ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと -13ページ目

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

先週27日に2014年5月の有効求人倍率が厚生労働省から公表されました。

前月より0.01ポイント上回り、1.09倍となっています。
この水準は、1992年6月以来の高水準です。

暦年数値を見ると、前月(4月)の1.08倍という水準は2006年7月にもありましたが、1.09倍という水準は、1992年6月の1.10倍以来の高水準になります。

バブル最終の1991年の有効求人倍率が1.40倍、この1992年6月という時期はバブル崩壊により、景気が徐々に減退していったバブルの余韻がまだ残っていた時期にあたります。

連日外食産業や宅急便業界などでの人手不足が報じられる中でのこの有効求人倍率の高水準数値は、やはり景気回復を示す客観的なデータの一つといえるかと思います。

また、数字でもこれだけ人手不足が報じられると自分も転職OKだなと安易に考えがちですが、まずは自分の職種の状況を見てみる必要があります。

厚生労働省の報道発表資料サマリーでもマスコミ報道でも産業別のデータは出ていますが、あまり職種別のデータは報じられていませんので、職種別のデータを見てみたいと思います。

当方、今は独立してフリーですが、元々は人事部門で長年何でも担当の勤務の典型的な事務系サラリーマンです。

そうした経験を持つサラリーマンに該当しそうな職種というと事務的職業の「一般事務の職業」になります。
その有効求人倍率はというと---
何と0.22倍です!

会計事務の職業になると少し良くなって0.46倍になりますが、簿記検定も持っていない当方にとっては気持ち的にはカテゴリー外です。

事務屋で倍率が高いカテゴリーを探すと----
外勤事務の職業 2.34倍となっています。

厚生労働省職業分離でこの「外勤事務の職業」を調べてみます。
「集金人・訪問調査員・検針員」がこのカテゴリーに入りますが、「経験無いし、大変そうだな~」という感覚になります。

この高水準を牽引している職種としては(単純に倍率を高い順に並べると)
・建設躯体工事の職業 6.52
・医師・薬剤師等 5.94
・建築・土木・測量寺術者 3.30
・建設の職業 2.64
・接客・給仕 2.49
となっています。

22年ぶりの高水準1.09という数字を聞くと何となく自分の従事している仕事も全体的に求人があふれているような錯覚になりますが、現実的には上記のような数字です。

職業分類を見て、当方など「一般事務事務以外は今までの自分の経験からしても無理無理!」という感覚がどうしてもあります。

しかしながら、この職種の壁を乗り越える現実的なキャリアチェンジ方策や心理的な抵抗感が払拭しない限りは、いくら有効求人倍率が改善されても、この雇用の需給アンマッチは、結局外国人の技能実習制度の拡大などにより充足されることになります。

職種間、産業間の雇用のアンマッチ解消のためにも実効あるキャリアチェンジのための支援策が必要であること、この有効求人倍率を見て痛感した次第です。
独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

本日日経朝刊に「正社員・派遣、幅広く職探し~厚労省方針 規制緩和で窓口統一~」という記事が掲載されていました。

現状では、派遣と紹介を一体で手がけることはできず、人材会社は派遣と紹介事業の相談窓口を分け、別の部署で担当するなど業務が混在しないように注意を払ってきました。

これを今後求職者が一つの窓口で派遣も紹介も行えるようにするという規制緩和策です。

求職側も求人側も、実ははっきりと求める人材像・雇用形態を決めている場合ばかりでなく、まずは案件を見てから考えたいというケースが多いと思います。

この規制緩和が実現すると、求職者側も人材を募集する企業側も一つの人材会社でワンストップで求職活動が完結しますので、狙いのマッチング率の向上につながるものと思います。

当方も以前には、派遣元責任者、職業紹介責任者の講習を受け、この分野に関する仕事をしていたことがありますが、この規制がありましたので、かなり注意して業務の混在をしないようにしていました(同時期に両方の責任者を兼ねていたことはありません)。

派遣事業も紹介事業も事業許可にあたっては、厳しい要件がありますが、このあたりの許可要件(事務所スペースなど)の緩和はどうなるのでしょうか?

