SARS-Cov-2(新コロナと略)に関して、洪水のようにニュースや査読を受けていない論文までも沢山でてきています。

 

その中で、私が信頼できると感じた内容の論文や記事をまとめて、自らの備忘録として、また、読者の皆様に少しでもお役に立てる情報をまとめてとの想いでこのブログを書きました。

 

この情報をどのように解釈するかは、読者の皆様ご自身の判断で解釈し、取捨選択をしていただきたく、私見であり普遍的な治療法や診断法でもないことを最初にお断りいたします。

 

内容に関して、4部に分けて以下のことについて考察しました。

 

A.新コロナに関しての今までに分かってきたウイルスの性質とその感染症

 

B.ウイルス感染を未然に防ぐ、あるいは感染しても発症しない未病とする工夫、重症化する前に出来ること 

 

C.重症になったときに私自身が受けたい治療

 

D.新コロナが私達人類に何を問いかけているのか?


 

 

A. 新コロナとその感染症の特性

 

1. 感染しても軽症か、症状の出ない(発症しない)無症候性キャリアが全ての年齢層に存在し、その率もかなり高い

 

2. 感染伝搬力が高い

 

3. 致死率が低い

 

4. 複数のレセプターを持つ(ウイルスが細胞に入るために必要なヒトの細胞表面の分子構造)→多様な感染ルートを持つ

 

5. 宿主のプロテアーゼを効率よく利用できる(ウイルスが細胞内で増殖するために必要な酵素) →増殖の速度が速い

 

6. RNAウイルスの中で、普通感冒の原因ウイルスであるコロナウイルスは変異が少ない(遺伝子のコピーを作るとき、間違いを修復する酵素をコロナウイルスは持っているから)と言われているが、新コロナは変異の速度が速いようで、同時多発的に数種類の亜型が流行しているというデータが出てきている

 

7. NYCのICUで働いているドクターによると、新コロナによる胸部の症状は肺炎によるものではなく酸素不足から起こってくる症状で、レスピレーターの過度の加圧が症状を悪化させる可能性があると警告している

 

8. 個人の遺伝的、生活環境などから起こってくる基礎疾患の有無、年齢、性別は重症度に関係しているようである

 

9. 環境要因で、電磁波(5G)が症状の重症化に関与している可能性がある

 

10. 高温多湿の環境中でも生存率が高そうである


 

 

その前に基本事項

 

通常のコロナウイルスに関しての知識はこのサイトを参照して下さい。

 

PCR検査法について

 

今連日、新コロナ感染の患者数がネット上に掲載されていますが、この数は、検査機関によってPCR(polymerase chain reaction)検査法の違いがあり、その精度、陽性率の違いもあるため、国々や地方での数の比較をすることはかなり無理があります。

 

また、WHOの指示検査なしでも死因を新コロナとするようにとのガイドラインが出たようです🙀

 

また、ウイルスの遺伝子の一部を増幅してそのウイルスの存在を検出するPCR検査法に関して、全く違ったウイルスを検出しているとか、意味がないという投稿を散見しますが、このことに関してはPCRの検査が適切に行われているのであれば、これはそれぞれのウイルスの遺伝子を特異的に検出する方法なので、新コロナのPCR法に関してインフルエンザウイルス、その他の呼吸器ウイルスが検出されることはありません。

 

また、検出されたPCR産物の遺伝子配列がターゲットとした新コロナであることを確かめられている文献の結果に関しては、陽性の場合は先ず信用して良いと思います。

 

だだし、この検査はウイルスの遺伝子の一部を検出する方法で、生きたウイルスの存在を証明する方法ではないので、臨床症状が伴った場合、或いはその患者さんからウイルスが培養されたときに初めて、その病気は新コロナによるものと判定は出来ます。これを行うには膨大な費用と日数がかかります。

 

私自身がRT-PCR法(RNAウイルスを検出する方法)を用いて研究論文を仕上げましたので、その方法がとんでも検査であるという主張は明確に否定できます。

 

False negative(実際にウイルスがいるのに検出されない)の率は増幅する予定のウイルスの遺伝子領域の両端を挟み込むプライマーの設定によっては、新コロナの変異速度が速いようなので、設定したプライマーが合わなくなり、false negativeの率が上がる可能性は大きいと思います。

 

 

RNAウイルスはquasispesis(類似したゲノム=遺伝子の集団)と言う概念が近年提唱されつつあり(AIDSウイルス=HIVはその例)、異なった、しかし類似している遺伝子配列の集団として行動していることが分かってきています。集団で行動する鳥の群れのイメージでしょうか、、

