東宝特撮ゴジラシリーズの第8弾
前作に引き続き福田純が監督する
反戦、反核の影を落とす東宝特撮の中で
本作もまたファミリー映画の皮を被った反核映画だった
「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」
1967年公開 / 86分 / 日本 (米題:Son of Godzilla)
監督: 福田純
特技監督: 有川貞昌
特技監修: 円谷英二
脚本: 関沢新一/斯波一絵
製作: 田中友幸
音楽: 佐藤勝
撮影: 山田一夫(本編)富岡素敬/真野田陽一(特撮)
編集: 藤井良平(本編)石井清子(特撮)
製作会社/配給 東宝
キャスト
高島忠夫/前田美波里/久保明/平田昭彦/佐原健二/黒部進/土屋嘉男
スーツアクター
ゴジラ: 大仲清治/関田裕/中島春雄
ミニラ: 小人のマーチャン
南洋のゾルゲル島で、気象コントロールの実験が行なわれた。しかし実験は謎の妨害電波によって失敗、島は異常高温に見舞われ、怪獣カマキラスが大量発生する。そして地中から発見された卵からは、ゴジラの息子・ミニラが誕生した。ミニラを襲うカマキラスたち。その時、ミニラを救うためゴジラが姿を現した……。
ゴジラ二世・ミニラが登場した記念すべき作品。従来のシリーズを根底から覆しかねない設定だが、公開当時の児童には評判がよかった。うまく戦えないミニラをゴジラが特訓して、火焔を吐けるまでにする辺りが泣かせる。全て操演といわれるカマキラスとクモンガの動きと造型は驚異に値する。
【登場怪獣】ゴジラ/ミニラ/カマキラス/クモンガ(allcinemaより抜粋)
併映:「君に幸福を センチメンタル・ボーイ」
Wikipedia:ゴジラの息子
*****
それではゴジラシリーズやっていきましょう
ついにミニラ登場の回になりました
この1967年は絶大な人気だったテレビ特撮「ウルトラマン」が4月にゼットンと戦う最終回が訪れ
約半年間「キャプテンウルトラ」があり、秋から「ウルトラセブン」が始まります
その他には「仮面の忍者赤影」や「ジャイアントロボ」、「怪獣王子」などが放映開始されていて
「怪獣ブースカ」も放映中だったかと思います
映画の方も大映の「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」、松竹「宇宙大怪獣ギララ」、日活「大巨獣ガッパ」
そして66年に東映の「怪竜大決戦」と、各社怪獣映画を製作していました
東宝も夏に「キングコングの逆襲」と「長篇怪獣映画ウルトラマン」同時上映。
67年は「宇宙大怪獣ギララ」の記事でもこの年のことを記載していますので
一緒にこちらも読んでみると当時に浸れるかもしれません(^^;
テレビの「赤影」なんて当時はまだカラーテレビがある家は少なく、
赤く見えない赤影を観ていたという話をよく聞くものでしたw
このように怪獣ブームの最中、東宝の放ったゴジラは
何をとち狂ったかミニラで勝負に出たのでした。。
ライバルの新怪獣でもだしておけばまだよかったかもしれませんが、
観客動員は下回り、そのせいで次回でシリーズは終了しようと迄なったそうです
まあ出てくる怪獣がミニラとクモンガとカマキラスなんでねw
この年のラインナップを観ると幾分か地味だったかもしれませんね
しかし、カマキラスとクモンガの造形と操演はさすがとしか言いようがありませんので
物語の方もやっていきましょう。
嵐の夜からスタート
雨の中飛行機が飛んでると、脳波に似た妨害電波をキャッチ
するといきなり海からゴジラが現れる
電波が発せられる方に向かうゴジラ
その先にはゾルゲル島という島がある・・・
ゾルゲル島のネーミング、
ゾルゲ事件からと思っていたら「ゾルゲル法」という核燃料の二酸化ウランを作る工程の1つから取られたとのこと。
その島には日本から秘密裏に実験をする科学者らが滞在していた
その名も「ゾルゲル島シャーベット計画」
実験していたのは楠見博士=高島忠夫はじめ気象コントロール実験隊の人たち
そこにフリーの記者の真城伍郎=久保明がやってくる
真城は隊員を志願し取材を試みる
雑用係として仲間に。
他の隊員に副隊長に平田昭彦、隊長を慕う佐原健二、日本に帰りたくて病んでいる土屋嘉男がいる
ある日、真城が島の山菜を採っていると海辺で泳ぐ美女を見つける
夜の食事中にそのことを皆に言うが、無人島だからそんなはずはないと信じない
島の気象コントロールの実験は
その装置が完成間近となり
いよいよ実験を試みることになる
しかし、妨害電波のせいで失敗に終わる
気温は上昇し、70度まで上がる
湯気の立つ雨が降り続く・・
幾日か経ち、やっと外にでれるくらいの気温になる
すると、島に居た「大カマキリ」という巨大なカマキリは
さらに巨大化し「カマキラス」という怪獣になっていた
キングギドラや、「フランケンシュタイン対地底怪獣」の大ダコで養った操演技術の集大成が
本作のカマキラスとクモンガとなる
クモンガはクモンガの谷に棲む巨大で狂暴な蜘蛛。
ゴジラともなかなかの好勝負を演じる
クモンガは足をピアノ線で動かすのに20人体制で操演したと言われている
魂が宿っているかのように見える日本のお家芸の到達点ともいえる2体だが
蜘蛛と蟷螂ではちょっと地味でもある(汗
そこで、
本作の主人公でもあり、
元凶でもあるキモカワの雄、ミニラの登場であるw
カマキラスが穿りかえしていた場所から卵が現れる
この卵こそが妨害電波を発信していた大元だった
それに呼応しゴジラが現れる
ミニラも卵から孵る
・・・・・・!