正社員、限定正社員、紹介予定派遣、一般派遣など働き方の多様化が進む中で、労働市場の情報を一元化して、求職側・求人側双方のニーズにあったマッチングを図っていくことは、成長産業へのスムーズな人材移動にも貢献することになると思います。

実務的にも、一過性業務的な色合いの強い紹介と長くサポートが継続する色合いの強い派遣では、業務の性格がかなり異なりますので、業務をサポートする体制はあまり変わらないと思われます。

人手不足で雇用を希望する企業が多い時期には、紹介が増え、労務費を固定費化したくない時期には派遣が増えるといった従来の構図は変わらないと思いますが、まずは産業間人材アンバランス状態を解消し、雇用の安定拡大を図ることが第一であり、そのための方策として、この規制緩和はぜひ進めてもらいたいものです。
独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

6月23日に厚生労働省から「平成25年度板雇用均等基本調査(速報版)」が公表されています。
この調査は、男女の雇用均等問題に関わる雇用管理の実態把握を目的として毎年実施されているもので、アベノミクスで掲げる女性の活躍推進の進捗状況を示すバックデータとしても、従来以上に注目を集めることになると思います。

今回が速報版ですので、育児休業取得者割合に関する調査項目についてのみ公表されています。

その結果を見ると---
・女性育児休業取得者割合  76.3%(前回調査比7.3ポイント低下)
・男性育児休業取得者割合  2.03%(  同    0.14ポイント低下)
となっています。

もう少し長い期間で過去推移をみると(左からH8-H11-H14-H16-H17-H19-H20-H21-H22-H23-H24-H25年度)
・女性
 49.1%-56.4%-64.0%-70,6%-72.3%-89.7%-90.6%(最高)-85,6%-83.7%-87.8%-83.6%-76.3%
・男性
 0.12%-0.42%-0.33%-0.56%-0.50%-1.56%-1.23%-1.72%-1.38%-2.63%(最高)-1.89%-2.03%

男性数値はUPしていますが、男性の育児休業取得者は、休業という言葉に一般にイメージするような長期間の取得ではなく、5日間未満、あるいは2週間未満といった”休暇”といった方が実態に合うような取得状況だと思いますので、数値を見るときには注意が必要です。

今回の女性育児休業取得者割合の大幅ダウンは、30人未満の小規模事業所での取得率の低下が全体へ影響しているようです。
企業規模あるいは雇用形態(ex.正規・非正規)等の違いにより、取得率に大きな差が出ているとすれば、それは大きな課題だと思います。

8月の確定版では、育児休業取得者割合だけでなく、雇用均等に関する重要項目が公表になりますので、また詳細確認したいと思います。
今回の速報版は、こちらのリンクにありますのでご参照下さい。

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

2014年6月24日朝日新聞朝刊に「働きたいがん患者に支援を」という小さな囲み記事が掲載されていました。

この報告書ですが、2012年6月閣議決定された「がん対策推進基本計画」の目標に「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が新たに加えられたこと等を受け、今年の2月から概ね月1回開催されている「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」によるものです。

6月23日の会議は5回目の会議だと思いますが、夏ころには報告書を取りまとめる計画で進んでいます。

この報告書の中での提言として、「働きたいと思っているがん患者に、医師が仕事を辞めないように助言すること」を提言しています。

医療の進歩によりがんの5年生存率は6割近くあるにもかかわらず、患者の3割が仕事を辞める実態を受けての提言ということです。

以前ここのブログでも、「会社員で発症増える」という記事を書いたことがありますが、がん発症は男性の場合、55歳以降に急増するということですので、今後の65歳雇用義務化により、在職中のがん経験者は今後ますます増えることになるかと思います。

当方も35歳のとき、長男が生まれる1カ月前に急性心筋梗塞で倒れたことがありますが、この時ほど自分の将来に不安を覚えたことはありません。

・また再発しないだろうか?
 (この頃は、バルーン手術で血管拡張してもかなりの高確率で再閉塞していました)
・こんな大きな既往症を持つサラリーマンを雇う企業はないだろうから、転職はできないな~
・団体信用生命保険も加入できないのでローンを組んでの家購入は無理だな