そのため、遺伝子変異率が大きくなり主要な遺伝子配列からずれた遺伝子が優勢になれば、やはり最初に設定したプライマーが合わなくなり、PCRの陽性率は下がり、false negative率も増え、PCR検査が全てを決めるのではないと言うことはご理解いただけるのではないかと思います。

 

 

色々な条件でPCR陽性率が変動するため、軽症の方はその検査を受けに病院に行くことが、最重要事項で絶対条件でははないと私は感じています。

病院で逆に新コロナ感染を受ける可能性と、その行為が医療崩壊を起こしてくる可能性もあるからです。

 

 

RNAウイルスを検出するRT-PCRの原理は、P1710を参照してください。

 

 

追加情報

米国のAbott社最短5分でベッドサイドで新コロナの遺伝子を検出する迅速診断キットを作成しました。

このキットであれば重症の方が検査を受ける意義は充分にあると思います。

 

また、その抗体を迅速診断で調べられるキットも作成し、これは既に感染を受け抗体が出来ている人が陽性となるため、その人が仕事を再開できるか、医療従事者なら患者の治療を継続できるかの判別に応用できます。

ただ、その抗体があれば免疫が充分かとの検討はこれからのことだそうです。

 

   

         遺伝子の迅速診断キット        抗体の迅速診断キット

 

Abott社の迅速診断キットは、私のRSウイルスの研究にも用い、非常に優れたキットを提供してくれる会社と考えます。

 

迅速簡易検出法(イムノクロマト法)による抗体検査国立感染症研究所でも開発されたようです。

 

 

 

新コロナの特性を理解し、相手を知ることで、対処法をいろいろ工夫できます。

俯瞰的に眺めるなら、新コロナが1-5までの性質を持つことから、このウイルスは文明を破壊するウイルスとも考えられるようです。

 

 

即ち、無症状で非常に感染性の高いウイルスを持った人が感染を広げ、認識されないうちに全ての人が感染する可能性が高く、潜伏期間も長いので、感染者を特定しても、既にその人も感染を広げていて犯人捜しをすることは殆ど意味がない上、恐怖→感染者への憎悪→魔女狩りの連鎖を生みだします。

 

そして致死率が低いと言うことは、宿主が死亡すればウイルスも死に絶えますが、宿主が生存できればreservoir(貯蔵庫、病原巣)となる可能性もあり、ウイルスも存続できるわけで、またその人が感染源となります。

 

即ち、殆どの人に永遠にウイルスが存続する可能性があるわけで、隔離政策で排除できるものではない、また排除という固定観念によって、旧態依然とした対応に縛られてしまうと推測されます。

ヘルペス属のウイルスを考えていただいた時、この種のウイルスは殆どの人間に感染していて、その神経組織に潜み、個々人の免疫が落ちると再活性化されて色々な病状を呈してくることが分かっています。持続感染する可能性のあるウイルスと平穏に共存するという考え方に転換する必要があるのではないでしょうか?

 

 

 

以上の基本事項を踏まえた上で、それぞれの項目についてもう少し詳しく説明し、新たな情報を追加していきます。

 

 

1.無症候性キャリアについて

 

私のブログでも既に書きましたが、追加の文献としては、きちんとPCRの検査がなされ、症状のある集団で、無症候性キャリアを特定した文献です。

 

①  武漢で新コロナに感染した171例の16歳以下の小児の調査では、15.8%(27例)が無症状であり、重症化してレスピレーターの呼吸管理を必要とした3例は白血病その他の基礎疾患(その内1例は多臓器不全で死亡)があり、他の症例は軽症で推移した。

重要なことは、無症状の例でも、12例にCTやX-Pに特徴的なスリガラス様陰影所見を認めたが、肺炎の症状が出なかったこと。 

 

②  自衛隊中央病院にダイアモンド・プリンセス号から搬送された新型コロナ感染症患者104例(咽頭スワブPCR陽性;25-93歳)の解析では、観察期間を通して無症候性陽性例は76例(73%)、しかしその41例(54%)にCT上異常を認め、その像はスリガラス様陰影(83%)で、浸潤影(いわゆる肺炎像)ではなかった。

 

③  新型コロナウイルス国内感染の状況でも 軽症・無症状の頻度が高いことがうかがえます。

東洋経済オンラインより引用(4月24日の時点)

 

①②の論文で注目する点は、無症候の人でも、CT上スリガラス様陰影が認められ、そこから肺炎に進展する人と、そのまま軽快する人がいることです。後ほど、この意味について考察します。

 

 

2.感染性が高い

 

パンデミックを起こしているウイルスです😂

 

4、5に述べたことと関係してくるのですが、ウイルスが感染する際必要な、細胞側の分子構造=感染性受容体(レセプター)が現在分かっているだけで4種類特定され、感染効率が高いことがわかります。

