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以前僕はこんなお話をしました。
確か経皮毒の記事だったのではないかと思います。
多くの人は、
化学的な物質はとりあえず身体に悪く、
私たちの身体に
何かしらの悪影響を及ぼすものだと考えています。
というお話です。
そしてこれを
僕は「化学物質への無根拠の恐怖」と呼んでいます。
この
化学物質への無根拠の恐怖
というお話をする際に、
「界面活性剤」と呼ばれる物質は
シリコーンと並び
特に不遇な待遇を得ている物質の一つであると言えるでしょう。
今日は化粧品、果ては僕たちの最も身近な生活にまで影響を与えている
「界面活性剤」
の本当についてお話させていただきます。
「界面活性剤」という名前を聞くと、
なんだか怖い化学物質のようなものをイメージする人もいるでしょう。
今では
「界面活性剤不使用」
を謳う化粧品があるように、
シリコーン同様に避けたい化合物として浸透しています。
そもそも、
「界面活性剤」とは一体なんなのでしょうか。
◎「界面活性剤」とは
界面活性剤とは、
読んで字のごとく
「界面」を「活性」化させる作用をもつ物質です。
「界面」とは異なるものと異なるものの境界を指しており、
一般的に、それが水のような液体であれば
水と空気の間のことを「表面」と呼んでいます。
※
界面=水と油の境界という風に勘違いしている人が多いですが、
これは正しい表現ではありません。
水は空気に対して非常に強力な表面張力を持っています。
表面張力とは簡単に言えば、
液体が自身の表面積を出来るだけ小さくしようとする働きのことです。
水はその力が非常に強い為、
空気中に投げ出されると必ず最も表面積が小さい形状(球形)をとります。
またコップに水を注いでいくと、
表面張力によってすりきり一杯よりも多くの水を注ぐことが出来ます。
↑溢れると表面積が大きくなる為、出来るだけ溢れないようにしようとする
そして界面活性剤はこの水の表面張力を弱める力があります。
表面張力が弱まれば、
水は表面積の大きい形状を取ることができるようになります。
例えば、
↓のような
「泡」は液体にとってとくに表面積の大きな形状ですね。
つまり
このように水の表面張力を弱める働きを、「界面活性作用」と呼びます。
また界面活性剤にはもう一つ重要な働きがあります。
それが「乳化作用」です。
界面活性剤は↑のように
水に馴染む部分と油に馴染む部分
を持っており、
油と水を混ぜ合わせる力を持ちます。
油と水が混ざると一般的に液体が白濁する為、
油と水を混ぜることを「乳化」と言います。
界面活性剤はこの乳化作用を応用して
油汚れを落とすことが出来る為、
その多くが洗浄剤として用いられています。
ただし勘違いしてはいけないのは、
界面活性剤=洗剤
ではないということです。
界面活性剤の性質として「洗浄能力」というのは
その効果の一つであり、その全てではありません。
乳化作用をほとんど持たない界面活性剤もたくさんあるからです。
◎身近な界面活性剤
私たちの身近に用いられている界面活性剤をいくつか紹介しましょう。
これは石鹸ですね。
石鹸が界面活性剤の代表格であることは
セッケンは危険?~意外と知らないセッケンの化学~
でも解説しています。
セッケンだけでなく、
衣料用洗剤や歯磨き粉、洗顔料なども界面活性剤が使われます。
そしてこれはマヨネーズです。
マヨネーズには「レシチン」と呼ばれる界面活性剤が含まれており、
食用油とお酢を混ぜることが出来ます。
またマヨネーズ以外にもドレッシングの多くにも界面活性剤が用いられます。
そしてシャンプー・トリートメント・リンス・化粧水・乳液・口紅などなど…
多くの化粧品類に様々な界面活性剤が用いられています。
アロマオイルなどもその一つですね。
医薬品、特に塗り薬にも界面活性剤が使われます。
また殺菌剤や芳香剤、消臭剤に柔軟剤、漂白剤などにも入っています。
このように、
私たちの生活には至るところ、
食品にすら界面活性剤が用いられており、
ちょっとした身近なところのトロッとした液体的なものには
ほぼほぼ配合されているのです。
つまり僕たちの快適な生活は、
界面活性剤によって支えられていると言っても過言ではなく、
「界面活性剤??怖い!!(;゚Д゚)!」
とかなんとか言ってあげるのは
非常に不憫です。
◎誰も知らない「界面活性剤」
そもそも界面活性剤という物質は
これだけ身近に用いられているというのに、
驚くほど世間一般の認知度が低いのですね。
「硫酸」なんかは身近にほとんどないのに
誰でも知っていますが、
こうやって僕たちが日々常に用いてる物々に含まれている物質について、
普通の人は誰~~も知らないのです。
そんな誰も知らない物質なものなので、
悪質な化粧品メーカーなんかが
「界面活性剤は危険ですよ!」
などと声高に触れ回り、
「弊社のコスメは界面活性剤不使用です(にっこり)」
などど言って
合成界面活性剤もりもりの化粧品を売っているわけです。
実際に化粧品というのは
油と水を混ぜれなければ話にならないですし、
シャンプーや洗顔などに限っては泡立たせることも出来ません。
薬草で洗うとかそういう話ならまだわかりますが、
もうトロッとした液体的なものになっていて
「界面活性剤不使用」
なんてことは、
ほぼ絶対にありえないのです。
→アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤
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