途中から途中までしか見てないけど成均館です。
コロの漢字が環境によっては化けるかも。
大物はヘテロ、佳郎はバイ、女林はゲイ、桀驁はノンセク。
ホモソーシャルでホモフォビアな掌議はへテロでいいのだろうね。
で、掌林。
掌議は林→桀だと思ってて、それは事実だけど、女林は掌議は掌議としてちゃんと好き。
女林は掌→佳でもあると思ってて、それは事実だけど、掌議自身は気付いてない。
続きはたぶんない。
***
西寮の外れに、今は使われていない倉庫があった。
倉庫の壁には窓があり、くっきりと格子の形をかたどって月明りが差していた。
入り口の扉と窓の間に立つ男の表情は見えない。
「入れよ」
暗がりの中からそう言って、ク・ヨンハはハ・インスの手を引いた。
*
博士の許を辞し、自室に戻る途中だった。
チャンイは、夕闇に紛れて人目を避けるように寮を出るヨリムを見つけた。
その足が向かう先はどうやら、生徒が隠れて何かをするときに使う場所だ。
普段なら見逃すところだが、ヨリムの表情がいつになく暗く思えて、チャンイはその後を追った。
倉庫につくと扉は開いていて、ヨリムはその中に立っていた。
窓の光も、扉の外からの光も当たらず、その姿は影にしか見えない。
「こんなところで何をしている」
咎めるつもりで、チャンイは訊ねた。
「ついて来たんだな」
ヨリムの顔は見えないが、笑っている声だった。
「なんで来たんだ?」
チャンイは答えず、影だけの人物を見つめた。
「それとも成均館では夜の散歩が禁止になったのか?」
「禁止にしてやってもいい。思いつめた顔で出歩くやつが他にもいるならな」
ヨリムから笑顔の気配が消えて、代わりにため息が聞こえた。
「誰が思いつめてるって?」
「お前だ。今にも泣きそうな顔をしていただろう」
「この間カランに冷たくされたときのお前ほどじゃない」
チャンイは訝しんで片眉をあげた。
なぜここでイ・ソンジュンが出てくる?
「ムン・ジェシンが何かしたのか」
「コロ? なんでコロが?」
お互いに言葉が止まって、沈黙がその場を支配した。
ヨリムはこちらと向き合っているつもりだろうが、チャンイからは相変わらず何も見えない。
静寂を破ったのはヨリムだった。
「どうして来た? 本当に散歩を咎めるためだなんて言わないよな」
「お前がここにいる理由を訊ねるためだ。ヨリム、こんなところで何をしている?」
少しの静寂。
それからため息が聞こえて、ヨリムの声がした。
「チャンイ、お前を待っていたんだ」
冗談のような言葉とは裏腹の真剣な声の真意を計りかねて、チャンイがまた沈黙を返すと、ヨリムはチャンイを倉庫の中へ引き入れた。
「入れよ」
チャンイを奥へ促し、ヨリムは扉を閉めた。
その体はチャンイを向いたが、上半身はまだ影の中にある。
取られたままだった手を強く握ると、チャンイはヨリムを窓の近くへ引き寄せた。
月光に照らされたヨリムの表情からは、何も読み取れない。
いつものにやけた笑いではなく、怒りでもなく。
かといって無表情なわけでもなく。
痛みを堪えるような、そしてやはり、思いつめたような。
何があったのか、とチャンイが目で問うと、ヨリムは破顔して、繋いだままの手に力を込めた。
「言っただろ? お前を待っていたんだ」
ヨリムの笑みは、何かを誤魔化しているように見えなかった。
「何のために」
「自分で分かってないのか? どうして俺を追ったのか」
ヨリムは何かを理解していて、それを自分が理解できずにいるということに、チャンイは苛立ちを覚えた。
どうして追ったのか?
どうしてそれをヨリムだけが知っているのか?
訝るチャンイに近付くと、ヨリムは耳元に唇を寄せてささやいた。
「俺が誘ったからだよ」
「どういうことだ」
目の前の顔に向かってチャンイは訊ねた。
「こういうことだ」
ヨリムは空いているほうの手をチャンイの腰に回すと、そのまま抱き寄せて口付けた。