Shudder Log -29ページ目

Shudder Log

* このブログの内容はすべてフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません。

東京の真ん中にあって、キャパシティのわりに客席が近くて、元の用途が違うからお台場や渋谷みたいな音は期待できないけど、でも歴史があって、ステイタスのある会場なんだ。
 
長かった、かな?
 
でも、それも、通過点でしかないって。
 
 *
 
画面の「Call」をタップして、耳に当てた。
一瞬の間の後、声が聞こえる。
 
『Hello?』
「もしもし? 俺だけど」
 
回線の向こうで、ジェソプが笑う気配がした。
 
『お疲れさま。どうだった?』
 
耳がくすぐったいような、温かいような感覚。
スマホを持つ手が、少しだけ震えているのが自分でも分かる。
 
「びっくりしたよ。いつ撮ってた?」
『ああ、メッセージ? "アンニョーン"』
「そう、それ」
『あー、いつだったかな』
 
結構前、というそっけない言葉の後、ベッドに倒れこむ音。
 
「嬉しかった」
『それはよかった』
 
仰向けに寝たのか、声のトーンが少し変わった。
 
「コンサートもすごくよかった」
『泣かなかった?』
 
当然のように尋ねる。
淡々としてるけど、面白がってるに違いない。
 
「泣いた」
『いつ?』
「俺のソロのとき」
『まだ前半じゃない』
 
今度ははっきりと笑っているのが分かった。
 
だって、凄かったんだぜ。
もし、一緒にあの場所に居られたら。
どんなに。
 
久しぶりに話すのに、言葉を飲み込んで。
 
「ジェソプ」
 
名前を呼べば。
 
『ん?』
 
ベッドに寝転んで、きっと笑みを浮かべてる。
 
あの口許に。
あの目許に。
 
「会いたいよ」
『俺もだよ、スヒョン兄』
 
間髪なく、返る答え。
 
でも、自分が思うほどには、寂しくないのだろうと。
そんな幸福を、俺はむしろ喜んでやるべきなのに。
 
『俺もそこにいたかった』
 
こんな言葉を言わせるべきじゃないのに。
 
 *
 
でも、それでさえも、通過点でしかないこと。
 
確信したのは、いなかった人の所為。
 
もっと大きなステージに、一緒に立つんだって。
Hanchulでポエム。
それだけ。
 
 
 ***
 
 
君がくれるメール
その言葉を読むと
君の顔が見たくなる
それで僕は君に送る
「セルカを送ってよ」
 
手を繋げない距離が遠いよ
唇の届かない距離が遠いよ
せめて今すぐに君の姿が見たい
「セルカを送ってよ」
 
君がくれるメール
その言葉を読んで
君の声が聞きたくなる
僕は君に電話する
その声を聞いて
君の顔が見たくなる
それで僕は君に言う
「セルカを送ってよ」
 
君は笑いながら「やだよ」と答え
僕も笑いながら君を責める
僕が笑っていても
本当は傷ついたことを君は知っていて
ときどき たまに 突然
君は「セルカを送るよ」
 
君の言葉を読むと君の声が聞きたくなって
君の声を聞くと君の顔が見たくなって
君の顔を見ると
 
手を繋げない距離が遠いよ
唇の届かない距離が遠いよ
顔を見るだけじゃ足りない
今すぐに会いに行って君を抱きしめようか
 
手を繋げない距離が遠いから
唇の届かない距離が遠いから
セルカを見るだけじゃ足りない
今すぐに会いに行って君に触れることができたら
この腕に君を抱いて
そうして二度と離さないんだ
目を擦りながら寄りかかれば、大きな手が髪を撫でる。
 
