僕、ママのことずっと見守っているよ
私は長年医師としての仕事に携わり、真摯に患者さん達の身体と心、魂、そしてその家族の方達とも向き合い、病を治すお手伝いをしてきました。
その過程で気付いたことが幾つかあります。
病気は多因子で起こってきます。
1. その人を取り巻いている環境因子、水、空気、土、食品
2. その人の先祖から受け継がれている遺伝子
3. その人の生育環境、胎児の時から受けている潜在意識下のトラウマ、両親から受けたと思われる肉体的心理的虐待、友人関係、職場環境の中での慢性的なストレス
4. いわゆる外部から侵入すると考えられている病原体(細菌、ウイルス、真菌、原虫)によるアタック
5. ウイルス、細菌、真菌、原虫はそれぞれ体内に潜むものがあり、それらが慢性に持続する感染症は個々人の免疫が落ちてきたときに再燃し、あるいは遺伝的にその傾向がある個人では慢性炎症、病巣感染となる
6. 最近提唱されてきた人間に共生、あるいは人間を支配しているとまで考えられるようになってきた微生物叢(Microbiome 腸管、皮膚、口腔内、膣内、気管上皮に存在する)の乱れ(Dysbiosis)
これらが複雑に絡み合って、病気は発症してくると私は感じています。
私は慶應義塾大学医学部の教育を受け、病気は薬で治すものと教わり、卒業時にメインの治療法は抗生剤、ステロイド、抗がん剤しかないな、難病といわれる原因不明の病気が多いなという印象を持ちながら、医師としての道を歩み始めました。
当初はこの西洋医療に準拠して、患者さんの治療に当たらせていただき、長年その長所、短所をつぶさに観察してきました。
A. 救急救命医療
西洋医療は戦場で発達してきた医療です。
ですので、救急救命医療(交通事故、天災などの災害時、緊急に外科的な処置が必要なケースなど)にはなくてはならない医療で、ここでは絶大な効果を発揮します。
B. 急性感染症
また、多種類の病原体(細菌、ウイルス、原虫)による急性感染症に対して、抗生剤、抗ウイルス薬は目覚ましい成果を上げてきました。
重症肺炎、敗血症では抗生剤がなければ死亡する例は後を絶たないと思います。
しかし、抗生剤の乱用、抗ウイルス薬の乱用に伴い、耐性菌、耐性ウイルスの出現が近年問題となってきています。
効果のあった抗生剤がもう効かなくなっているのが現状なのです。
更にこの事は後程お話ししたい腸内細菌叢(Micorobiome)のいわゆる善玉菌を殺してしまい、その腸内環境に著しい乱れを起こし、この事が多岐に亘る体内の問題を起こすことが分かってきています。
C. 慢性疾患
一方また、慢性疾患に対しては、西洋医療は症状を緩和し、押さえてしまう、あるいはマスクしてしまう治療法がとても多いように感じております。
病気の根本原因に触れることなく、原因不明だがその症状を抑えましょう、肝臓が悪いから臓器別に肝臓の治療をしましょうという、穿った言い方をすれば「木を見て森を見ない」治療法ともいえるのではないでしょうか?
最初に述べましたとおり、病気は多因子で起こってきております。
それぞれの病因、病態に対しての治療を行う必要があると考えます。
ここで忘れてはならないことは、
1. 人体は小宇宙であり、全ての体内で起こっている現象、代謝反応は複雑に絡み合う複雑系の動きであり、一つの代謝経路に働く薬を投与した場合、他の代謝経路に必ず影響が出てくることを考慮しなければならないことです。
2. 更に人間にいたる全ての生命体は自己治癒力があると言うことです。
断裂した皮膚はきれいに合わせれば、予防的に抗生剤を投与するより、きれいに早く癒合し、穿孔した鼓膜はそこを縫い合わせることなく感染を制御した後は穴はふさがってきます。
ヤモリの断裂した尾が自然に再生してくる事実は有名だと思います。
この重要な2点から
1. 人間の正常な代謝の過程に必要な酵素や、その代謝の過程に必要なレセプター類をブロックするような薬剤
2. ピンポイントで、一点だけを押さえ込むような、あるいは1臓器だけを治そうとする治療
3. 自己治癒力を妨げるような治療
4. 副作用が著しく、身体に苦痛、非常な痛みをを伴い、、QOLを著しく低下させる治療
5. 10年先の未来に、心配な事象(発がん性など)が発生する可能性のある治療
は、できる限り避けることが望ましいと感じます。
医聖ヒポクラテスはヒポクラテスの誓い(The Oath of Hippocrates )の中で、
「私は能力と判断の限り患者に利益すると思う養生法をとり、悪くて有害と知る方法を決してとらない」
I will follow that system of regiment which, according to my ability and judgment, I consider for the benefit of my patients, and abstain from whatever is deleterious and mischievous.
と述べています。
私は合成薬を最初使用しておりましたが、自身の身体で試して、合わないと感じたものはできる限り患者さんには処方することを差し控えました。
これから、複雑に絡み合う病気の多因子として、最初に掲げた6項目について、私はその後合成薬を控えながら、どの様に対応してきたかを一つずつ述べていこうと思います。
長いブログになりましたが、ここまでおつきあいいただきありがとうございました。
この後のブログも少しずつ書いていきますので、また覗いていただけるようでしたら幸いです。
続く
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