即ち、多彩な感染ルートを持ち、新コロナのレセプターをブロックして増殖を防ぐような薬剤を開発しても、数種類を同時に使用することは難しいと予測されます。

 

また、新コロナが増殖するときに使用するタンパク分解酵素(プロテアーゼ)も宿主細胞側とウイルス側とにあり、宿主側のプロテアーゼTMPRSS2(Transmembrane Serine Protease 2)を利用することで感染効率が非常に良いことが分かっています。

 

 

 

3. 致死率が低い

 

国、都市によって新コロナ感染の流行状況が異なる印象がありますが(このことにも意味があるようです)、しっかりとした検査態勢で調査した結果を見ると、自衛隊中央病院の調査や、島国で、空港が一つしかないアイスランドの調査では死亡者の記載がありません。

 

陽性率が低いと考えられるPCR検査ではなく(致死率は高く出る)、全体像を見渡せる抗体検査の結果からも、致死率が低いことが最近報告されてきています。

 

 

 

4. 感染の際、複数のレセプターを使用できる

 

① ACE2

このレセプターについてはブログで書きましたが、 追加する情報としては、血管に発現されるレセプターなので、全身臓器にウイルスが侵入できる可能性があると思われます。

肺、循環器以外では嗅覚障害、消化器症状、胆管細胞への感染(肝障害)、腎障害、ギランバレー症候群などの症例報告もされています。

 

また、スイスでの新コロナ感染症剖検例(冠動脈硬化+高血圧、糖尿病+肥満)で全身の血管内皮細胞にウイルスが検出され、血管炎を起こしていたという報告がでています。

 

ただし、AIDSの例でもレセプターに変異(個人による遺伝子変異)によっても感染しても発症しない人がいるので、ACE2に関しても新コロナ感染症の症状に差が出ることは充分に予測できます。

 

また、高血圧で降圧剤のACE2をブロックする薬剤を服用している患者さんでは、新コロナに関して、その薬剤が良い作用を与えるか否かはまだ検討中のようです。

 

 

② Furin 

新コロナのエンペロープ(膜)の一つであるスパイク(S)蛋白遺伝子中HIV(AISDウイルス)の遺伝子が一部組み込まれていて、この事によりSARSと比較しても1000倍の感染力を持つという報告があります。S蛋白のその部分が宿主側のfurin蛋白質(酵素)によって、開裂され、活性化されて、ウイルスのエンベロープとヒト細胞膜が直接結合でき感染力が増すそうです。

 

 

③ GPR78(Glucose Regulated Protein 78) 

これはまだ査読を経ていない論文ですが、細胞膜上のレセプターで、S蛋白と結合するため、ここをブロックする薬がウイルスの侵入を阻害してくれるだろうという内容でした。

GPR78はすべての真核生物細胞の小胞体で恒常的に発現する小胞体タンパク質とのことです。

 

 

④ CD147

やはり査読を経ていない論文ですが、新コロナのもう一つのヒト細胞膜上のレセプターがCD147で、CD147に対するモノクロナール抗体(Meplazumab)がウイルスの複製を阻害したとの文献です。

膜貫通糖タンパク質であるCD147はマラリア原虫が赤血球に感染する際の必須のレセプターでもあります。

 

 

 

5. プロテアーゼを効率よく利用できる

 

インフルエンザ等の他のウイルスと違い、新コロナはS蛋白が宿主プロテアーゼであるTMPRSS2に細胞侵入の瞬間に切られて活性化し、目的とする標的細胞で確実に膜融合が誘導でき、侵入できる効率の良い仕組みをもっているようです。

 

 

このTMPRSS2(通常は呼吸器上皮や前立腺などで発現)を発現できる様作成した培養細胞で、新コロナを効率よく分離できることが分かっています。

 

 

 

6. ウイルスの系統樹

 

新コロナの遺伝情報からどのようにウイルスが変異して枝分かれしていく(系統樹)かを追跡しているサイトがあります。

その解析によると、約15日ごとに変異をしているとされています。

 

それぞれの枝分かれ先が、遺伝子配列の類似している亜型のクラスター(グループ)を示しています。

紫(中国)赤(USA)青(AU)黄(主として英国)オレンジ・緑(ヨーロッパ)と採取された場所の色分けで示される遺伝子の検索では、日付からみると、最初から同時多発的に各国のウイルスが最初のクラスター(図1の一番下部のグループ)の中に検出されていることがうかがえます。

図1 https://nextstrain.org/ncov/global?lang=jaから引用

図2 https://nextstrain.org/ncov/global?lang=jaから引用

 

とにかく変異が激しいウイルスのように見えますね。

 

 

7. 新コロナ感染症は肺炎ではなく酸素欠乏症とNYC ICUの医師が指摘

 

