるのは、メンバーのダッシュのスピードです。本気でダッシュしているのが、よくわかります。カラーガードが曲の終わりでピタリと揃うところも、綺麗に収録されています。動画の概要欄に、iPhone 16 Proでの撮影であることが明記されています。この動画のクオリティの高さに、驚きです。

 

 

 

 

 

パレードの全体を捉えた動画は、2018年と比べると遥かに増えています。けれども「決定版」と呼べるものは、やはりこの方の動画ですね。

 

 

[YouTube]THE 136TH ROSE PARADE 2025 : st&橘ファミリーバンド[公式]さん

 

 

当然マルチカメラの編集ですが、今回の撮影者はst.taketoさんに慶次郎前田さん、kazu_pirelliさん、8809masaさん、Uchimuraさんといった方々です。いずれもクリアな映像と音声で、現地の様子を追体験させてもらえます。心から感謝です。

taketoさんのこれまでの動画に比べるとかなり凝っていて、動画の最初と最後に日本航空の機内アナウンスが収録されています。おしゃれですし、動画を見た満足感を高めるのに効果的です。

京都橘のファンの方なら何度となく繰り返しご覧になっている動画だと思いますので、それぞれのシーンについて書くのは野暮ですね。

 

前回までと違っているところに注目すると、ベストを目指した今回のパレードの方向性が見えてきます。

今回のアメリカ遠征で印象的だったGBAバナーは、京都の染物屋さんの制作による「ろうけつ染め」でした。「ろうけつ染め」という言葉は、数十年ぶりに目にしました。どんな手法なのか知りたい方は、調べてみてください。すぐに見つけることができます。

オレンジ色に近いけど「和」を感じる深い色がとても印象的です。この色、調べてみると「橘色」とも呼ぶらしいです。きっと、この色一択だったんでしょうね。

また、京都橘とGBAの随行スタッフは、黒いスーツにオレンジ色または黄色のネクタイとスカーフ着用です。一体感があって、パレードの一員として良いアクセントになっています。

このパレードで後方を歩いている精悍なイメージの男性は初めて見る方で、誰だろうと思っていたら現地の日系情報誌にインタビュー記事が載っていました。校長先生だったんですね。

 

当事者が語る貴重な記事は、一度読んでおく価値があります。

 

さて、私が考える今回のパレードの最大のテーマは、スタートからゴールまで演奏を止めないということだったと思います。

 

 

ノンストップで「Best Day Ever!」

 

 

たくさんの動画を見ましたが、演奏を止めた場面は一度も目にしていません。2018年の動画と比べると、その違いは一目瞭然です。

前のフロートが止まって、観客の方を向いて演奏するケースがあることを予想した上で、自然に方向転換する練習が積み重ねられていることがわかります。方向を変える時に戸惑ってるメンバーは見当たらないですもんね。

公式のSNSでは、パレードは2時間40分だったと報告されています。前回よりも遥かに長い時間ですが、見事にノンストップで完遂しました。

 

私が思う見所をいくつかご紹介します。

まずは、Wells Fargo銀行前の下り坂です。

 

前回のパレードでは「Fire Ball」を演奏した動画がアップされて話題になったポイントですね。

この地点は、Wells Fargoの建物の陰から朝日に照らされてオレンジの一団が現れる様子がとても美しくて、劇的な効果を上げています。

今回は「Sing,Sing,Sing」で、場を圧倒します。200人で演奏する音圧も凄まじく、ステップも見事に揃っています。そして、演奏していない時は、常に手を振って観客にアピールしています。もちろん、笑顔で。当然のように、ハイタッチの嵐!メンバーの方から積極的にハイタッチに行く様子は、国内のパレードではほとんど見かけません。Rose Parade用の、特別仕様ですね。試しに他の団体を見てみると、ダンサーやカラーガードだけはハイタッチをしているようですが、本体は隊列を崩すことなく粛々と行進しているところがほとんどです。「観客を笑顔にするために!」という京都橘のモットーは、こういう舞台でこそ生きてくるんですね。

 

2018年の時は、体力温存のために振り付けなしのナンバーを数曲披露していました。良く知られている曲を準備していたので、振り付けがなくても歓声が上がる程ウケていました。また、ヴァラエティに富んだ「ディズニー・メドレー」が素晴らしかったんですが、著作権の問題で今年はそれも諦めざるを得ない状況になりました。その結果、厳選された8曲に賭ける彼らの集中力は、私たちの想像を遥かに超えるものだったはずです。今回初披露された新しい曲にも、それぞれの音楽観を見事に視覚化した振り付けが施されています。

 

見慣れた曲だと、尚更彼らの充実ぶりが感じられます。特に、「Sing,Sing,Sing」。前回話題になった大胆なスキップがなくなったことは、私も残念でした。けれども、それを補って余りある完璧なステップと、キレのある音。その点では、明らかに前回を凌駕しています。これは、音楽の作り方においての意識がOB,OG含めて統一されていることの結果でしょう。合同練習の機会がそれほど多くはなかったことは、前述の校長先生へのインタビューからもわかります。毎日練習している現役部員に比べて、OB,OGにとっては苛酷な自主練が必要だったはずです。ただ、その成果は本番で見事に花開いて、遠目に見ると臨時の編成とは思えないほどに揃っていて、現役生と卒業生を見分けることは困難です。

姿を消したスキップの部分は、満面の笑顔で観客へ手を振る形になっています。この姿は他の曲やドラムマーチの時にも見られて、今回のパレードを思い返した時に最も印象的なシーンになっています。

フィールドショーとは違うパレード・ヴァージョンの「Sing,Sing,Sing」は、参加した全員が初体験です。それを考えると、今回の完成度の高さは驚異的です。

 

121期のレギュラー・パレードでも演奏していた「Fantasmic!」、「Wake Me Up」、「Show Me How You Burlesque」の3曲は、倍の人数になって初めて振り付けの意図が明確になったように思います。文句なしの出来だったと思います。

 

「キャー」で始まる「Shake It Off」は、京都橘の定番のステップが次から次へと繰り出される楽しさ満載の元気なパフォーマンスで魅了します。彼らでなければ出来ないはずです。

「Poker Face」は、一転してクールでカッコ良い表現を目指しています。実に凛としていて美しいです。

 

パレードの行程は見所満載で、それぞれにコメントする余裕はありません。

パレードの様子は当然のこと、周辺の街並みがどこをとってもアメリカらしさに溢れていて、興味が尽きません。会社や店舗が立ち並ぶほぼ直線の長いコロラド通りから左折してからの、典型的なアメリカの住宅街が私は好きです。観客もピクニック気分で、リラックスしている様子がとても楽しいです。

左折するポイントの動画でおすすめなのが、「Killa Kev Productions」さんのものです。

 

 

[YouTube] by Kills Dev Productionsさん

 

 

「Poker Face」から「Shake It Off」への流れは、実に魅力的です。

 

st&橘ファミリーバンドさんの動画を繰り返しご覧になっている方なら賛同していただけると思いますが、この動画のハイライトは55:30あたりからですね。

前のフロートが止まった為に、観客の方へ向きを変えるところからが見所です。

 

観客へハイタッチにいってる部員達は、心から楽しそうです。そのどさくさに紛れて部員とツーショット写真を撮ってもらってるおじさんがいたりして、皆さん自由過ぎです。

部員同士のハイタッチは、パレードの前半では先輩後輩の関係がわかるようなぎこちなさが見えていましたが、この辺りになるととてもフランクで良い感じに変化しています。

そして「Sing,Sing,Sing」のイントロが始まったあたりで、男性の派手な掛け声が聞こえます。撮影していたtaketoさんは、声の主が右後方に居ることに気付いてゆっくりとカメラを向けます。偶然とは言え、見事なカメラワークです。別の方の動画には、カメラを部員の方向に戻したtaketoさんとこの男性がグータッチをしている様子が収められています。

この後、同じポイントで反対側から撮影した動画が続きます。こちらも観客とのハイタッチや、水補給などに奔走するコーチの姿が捉えられています。パレード全体を見ていても、コーチは曲目の指示や水分補給の為に常に走り回っています。ひょっとしたら、メンバーの倍くらいの距離を歩いているんではないでしょうか?頭が下がる思いです。間違いなく、今回のMVPですね。

 

今回のアメリカ遠征において、ファンの間で最も評価が高かったのが「High School Musical」ですね。私も大好きですが、動画を見る限り2回ほどしか演奏していません。

私の推測ですが、Band Festで演奏した時にイントロでの観客の反応が薄かったことで、一般的に知られていないことにコーチが気付いたんではないかと思うのです。演奏が始まってしまえば京都橘らしさを表現できる素晴らしいナンバーなんですが、認知度が低いことで回数を減らしたのかもしれません。