『ちゃんと部屋に行って寝なさい』
 
うん、と僕は答えて、けれど瞼は重くなる。
 
『ケビン』
 
僕は目を無理やり開けて、スヒョン兄を見た。
 
「連れてって」
 
そう言って手を伸ばせば、少し呆れたような顔になって、僕の身体を抱え上げる。
 
そのまま1回転し、床に降ろされて、僕は自分の足で立たされる。
 
「連れてってくれないの?」
 
首を傾げて顔を覗き込む。
 
『ひどい甘えっ子だ』
 
意外なほどに真面目な表情に、僕は笑って同意する。
 
「そうだよ」
 
抱き上げるのは諦めたらしく、スヒョン兄は僕の腰に手を回して、部屋へと向かう。
 
「お姫様だっこしてくれるかと思ったのに」
 
口を尖らせてみても、横顔は真剣なまま。
 
部屋のドアの前まで来て、スヒョン兄は僕と向かい合う。
 
片手は腰に、もう片方の手は顔に。
 
その手が僕の顎を捉えるんじゃないかと期待して、おやすみのキスを待つ。
 
でもスヒョン兄は、本当は、と言って視線を落とした。
 
「うん?」
 
先を促せば、指先が頬をなぞる。
 
『甘えてるのは俺の方なんだよ』
 
意味が取れなくて、僕は固まる。
 
『ケビンを甘やかすフリをして』
 
まっすぐに目を合わせて。
 
『ケビンに甘えてるんだ』
 
何か返事をしようとしたけど、言葉にはならなくて。
 
結局、おやすみ、という優しい声とともに、僕の口は塞がれた。
確かに、朝からご機嫌な様子だった。
 
『電車も久しぶりだね』
 
野球を見に行きたい、という話は前からしていて。
 
「向こうでもなかなか乗らないしね」
 
実現することになった時点で、かなり喜んではいた。
 
『応援グッズ何があるかな』
 
準備をばっちり整えて、そわそわしながら部屋の中を跳ね回る。
 
「うーん、帽子とか?」
 
ドンホは立ち止まり、俺の顔を見た。
 
『ペンライトとかないよね』
 
コンサートじゃないのに?
 
「ナイトゲームだけど、客席も明るいと思うよ」
 
そう答えたところで、マネージャ兄から、出るぞ、と声がかかる。
 
『はーい』
 
元気よく返事をして、ドンホは真っ先に玄関を飛び出していく。
 
鍵をかけるマネージャ兄をおいて、俺は早足でその後に続く。
 
すぐに追いついて、歩みを緩めた俺の左手の中に、ドンホの右手が滑り込んできた。
 
俺はその手をしっかり握りながら、自分の頬が緩むのを感じた。
眩しさを感じて目を覚ますと、隣には誰もいなかった。
窓には分厚いカーテンが吊り下げられ、その隙間から漏れる一筋の朝陽が、部屋を横切って、天蓋のある大きなベッドに届いている。
房飾りのついた枕から頭を上げ、身体を起こせば、掛布の金糸は光を反射してきらきらと輝いた。
 
――― ここは。部屋だ、俺の。
 
二度三度瞬きしてベッドから下りると、床はひんやりと冷たく、思わずローブの襟を閉じながら窓に近付く。
勢い良くカーテンを開ければ、眼下には庭園が広がり、色取り取りに咲き乱れる花が、ガラス越しにも甘く香るようだった。
壁に寄りかかり、その景色を堪能する。
 
――― 望むらくは、この腕の中に彼が。
 
ふと横を見ると、落ち着いた銅色だったはずのカーテンは、黄金色に光っていた。
驚いて窓枠に手を付けば、それもまた金の木目に変わった。
よく見ればローブも、まるでボクシングのチャンピオンが着るような金色になっている。
部屋を振り返ると、床までがぎらりと輝いた。
 
――― さて、どういうことだろう。
 
衣装棚の取っ手を持てば、その扉も金になり、その中の服も、触れる端から金になる。
あざやかな刺繍の入った靴を取り出せば、もちろんその靴も。
靴を履いたところで、腹が音を立てた。
 
――― 何か食べたい。喉も渇いてるし。
 
完全には着替えずに、上着だけ羽織って部屋を出る。
長い回廊は暖かかったが、静まりかえり、人の気配はなかった。
食堂ではすでに食事の準備が整えられ、長テーブルいっぱいに見事なご馳走が並んでいた。
椅子をひくと、その椅子も金に変わる。
座ってテーブルに手を置けば、覆布までも金色になった。
料理に目移りしながら水を注ぐと、銀のゴブレットが満たされるより前に、硝子瓶は金に変わる。
水の注がれたゴブレットを手に取れば、さながらメッキでもされたように色が変わった。
そしてその水も、飲もうとして唇が触れた瞬間に、さらさらと砂金になってしまった。
試しに林檎を手に取れば、それも金になった。
ナイフとフォークは金になっても使えるが、切り分けた肉は舌に触れるとそのまま固くなった。
 
