心にずっと引っ掛かっていて、どうしてもやらなきゃな、と思うことってみなさまにもあると思います。
選者にとっては本作「ぼっち・ざ・ろっく!」がずっと気がかりでした。
とても素晴らしい作品です。
1年以上の間隔があいてしまいましたが、まとめ記事をようやくアップ。
劇場版総集編が上映されるようですので、この機会にアニメシリーズを見直すのもいいのではないでしょうか。
この記事をガイドの一つとして利用してもらえるとうれしいです。
では、いってみましょう!
もくじ
本作の感想など
本作の感想は、とにかくぼっちちゃんがどうしようもなくめっちゃおもしろいので頻繁に笑わせられました。
やることなすことが、意外過ぎるのですが、結束バンドのみんなはぼっちのよき理解者です。
上の画像のとおり、ぼっちちゃんがへんなことをしてもメンバーは”いつもこんなんだよ”と平然としているところも笑いどころ。
ガールズバンドを扱った作品というと「けいおん」が思い浮かびますが、本作は「バンドリ」のほうに近くプロを目指している模様。
しかしプロへの道は厳しいらしく、その象徴として酔いどれベーシストやスターリーのスタッフが表現されています。
演奏に自信があるとしても、つらい現実があるようです。
ぼっちについての考察
ぼっちは重度の人見知りですが引きこもりではありません。
学校には行っていますし、友達はいませんが家族とはとっても仲良し。
横浜に住んでいるらしい(ぼっちが墓場の横で悩んでいるとき、酔いどれベーシストきくり(げた履き、ベース演奏にはピックのかわりにバチを使います)と出会いますが、そこに横浜金澤七福神 弁財天の石像、6話)
そういうキャラがどうして面白いのか考えてみたいと思います。
独学で始めたギターの腕前は相当なもので、3年以上の修練の成果を動画投稿してファンを得ています(お父さんのおかげで収益化もしていた!)
なので、努力することができますし、楽器演奏の才能も有ったようで、それを世に問うてかなりの成功を収めていたのですね。
お父さんはエレキを持っていたのでぼっちはそれを弾いていますし、愛犬に「じみへん」(ジミー・ヘンドリックス!)と名付けるなど相当なマニアなのかもしれません。
結束バンドのメンバーを自宅に招いた時の一家をあげてのハッスルぶりと、”過剰なおもてなし”もぼっちの性格を読み取るのに重要なエピソードです(7話)
リョウ「学校でボッチなの不思議、こんなにおもしろいのに」(9話)
選者も全く同意です。
やはり、引っ込み思案な人には、外界とのつなぎ役となってくれる友達が必要なのでしょう。
ぼっちにとってはそれが虹夏(にじか、CV鈴代さん)であり、喜多ちゃん(CV長谷川さん)であるのでしょう。
ぼっち作オリジナル曲「ギぃターはともだち~♪でもいつか、バンドを組んでみたいな~♪」(6話冒頭)
ぼっちの髪の色は白っぽいピンクに設定されています。
しかも、”甘い系”の衣装、たとえばメイド喫茶店員風の衣装が似合っていたり(11話)、白水着でギター演奏(リョウの妄想、11話)など性的な魅力のあるキャラクターとして構成されているのです。
ちなみに、友達がいない主人公女子が、周囲に溶け込み、友達の輪を作っていく作品を見渡してみますと、ほぼ髪の色は黒(系統)に設定されています。
たとえば、古見さん、一里ぼっち(ひとりぼっちの○○生活)、海果(星屑テレパス)など。
また、腰まで届くロングヘアで、ギター演奏中は獅子舞みたいにも見えます。
関係ないかもしれませんが、ゆるキャン△の主人公もピンクでした。
作品をほんわかムードにする効果があるのかもしれませんね。
ぼっちがおもしろいシーンなど
・ぼっちがおもしろいシーン
これはあちこちで特集されていますので、選者が特におもしろいと思ったシーンをあげておきます。
すぐに、押し入れやゴミ箱、空き箱に入ろうとするのがぼっちの習性です。
・ぼぼぼぼっちです(1話)
緊張と恥ずかしさから自ら空き箱に入ってしまいますが、ステージでの呼び名を決めようとなり、リョウの発案で「ぼっち」となります。
そこまでのやり取りもおもしろいのですが、「ぼっち」と命名されて喜ぶぼっちがとても可愛いです。
・メイド服で逃亡し校舎裏で発見されるぼっち(11話)
主人公なのに、逃亡とかおもしろいですね。