 

そう言えば、前回のRose Paradeではメンバーのソックスが下がってしまっていることが話題になっていました。今回は、一切ありません。以前は色(黒または白)の指定だけで、それぞれで準備する形だったようです。ところが数年前から、見た目がガラリと変わりました。ずり落ちない製品を模索した結果、同じメーカーから一括購入する形に変更したようです。形状や生地の厚みなどを見ると、全く同じ製品ですもんね。

 

ということで、この動画は最終地点の公園の前でストップするまでを見事に収めています。

ノンストップで「Best Day Ever!」を完遂した瞬間でした。

メンバー達の、満足した顔、顔、顔。

特に、コロナ禍で思うような活動が出来なかった117期と118期のOB,OG達の笑顔は、心に残ります。この最高のステージで、やっと卒業した気持ちになったに違いありません。残念ながら参加できなかった同期達の思いも胸に、最高の一日にしたのでした。皆さん、卒業おめでとうございます。

 

 

 

最後に、今回のパレードを象徴するような場面の短い動画をひとつ。

「Manny's Adventure World」さんの動画です。

 

 

[YouTube]Kyoto Tachibana Senior High School Green Band Last Mile

 

 

終点近くの、高速道路の下の場面ですね。

ドラムマーチが響く中、子供達にハイタッチの嵐です。「日本に行って、この学校に入りたい!」なんて思ってくれると嬉しいですけどね。

 

 

 

演奏もパフォーマンスも、私は大満足でした。やはりパレードにおいて京都橘を脅かす存在は皆無であることを、改めて認識したのでした。

思えば、今回のパレードは、前顧問が手塩に掛けて育てた部員だけで構成されているのです。出て来る音は、間違いなく彼が目指していたものでした。彼の音楽の「ひとつの」集大成として、私の心に刻まれる素晴らしいパレードでした。もちろん、大車輪の活躍だったコーチと、参加した現役部員と卒業生達にも、心からの賞賛を。

京都橘高校吹奏楽部のファンの方なら当然ご存知の「Orange Fairy」さん。京都橘の「生き字引」として、京都橘がまだ全く注目されていない頃から詳細なデータを集められていて私も全面的に信頼しています。

いつも冷静な語り口で論理的な彼ですが、珍しく感情的な文章をアップされています。「憶測」が溢れかえるSNSに我慢できなかったのでしょう。6月22日のことです。昨年度の「騒動」の様子と背景を知ることができる初めての重要資料です。ご覧ください。

 

 

[YouTube]:Orange Fairyさん

 

 

私もいろんなケースを想像していたんですが、その最悪のパターンだったことがわかります。

ただ、私がショックを受けたのは、すれ違いが随分前からあったということでした。動画やインタビューなどを見ていると、少なくとも2度目の台湾公演あたりまでは部員たちと良好な関係だったと私は見ていたのでした。

 
 

けれども、Orange Fairyさんの文章に綴られていることをしっかり読むと、昨年度の異常事態の数々は納得できるのです。

 

「なるほど、そういう理由だったんだ。」

 

Orange Fairyさんが書かれていることは、全体からすればほんの一部だと思います。この結論に至るまで、いろんなことの積み重ねがあったんだと思います。

 

 

前回の記事でも書いた通り、現在の「橘サウンド」を作り上げたのは兼城先生の手腕によるものであることは間違いありません。ずっと「イロモノ」扱いされていた京都橘のサウンドを磨き上げて、審査員が欠点を指摘できない音作りをした結果が全日本マーチングコンテスト4年連続金賞です。冷静に2018年以前と比較すると、その音の差は歴然です。

日々の練習で、どのようにすれば美しい音楽を作り上げることができるのかを叩き込んでいたはずです。それは、部員たちに浸透しています。その証拠に、顧問が変わった今年度のパフォーマンスを見ても実に見事な音作りです。学生指揮をはじめとして部員たちの音楽に対する向き合い方は、彼の手を離れて既に京都橘の伝統の一部になっていると私は感じています。

 

そういった功績の一方、部員たちの心を掌握できなかったことは、顧問として失格です。音楽的な教育よりずっと大切なことができていないことは、教育者として未熟であることを示しています。

きっと、彼の言い分もあるはずです。けれども京都橘学園にいる間は、それを公言することはできないでしょう。

 

 

私は、彼の功績と顧問としての資質は切り離して考えるべきだと思っています。

不快に思われる方がいらっしゃるのは承知の上で、これからも彼の名前を出すことがあるかもしれません。現在の「橘サウンド」の礎を築いたのは、彼なのですから。

前回の投稿は、3月20日。なんと2ヶ月以上空いてしまいました。この間、私が何をしていたかの報告であります。

 

 

大成功に終わったローズパレードについて続けて書くつもりでしたが、前回投稿の直後(22日と23日)にあった定期演奏会を例年どおり配信で鑑賞しました。1年の集大成の演奏会ですから、毎年楽しみにしているイヴェントのひとつです。

私の予想を超える充実ぶりで、素晴らしいものでした。もちろん記事にする予定ですが、充実感以上に大きかったのは強烈な違和感でした。それは、兼城顧問に関する言及が一切なかったことです。公に向けては、「都合により、顧問は退任しました。」だけでも良いと思うのです。それさえなかったことで、昨年の秋頃から私の中にあった「もやもや」が一気に膨らんでいったのでした。彼が退任したことは事実として自分の中で納得しようと思っていたのですが、猛烈に「真実」を知りたくなりました。

 

私は京都橘の関係者にコネがあるわけでもないただのファンなので、ネット上を彷徨うことしか方法がありません。そこに溢れる膨大な数の「推測」「憶測」。その程度のことなら、私もいろいろ考えています。ただ、書いていないだけで。私が知りたいのは、ただひとつ「真実」なのです。

事の次第は、関西の吹奏楽関係者の間ではかなり知られているようです。そういった方々は一切口を開いていません。ある方は「騒動」と表現されていましたが、それ以上の詳細については語られていません。口外することも憚られる重大な事が起こったんだ、という思いだけが勝手に独り歩きしていきます。「もやもや」は募るばかりです。

 

 

 

3月31日、桜が満開になっているという情報を得て、気分転換のために自宅から徒歩3分の公園に出かけました。

 

 

こぼれ落ちそうなほどに満開の美しい桜を見ても、「もやもや」を解消する効果はありませんでした。

 

 

 

 

現在の京都橘の黄金時代を築いたのは、明らかに彼の手腕によるものです。

それは、音楽的な技術と考え方はもちろん、部内の雰囲気や環境づくりにも及んでいると私は考えています。

 

実は、私は彼のファンでした。

若い指導者が増えてきている日本の吹奏楽界ですが、そんな中でも彼の爽やかさは群を抜いていると感じていました。ネット上のあちこちで女性ファンの声も見かけました。濃いキャラが多い指導者が圧倒的に多い中で、一服の清涼剤のような印象もあります。

そんな表面的なイメージで見ていた私の彼に対する印象が変わったのが、2023年5月に開催された「博多どんたく」のパレードでした。私が初めて生の京都橘を経験したイヴェントで、その時の様子も詳しく記事にしました。

そこで偶然のタイミングで私服姿で移動する部員たちと同じ方向へ歩くこともありました。また、パレード前に待機している様子や音出しをしているところも間近で見ていました。私の興味は当然部員たちの様子だったのですが、気を惹かれたのは顧問とコーチの姿だったのです。初めての土地で部員たちがストレスなく動けるように細かく配慮して行動している姿は、全ての指導者の模範とも言うべきものでした。繊細な配慮だけではなく、部員たちのことを考えて熱くなっている場面も見ました。部員たちとの関係もとても良好だと感じましたし、こんな指導者の下で活動ができる彼らは本当に幸せだと思いました。

この「博多どんたく」をキッカケにして、個人的に彼のファンになったのでした。

彼の年齢から考えて、この先20年は彼が率いる京都橘高校吹奏楽部の活躍を楽しめるものと漠然と思っていました。それが、異例とも言える期の途中での突然の退任。正に「青天の霹靂」であります。

 

で、「真実」を追い求めることはもうやめました。

ただ、彼が京都橘にもたらしたものは、とんでもなく大きいです。彼の業績については、どこかのタイミングでしっかり記事にしようと考えています。なんだか、使命感さえ覚えます。

 

 

 

 

 

 

122期は、新しい指導者のもと順調にスタートしています。もちろん動画も逐一チェックしています。それぞれ記事にしたい事が一杯なので、これから順次書いていこうと思っています。もう半年前になるローズパレードの記事からスタートするので、なかなか大変ですが・・・。