生れたすぐは増してキモイ顔をしていますw
木の実をミニラにあげる美女
無人島にただ一人で住んでいたサエコ=前田美波里
隊員らと合流する
彼女は島の研究にきていた考古学者、松宮博士の一人娘で両親は亡くなり一人で島に暮らしていたらしい
しかし、前田さんはとても美しい
子供に連れられて見に来たお父さま達は
前田さんに釘付けだったことでしょうw
一方ゴジラ親子はミニラに放射能の吐き方や鳴き方を教えていた
有名な輪っかの放射能
ゴジラのスーツはミニラとの対比のせいかダボついている
そして目が二重である
ミニラくんはやはりキモイw
この二人の関係性であるが
多分血縁関係は無いと考えられる
イヌ科などの種族があるようにゴジラ科という種族の仲間かと思うのだ
太古に何らかの都合で孵化されなかったままの卵が
島での何らかの影響により孵化が始まり、
それを察知しゴジラがやってきたのかもしれない
その島での何らかの影響とは研究の装置の建設によるものかもしれないし
気温の上昇により孵化が早まったのは言うまでもない
また何故、卵がゾルゲル島にあったのか
これにはクモンガとの関係があったかもしれない
先ずは無人島であること
生物は大カマキリくらいしかいない島
後は美味しい山菜ゾルゲルパセリと万能薬になる赤い汁で育つ環境は整える
それと一番はクモンガが潜んでいるおかげで外敵が近寄らないというのも卵を保管するのにも適していたと思われる
しかし、カマキラスが誕生したことで外敵も出来てしまう
寝ていたクモンガも現われ、ミニラとカマキラスを捕獲しようとする
そんな中、
ニンゲンらはもう一度実験で島をシャーベット化にしてそのすきに脱出しようとする
ゴジラたちが戦う中、実験のカウントダウンが始まる
カウントダウンの中、一瞬、太陽の映像がインサートされる
ゴジラは寝ていたが何かを察し、目を覚ます・・
実験が始まる中、ミニラを助けるゴジラ
実験は成功し、南国の島は凍り付いていく
クモンガは動きが鈍り、
ゴジラの放射能で焼かれる
島を脱出し喜ぶ科学者たち
島は氷に包まれ
ミニラが弱まっていく
空に向かい、雄たけびを上げるゴジラ
倒れるミニラを抱きかかえるゴジラ
それを遠巻きに見るニンゲンたち
サエコが「ゴジラたち可哀そう」という
本作でも被害者側になるゴジラ
「冷凍されるからまた生き返る」という真城
しかし、映像は抱き合うまま凍りつき埋まっていくゴジラで物語は幕を閉じる
実験のカウントダウンに、
死の灰のような雪
日常を表すような確信的な太陽のインサート
暗にやはり「核」をイメージさせている
ゴジラとミニラとの抱き合いながら凍り付くシーンは
ゴジラシリーズ通しての名シーンの1つである
ニンゲンのエゴと
環境破壊と「核」
この67年の翌年、
水俣病や四日市ぜんそく等の公害が話題となる
本作はファミリー向けとして作られ、直接的なメッセージがないため
「ゴジラ対ヘドラ」のように鮮烈なメッセージは感じないにしろ
子供たちには最後のゴジラ親子には何らかの印象を与えたのではないだろうか
私が始めて観たのは小学生の頃
日曜の近所の公民館で公開された子供映画で観たのが最初だった
やはり最後のシーンは今でも記憶に残っている
あのシーンがあるから本作は嫌いになれない
個人的に好きなゴジラ映画の1つであります。
では。