――― これは、困ったことになった。
 
食べることのできない数々の料理を前に、呆然としていると、食堂に人が入ってきた。
おはようジェソプ、とキソプはにっこりと微笑んで、いつものようにハグを求めた。
椅子を倒しながら後ろに逃げ、何とか伸ばされた腕から逃れる。
どうしたのかと訊ねられ、心配させたくないので、答える代わりに首を振る。
後退りして離れれば、キソプは悲し気に眉を寄せ、その様子に心が痛んだ。
 
――― そんな顔しないでくれ。
 
そう思っても、言葉は出なかった。
 
 
 *
 
 
目を覚ますと、隣にはキソプがいた。
正確には、ツインルームのもう一つのベッドで、寝息を立てていた。
サイドテーブルの時計を見れば、起きるべき時間はまではしばらくある。
そっと自分のベッドを抜け、キソプの隣に滑り込む。
後ろから抱きしめるつもりで頭の下に腕を入れると、キソプが身を捩った。
 
「んー、ジェソプ?」
「ごめん、起こした」
「ううん」
 
キソプは目を閉じたまま、口元を綻ばせる。
胸元に潜り込んでくる頭を撫でながらキスを落とし、髪に顔を埋めてシャンプーの香りを吸い込んだ。
 
「目の前にいるのに、触れられないなんて、耐えられない」
「何か言った?」
「なんでもない」
 
もし一日だけ魔法が使えるなら、ニューヨークにいるときにして貰おう。
そう心に誓って、キソプをしっかりと抱きしめた。
途中から途中までしか見てないけど成均館です。
コロの漢字が環境によっては化けるかも。
 
大物はヘテロ、佳郎はバイ、女林はゲイ、桀驁はノンセク。
ホモソーシャルでホモフォビアな掌議はへテロでいいのだろうね。
 
で、掌林。
掌議は林→桀だと思ってて、それは事実だけど、女林は掌議は掌議としてちゃんと好き。
女林は掌→佳でもあると思ってて、それは事実だけど、掌議自身は気付いてない。
 
続きはたぶんない。
 
 
***
 
 
西寮の外れに、今は使われていない倉庫があった。
倉庫の壁には窓があり、くっきりと格子の形をかたどって月明りが差していた。
入り口の扉と窓の間に立つ男の表情は見えない。
 
「入れよ」
 
暗がりの中からそう言って、ク・ヨンハはハ・インスの手を引いた。
 
 *
 
博士の許を辞し、自室に戻る途中だった。
チャンイは、夕闇に紛れて人目を避けるように寮を出るヨリムを見つけた。
その足が向かう先はどうやら、生徒が隠れて何かをするときに使う場所だ。
普段なら見逃すところだが、ヨリムの表情がいつになく暗く思えて、チャンイはその後を追った。
 
倉庫につくと扉は開いていて、ヨリムはその中に立っていた。
窓の光も、扉の外からの光も当たらず、その姿は影にしか見えない。
 
「こんなところで何をしている」
 
咎めるつもりで、チャンイは訊ねた。
 
「ついて来たんだな」
 
ヨリムの顔は見えないが、笑っている声だった。
 
「なんで来たんだ?」
 
チャンイは答えず、影だけの人物を見つめた。
 
「それとも成均館では夜の散歩が禁止になったのか?」
 
「禁止にしてやってもいい。思いつめた顔で出歩くやつが他にもいるならな」
 
ヨリムから笑顔の気配が消えて、代わりにため息が聞こえた。
 
「誰が思いつめてるって?」
 
「お前だ。今にも泣きそうな顔をしていただろう」
 
「この間カランに冷たくされたときのお前ほどじゃない」
 
チャンイは訝しんで片眉をあげた。
なぜここでイ・ソンジュンが出てくる?
 