オフィシャルページには、決定している行事の予定が発表されています。その中で気になったのは、能登でのイヴェントです。毎年恒例になった「金沢ゆめ街道」に続いて、ひと月後には「能登ゆめ街道」が予定されています。地震と火災の被害が大きかった輪島市門前町でパレードが開催されるようですが、復興に全くやる気のない政府に放っておかれている被災地の様子が動画に収められたら、世界に発信できると思っています。さらに、翌日には珠洲市で演奏会が予定されています。これを「復興チャリティー演奏会」として世界へ有料配信したら良いのに、と思いました。配信の料金を倍にして被災地へ募金をすることにしたら、かなりの金額になると考えられます。どなたか実現に向けて動いてくれませんかねぇ。良いアイデアだと思うんですが。

 

 

 

 

今回は「推測」と「真実」の狭間で「もやもや」した日々を過ごしていたことを書きました。

それで思い出したのが、前回の記事で結論付けていたローズパレードでの国旗とGBA旗の件です。コメントで、facebookの動画を見てみるように指摘されました。それは、京都橘が渡米前に公園で練習している様子を収めた短い動画です。アップロードされた時に私も見ていたものでした。改めて見てみると、話題になった「バーレスク・ターン」の場面を繰り返し練習しています。遠くからの撮影で鮮明ではありませんが、旗のポールは見当たりません。つまり、理由はわかりませんが、最初から旗を上げる予定がなかったということです。Jimmy Carter氏の訃報とは関係なかったということですね。

このように、「推測」は難しいものです。それが他愛のないものだったら問題ないのですが、深刻な事態についての推測は様々な人を傷つけたり迷惑をかけたりするものです。私も文章を書いている以上、推測で書く事がしばしばあります。改めてそういうことを肝に命じて記事を書くことにします。

 

 

ということで、投稿再開です。

皆さま、これからもよろしくお付き合いください。

前回の記事で、日の丸とGBA旗がない理由について述べたところ、別の理由だと指摘を受けました。そこで、改めて検証してみました。

 

Jimmy Carter元大統領が、2024年12月29日に100歳で亡くなりました。彼は、大統領職を辞してからの活躍が評価されています。特に外交に関しての活躍が目覚ましく、ノーベル平和賞も受賞しています。そんな彼は、アメリカ国民にも愛されていました。

ローズパレードを3日後に控えての訃報に、全国民は喪に服することになりました。

動画で確認しようと探したところ、ヒントになりそうなものを見つけました。大晦日にアップされた、ローズパレード直前の街の様子を収録したものです。

 

 

[YouTube]Behind The Scenes:The 2025 Tournament Of Roses Parade : Ohio State Football At Buckeye Huddleさん

 

 

動画の冒頭は、ローズパレードのスタート地点に近いTournament Houseの外観です。ここは、ローズボウルやローズパレードの歴史を知ることができる記念館のような役割の施設です。そこの前庭にある「Rose Parade」のモニュメントの横に、国旗とローズパレード旗を掲げるポールがあります。ポールの先端は見えませんが、両旗が不自然に低い位置に見えるので、半旗にしていることが推測されます。主催者が半旗にしていたら、パレード参加者が旗を掲げないのは当然のことですね。京都橘に限らず、旗を掲げている団体は見当たりません。そんな特殊な情勢だったことを考えると、この理由が最も正解に近いと思われます。ご指摘いただいた方々、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

今回は、ローズパレードにおける選曲について書きます。

この本番でも偶然と奇跡があちこちにあって、綿密な計画と合わせて完成度の高いパレードになったと思っています。

 

当日は、お節と酒を楽しみながら、ローズパレードの生配信を観ました。

始まってすぐに驚かされたのは、オープニング・アクトでした。毎年ローズパレードでは有名なアーティストがパフォーマンスを披露するのですが、今年はなんとAloe Blaccだったのです。もちろん歌った曲は「Wake Me Up」です。「Aviciiの声」として知られている彼ですが、歌っている姿を見るのは初めてでした。生配信では最も優れているKTLA 5の動画をご覧ください。

 

 

 

[YouTube]136th Rose Parade presented by Honda LIVE! : KTLA 5さん

 

 

Aloe Blaccがパフォーマンスをするという情報は、いつ頃公開されたのでしょうか?京都橘がその情報を1年ほど前に入手していたのなら、「Wake Me Up」の選曲は計画的なものだったと言えるでしょう。けれども、121期のパレードのプログラムは3月頃には出来上がっているはずなので、その頃に情報を得ていたという可能性は低いと思います。ということは、単なる偶然。これ、奇跡でしょう。Aloeへの声援も凄かったけれど、京都橘がこの曲を演奏している時は観客が一緒に歌っている様子が複数の動画に捉えられています。日本では考えられない観客の反応は、痛快ですね。この選曲は、大正解でした。Aloeと天国のAviciiが知ったら、喜んでくれたでしょう。

 

KTLA 5の動画では、46分過ぎから京都橘が登場します。

伝説の110度ターンからメイン・スタンド前への場面です。隊列の美しさと躍動感を楽しめる「引き」のカメラを基本に、クレーン・カメラやアップ専用のカメラなどを駆使して、テレビ局ならではのマルチな動画で楽しませてくれます。さらに、キャスター達のおしゃべりもここでしか聞けない楽しいものです。すでに過去の京都橘のパフォーマンスや人気ぶりを知っているようで、完全に京都橘寄りのコメントです。「Free Style!」と言ってるのが印象的です。参加団体の中で最も緻密に作られたパフォーマンスに対してFree Styleと言うのは違和感がありますが、旧態然としたマーチング・バンドが基本であるアメリカの団体と比較したら、そういう表現になるのも当然のような気がします。「Sing,Sing,Sing」のステップが始まったら、もう笑うしかないというのも納得のリアクションです。

 

 

 

さて、今回の選曲です。

「Sing,Sing,Sing」以外は、前回までに使用した曲は使えないことと、著作権料を演奏者が支払わなければならないということが、事前にアナウンスされていました。それに沿って考えると、京都橘のパレードで人気のメドレー(特に、ディズニー・メドレー)は難しいことがわかります。短い曲を繋げることで音楽と振り付けの多彩さを楽しめるのですが、短くてもそれぞれの曲に著作権料を支払うことは、現実的に不可能ですね。つまり、厳選した曲で京都橘の魅力を表現する必要があるわけです。結果として、ローズパレードで披露した曲は、珠玉の8曲になりました。

ここでは、すっかりお馴染みになった「うかのみたまのみこと」さんの単独撮影の動画を見ながら、各曲への私の思いを綴りたいと思います。

 

 

 

[YouTube]第136回ローズ・パレード現場記録:うかのみたまのみことさん

 

 

いつもながらの美しいイントロダクションです。そして、大人気の110度ターンを終えたところから始まります。その部分については、次回に検証したいと思います。既に「バーレスク・ターン」と呼ばれていて、後世に語り継がれることが確定しているようですね。それにしても、最大の見せ場に「Show Me How You Burlesque」を持ってくるなんて全く予想していませんでした。この「裏切られる快感」は、京都橘のファンとしては最大の魅力のひとつだと思っています。

Christina Aguileraが歌うオリジナルは以前にご紹介したかと思います。京都橘が演奏している楽譜は、Jay Dawsonという吹奏楽編曲の重鎮の作品です。ガイダンスの動画をどうぞ。

 

 

[YouTube]SHOW ME HOW YOU BURLESQUE:Arrangers' Publishing Companyさん

 

 

これを聞くと、すっかり「京都橘色」に染め上げている気がします。嬉しい。

ところで「うか」さんの動画は、メインスタンドから撮った場面が実に美しいです。京都橘の「楽しさ」「美しさ」「カッコ良さ」を堪能できる最良の動画だと思います。

その後、京都橘を追っかけてゴールまで追随しています。カメラの高さがちょっと低いせいでパレードの隊列は若干見辛いのですが、その代わりに沿道の観客の様子を楽しめます。その中で、以前のローズパレードの動画では見たことがない場面をあちこちで見ることができます。例えば、4:50あたりから、沿道の観客に向けて手話通訳をしている人たちが3人ほど見えます。全身黒ずくめの人たちですね。ひょっとしたら、そういった施設が近所にあるのかもしれません。

さらに、53:10あたりからは、マイクでアナウンスしている人がいます。拙い日本語で、京都橘を応援しています。若干煩い気もしますが、演奏しているメンバーは嬉しいでしょうね。

そう言えば、「うか」さんの動画にはtaketoさんが何回も写り込んでいます。私は彼のお顔しか知りませんが、おそらく「チームtaketo」の皆さんと思われる撮影者さんも多数見受けられます。「ウォーリーを探せ」のように、目を凝らして見るのも一興かと・・・。

 

「Sing,Sing,Sing」のパレード・ヴァージョンは、今回の参加メンバー全員が初めての経験ですね。けれども、それを感じさせない見事な演奏とパフォーマンスでした。詳しくは、次回に。

 

「Surfin' U.S.A.」は、Brian WilsonがChuck Berryの曲を換骨堕胎して作り上げたBeach Boysの最初のヒット曲です。京都橘が演奏しているのは岩井直溥氏による古い楽譜ですが、奇を衒わないストレートなアレンジなので観客のウケもとても良いです。「Wake Me Up」と共に、この曲でも観客が歌ってますもんね。カリフォルニアの人達の血管には、この曲が流れているのかもしれません。

 

「Shake It Off」は、Taylor Swiftの2014年の大ヒット曲です。オリジナルのMVはTaylorのキュートな魅力が詰まった映像で、アメリカン・ポップスの最良の形を味わえます。今見ても魅力的です。

 

 

 

[YouTube]Shake It Off:Taylor Swift

 

 

様々なダンスをテーマにした構成で、途中にLady Gagaを思わせる衣装が出て来たのにお気付きになりました?

