独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
2014年5月4日日経朝刊に、中川恵一東大病院准教授による「会社員で発症増える」という記事が掲載されていました。
中川先生は、放射線医学を専門とする医師で、マスコミにも積極的に登場されていますので、ご存じの方も多いかと思います。
女性のがんの発症率は若い世代(乳がん40代、子宮頸がん30代が発症のピーク)で多く、男性では55歳頃から急増するとのこと。
安倍首相が積極的に進めている女性の活用推進により、今後日本におけるM字曲線の改善による女性就業率の上昇が予想されています。
このため、従来は家庭で主婦として発症するケースが多かったのが、25~54歳の女性就業率の上昇により、会社員として働いているときにがんが発症するケースが増えることになります。
また、高齢者雇用安定法による65歳(おそらく今後はそれ以上)までの雇用が社会的に求められていますので、男性についても、今までは退職後に見つかっていたがんが現役の会社員時代に発見される確率が高くなると中川先生は指摘します。
当方の経験でも、60歳の定年退職後に発症されたケースはよくありますが、まったく同じ職場
内でがん発症されたケースは今までなかったです(異動されてから発症されたケースはありましたが)
今までは60歳までの会社での定期健診でしたが、今後は65歳(あるいはそれ以降)まで毎年の定期健康診断を受診することになります。
今後の女性就業率の上昇&65歳までの雇用義務化により、確かに会社員として現役のときにがんで入院治療という事例が増えてくるのは確かなようです。
60歳以上の雇用については、1年契約の契約社員としての再雇用という会社がほとんどだと思います。
今後は、60歳以降、1年という短い契約期間の中で、がんで検査期間を含めて長期間不在というケースも増えてくるものと想像されます。
極端な場合、契約期間中の半分以上実質的に不在といったケースもあるかもしれません。
こうしたケースでの翌年の再雇用契約締結などなかなか難しい問題も出てきそうです。
先日介護、育児休業取得の際のリカバリー要員の補充こそ課題との記事を書きましたが、65歳雇用の義務化により、こうしたがんなど疾病に伴う欠員補充とその後の再雇用契約(回復状況によるところ大きいですが)など新たな問題も出てきそうです。
闘病経験者が職場にいることも、ダイバーシティの一つだと思います。
こうしたリスクを織り込んだうえで、ネガイティブな捉え方ではなく、年齢に関係なく今までの経験・スキルが発揮できるような職場づくり、高齢化時代の人事制度企画のポイントの一つだと思います。