2014年5月の有効求人倍率が22年ぶりの高水準(1.09)になりましたが----- | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

先週27日に2014年5月の有効求人倍率が厚生労働省から公表されました。

前月より0.01ポイント上回り、1.09倍となっています。
この水準は、1992年6月以来の高水準です。

暦年数値を見ると、前月(4月)の1.08倍という水準は2006年7月にもありましたが、1.09倍という水準は、1992年6月の1.10倍以来の高水準になります。

バブル最終の1991年の有効求人倍率が1.40倍、この1992年6月という時期はバブル崩壊により、景気が徐々に減退していったバブルの余韻がまだ残っていた時期にあたります。

連日外食産業や宅急便業界などでの人手不足が報じられる中でのこの有効求人倍率の高水準数値は、やはり景気回復を示す客観的なデータの一つといえるかと思います。

また、数字でもこれだけ人手不足が報じられると自分も転職OKだなと安易に考えがちですが、まずは自分の職種の状況を見てみる必要があります。

厚生労働省の報道発表資料サマリーでもマスコミ報道でも産業別のデータは出ていますが、あまり職種別のデータは報じられていませんので、職種別のデータを見てみたいと思います。

当方、今は独立してフリーですが、元々は人事部門で長年何でも担当の勤務の典型的な事務系サラリーマンです。

そうした経験を持つサラリーマンに該当しそうな職種というと事務的職業の「一般事務の職業」になります。
その有効求人倍率はというと---
何と0.22倍です!

会計事務の職業になると少し良くなって0.46倍になりますが、簿記検定も持っていない当方にとっては気持ち的にはカテゴリー外です。

事務屋で倍率が高いカテゴリーを探すと----
外勤事務の職業 2.34倍となっています。

厚生労働省職業分離でこの「外勤事務の職業」を調べてみます。
「集金人・訪問調査員・検針員」がこのカテゴリーに入りますが、「経験無いし、大変そうだな~」という感覚になります。

この高水準を牽引している職種としては(単純に倍率を高い順に並べると)
・建設躯体工事の職業 6.52
・医師・薬剤師等 5.94
・建築・土木・測量寺術者 3.30
・建設の職業 2.64
・接客・給仕 2.49
となっています。

22年ぶりの高水準1.09という数字を聞くと何となく自分の従事している仕事も全体的に求人があふれているような錯覚になりますが、現実的には上記のような数字です。

職業分類を見て、当方など「一般事務事務以外は今までの自分の経験からしても無理無理!」という感覚がどうしてもあります。

しかしながら、この職種の壁を乗り越える現実的なキャリアチェンジ方策や心理的な抵抗感が払拭しない限りは、いくら有効求人倍率が改善されても、この雇用の需給アンマッチは、結局外国人の技能実習制度の拡大などにより充足されることになります。

職種間、産業間の雇用のアンマッチ解消のためにも実効あるキャリアチェンジのための支援策が必要であること、この有効求人倍率を見て痛感した次第です。