さて、この曲は2020年のローズパレードで、Japan Honor Green Bandが披露しています。京都橘の114期からも10名ほどが参加して話題になった合同バンドでしたね。振り付けは毎年恒例の京都橘のOG達によるものだと思いますが、予想以上に「京都橘色」が強いもので「これは京都橘のパレードに取り入れたら楽しいのに!」と強く思ったのでした。その部分をGBA公式の動画でご覧ください。

 

 

[YouTube]JAPAN HONOR GREEN BAND-ROSE PARADE 2020 DIGEST:GBA1998

 

 

この時の雰囲気はそのままに、新しい振り付けで今年の橘を表現してくれました。

 

「High School Musical」は、映画館で公開されたものではなくディズニー・チャンネル制作のテレビ用の映画なので、一般的にはあまり知られていないようでした。曲が始まっても観客の反応が薄かったですもんね。ただ、今回のプログラムの中で最も京都橘らしい楽しさが詰まったナンバーなので、観客が最高に盛り上がっていくのが手に取るようにわかってとても嬉しかったです。

さて、帰国後に開催されたローズパレード報告会のプログラムから、この曲の吹奏楽アレンジがRick Stitzel氏による楽譜であることがわかりました。ガイダンスの動画をご覧下さい。

 

 

 

[YouTube]High School Musical arr. Rick Stitzel:Hal Leonard Jazz Ensemble

 

 

なんとまあ、コーラス部分はないんですね。この曲は、2022年の定期演奏会で既にコーラス入りで披露されていました。私の勝手な想像ですが、今回のローズパレードでは歌入りのナンバーを入れることは早い時期から予定されていたのでしょう。曲選びの段階で、22年の楽しかった曲が部員の中から提案されたのではないでしょうか。当時の楽しさを更に増幅した新しいパフォーマンスは、今回のハイライトのひとつであることは間違いありません。

 

「Fantasmic!」は、ポップス系ばかりの今回のプログラムの中で唯一「行進曲」調の曲です。マーチングバンドとしての基本的な精緻な演奏に華麗さも加わって、他の参加バンドを凌駕する実力を見せてくれました。ひょっとしたら、今回除外せざるを得なかった「Down By The Riverside」に変わる立ち位置としてプログラムに入れたのかもしれません。

 

「Poker Face」は、2009年に大ヒットしたLady Gagaの初期の代表曲です。

 

 

 

[YouTube]Lady Gaga-Poker Face(Official Music Video)

 

 

京都橘はオリジナルよりかなりテンポを速めて演奏しています。かなり雰囲気が違っていますが、私はとても気に入っています。

ところで、今回のプログラムは8曲中3曲がTom Wallaceの吹奏楽編曲です。「Wake Me Up」、「Shake It Off」そして「Poker Face」です。ネットで簡単に外国の楽譜を購入できる時代ではありますが、私の現役時代と比べると隔世の感があります。

 

ということで、ローズパレードのプログラム全8曲について書いてみました。

京都橘の後世に残るパフォーマンスについては、次回きちんと書く予定です。

 

 

 

ここからは、オマケです。

ローズパレードでは、過去2回の出場時も彼らの前後を走るフロートについても話題になりました。2018年には、後ろを走るキリンが「橘カラー」で目立っていましたね。

今回京都橘の前を走るのは、「Beeing Together」と題されたフロートです。ミツバチがメインになっていますが、偶然にも黄色と黒の「橘カラー」です。まるで京都橘の「露払い」のように見えますね。ミツバチの造形は、私の年代では「みつばちハッチ」を思い浮かべます。

そして、京都橘の後ろを走るのは、黒い魔女のフィギュアがインパクト大のフロートです。「オレンジの悪魔」が「黒い魔女」を引き連れている!なんてコメントも見かけました。

このフロートは、ご存知の方も多いと思いますが、映画「ウィキッド」がテーマになっています。元々はブロードウェイのミュージカルで、「オズの魔法使い」の前日譚あるいは外伝といった設定です。もう20年以上も前に上演されてトニー賞も獲得していて、全世界で上演される人気作品です。日本でもユニバーサル・スタジオ・ジャパンでステージ・アトラクションとして上演されて、翌年からは劇団四季が専用劇場で上演を始めました。福岡でも上演されたのですが、私は観るチャンスを逃してしまいました。

そのブロードウェイ・ミュージカルが映画化されて全米公開されたのが、2024年11月のことでした。大ヒットしている中でのローズパレードへの参加だったのです。

このフロートのテーマになっている「Defying Gravity」は、このミュージカルの中で最も有名な曲です。実はこの曲、京都橘とも縁があるのです。2022年の定期演奏会で、カラーガード・ショーに使われたのがこの曲です。その時、私はライヴ配信で楽しんでいました。カラーガード・ショーの時には、著作権の問題で無音で放送されました。曲名も出ていなかったので、気になった私は後日調べてみました。そこで「Defying Gravity」だったことを知ったのでした。私の朧げな記憶なので、間違っていたらご指摘ください。いずれにしろ、この時の定期演奏会でこの曲が使われたのは間違いないので、今回参加したOB/OGは後ろから聞こえるこの曲に、当時のことを思い出していたかもしれません。

「Defying Gravity」は、先日開催されたアカデミー賞授賞式でも映画で主演した二人によって披露されました。これが予想以上に圧倒的な素晴らしさだったので、是非ご覧ください。

 

 

[YouTube]Defying Gravity(字幕)映画ウィキッド アカデミー賞授賞式より

 

 

いかがでしょう?日本語吹替版での高畑充希の歌も素晴らしいです。

 

もうひとつ、オマケです。

毎年恒例の、サン・クロレラのインタビューが公開されています。部員たちがちゃんとしたインタビューに応えることは稀ですので、とても貴重なものです。「京都橘ファン」を自認している方は、絶対に読んでおくべき内容です。

 

 

革新がもたらした「オールA」。:サン・クロレラ公式HP

 

 

 

 

 

今回のローズパレードでも、フラワークラウンさんは素敵なイラストを公開されています。

 

 

既に周回遅れになっている私のブログですが、丁寧にひとつひとつ記事にしていきたいと思っています。

京都橘の魅力が全て詰まったパレードの様子は、次回詳しく。

Long time no see. I'm home!

 

公私にわたって色々と忙しかったため、丸々1ヶ月投稿できませんでした。今日から、再開します。

 

 

 

 

 

2024年の大晦日、京都橘高校吹奏楽部の部員たちとOB/OGたちは、カリフォルニアのディズニーランド・パークにいました。

翌日にローズパレード本番を控えて、この日はディズニーランドでのパレードです。7年前にもここでパレードをしたので、その状況はなんとなく予想していました。ただ、今回は定点パフォーマンスがなくなり、後追い撮影も禁止だということが事前にアナウンスされていたので、どんな形になるのか期待していたのでした。たぶん、翌日のローズパレード本番の「予習」のような形でのパフォーマンスになるんじゃないかと・・・。

実際にアップされた動画は、禁止されている後追い撮影のものも散見されましたが、ほとんどが素晴らしい映像でした。ここで実力を発揮したのが、チームtaketoです。各所に配置されたメンバーは慶次郎前田さんをはじめとする5人で、見事な連携を見せてくれました。もう、これだけ見れば十分と思われる作品をご覧ください。

 

 

 

[YouTube]Anaheim, California Disneyland Park - Parade 2024:st&橘ファミリーバンド[公式]さん

 

 

動画の冒頭、部員たちの姿が見えないうちから「Down By The Riverside」が聞こえてきます。「橘が、来るぞー!」という期待感溢れる場面です。

そして、見慣れたバナーを先頭にオレンジの一団が姿を現します。

 

