そろそろレジンの流行もピークかな | レジン作家 kumaさんのWeblog

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※注 この記事は2013年3月に書いたものです。それをご承知の上で今お読みいただくと、私の危惧が危惧ではなかったことがよくおわかりいただけると思います※

20数年前、レジンでハンドメイドの商品を販売している人がまだ誰もいなかったころ、ショップに営業に行って商品を見せると

「なにこれ、プラスチックじゃん。安っぽいね」

などと鼻であしらわれ、一般のプラスチックとは品質も質感もぜんぜん違うエポキシレジンという素材であることを、一生懸命に説明してもほとんど理解されなかった。



20年以上前に販売していた時計



そのうちにだんだんと日本がデフレへと移行していくにつれて、安い中国製や東南アジア製の樹脂雑貨が増えてきて、「これでようやくレジンが一般的な素材になる」 かと思いきや

「なんで同じ樹脂製なのに、あなたの商品はこんなに高いの?」

と言われ、そうしたチープなレジン製品とは品質が違うことを、どんなに説明しても理解されなかった。

でもいつかはこの素材のよさ、楽しさが広まる日が来る、そう信じて普及に努力してきた。


監修したテキスト本


河出書房新社刊『レジンの教科書』



撮影の様子





そして今、ようやくレジンの楽しさ、よさが理解されてきて、多くの人がこの素材に興味を持ってくださり、創作人口はおそらく数万人規模になっているでしょう。
本当にうれしい限りだ。


でも懸念もある。
かつてのビーズやシルバークレイの流行がそうであったように、間口が広がって創作人口が多くなると、どうしても全体の作品の平均レベルが下がってくる。
レジンでの創作に関しても同じような流れになってきている。


市販のシリコン型で成形した物を商品として販売する人が、だんだん増えてきていることは、多くの人が感じていることだと思う。
メーカーも型を作れば売れることがわかってきたから、たくさんの型が売られるようになってきたよね。
そうした型で作った物を、商品として販売している人が当たり前になってきている。


それは別に法律的に問題があるわけじゃないし、だれが何を売ろうとそれはその人の自由だ。
しかしそれは昔の職人風な言い方をすれば

「他人のふんどしで相撲を取る」

恥ずかしい行為だ。
でもそれが当たり前にまかり通っている今の状況が、長く販売をしてきた者の目には、とても危うく映る。
だから、レジンの流行も今がピークなんだろうな、と思う。


趣味の創作ならどんな作品を作ってもそれは自由。
でも値段をつける以上は、趣味の延長であってもプロだから、買ってくださるお客様に対して責任が生ずる。

「作りたいから作っちゃったぁー♪
 みんな売ってるから私も売っちゃったぁー♪」


ではすまないよね。

それは逆の立場になればだれだってわかること。
イベントで買って帰って、家でよく見たら気泡だらけだったり、べたついていたり、仕上がりがひどかったり、パーツが簡単に取れちゃったりすれば、だれだっていい気持ちはしないでしょ?

ネット上の画像ならどのようにだってきれいに見せることができる。
でもリアルな世界ではすべてがお客様に伝わるんだよね。




ビーズの時も、シルバークレイの時も、創作人口が増えると、作品を販売する人や、教室を始める人が激増した。
しかしその多くは、プロとして生きてきた私の目から見れば

「この程度のだれでも作れるような商品を売っちゃうんだ」
「この程度の技術レベル、知識で先生になれちゃうんだ」


そんなもんだった。
今、レジンがそうなってきている。
世の中の「レジンの先生(認定講師)」の多くが、基本であるシリコン型の作り方をご存じない。
それは私からみたら、ダシの取り方を知らない人が、市販のダシの素を使って料理教室の先生をやっているようなものに映る。
これをあなたはどうお感じになるだろうか?


今後、レジンはますます創作素材として広く浸透していくだろう。
しかし、作品や技術のレベル、創作に対する意識はだんだん低くなっていくのは間違いない。

今はまだ「市販の型で作ったものを販売するのは法律に違反しますか?」というご質問をよくいただくが、これから先、レジンでの創作が広まるにつれて、そうした意識も薄れ、いずれなくなり、市販の型で作品を作って販売することが当たり前になるだろう。
※危惧したとおり2024年現在、市販の型で作って、販売することに対して何の疑問もなく当たり前になっています・・・※


もちろん私はそれを非難はしない。
大勢の方が物作りで楽しさや生きがいを持つことはいいことだし、もっと広く一般的な創作素材として定着してほしいと思っている。

私はこれからも、このレジンという素材に興味を持っておはじめになる方にとって道しるべとなるように、いろいろな働きかけをしていくし、またテクニックや知識も伝えていくでしょう。


ただ、物作りで世の中に出たい、作家として生きていきたいと本気でお思いの方は、人と同じレベルで甘んじていてはいけない。
ワンステップでも上のレベルになろうと努力し、その努力を継続しなければいけない。
【認定証】や【ディプロマ】が技術や知識を保証するものではないことは、今やだれもが知っている。

ビーズやシルバークレイの流行が去った後も作家として残っている人は、向上心を持って努力を続けていた人たち。
そうでなければ、異様に口が達者な人たち。


もちろんレジンに限ることはないから、いろんな方向へ枝葉を伸ばし、自分のスキルアップに役立てていくことがとても大切。
もしあなたがこのレジンという素材を、自分を表現する方法の柱の一つとお考えであるなら、今のうちに少しでも技術を磨き、知識を積み重ねておくことをおススメします。
今のうちにね。






レジンでの創作は、自分で原形を作って、シリコンでその型を取り、それにレジンを流し入れて成型し、さらに加工仕上げをするのが基本中の基本。

あなたの心の中から、あなたの手を通して形になった原形こそが、あなたのオリジナルと言えるのです。
これができてようやくスタートラインに立ったということ。


それができないようなら





















 



 



 



 










 


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