茜色の空がぽっかりと広がっている


ビルは程よく遠く
空を遮る物は一つとして無い


こんな風景に出会える場所は
東京の街には
あまり多くない様に思えた。




間もなく陽が落ちる

世界が闇に沈んで
街は灯りを灯す

世界が色を無くしても

街は輝く事を止めない。





僕は 色の無い世界を思った

暗く重い黒と
薄く冷たい白

モノクロームの世界は
どんなに味気ないだろう


或いは そんな世界でも僕等は

受け入れ 営みを続けていくんだろうか。





それでも世界が廻るなら

与えられた色彩に
一体どんな意味が在るっていうんだろう。






きっと
僕等は 今の鮮やかさを望み

過去や未来が見えなくなる様な

そんな世界を選んだんだろう



そうだとしたら




世界に溢れる色も

絶えず流れていく事も

きっと意味が在るんだろう




無意味な物なんて
本当はきっと何一つ無い。





楽しい事も
そうじゃない事も

出会いも別れも






少なくとも僕は

この偶然を そんな風に思っているんだ。




踏み出す事は ほんの一瞬の事なんだと思う。


一度踏み出したら それからはただ

何気ない日常が廻り始める。


僕等は流れていく日々の上を

まるで滑る様に進んでいく。




スライドする ありふれた風景


電車の窓から見る夕焼

何気なく交わす会話

不意に流れた曲のフレーズ



日常に それは幾つも転がっている。


街に溢れる人 物 音

それらが生み出す 一瞬の出来事が

僕等に 時々呼びかける。



すると僕等は思い出す


思い出と名付けた

しまい込まれていた記憶の塊を。




思い出は綺麗で眩しくて

時々ほろ苦い


けれど その全てがどれも

失くしたくない 大切な物。





なのにどうして


僕等は忘れてしまうんだろう

失くしてしまうんだろう


古い物から 一つずつ

時間と共に 一つずつ


僕等は思い出を 捨てないではいられないんだろう。










 



日々は 絶えず流れていく。


目を瞑っても

立ち止まっていても。





ねぇ ずっと一緒にはいられない


だから忘れない


けど 忘れないでもきっといられない


それでも構わない





隣で見ていられなくても

隣に違う誰かがいても


もしも いつかどこかで会えたとしたら

或いは これから二度と会えないとしても





其処にいた僕等は無くならない。




風の匂いや 光の色や

お互いの事さえ 忘れてしまっても。











今はまだ 過ぎていく毎日の何処かに

時々 思い出が顔を出すけれど




いつか


そんな強さを持てたらなって

そんな風に思うんだ。



それまでは 取り敢えず


ゆっくり歩く事にするよ




きっと大丈夫だと思う。










今日 この街に


春一番が吹いた



その風は


信号待ちの僕の前を


翔ける様に 通り抜けていった

 





信号が変わると



僕は何処かまだ 分からない場所へ踏み出した


そんな気がしていたんだ。









君の街にも この風が吹いただろうか。































人に会うとき、ふと何かを気にかける。一体なんだろう。



それはガチャガチャにどことなく似ているような。



回してでるまでわからない、それによって感情を変化させる自分。



何回も何回も回して、一体全体何を待っているのだろうか。


でも、回すことは止めないだろ。


止められない。



なにが出てくるかわからないから、期待してしまうのだ。


新たな何かに。




きっとまだ埋まっているだろ。



未知というなのカプセルが・・・。


突き放す強さをどうして
僕は持ち合わせていないんだろう


いつもそう

信じる振りをして
汚れから目を背ける


憎むべきモノ
ずるさを孕んだ邪心に


面と向かえないのは何故?








思えば
焦がれるのはいつも


凛とした強さだった






今は唯
あなたの強さが羨ましい。

煙る街の白い溜息で
曇る小さな窓硝子

中々寝付けなくて
昼過ぎに目が覚めて

光が射さない窓越しに
何処へも行けないやと
君はぼやく

空白になったスケジュール
煮え切らないアイツの事
雨のせいにでもして
清々したなんて言うの

昨日涙で濡れた部屋に
今日は乾いた心が凍えてる
まぶたの腫れがちょっとひいたら
雨の街に出ようよ
どうかな?




濁る日々の暗い話で
霞む小さな幸せとか

長々続けてきた
それだけの環境も

少しも縮まらない距離に
もうきっと届かないやと
君は笑う

知っているよ
アイツの事
雨のせいにしても
嫌いになれないんだって事

空の涙で濡れた街も
きっと乾くその時を待ってる
それまで少しの間だけど
泣き顔を隠してあげるよ




雨のち晴れを待ちながら
いつもの顔を思い出そう
乾いた街に舞い降りる
虹を誰より早く見つけよう


光が射したらもう
隠さなくていい

その顔を最初に見せて