 

前日のバンドフェストと比べて至近距離からの撮影が多いので、部員たちの顔が良くわかります。懐かしい、顔、顔、顔。各期のドラムメジャーや部長、様々な演奏会でソロを執ったり司会をしていて印象に残る部員たち。私個人的に思い入れのある、「スーザ部長」や「ピッコロ部長」(今回は、フルートで参加)、さらに台湾での活躍が印象に残るカラーガードのOGはスーザフォンで参加して、彼女のアイデンティティを再認識させられます。そうやって個々を見ていると、残念ながら参加できていないOB/OGが多いことに寂しさも感じます。そんなOB/OGの思いをしっかり背負った上での全力パフォーマンスだと考えると、感慨もひとしおです。

 

「Down By The Riverside」が終わると、いきなり「Sing,Sing,Sing」です。参加メンバー全員が、パレードでこの曲を演奏するのは初めてですね。しっかり練習したことが成果として出ていて、聴いていてもとても気持ちが良いです。ただし、例の「Swing,Swing,Swing」のトロンボーンのフレーズはとても速いパッセージで、練度が足りないところが散見されます。普段から重点的に練習していた前回と比べると、とても危なっかしいところは、手に汗握る部分です。練習量に比例してその結果が出ていることを実感できるのも、今回のアメリカ遠征全体を通しての印象です。ただ、それを上回る笑顔と喜びの爆発をいたるところで見ることができて、感無量です。

前回と比べて大きく違っているところは、その時に話題になった派手なステップが封印されたことですね。私としても残念だし驚きではありました。一部では「橘潰し」のような批判コメントも見かけましたが、ここは冷静に考えてみましょう。アメリカは、日本では考えられないほどの「訴訟社会」です。思わず笑ってしまうような理由で訴訟が起こされて、賠償命令の判決が出ることもしばしばです。ですから、主催者としては事故が1番の心配事なのです。それを未然に防ぐための規制だと私は考えます。国旗を掲げることがなくなったのも、その理由ではないかと思います。前回、街路樹に国旗を引っ掛ける場面がありましたもんね。

 

前回のディズニーランド・パフォーマンスで見慣れたメイン・ストリートへ入って来る時に、アナウンスがあります。ここでバンド・ディレクターとして紹介されるのは、副顧問の「Kosuke Yamauchi」氏です。彼はローズパレードの最後までその重責を果たして見事でした。けれども、「Yutaka Kaneshiro」のコールがない寂しさは、想像以上に大きいです。

 

 

 

 

 

さて、見た目でも圧倒する14本のスーザフォンですが、見慣れたメタル製ではなく白いFRP製です。つまり、全部がレンタルなんですね。少しでも重さを軽減して長距離のパレードでパフォーマンスに専念できるように、綿密に計画されていたことがよくわかります。ローズパレード本番の様子を見ると、それ以外にも実に細かく準備されていたことがたくさんわかってきます。それについては、また次回に詳しく。

 

メイン・ストリートの真ん中で、「ヘイッ!」で「Sing,Sing,Sing」を決めます。そこで起こる歓声は、観客の素直な喜びを表現しているように思えます。これぞ、京都橘の実力でしょう。

続いて始まった曲に、私は「Johnny B. Goode」だと思いました。前日のBandfestで披露したばかりでしたからね。けれども、同じロックンロールではあるものの、The Beach Boysの「Surfin' USA」でした。え〜い、紛らわしい。けれども、カリフォルニアの「ご当地ソング」とも言えるこの曲を選んだのも、構成係の素晴らしいアイデアでした。ちなみに、この曲がヒットした当時、The Beach Boysのメンバーは誰ひとりサーフィンが出来なかったそうですね。

この曲のアレンジはとても平易な定番のものですが、きっちり振り付けがされています。今回のアメリカ遠征で初めて披露される曲でも、体力を温存するために演奏だけをするナンバーが皆無だったことが翌日のローズパレード本番で明らかになりました。2018年の動画に慣れ親しんだ私にとっては、新鮮な驚きでした。

 

次の曲は、今期のパレード・プログラムの中で最も異色だった「Wake Me Up」です。ブルーメの丘の記事でも、この曲の完成を危惧していました。今回の演奏を聴くと、よくぞここまで仕上げて来たなぁ、と感心してしまいます。実に素晴らしいです。観客の歓声は、いかに現地でこの曲が愛されているのかを痛感させられます。日本での反応とは、全く違っていますね。

 

さて、ディズニーランドでのパレードは、以上の4曲を2回繰り返した後、冒頭の「Down By The Riverside」に戻って終了しました。

 

ひとりで撮影された動画で最も印象に残ったのは、おなじみの「うかのみたまのみこと」さんの作品でした。事前の綿密な情報収集をもとにして、メイン・ストリートの最終地点にカメラを置いて定点撮影することを決断されたようです。シンボル的な巨大クリスマスツリーを正面に見ながら6分の動画に収められています。願わくば、もう少しカメラの位置が高ければ完璧な画になったでしょうね。

 

 

 

[YouTube]ディズニーランド・パークパレードパフォーマンス:うかのみたまのみことさん

 

 

真正面から捉えた京都橘のパレードの姿は、他のバンドでは決して見ることができない躍動感に溢れていて、改めて感動してしまいますね。

 

 

 

 

さて、このディズニーランドのパフォーマンスで特筆すべきは、「Down By The Riverside」です。

ローズパレードの本番では、「Sing,Sing,Sing」以外は全て前回と違った曲目になることが明言されていました。そこで注目していたのが、京都橘のパレードのテーマ曲である「Down By The Riverside」の去就でした。本番で演奏されることはないと思っていましたが、ここで出してくるとは嬉しい驚きでした。ほとんど諦めていましたので・・・。

ただ、演奏を聴いていると、バラツキを感じます。それぞれのメンバーのこの曲に対するテンポ感が違っているのでしょう。それぞれの期によって、微妙にテンポが違っていますもんね。そこから私が感じたのは、アメリカに到着してから急遽この曲を演奏することになったのではないか、ということでした。日本での全体練習は10回程度だったことが明かされていますが、チャリティ・コンサートからバンドフェスト、ディズニー・パレードを経てローズパレード本番まで、膨大な数の曲を練習していたはずです。そんな中で、この「Down By The Riverside」は完全に外されていたのではないでしょうか?

アメリカに着いてから、ディズニーランドでどの曲を演奏しようかとプログラムの中から選定している時に、「本番で演奏できないんだったら、ディズニーで演ろうか?」という意見が出たのかもしれません。全メンバーが身に付いている曲だし、振り付けも昔から同じです。しかも、7世代が一同に集うチャンスはここしかありません。この機会を逃したら、一生このメンバーで演奏することはないと思うのは、想像に難くありません。

 

 

やっぱり、京都橘は「Down By The Riverside」だよねー!

 

 

という意見が上がったことが目に浮かぶようです。あくまで私の想像ですが。

全員が演奏できる自信があるということで、ほとんどぶっつけ本番で演奏することになったように思えます。

演奏にバラツキはあるものの、全員が京都橘の部員であることのプライドと喜びに溢れていて、私は涙してしまいました。アメリカ人だったら誰でも知っているメロディの登場に、観客からも歓声が上がっていました。

 

 

ということで、私個人的にディズニーランド・パレードのハイライトは「Down By The Riverside」なのでした。

 

 

 

日本のディズニーランドはもちろん、アナハイムのディズニーランドにも行ったことのない私にとって、現地の様子を収めた動画も登場しました。ありがたいことです。

IKEKITA Minoruさんの作品をご覧ください。

 

 

[YouTube]ディズニーランド・パークの思い出:IKEKITA Minoruさん

 

 

長い動画ですが、途中で様々な人と積極的に会話をする撮影者のおかげで、貴重な場面も多く見られます。この中では、京都橘のパレードはもちろん、ディズニーランドの「A Christmas Fantasy Parade」の様子も見ることができます。なかなかに楽しい動画でした。

 

最後に、以前にも紹介したことのあるRooster Jamesさんのオリジナル・ソングです。京都橘のファンであれば、誰しも笑顔になってしまう作品です。

 

 

 

[YouTube]加州ディズニーでの橘旋風!:Rooster Jamesさん

 

 

それぞれのイヴェント毎にオリジナル・ソングを量産されていますが、この曲は好きです。

ストレートな歌詞は私としてはちょっと恥ずかしくなりますが、橘愛が溢れています。私が気に入ったのは、とてもポップなメロディです。なかなか素敵な曲だと思います。

 

 