「ムン・ジェシンが何かしたのか」
 
「コロ? なんでコロが?」
 
お互いに言葉が止まって、沈黙がその場を支配した。
ヨリムはこちらと向き合っているつもりだろうが、チャンイからは相変わらず何も見えない。
静寂を破ったのはヨリムだった。
 
「どうして来た? 本当に散歩を咎めるためだなんて言わないよな」
 
「お前がここにいる理由を訊ねるためだ。ヨリム、こんなところで何をしている?」
 
少しの静寂。
それからため息が聞こえて、ヨリムの声がした。
 
「チャンイ、お前を待っていたんだ」
 
冗談のような言葉とは裏腹の真剣な声の真意を計りかねて、チャンイがまた沈黙を返すと、ヨリムはチャンイを倉庫の中へ引き入れた。
 
「入れよ」
 
チャンイを奥へ促し、ヨリムは扉を閉めた。
その体はチャンイを向いたが、上半身はまだ影の中にある。
取られたままだった手を強く握ると、チャンイはヨリムを窓の近くへ引き寄せた。
 
月光に照らされたヨリムの表情からは、何も読み取れない。
いつものにやけた笑いではなく、怒りでもなく。
かといって無表情なわけでもなく。
痛みを堪えるような、そしてやはり、思いつめたような。
何があったのか、とチャンイが目で問うと、ヨリムは破顔して、繋いだままの手に力を込めた。
 
「言っただろ? お前を待っていたんだ」
 
ヨリムの笑みは、何かを誤魔化しているように見えなかった。
 
「何のために」
 
「自分で分かってないのか? どうして俺を追ったのか」
 
ヨリムは何かを理解していて、それを自分が理解できずにいるということに、チャンイは苛立ちを覚えた。
どうして追ったのか?
どうしてそれをヨリムだけが知っているのか?
 
訝るチャンイに近付くと、ヨリムは耳元に唇を寄せてささやいた。
 
「俺が誘ったからだよ」
 
「どういうことだ」
 
目の前の顔に向かってチャンイは訊ねた。
 
「こういうことだ」
 
ヨリムは空いているほうの手をチャンイの腰に回すと、そのまま抱き寄せて口付けた。
2Seopは着流しとか浴衣似合いそうだよね。
Soohoonは甚平似合いそうだよね。
ELは袴まで穿いて髷結って。
Dongvinは京都に行って舞妓さんの格好させて貰ったらいいよね。
そして行き着いた先が表題だった。
 
本当は町娘HMが見てみたいけど、ここはKSと合わせて花魁で。
京都行ってDonghoonvinseopに女装させて馬鹿盛り上がりする彼氏たちということでどうか。
『本当はPAPARAZZIがいいと思ったんだよね』
 