なめくじがいそうな場所にいる、という喜多ちゃんの捜索方針が正しかったようです。
結束バンドメンバーにあっさり発見されてしまい、メイド喫茶に連行されてしまいます。
・文化祭ライブでのハプニングを見事に切り抜ける、ぼっち(と喜多ちゃん)(12話)
ゴルゴ13の名作「G線上の狙撃」を思い出しました。
とてもかっこいいシーンでしたが、その後のステージからのダイブで台無しにしてしまうところがぼっちらしいですけどね。
・異才・青山吉能(よしの)さんをボッチ役に配置した理由
芸歴はそこそこ長いものの目立った活躍の無かった青山さんですが、演技力の高さは折り紙つき。
”友達がいない主人公女子”というキャラクターには、”細めでおとなしい声質”という既成概念がありはしなかったでしょうか。
本作では、青山さんを起用したことでひじょうに目新しい、”後藤ひとり像”を造形することに大成功したものと思われます。
それにしても、こんなにおもしろい声優さんですので、もっともっと出演作を増やしてもらいたいものです。
・虹夏の存在
結束バンドは虹夏の存在なくしては誕生しませんでした。
まずリョウは虹夏しか友達がおりませんし、喜多ちゃんの逃亡のおかげでぼっちを偶然発見し、スターリーに引っ張ってきたのも虹夏。
喜多ちゃんが復帰できたのはぼっちのおかげですので、その起点も虹夏となります。
明るくてしっかり者。
お姉ちゃんが大好きで、結束バンドになくてはならないまとめ役ですが、ときどき緊張してしまうことも(初ライブ、8話)ありますし怖い人を前にすると泣いてしまうことも(10話)
彼女は大きな夢を持っています(5話)
このシーンのにじかはとても可愛いしアニメーションも最高です(14分14秒あたり)
また、本作のタイトルを回収するのも虹夏です。
ここも本作の名シーンですね(8話、18分33秒から22分06秒)
本作のおすすめ度と評価
本作のおすすめ度は、とても高く、未視聴の人にもぜひ観ていただきたい作品です。
序盤の感想記事も下記のリンクからどうぞ。
本作のストーリーは、結束バンドに入ったぼっちが、初ライブを成功に導き、そして文化祭ライブを経て新しいギターを手にしたところまで進みました。
本作のシナリオは漫画原作(まんがタイムきららMAX)をほどよく膨らませており、練り込まれたシナリオこそ本作の真のMVPかもしれません。
本作のキャラデザは原作漫画よりもエッジの効いたものとなっていて、ロックをテーマにしているのかなと思います。
作画に派手さはなくむしろおとなしい感じなのですが、手抜きなくしっかり描かれています。
これは現代の若者を取り巻く環境をウソ偽りなく描いている印象。
その反面、ライブシーンや文化祭のシーンにいろどりや楽しさを加えたのかもしれません。
アニメーションはとてもよく動いており、演奏シーンやライブシーンも真っ向勝負ですね。
楽器演奏シーンをアニメーションで表現するのはほんとうに大変だろうなと思いますが、本作では違和感なく長い尺を使って労力を惜しみなく投入しています。
本作のOP/EDを含め、ライブシーンの楽曲もシナリオに沿っており、完成度の高いものとなっています。
息が合わない様子や、へたうまなギターなど演技を含んだ演奏がなかなかの聴きどころ。
本作の演技は虹夏役の鈴代さんの演技が光っています。
シャインポストでも主人公を演じており、明るくて前向き(ですがちょっとした屈託もある)なキャラクターにはぴったりですね。
また、喜多ちゃん役の長谷川さんも明るいキャラクターを好演しています。
ほんとうに声のよい声優さんだなと思います。
しかも、ギャグもシリアスもバトルもいけるマルチロールも素晴らしい(これらの点で対抗できるのは大西沙織さんぐらいか)
ボーカルものびやかでいいですね。
さらに、リョウ役の水野朔さんもとても味のある演技で、芸術家肌のリョウにぴったりでした。
セリフの数は多くないのですが印象に残りました。
本作は、エンタメ + 人見知り×ぼっちの繰り出すおもしろエピソードを組み合わせ、稀に見るおもしろい作品が誕生したといえます。
各話とも緩むところなく、次から次に愉快なエピソードが続きとても楽しむことができました。
高い評価を得るにふさわしい作品ですし、多くの人におすすめしたい名作といえると思います。