今回のディズニーランドでのパフォーマンスは私の期待を大きく上回る出来で、驚きと喜びをプレゼントしてくれました。ここでも彼らの本気度を感じることができて、大満足でした。

今年の初投稿になります。引き続き、よろしくお付き合いください。

 

 

正月の三ヶ日は、例年通り弟との酒浸りの日々。

 
 

例年と違っていたのは、アメリカから次々とアップされる動画の洪水。二人であーでもない、こーでもないと話をしながら盛り上がっていたのでした。

 

 

 

 

京都橘高校吹奏楽部のアメリカ遠征は、前回とは比べ物にならない話題になりました。事前の盛り上がりも、期待と若干の不安とが混在していて身震いするほどでした。

事前の盛り上がりの中でどうしても記録に残しておくべきことは、台湾の中華文化総会の動向です。事務室長の李さんのSNSにアップされた写真をここに置いておきます。Xでは、過去を辿るのはかなり大変ですからね。

 

李さんが、お手本を見ながらメッセージを書いています。

 

出来上がりが、こちら。

 

更に梱包されて、京都橘高校吹奏楽部へ発送されました。

 

その中身が、こちら。

 

あったら絶対に役に立つもの。実に心のこもったプレゼントでした。部員たちとOB/OGたちは、心から喜んだはずです。今年は、台湾の国慶節へ再び招待されているという噂も飛び交っています。そのタイミングが合わなくても、3度目の台湾公演は間違いないでしょう。台湾の情勢が悪化しないことを祈るのみです。

李さん、あなたの心遣いは、台湾の皆さんの気持ちを代弁しています。ありがとうございました。

 

 

クリスマスに日本を発った京都橘一行(OB/OGは、その後複数便で渡米)。

29日には非公開のベネフィット・コンサートでホスト・ファミリーや地元の関係者をもてなしました。

翌30日に開催されたのが、パサデナ・バンドフェストです。前回の記事で私の思い入れを綴った、同じ会場です。

 

アップ多めの動画は、たくさんあります。懐かしい顔を見つけると、嬉しくなりますね。

けれども、京都橘の魅力は全体の動き。なので、全体を捉えた動画の中で私が気に入ったのは、Music213さんのもの。昔から全米の吹奏楽の動画を記録しているレジェンドです。彼のチャンネルを覗くと、その膨大な量に目眩がします。もちろん、京都橘の前回のローズでも素敵な動画を撮影されていました。今回は、彼の動画を見ながら京都橘のパフォーマンスを振り返ってみましょう。

 

 

[YouTube]2025 Pasadena Bandfest : Music213さん

 

 

え〜っと、準備の段階から期待が大きくなります。ティンパニやチューブラーベルズ、ドラも!本格的にパーカッション・システムが組まれています。その反面、キーボードやベースといった電気楽器はありません。バンドフェストのプログラムを勝手に予想していたのですが、この時点で「September」は脱落です。キーボードがないと出来ませんからね。

別の動画では、整列の状況を観客席の中央で見守るドラムメジャーの姿が捉えられています。

 

準備に時間がかかることを予測して、MCは非常に細かく京都橘の紹介をします。ちょっと長過ぎるように思えますが、初めて知る観客にとっては、素晴らしいガイダンスだったと思います。

整列した部員たちを見て、私は驚きました。OB/OGがどこに位置しているのか全くわからないほど、一体になっているのです。練習スケジュールの都合でOB/OGが添え物のような扱いにならざるを得なかった前回とは、全く違います。それでも、今回もマーコン終了から1ヶ月しかありません。どれだけ集中して練習したのでしょう?

 

こいつら、本気だ。

 

 

 

私の「予想」では、プログラムの1曲目は8割がた「Celebration」だと思っていました。初っ端から思いっ切り裏切られました。

なんとまぁ、Chuck Berryのヒット曲「Johnny B. Goode」で来るとは!簡潔なアレンジでとてもわかりやすいし、フォーメーション・チェンジもスピード感があって見事です。

Chuck Berryの動画は溢れるほどありますので、気になる方は検索してみてください。私の世代にとっては、1985年公開の映画「Back To The Future」の一場面が強烈に印象に残っています。

 

 

 

[YouTube]Johnny B. Goode Scene : Movieclips

 

 

何度見ても痛快な名場面です。状況が理解できない方は、映画本編をご覧ください。エンタメの傑作です。

 

続いての曲は、2006年公開の映画「Dreamgirls」から「We're Your Dreamgirls」です。SupremesとDiana Rossを題材にした、私の大好きな作品です。オリジナルの映画の場面をご覧ください。

 

 

 

[YouTube]We're Your Dreamgirls ft. Beyonce & Jennifer Hudson : Paramount Movies

 

 

モータウン・サウンドを忠実に引き継いで、更に古臭さを感じさせないプロデュースで作り上げられた名曲です。

郷間幹男氏による吹奏楽アレンジは、3人のヴォーカルをトレースしたトランペット・トロンボーン・アルトサックスのソリが見事です。彼らの演奏は、良く音が出ていて爽快です。

全員で左右にステップする景色は、快感です。カラーガードのフラッグが、良いアクセントになっています。更に言えば、このショー全体でのカラーガードの運動量は、驚異的です。外側を周って前後移動のダッシュを繰り返しています。

 

そして、ローズパレード会長への「Happy Birthday」セレモニーです。前回のバンドフェストとは全く違う楽譜を使っています。今回は、とにかくゴージャス!有名人や政財界の大物でも、こんな生演奏のゴージャスな「Happy Birthday」で祝ってもらう機会はそうそうないと思われます。ドラムメジャーにとっては、おそらく初めての3拍子の指揮でしょう。2回ほど指揮に戸惑う場面も見られます。そんな一所懸命な姿も愛おしいです。手に汗握って、完全に親目線ですね。

会長へのプレゼントは、レイとカラフルな風船、そして色紙です。アップ多めの動画では、色紙に書かれたものがなんとなくわかります。副部長の手になると思われる会長の似顔絵。その周りにメッセージが書き込まれています。副部長のイラストはファンの間ではお馴染みで、定期演奏会の景品のクッキーのデザインや台湾の李さんを描いたものも秀逸でしたね。

セレモニーは簡潔に終了します。祝った後に、会長を放ったらかしにすなーっ!と突っ込んでみたくなるんですが、すぐに次の曲に入るので仕方ないですね。

 

ということで次の曲のイントロで、私は不覚にも涙してしまいました。木管楽器のアンサンブルによる天国的な美しさ!

ミュージカル「Cats」から「Memory」です。星出尚志氏の編曲で、ステージでの演奏では大人気の名アレンジです。単純で印象的なメロディだからこそ、繊細なアレンジが際立ちます。これをマーチングにするアイデアが、京都橘らしいですね。ここ数年取り組んできたコンサート用アレンジをマーチングに流用する試みの、集大成ではないかと私は思います。ひょっとしたら、今回のバンドフェストで一番見せたかったのはこの曲だったのではないでしょうか?

バラの花のフォーメーションで、マークタイム(その場での足踏み)。まるでマーチングコンテストのプログラムのようだと思わせます。動きがないマークタイムの間は、カラーガードのフラッグが美しいです。そして、まさかまさかのカンパニーフロント!マーコンさえなかったOB/OG達の思いも含めた、この人数でのカンパニーフロント。今後も見ることがないであろう巨大な列の前進は、感動的です。

そして「ROSE2025」の人文字で、静かに幕を閉じます。

 

ショーの締めくくりは、当然「Sing,Sing,Sing」です。

後は最後まで突っ走るだけだと思っていたら・・・驚きの奇策が仕掛けられていました。

まずは、この人数での見事にシンクロしたステップ。大迫力の音と共に、美しくカッコ良いパフォーマンスです。続いては、スーザが主役の低音パートです。どうしても「主役」に目が行ってしまうんですが、ここは後方に注目です。素晴らしいフォーメーション・チェンジが用意されていました。私は、「3000人の吹奏楽ファイナル」を思い出しました。あの時もOB/OGが参加して、挑戦的なフォーメーションを展開してくれました。その時のフォーメーションを切り取ってみました。ご覧ください。

 

 

 

[YouTube]3000人の吹奏楽ファイナルより「Sing,Sing,Sing」フォーメーション:慶次郎前田さん

 

 

DCIの影響が大きいフォーメーション・チェンジですが、見たこともないほどの高速です。この時に、ローズパレードを見越してOB/OGが加わった場合の構成や練習方法を模索していたんですね。今回はその時より簡素なフォーメーションですが、明らかに「3000人〜」を雛形に作り上げているのが想像できます。

更に畳み掛けるかのように飛び出したのが、まさかまさかの「Swing,Swing,Swing」のあのフレーズ。私は、涙してしまいました。トロンボーンとトランペットの掛け合いの部分ですね。2018年を最後に封印されていたので、もう可能性ゼロだと諦めていたのでした。ですから、前回の記事でその素晴らしさを熱く語ったのでした。今回参加したOB/OGを含めて、部員達にとっては初めての部分なので精度は今ひとつですが、もう演ってくれただけで満足です。やはり、カッコ良い。観客席も盛り上がっています。まさか、ここで出して来るとは・・・!