よく「倒産」「投獄」「闘病」で人生観が変わると言われますが、当方の場合もまさにそうでした。

上記の不安を少しでも解消すべく、すぐに独立可能な行政書士資格を取得したり、将来プランを考え始めたり、思い返せば現在の独立に向けた萌芽のようなものが現れた時期でもありました。

先ほどの記事によると、がん患者で働く人は約32万5千人(2010年時点)で、一方、がんと診断される人は年80万人いるとのことですが、厚労省の調査によると診断後に約3割が自ら離職していたということです。

病気により、辞めざるを得なかったケースも多いと思いますが、なかには自ら進んで人生のコース変更をされたこともいらっしゃると思います。

こうした闘病経験を持つ方々が職場に復帰し勤務を継続できるようになることは、職場にとってもいい意味で働き方の意識改革にもなるかと思います。

報告書では、医師や企業が協力し、患者への就労支援を進めるべきだと指摘して、主治医は患者の病状に応じて「今すぐに仕事を辞める必要はない」と助言、治療の見通しを文書などで説明することが重要としています。

昨日は、1カ月前に退任された小松一郎内閣法制局長官が亡くなられたことが報じられていました。

最終的には本人の選択になりますが、一度だけの自分の人生、悔い無いように生きたいものです。
独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

先週土曜日6月21日は、久しぶりに所属する関東心理相談員会の主催する月例能力向上研修会に参加してきました。

3月に独立してから初めての参加です。

関東心理相談員会とは
『本会は、安全衛生法に基づく労働者の健康保持推進策である「心とからだの健康づくり」(以下「THP」という)運動の一環をなす心理相談員及び、心理相談専門研修修了者(以下両者を心理相談員という)として、知識及び技能の向上、並びに会員相互の情報交換と親睦に努め、もってTHP運動の推進及びその他の心理相談員活動に寄与するとともに、心理相談員の社会的地位の向上を図ることを目的として設立』
された組織です。

今回の研修会は、前回ブログ記事でも紹介させて頂きましたが『最近のうつと周囲の対応~戸惑う周囲と最近のうつ患者像~』というテーマで、大妻女子大学教授の尾久裕紀先生の講義でした。

先生は、精神科臨床医の経験と企業での産業医の経験を双方お持ちのため、人事担当者の立場から聞いていても、大変バランスの取れた内容の講義という印象を受けました。

今回のテーマである『いわゆる新型うつ』については、当方実際に社内で直面したことはないのですが、例えば”休職中に結婚式をあげ、職場上司を来賓として招待するケースでの上司の対応”など、周囲を含めた対応の難しさを事例を上げて説明頂きました。

日本うつ学会HPでの見解も
「『新型うつ病』という専門用語はありません。むしろ精神医学的に厳密な定義はなく、そもそもの概念すら学術誌や学会などで検討されたものではありません」
という判断のようです。

こうした難しい事例に対して、
・最近のうつ病(非メランコリー型うつ病)をどのように理解するか
・最近のうつ病(非メランコリー型うつ病)へどう対応するか
・相談の基本
・治療者・クライアント関係の構築
などの項目について説明を頂きました。
社内でメンタルヘルス対応に従事されている人事担当の方にも大変有意義な研修だったと思います。

心理相談員会には、企業の保健スタッフ(看護師、保健師等)、人事担当者、社会保険労務士の方の参加が多いですが、以前ブログでも書きましたが、大学での心理系課程の受講実績がなくても、衛生管理者からのルート、あるいは産業カウンセラーからのルートでも受講が可能な資格です。

人事部員のもっとも基本的な専門スキルの一つに傾聴スキルがあると当方常々思っておりますが、人事部で働く方々、自らの専門性向上の一環としてこうした研修受講もいいと思います。

心理相談員会の月例研修会は、会員外でも参加が可能です(参加費が若干変わりますが)

次回は7月19日 13:00~15:20 今回の研修法主域ではなく公開事例検討会として「過去の苦難が報われた~ひきこもり、うつを乗り越えて~」というテーマで開催予定です。

興味ある方、ご参加いかがでしょうか!