NYCのICUで働いているドクターが、新コロナの肺症状は肺炎ではなく、高山病のような酸素欠乏症で、突然の低酸素状態に順応できない病態が急激に起こり、レスピレーターの過度の加圧が症状を悪化させる可能性があると指摘しています。

 

この文献によると、新コロナの蛋白の一部が赤血球のヘモグロビン1-β鎖(ヘム+グロビン)ドッキングして、そのヘム(ポルフィリンと鉄イオンの錯体)の中のポルフィリンから鉄イオンを遊離させてしまうそうです。

そうすることで、ヘモグロビンは酸素と二酸化炭素の交換が出来ず、肺の細胞は炎症を起こし、スリガラス様陰影を呈してくると述べています。

 

無症候性キャリアの中でも、CTでスリガラス様陰影を認めることが新コロナがヘモグロビンをアッタクすることと関係しているように思います。

 

スリガラス様陰影から肺炎(肺浸潤)に移行する症例もあるので、そこには、さらに複数の病因子が関係してくるのかもしれません。

 

新コロナは全身の血管炎を起こす可能性があり、リスクファクターの高い人の脆弱な臓器に集中的にウイルスが感染してくるとすると、間質性肺炎は肺の血管炎であると考えている元心臓外科医のドクター、Gundry博士の考察は、私は腑に落ちます。

 

この論文では抗マラリア薬であるクロロキン新コロナの蛋白がポルフィリンと結合することを阻害したことも分子ドッキング法などで証明しています。

 

CD147がマラリアが赤血球に感染する際に使用するレセプターであることと、このCD147は新コロナのレセプターでもあることから、クロロキンはかなり新コロナに対して有効性が期待できるのではないかと私は感じました。

 

 

 

8. 新コロナ感染症の重症度に関与する因子

 

ブログで述べたように、高血圧、心臓血管系の疾患の合併がある場合は重症化する傾向にあり、その他、抗がん剤の治療を受けている人、肝臓、腎臓に障害があり、肥満など基礎疾患のある方、さらに、高齢者はリスクファクターは高いと考えます。

逆に、小児、女性は罹患率が低く、重症例が少ないようです。

 

 

 

 

9. 電磁波(5G)の関与

 

5G (第5世代移動通信システム)と新コロナ感染の重症度との関係に関しては天下泰平さん ココヘッドさんのブログに詳しく、理論的に述べられているので、是非参照して下さい。

 

 

武道を極め、数物理学、量子力学、脳科学の専門家である保江邦夫先生がおっしゃるには5Gの波長が新コロナのS蛋白に共振しやすいそうで、S蛋白はアンテナのような役目となりウイルスが活性化されるそうです。

 

 

 

10. 夏期の高温多湿は新コロナを収束させる?

 

感冒ウイルスは一般的に高温多湿の環境中では感染拡大が抑えられることは認められている事実ですが、パンデミックを起こしたウイルスはその法則が当てはまらないようです。

 

都市国家シンガポールが初期からロックダウンをして感染を封じ込め、優秀と賞賛されましたが、ロックダウンを継続しても現在は感染が拡大しており、その原因が雨期から乾期に変わったためではと推測されています。

 

中国の公衆浴場で新コロナの集団感染があったようです。

 

また、実験室のレベルでは60℃で1時間新コロナを加熱しても、ある株は生き残りまた増殖したそうです。

 

 

 

 

以上、現在までに得られた情報を元に新コロナの特性をまとめてみました。

 

ウイルスの特性が明らかになるほど、ロックダウンでウイルスを封じ込めることはほぼ不可能と私は感じました。

 

以前にもブログで述べましたように病気は多因子で起こってきており、個人の全ての環境、遺伝子とウイルスの相互作用で起こってくるので、個人側の外部、内部環境要因を整えること、さらに個人の遺伝子もエピジェネティクスで遺伝情報の発現を変えることが可能なので、全体管理の集団政策でなく、個人の工夫にゆだねることが最重要と考えます。

 

 

過去のスペイン風邪パンデミックの歴史から学ぶとき、新コロナ感染が夏期に流行が小休止の状態になったとしても、その第2波が冬期にまた来ることも予想されます。

 

 

新コロナが再感染、あるいは再活性化と考えられる症例も認められているので、ウイルスを撲滅するという考えよりは、いかにこのウイルスと共存していくかという方法にシフトして対策を練っていくことが重要だと、私は考えます。

 

 

次回のブログで、感染=発症とならない工夫を、私はどのようにしているかまたブログでお伝えする予定です。

どうぞよろしくお願いいたします🤲😸

 

 

 

 

ゆいクリニック院長   由井郁子(ゆい・いくこ)

 

 

 

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