そして、最後まで美しく力強く締め括ってくれます。

 

ここまでのフィールドショーではソロが一切なくて、塊としての京都橘の実力を見せてくれました。それこそが、彼らの最大の魅力です。

もう一つの彼らの魅力である「可愛い」や「楽しい」を極力排除した、真っ向勝負のプログラムでした。過去の成功の焼き直しにこだわることなく「現在の」京都橘を最大限に表現した英断に、心から拍手を送りたいと思います。過去の伝説に支配されている頭の固い連中を置いてけぼりにする、「常に進化する京都橘」を見せつけたプログラムでした。天晴れ!

 

 

アンコールのような形でトラックをパレードする「Pass & Review」は、京都橘の独壇場ですね。こんなことができる団体は、世界中探しても全くありません。

スタートは、ディズニーランドのショーの音楽「Fantasmic!」です。京都橘のファンにとっては、お馴染みの曲ですね。アメリカでの新しいショーの動画を見つけました。オリジナルをお聞きになったことのない方は、是非どうぞ。

 

 

 

[YouTube]Fantasmic!2024/Disney's Hollywood Studios:EDDIEFILMS

 

 

日本では、ディズニー・シーで見ることができるようですね。私は行ったことありませんが。けれども、動画で見る限り生で体験する価値があるように思えます。

さて、京都橘の演奏です。耳に馴染んだ曲ですが、イントロに4小節のリズムだけの部分を付けています。観客も「何が始まるんだ?」と固唾を呑んで見守ります。このアイデアは、実に効果的でした。そこから大迫力のファンファーレ。目も耳も釘付けになりますよね。更に、3人のドラムメジャーの華麗なメイス捌き。パレードに命を賭けてる京都橘らしい、見事な演出です。

「Fantastic!」が終わると、テンポ・アップして「High School Musical」に突入します。パレードでは初ですが、2022年の定期演奏会でステージ・マーチングの形で披露していました。ドラムメジャーもダンスに加わって、実に楽しそうだったのが鮮烈に記憶に残っています。きっと部員達からのリクエストで、今回のプログラムに入ったんだと思います。Pass & Reviewでの2曲は、いずれもディズニーの曲でした。この「High School Musical」は、ディズニー・チャンネルで放送されたテレビ・ムーヴィーのシリーズ「High School Musical 3」のテーマ曲です。テレビ・ムーヴィーにしては勿体無いほど佳曲が満載のシリーズで、放映当時から私のお気に入りです。不鮮明ですが、オリジナルをご覧ください。

 

 

 

[YouTube]High School Musical:officielclipHSM

 

 

このシリーズは「青春あるある」がいっぱい詰まった作品で、当時すでにおじさんだった私に青春時代を思い出させてくれたのでした。

この日の京都橘は、最後の最後で「可愛い、楽しい」ナンバーを披露しました。これも計算の上の構成なのでしょう。イントロから観客も大盛り上がりです。歌が始まると、客席も静かになって聞き耳を立てています。そして歌が終わると大喝采!もう、思うツボですね。

唯一残念なのが、メインスタンドを通過してから最大の見せ場になったことです。あと20メートル位スタート位置を下げていたら、観客も大満足だったでしょうね。ほとんどの動画でも、彼らの姿を後ろから撮影する結果になっています。そこへ救世主のように登場したのが、グランドで至近距離で撮影した動画でした。今年のバンドフェストとローズパレードでは、京都橘のジャケットを着た現地のヴォランティアや主催者の準公式と思われる撮影スタッフの姿が多数見られます。その「準公式」なのでしょう。臨場感抜群の動画は、今回のバンドフェストの白眉です。

 

 

[YouTube]California USA Rose Bowl Bandfest:ShowtimeWeb

 

 

ここのチャンネルには膨大な数の吹奏楽関連の動画がアップされていて、どのように撮影すれば魅力を伝えられるかを熟知しているようです。そのおかげで、京都橘のパレードの魅力を最大限に収録することに成功しています。極論すれば、この短い動画1本で京都橘のワン・アンド・オンリーの魅力を、全世界に知らしめることができると私は思います。

 

 

彼らのフォーメーションの美しさを楽しむには、やはり上方からの動画が必要です。ロビンソン・スタジアムの横にある立体駐車場から撮影した動画をご覧ください。

 

 

[YouTube]Kyoto Tachibana at Rose Parade Bandfest 2025:BJRacing

 

 

撮影者と周辺の声も含めて、その反応を楽しめます。この動画中の「Johnny B. Goode」のフォーメーション、3つの三角形です。

 

これを見た私の脳裏に浮かんだのは、「Back To The Future」のキー・ポイントになるプルトニウムです。放射線物質を示すマーク・・・。

 

きっと私の思い過ごしなんでしょうねー。

Pass & Reviewの動画もどうぞ。

 

 

 

[YouTube]Kyoto Tachibana Bandfest 2025 Pass and Review:BJRacing

 

 

パレードの隊列の美しい動きをこのように見れる機会は、めったにありません。貴重な動画になりそうです。

 

 

 

 

他にもご紹介したい動画がたくさんあるんですが、泣く泣く割愛させていただきます。日本での京都橘の動画撮影ではお馴染みの方々も私の予想以上に渡米されていて、個性的な動画をそれぞれアップされています。検索して楽しんでください。

 

今回のバンドフェストのプログラムは、過去の呪縛に囚われることなく現在の京都橘の姿を表現するために緻密に構成されたものでした。これまでのファンも驚かす新曲を用意して、「常に進化する京都橘」を再認識させてくれました。私が最も感動したのは、現役部員達はもちろんのことOB/OG達の本気度でした。判別できない程一体化していて、「オール・タチバナ」としての集大成を高らかに宣言しているように思えました。コロナで不完全燃焼だった部活動を、ここアメリカの地で締めくくる覚悟と喜びを痛いほど感じました。ややもすると「イロモノ」扱いされる京都橘が、真っ向勝負で挑んだバンドフェストでした。

 

とは言うものの、その一方で「エンタメの京都橘」を期待した私もいました。出雲ドームで披露したプログラムを基本にして構成されるんじゃないかと私は予想していたのです。ちょっと振り返ってみましょう。

 

 

 

[YouTube]出雲ドームかみあり吹奏楽フェスタ2024:うかのみたまのみことさん

 

 

ね?想像膨らむでしょ?バンドフェストの前日のステージでは、これらを披露したようですが・・・。

 

ということで、次はディズニーランドのパレードなんですが、数ある動画を未だに整理できないでいます。

京都橘高校吹奏楽部の歴史に残るパフォーマンスのひとつは、2018年のローズ・パレード出場時のバンドフェストであることは間違いないでしょう。3度目となる今回のローズパレード出場を控えて、当時のパフォーマンスを振り返ってみましょう。

 

まずは、GBA公式の動画をどうぞ。

 

 

 

[YouTube]京都橘高校グリーンバンド パサデナ・バンドフェスト ローズパレード2018グループ

 

 

今回の記事での写真は、京都橘の生き字引とも言えるOrange FairyさんのSNSからお借りしました。いつもお世話になってます。ありがとうございます。

 

この動画は、この年の大スポンサーである日本航空のCMから始まります。松井秀喜のナレーションで、大谷翔平を主役に据えたものですね。思えば、この時はエンジェルス入団が大きな話題になっていましたね。京都橘一行は、現地に着いて練習をするのに、エンジェル・スタジアムの広い駐車場を使っていました。その時にエンジェル・スタジアムの前に全員が揃って記念撮影をしています。アメリカのunofficialfanblogのトップページにも使われている写真ですね。

 

 

kyototachibanashsbandunofficialfanblog

 

 

 

スタジアムの壁面にはスター選手の顔写真が飾られていますが、大谷翔平はまだ写真がなくて名前だけが掲げられています。

動画は公式ならではのグランドレヴェルの画角が貴重です。アップが多めで、懐かしい顔を楽しめます。

この年のバンドフェストは、例年通りロビンソン・スタジアムで開催されました。

入場時にドラムメジャーとポイント係が中心線上にポイントを置いていく様子が確認できます。日本のマーチングでは5メートル毎にあるポイントを基準にフォーメーションを組み立てますが、ここでは中心線だけしかないのでいろんな場面で立ち位置に迷っている様子が見られます。それでも「なんとかする」のが、京都橘らしいですね。ちなみに、海外のドラムコーの団体は、アメフト用のラインを基準にしているので、このグラウンドでもいつも通りのパフォーマンスができます。

