
これはやはり後輩によってバラバラでしょう。やはり手塩にかけて育てている子であればいくらでも注ぎ込むと思うんだ。それは投資でもある。同様に僕も先輩から奢られてきて、育てられてきて今があるわけだから。それを今度次の世代に継承していかなきゃいけない。でも今は頑張っても10,000円以内だろうなぁ。不景気でなかなか臨時収入ないし…。もともと貧乏ですけれどね。
僕の年齢くらいになると、次世代に継承したいと思うことが山のようにある。と同じくらい、自分の世代で消してしまいたいと思うこともある。こうして文化は育まれるものは育まれるし、失われるものは失われる。それはわかる。でも消したくない火もある。
最近感じるのはいろんなものを見聞きして、内容が薄っぺらだなぁ、表層だけで中身が空っぽだなぁってこと。なんだかわからないものから何かが観えてきたときの感動とかっていうのを、今の10代、20代の子には果たしてあるんだろうか? 僕が幼い頃は当然こんなウェブもなかったし、やっとビデオが出始めなくらい。それもあってラジオッ子になってマニアック人生を突き進むことになっちゃったんだろうけれど、豊富なイマジネーションが沸くように人間形成されてきたことについては素直に喜びたい。
もし20分ばかし暇があるのなら僕の趣味につきあってほしい。幼少からアニメ、特撮で育った僕。テレビ埼玉や早朝のTBS、テレビ東京ではいろんな特撮、アニメ番組の再放送が行なわれていた。そこにケイブンシャの「全怪獣怪人大百科」。今みたいなウェブなんてない時代だから、データベースを集めるのは並大抵のことじゃなかったけれど(今はなき「宇宙船」を読んだり)、小学中学時代でだいたい昭和40年代の特撮アニメ文化は把握できた。
ところで僕が魅かれたのは戦闘シーンやメカシーンだけじゃない。その話の裏にあるテーマである。今でこそフォロワーが競うようにアニメでも特撮でも作る時代だけれど、当時彼らは低予算の中、あくまで「子供向き」のレッテルと劣等感の中でこれらの番組を作っていたんだ。本当をいえば、もっとシリアスな大人達のマーケットでこれらのテーマ性を問いたかったはず。でもできなかった。
結局彼らは自分のテリトリーの最大限のところで勝負しつつ、その奥底にテーマ性を置くというスタイルを歩みだした。円谷プロダクションの制作は特にそれが顕著で、だいたいにおいて戦争だったり、社会批判だったり、精神病理的な部分にスポットを当てていたわけで、かなり冒険していたんだなっていうのが今の年齢になると逆にわかる。
幼い頃はなんか不気味だったり、腑に落ちない想いを抱えたもので、その不条理さっていうのに意味があるっていうことを次第におぼえていった。たかだか20数分でこれだけの問題提起をできるっていうのは凄いことである。
実相寺監督の「狙われた街」。ご覧いただければわかるだろうけれど、ウルトラセブンの中でもっとも戦闘シーンが短いお話。「姿なき挑戦者」もいい勝負か。それ以外のドラマが観どころなんだよ。だいたい冒頭のカメラワークからしてもう普通じゃないから。 ハッピーエンドじゃ物足りないっていうのを植え付けられたのはこういうものに散々感化されてきたからなんだろうなぁ。
ウルトラセブン第6話「ダーク・ゾーン」、第12話「遊星より愛をこめて」、第37話「盗まれたウルトラ・アイ」、第42話「ノンマルトの使者」、第42話「第四惑星の悪夢」辺りがオススメです。
最近のこの手のものって内容が薄っぺらでつまらなそうに観えます。