遠くを見ながら、ドンホは呟いた。
 
「何の話?」
 
ドンホは僕を見て、また視線を戻す。
 
『ガールズグループのダンス、覚えるなら』
 
そうだ、去年のSTEPが最後になっている。
 
『PAPARAZZI見たとき、これだって思ったんだけど』
 
うん、写真を撮るポーズはキャッチーだと思う。
 
「けど?」
 
僕は言葉の先を促す。
 
『日本の曲だから、こっちじゃ踊れないなと思って』
 
言われてみれば。
 
「そのうち、韓国語バージョンも出るんじゃないかな」
 
そしたら練習しようか、と僕は訊ねる。
 
『そうだね』
 
ドンホは僕を見て、また遠くを見た。
 
それは確かに仕事の一部で。
 
末の二人に期待される役目でもあって。
 
でも、覚えるための時間は楽しかった。
 
自分達の曲のように、短い時間で完璧に叩き込む必要もない。
 
何度もビデオを見ながら、ヒョン達にも見てもらいながら。
 
最近は忙しくて、そんな暇もなかったけれど。
 
「練習しようか」
 
僕は思いついて、もう一度言う。
 
「明日か、明後日にも」
 
ドンホは僕を見て、顔をしかめた。
 
『明日?』
 
いつもの練習の後、少し時間があるはずだった。
 
普段なら、寝るか、ゲームをするか、何かしらのSNSに費やされるところだが、今回は僕のために使って貰おう。
 
「たまには二人で、いいじゃない」
 
笑顔を作って、ドンホの顔を覗き込む。
 
『分かった』
 
まだちょっと怪訝そうに、それでもドンホは同意した。
 
僕はドンホの肩を抱いて、額を寄せる。
 
「ビデオ、用意しておくね」
 
ドンホは無言で頷いて、僕のキスを受けた。
KEやKSも考えたけど、やっぱりSHとJSが順当だろうと。
トライアングラーというか円環。SH→HM→JS→SH。
HMにベタ惚れのSH。SHの気持ちに気付きつつもJSに想いを寄せるHM。SHがHMと遊びにいって嬉しそうなのが気に入らず、HMの心を逆手に取って暴走するJS。
上中下のうちの真ん中。上はSH視点でHMとのデートの様子。中がこれで、下はJS視点。
たぶんもうちょっとだけ続く。


***


「スヒョン兄とどこ行ったって?」
 
誰に対してもそうなのは分かってる。
それでも、気にされていると思うと、やっぱり心は弾む。
顔に出ないように注意して、僕は答えた。
 
「別にどこってこともないけど、弘大とかその辺り」
 
スタッフと一緒に出て行ったスヒョン兄が戻るまで、しばらくかかりそうだった。
AJは足を投げ出して椅子に座り、レッドブルの空き缶を弄んでいる。
僕は立って壁に寄りかかり、掌の中のTLを眺めながらAJの様子を伺った。
ちょっと機嫌悪いかな。
 
「楽しかった?」
 
どこか咎めるような響きに、僕は慎重に答える。
 
「楽しかったよ」
 
そう、と返された言葉に明るさはない。
さっきの答えは不正解だったらしい。
 
「次はジェソプも誘うから」
 
努めて軽く口にすれば、AJが僕を見る。
 
「別にいい」
 
そう、と言葉を返したけど、僕は内心がっかりした。
AJが誘いに乗ってくれるなら、弘大に限らず行きたい場所はたくさんあるのに。
メンバーとみんなで。あるいは、二人だけで。
 
AJは缶を机の上に置き、立ち上がり大きく伸びをした。
それから、ゆっくりと僕のいる方へ歩いて来る。
さすがに気付かないふりはできなかった。
 
「何?」
 
会話をするために近付く必要はないはずだった。
周りがうるさいわけではないし、聞かれて困る誰かがいるわけでもない。
この部屋には今、僕とAJしかいないのだから。
実際、さっきまで問題なく話をしていた。
 
質問に答えることもなく、AJは目の前に来てしまう。
その顔に笑みを浮かべて。
AJは僕の頭に両腕を回し、口を耳元に寄せた。
 
「なんでヒョンと出かけんの」
 
表情と異なり、声は不機嫌なままだった。
 
「誰と遊んだっていいだろ」
 
自分でも声が尖った気がして、少しだけ焦る。
それでも、さっき誘ったら断ったくせに、心の中で続けた。
一人でしか出かけちゃいけないのか。
どう切り返そうか考え始めたところで、AJの言葉に、僕は固まった。
 
「好きなのは俺なのに」
 
どういう意味、と聞き返そうとして、けれど声は出なかった。
頭が熱くなって、口を開くこともできない。
AJは僕の手からスマートフォンを取り、上着のポケットへ入れた。

KSは熊、ELは鳩、DHは犬、HMは兎、SHはライオン、JSは猫。KEは天使ですか人魚ですか。
5VXQは言わずもがな。
CAは猿、CJ1はリス、NIは魚、RIは豚、CJ2は熊。LJはひよこ。
HCは猫で、HGは犬で、SWは馬で、YSは亀。
 
DHは何気に戌年生まれ。
CAは申年、LJは酉年。RIは亥年で、猪って日本だとイノシシだけど向こうだとブタだよね。
HMはどっかで未年生まれだから羊って言ってたけど、そうすると7人中5人が羊にならないか。それともKSの誕生日は旧正月より前だから午年になるのか。