 

貴重な映像ではありますが、彼らのステップやフォーメーションの素晴らしさを体感することはできません。

私が個人的に最高だと思っている動画は、本番から1年以上経ってから慶次郎前田さんがアップされたフル・ヴァージョンです。今回はこれを見ながら振り返ってみたいと思います。

 

 

[YouTube]2018 Pasadena Bandfest (Full Version):慶次郎前田さん

 

 

整列をしている間に、MCが義足の部員を紹介します。日本国内では、彼女のことを知っているファンも静かに見守っていて、義足であることを取り上げることはありませんでした。けれども、ローズパレード出場が決まってから現地の日本語新聞でピックアップされてから、かなりの話題になったようです。アメリカ人は、こういったことは大好きですもんね。バンドフェストの前にリハビリ施設での慰問演奏がありましたが、そこでも彼女がピックアップされていたようです。

 

さて、フィールドショーは実質15分です。完璧な構成とパフォーマンスで、短い時間でも京都橘の魅力をフルに表現できています。当時マーチングを指導していたYコーチはアメリカのドラムコー経験者であり、ローズパレードにも毎年のように参加して日本代表を指導してきました。アメリカ人の好みを知り尽くしている彼の経験が、この時の大成功の最大の要因だと私は確信しています。

 

ショーの始まりは、Dizzy Gillespieの代表曲でありアフロキューバン・ジャズの名曲「Manteca」です。敢えて前回と同じナンバーですが、京都橘のパフォーマンスを初めて見る人へ向けてのご挨拶という立ち位置なのでしょう。可愛いオレンジの衣装とのギャップを狙った、ハードなジャズ・ナンバーです。揃ったステップとフォーメーションで、見る者を圧倒します。冒頭のカラーガードのフラッグが、実に美しいですね。

 

続く「It's A Small World」は、このフィールドショーの白眉です。可愛い振り付けとフォーメーションは、世界中で彼らだけしか成し得ないオンリー・ワンの世界です。狙い通り(あるいは狙い以上?)の笑いと歓声と拍手。これを考案した構成係とYコーチに、心からの賞賛を!

 

ここでドラムメジャーは指揮台から降りて、演奏に加わります。代わって登壇するのが、Yコーチです。

ここからOB&OGが演奏に加わります。映画「Jurassic Park」のテーマに乗って、タチバナ・ザウルスの登場です。現在でも事ある毎に登場している人気キャラクターですが、このバンドフェストが初のお披露目でした。京都橘を象徴するフラッグを盗んだザウルスをカラーガードのメンバーが追いかけて無事に奪還する、というストーリーですね。まぁ緩い展開ですが、誰が見ても分かりやすいのが良いですね。一件落着から続いて、ローズパレード会長の夫人への「Happy Birthday」セレモニーです。この情報は、かなりの確率でYコーチからもたらされたものでしょう。会長夫妻とプライベートな話ができる仲じゃないと、会長夫人の誕生日という情報を手に入れることは難しいでしょう。その情報を持ち帰って、構成係に提案したのではないかと考えています。それに応えて笑いも取れる楽しいものを作り上げた構成係も、実に見事です。しっかり笑いも取っていますもんね。

ここで、ザウルスがフラッグを盗んだのは何故か?と考えてみます。ひょっとしたら、フラッグも夫人にプレゼントしようと思っていたのかもしれません。そうすると、一連の流れがストーリーとして完成されているように思えます。まぁ、私の考え過ぎかもしれませんが。

セレモニーが終わって、再び「Jurassic Park」のテーマに戻ります。タチバナ・ザウルスが大きく吠えて、完結。これって、映画のエンディングと同じです。芸が細かい。

 

Michael Jacksonの「I'll Be There」は、アルト・サックスのソロでしっとりと聴かせます。スローな曲でアンサンブルの美しさを見せつけるのも、粋な演出です。サックス・ソロの途中で、MCが本部とやり取りをしてマイクがオフになっていることに気付くところも、今となっては懐かしいエピソードです。

 

しっとりした曲の後は、派手な「Star Wars」のファンファーレです。けれども、観客が期待するメロディには入らず、聞き馴染んだジャングル・ドラムがリズムを刻みます。このリズムが始まれば、最後まで駆け抜けるだけ。Yコーチは、「頼んだぜ」という感じで指揮台を降ります。観客には部員達のパフォーマンスに集中して欲しいという彼の狙いは、こんな動きにも表れています。

部員達がフィールド全体に広がって始まるのが、「Star Wars」の中での異色作「Cantina Band」です。酒場でハウス・バンドが演奏しているところで使われていました。サウンドトラックをお聴き下さい。

 

 

[YouTube]Cantina Band : soundtrack

 

 

京都橘のパフォーマンスは、軽くシャッフルするリズムから連想したと思われる、全員が揃ったチャールストンのステップで観客を驚かせます。大きなどよめきが起きているのが痛快ですね。アメリカ人は、チャールストン大好きですもんね。全員が左に傾く振り付けは、宇宙の無重力を表現しているんだと私は考えています。

そこから違和感なく「Sing,Sing,Sing」へ突入して行きます。クラリネットのソロの次のパートが、私が最も好きな部分です。

 

トロンボーンの派手なソリにトランペットが加わるところは、ゾクゾクします。2015年のマーチングコンテスト直前に、ドラムメジャーが熱心にブラッシュアップしている姿が蘇ります。

この大好きなところだけを、切り取ってみました。

 

 

[YouTube]クリップ

 

 

実は、この部分は「Sing,Sing,Sing」には存在しません。

映画「1941」の中で、ダンスホールでの大乱闘の場面で使われる「Swing,Swing,Swing!」の一部分なのです。ちなみに、以前からの橘ファンには思い入れの強い「ぐるぐるのテーマ」も、この曲の一部分です。サウンドトラックを、どうぞ。

 

 

 

[YouTube]Swing,Swing,Swing!

 

 

「Sing,Sing,Sing」にオマージュを捧げた、John Williamsらしい小粋な曲です。そう言えば、「Jurassic Park」も「Star Wars」も作曲はJohn Williamsです。このバンドフェストの動画を、彼は見たことがあるんでしょうか?是非、見てもらいたいものです。きっと喜んでくれるに違いありません。

恒例の「キャ〜!」から、再びYコーチが指揮台に登ります。ラストのV字隊形の「扇の要」として、彼の黒い衣装がとても効果的です。これも綿密な計算の上のことでしょう。狙い通りです。フォーメーションもステップも完璧です。さらに、美しいフラッグ・トス。マーチングコンテストで禁止されてから、フラッグ・トスを見る機会もなくなってしまいましたね。

 

フィールドショーが終わって、ヴィデオ・コンテストの表彰が行われます。賞金が2500ドルだということも、アマチュアの大会らしくて良いですね。ちなみに、全額を寄付したそうです。ラストのパレードは、表彰が終わる前にスタートします。これも、Yコーチの指示でした。表彰が終わってパレードが始まるまでに妙な間ができるよりも、ずっと良い選択だと思います。

パレード仕様の「Sing,Sing,Sing」で、スタンドはオール・スタンディング・オヴェーションです。隊列が正面を通過する時、バンドの最後尾にいる義足のメンバーをYコーチが捕まえて、観客席へ向けて挨拶をさせます。実に微笑ましい光景です。

「Sing,Sing,Sing」が終わって全て終了かと思いきや、そのまま「Fireball」へ突入します。実は、フィールドのハードルが置いてあるところに、「Quiet Area」という表示があります。パレードの終了地点という意味ですね。それを知ってか知らずか、演奏は続きます。その異常事態に気づいたYコーチは、ダッシュして止めに行きます。その止めたタイミングが、偶然にもこの曲の最大の見せ場の直前でした。「続きは、ローズパレードの本番で見てね。」という壮大な予告編みたいな展開になりました。偶然のイタズラですね。

 

ということで、Yコーチの緻密な策略と偶然が織りなすこの年のバンドフェストは、奇跡のような完成度で幕を閉じたのでした。

2018年の年度で京都橘から離れたYコーチにとって、このバンドフェストは集大成のひとつだったことは間違いありません。

 

 

 

 

オレンジのユニフォームは全く同じとは言え、今回はメンバーも指導スタッフもバンドフェスト未経験。全く違う構成になると予想していますが、どんな姿を見せてくれるのでしょう?お手並み拝見。

彼らの姿を堪能する、最高の年末年始になりますね。

 

新たな伝説の始まりは、もう間もなく。